サイファーが新しいGF利用法の実験台となって5日が経った。
それを開発した先人の監修もあり、ある程度は安心して鍛錬に集中することができていた。
「大丈夫?」
銀髪隻眼の少女が回復魔法を使いながらサイファーを気遣う。
「ああ、問題ねえ」
彼は今、鍛錬中だった。
テレサに教わった動きを思い出し、練習していたのだ。
身体に負担をかけるものも少なからずあり、それに関しては『ケアル』で痛みを軽減しながら続けている。
自然治癒力を高めて肉体の故障を軽減することができる回復魔法は、トレーニングによく利用されていた。
テレサも同じく利用していたため、てっきり同じ目的なのかと思っていたのだが。
「ここと、ここだな」
サイファーは言われた通り、痛みが発生した箇所を思い出しながら、そこに負荷がかかる理由を考えつつ、トレーニングを再開する。
5日に2日ほど、テレサは『次元の魔物』との戦いで寝込むため、こうして自主トレーニングのやり方を教わっていた。
重要になってくるのは、スポーツ医学だ。
「まさか、頭を回す方を重視してるとは思わなかったぜ」
サイファーは時折銀髪少女からスポーツ医学の話を聞きながら、呟いた。
「サイファー、それが終わったら次はプログラミングよ」
「そっちこそ、ちゃんと終わってんのか?」
訓練施設のモンスターエリアから戻ってきた金髪美少女キスティスを睨む。
「魔力映像と温度映像は火、冷気、雷でそれぞれ3回分撮ってきたわ」
「そりゃまあ、ルールー先輩が一緒だしなぁ」
失敗するわけがない、と言うサイファーの言葉には、多分に棘があった。
「可愛い彼女とマンツーマンで楽していた人に言われたくないわね」
キスティスも言い返す。1つ年下の銀髪少女が顔を赤くしてそっぽを向いているのは気にしない。
「はいはい、そこまでよ」
憧れの先輩に声をかけられ、キスティスは小走りにそちらへ向かった。
これから撮影してきた映像を解析しやすいように整理し、ノイズを取る作業が待っているのだ。
「ワッカ、ノイズ取りが終わるまで、
「おう、了解だべ」
「げ」
撮影チームの護衛を終えた、むさくるしい赤毛の大男が目の前に来て、サイファーは仰け反った。
正Seedの中でも、最強の物理攻撃力を誇る男だ。
破壊力のある『モーニングスター』の使い手で、しかも扱いの難しい鎖武器のくせに狙った獲物はほとんど外さない。
訓練施設のモンスターエリアで最強を誇る『アルケオダイノス』を、1対1で倒せる数少ない生徒の1人でもある。
さらに言えば、若干デリカシーに欠けるところもあり、何より手加減が苦手という、稽古で相手をしたくない生徒の筆頭でもあった。
「心配すんな、訓練用のやつ使うべ」
「テメエ、今までそれで何人保健室送りにしてきたと思ってんだ!」
異常に強くとも手加減は上手い年下の転校生が一刻も早く目覚めるのを、サイファーとしては祈るしかなかった。
テレサは1番弟子となるサイファーに、不思議な課題を出していた。
その内容はスタート地点からバラムの森に入り、魔物5体を狩ってまたスタート地点に戻ってくるというもの。
5日毎に2日ほどテレサが寝込んでしまうため、その間の目標として出した課題である。
魔物との遭遇率が安定せず、普通にやれば4時間ほどもかかるこの課題だが、テレサは30分での達成を第一の目標として設定している。
ちなみに、彼女自身は4分33秒という記録を叩き出した。
魔物の動きを把握していても到底不可能なタイムで、どうやったのかと問うと、少女はこともなげに『向かってきてもらった』と言ってのけた。
「つーかよ、普通に戦ってたら、それだけで4分半くらい過ぎちまうぜ?」
「『次元の魔物』との戦闘記録で、2度ほど、敵を操ったような形跡があったわ。それの延長だと思うけれど。
まずはそれの前段階の技術を習得しろということね」
「簡単に言ってくれるぜ」
それがどれだけ難しいことなのか、サイファーは今までの経験で思い知っていた。
「まずは『アルケオ』に遭ってもいいように鍛えるべ」
「遭わないようにするって選択肢はねえのか?」
