以前、説明ガン積みの小説を書いた後遺症が残っている気がする。
そして変態へ
テレサがバラムガーデンへやって来てから1年後。
いきなり時間が飛ぶが、何をやっていたのかというと、トラビア軍の研究施設へ集められていた無数のデータを解析していたのである。
それは、テレサが最初に実験を始めて、『状況再現』へと至るまで、そしてそれ以降、『詠唱組み換え』から『任意コード』へ至るまでの道程でもあった。
それを、テレサ自身の話を交えて解説されていたのである。
そのため、バラムガーデンで行われていたのはその検証実験だけでよかった。
それだけでも1年もかかってしまったのは、スケジュールがそれだけ濃密で、しかも内容が膨大だったからである。
その間に、頼れる先輩だったワッカとルールーは20歳になり、バラムガーデンを卒業。
ワッカはフリーランス(自由契約傭兵)として活動し、ルールーは主にドールを拠点に遺跡探査などの随伴員として活動するという。
キスティスは半年ほど教員資格の研修に出て、それが終わったためにバラムガーデンに戻り、Seed候補生クラスの担任となって、これからはテレサから伝えられる様々な技術を含めて生徒達に教えていくことになる。
それと同時に、見事な金髪美女に育った彼女に畏敬の念を抱いた生徒達が、ファンクラブを作ることになる。
「ズサーズサーズサーズサーズサーズサーズサーズサー」
「カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ」
「私のスコールを返して」「私のサイファーを返せ」
変態的な高速移動法を習得したサイファーとスコールの対戦風景を見た金髪美女と銀髪美女が、あまり育っていない黒髪少女に訴えかけた。
「なんでやねん」
「でも、気持ちは分からへんでもないかなぁ」
テレサに言うのは、トラビア人の中年男性。
トラビアガーデンの教員だ。
教え子のサポートを行うためにやってきていた。
「てゆーか、なんでセンセなん?」
「お前の理論説明すんのに、お前口下手やろ?」
「う、うん」
「セルフィとクレアは?」
「エスタ旅行中や」
「エスタぁ?」
「あの2人はあの2人で、考えあるみたいなんや」
「ふーん……」
こうして、バラムガーデンでの研究は劇的に進むことになる。
もう1つ、テレサの戦闘センス的なものが、実はガーデンの生徒達の中では中の下、天才どころか、かなり凡庸な部類であることが判明した。
「そらそうや。テレサがホンマモンの天才なんは、後方支援要員としてやからな」
トラビア教員、デンネンは深々と頷く。
ヤマザキは深々と溜息をついた。
「ということは、我々は戦闘において後方支援要員のサポートすらままならなかったということか……」
「そら俺らも一緒やがな」
デンネンは苦笑した。
事実、彼らがテレサのサポートについて不覚をとったがために、テレサはバラムガーデンに転校せざるを得なくなっていたのである。
最も重要な、判断力の補助を行うには、テレサに接近して指示を飛ばす必要があるのだが、そうなるともちろん『次元の魔物』の攻撃に巻き込まれることになる。
そこで、ある程度戦力の整ったバラムガーデンにて、その判断力の補助を行うように願い出ていたのが真相だ。
Seedならば、交代ででもそういった補助を行うことができると期待して。
結果は、バラムガーデンにも判断力の補助を行う余裕がなく、死者こそ出なかったものの、様々な破壊痕がそこかしこに残る結果となってしまった。
それでも、最初にサイファーが高速移動を覚えたことで、ある程度は『次元の魔物』との戦いに参加できるようになり、判断力の補助も行えるようになったのだ。
おかげで、テレサが寝込む時間が、少しずつ短くなりつつある。
様々なことに配慮を設定しながら戦闘する必要がなくなってきたからである。
そこは大きな成果だった。
「まったく、判断力の低下とという代償があるとは聞いていたが、指揮官としての判断が自分でできなくなることだったとは……」
「なかなかムツカシイ子ぉやろ」
「まったくですな」
ただ、良いことばかりでもない。
テレサと同じGFの利用法の実験台となったサイファーにも、同じ症状が表れ始めたのである。
「ソレに関しては、俺らもよぉわからんねん。
GF外して時間経ったら治るんちゃうかとは推測しとってんやけど、『次元の魔物』のせいでなかなか実験もできへんでな」
そもそも、トラビアにはGF運用のノウハウ自体がない。
そのため、テレサの症状の軽減や治療も、バラムガーデンへの期待には含まれていた。
「フム、1ヶ月ほど休暇を出して様子を見ようかという話もある。
スコール君やゼル君といった、判断力の補助までなら代替可能な生徒も出てきているし、早い内に試しておこう」
「テレサのサポートは俺も手伝うで」
「ありがたい」
「ええんよ、面倒事持ち込んだんは俺らやしな」
こうして、今後の話はまとまる。
エクスデスは、なかなか偵察すらままならない現状に苛立ちを覚えていた。
数を送り込んでも、強く素早い魔物を送り込んでも、偵察が上手くいかないのだ。
そろそろ時間をかければ大きな力を持った配下を送り込むこともできそうではあるのだが、投げ捨てていいような手札は少ない。
それもこれも、『光の四戦士』との戦いで、多くの配下が命を落としたからである。
確かにエクスデスは勝利を納めたが、決して無傷の勝利というわけにはいかなかったのだ。
そして、例の反動にも、変化が訪れた。
『触れたキノコがタケノコになる呪い』
「よし、殺そう」
エクスデスは、この呪いをかけた何者かを、己の存在をかけて抹殺することを己の魂に誓った。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
そろそろエクスデスが可哀想になってきた今日この頃。
1年でガーデンの生徒数人が汚染されました。
銀髪美女(ダレダロウナー)とキスティス先生、ご愁傷さまです。
ちなみにスコールとサイファー、割といい勝負してます。
勝率はサイファーの方が少しだけ高いですね。
GFの新しい利用法の差です。
この小説内ではキャラアビリティに分類されます。
オン、オフの手順がちょっと面倒なんですよね。
――――設定
ドール:議会制、アルティマニア情報、独自設定
かつての大国、神聖ドール帝国の名を残す国。
ガルバディア大陸北東部に位置し、巨大な山脈に陸路の大半を塞がれた立地から、守りやすく攻めにくい。
出島のように造成された半島に港湾施設や高級リゾート地を整備しており、観光産業を中心に今も栄えている。
街を一望できる高台には現在唯一電波放送が可能な出力を誇る電波塔が存在しているが、世界的な電波障害が発生して以降、使われなくなり、20年近く整備もされていないため、周辺は魔物の巣窟と化している。
ゲーム中では初任務前の大イベントが発生する他、ストーリー中に欠かせないイベントが絡む場所でもあり、大小のサイドイベントがそこそこ多く用意されている。
ある意味カードの聖地で、カードをコンプリートするなら、必ずドールを何度も訪れることになる。
ここの『ランダムハンド』だけは真っ先に消すことをお勧めする。
この二次小説では、神聖ドール帝国の崩壊は100年前と設定している。
それから戦乱期があり、魔女戦争を経て現在に至る。
これは推測だが、現在のドールの街は、かつての神聖ドール帝国時代の首都だったのではないかと考えられる。
つまり、わざと攻めにくく守りやすい、陸路を山脈に制限された立地に都市を建設したのではないか、ということ。
ただし、滅多に攻められることがないため、軍隊が弱兵揃いとなってしまっており、優良な立地でもドール軍単独では守り切れないという、本末転倒な状態になってしまっている。