「例の4分33秒、『アルケオダイノス』2体込みよ」
「……マジかよ……」
さすがのサイファーも絶句せざるを得ない。
こうしてとりあえずの目標へと向けて、彼は地獄の鍛錬を始めた。
エクスデスは準備を始める。
反動として受ける呪いは受けた後に解くことにした。
現状、それ以外にできることはない。
だが、調査を行うことは必要だ。
なので、次は送り込む魔物のランクを下げて、複数体送り込むことにした。
今までが大雑把過ぎたのだ。
なにしろ、抵抗がなければ世界を数百回は破滅させることができるだけの戦力を送り込んできたのである。
それでどうにもならないとすれば、やり方を変えるしかない。
今もあちらの世界に存在し、魔力反応の発信源となって送り込む儀式を手助けしてくれる『マインドフレイア』を宿主ごと呼び出すことも考えたのだが、そうするとその世界に確実に送り込むことができなくなる可能性があった。
そのため、複数の霊体を憑依させた個体を送り込み、付近の生物に逃げながら霊体を憑依させて回る作戦を取る。
こうすることで、ある程度はあちらの世界の情報が手に入るはずだ。
今まで偵察が上手くいかなかった理由も、ほどなく判明するに違いない。
「さすがにのんびりし過ぎたやもしれぬ」
ひとしきり呟き、エクスデスは自らを戒める。
今度発見した異世界には、確実にエクスデスと同等クラスの神が存在する。
これまで色々とやってきたことから、確実にエクスデスの存在には感付かれている。
だからこそ、慎重になる必要があった。
クリスタルの戦士達に妨害されながら、『無』を手に入れるために奔走した、あの時のような緊張感を持って事に当たる必要がある。
「さて、魔物の選定も行う必要がある、忙しくなるな」
誰も指摘する者がいないため、最近彼が独り言をつぶやく癖ができたと噂になっていることを、彼自身は知らない。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
エクスデスが本気になりました。
だから成功するかというと、また別の話ですが。
サイファーの魔改造が本格的に始まります。
普通にやれば4時間33分かかることを、テレサは4分33秒でやってのけました。
なんでや!阪神関係ないやろ!
――――設定
『アルケオダイノス』:アルティマニア情報、独自設定
赤い鱗の大型肉食恐竜。ティラノサウルスかな?
攻撃は大体物理で、単体攻撃と全体攻撃、それに魔法に対するカウンターがある。
太古の昔から生息しているらしいが、なぜ絶滅せずに繁栄しているのかは不明。
耐性的にも寒さに弱いはずなのだが、なぜかトラビアの森にも出現する。
この小説内では、バラムに生息する生物の中ではGFを除けば最強としている。
理由は、他の生物を設定するのが面倒臭かったから。
FF8の二次創作業界では、よくオリキャラかスコールがコイツを軽くひねる場面から物語が始まる。
チートをぶつける相手として使いやすいからだろう。
ゲーム内では、搦め手の重要性を教えてくれる。
『ケアル』や回復薬を駆使して倒せなくはないが、初期段階では非常に時間がかかる。
代わりにST攻撃は一通り効くため、色々試すといい。
ただし、レベルを上げると魔法に対して1.5倍の威力を持った単体カウンターを叩き込んでくる。油断すると即死するダメージなので、物理防御をしっかり整えておくことをお勧めする。
HPが高く、初期レベルで1万以上あるため、GF『シヴァ』のレベルを上げて召喚すると、9999ダメージから即カードにできるため、カードを稼ぎたければやる価値はある。
ただ、『恐竜の骨』からの『クェイク』は序盤は有用だが、そこまで欲しいものでもない。
何気に初任務に出発する前までは、唯一『竜の牙』を入手できる可能性のあるモンスター。
ただ、最速『ライオンハート』に必要な『アダマンタイン』を入手するには、ティンバーを出る必要があるため、結局ワールドマップの高台判定の場所で出現する『グレンデル』を狩るのと差が出ない。