「『ダメージブースト』!今だテレサ!」
金髪トサカの少年ゼルが叫び、同時に高速移動で戦場から離脱する。
「“クローンノ フカヒノ ジョセフノ”『カプコン製ヘリコプター』」
巨大な氷の塊が無数上空に出現し、敵である水晶殻の東洋龍に降り注ぐ。
それは通常の自由落下程度ならば回避できただろうが、倍近い不自然な加速度で一帯を爆撃した。
なぜかヘリコプターの形をした氷の塊は、無数の別種合成遅延氷礫を満載し、高い再生能力を持った魔物を一気に押し潰し、爆破。
断末魔と共に、長い胴体を持った東洋龍は地面に墜落し、倒れ伏す。
そして、それを行った黒髪少女も、少し離れた場所で力を失って地面に倒れ伏す前に、隣にいた金髪美女に抱き留められた。
「お疲れ様」
その後、テレサは5時間ほどで目覚めた。
「起きてきたな。よし、勝負だテレサ!」
休暇から戻ってきたサイファーが、訓練施設で勝負を挑んでくる。
「ええけど……」
「サイファー、旅行先で何かあったの?」
「サイファー、女?」
「帰ってきてから、なんでか調子がいいんだ。
それと女じゃねえ。旅行先でやたら押しの強いのがいたが、別に関係ねえから睨むな!
外野は笑うな!」
ウガーッ、と声を上げつつ、テレサに木刀を向けた。
「さあ、やるぞ!今日は擬似魔法アリでも勝てそうな気がするんだ」
「ふーん……」
ティンバーで出会ったのと違って貧相な身体の黒髪少女は、ニコリと笑みを浮かべた。
「([∩∩])<遊びは終わりだ」
「チィッ!」
サイファーは嫌な予感を覚え、わけも分からず回避する。
直後、戦闘開始位置に氷の球体が叩き込まれた。
サイファーとテレサの間には、戦闘センスという才能の壁があった。
戦闘において、才能ではサイファーの方が上なのだ。
しかしそれでもなお、テレサは制限なしでサイファーに負けたことがなかった。
理由は、テレサの冗談のような計算能力にある。
彼女自身がもたらした『状況再現』は、レパートリーが数百にも上る。
通常は長い時間をかけて総当たりで探していくところを、テレサはGFの新しい利用法を用いることで、その場で作り出すことさえできてしまうからだ。
これも、長年続けてきたGFによる思考速度の拡張の成果だった。
引き換えとも言えるのだが、彼女は勝負事には一切の容赦がなかった。
ルール内でなら、常識から外れたありとあらゆることを行って、それで勝利としてしまうのである。
今回も、サイファーの回避先に回り込み、彼のトレードマークである白いコートに訓練用に穂先を丸めた木製の槍を引っ掛け、近くの池に叩き落とした。
「ぶはぁ!?」
「ほい、勝ちや」
池から顔を出したサイファーに、テレサが槍を突き付けて勝利宣言する。
「く、くそっ、これでもまだ読まれるのかよ!」
「見てから昇竜余裕やったで」
「動き出しが早かったってことか」
トラビア教員デンネンは2人の会話を見ていて呟く。
「今の会話で理解できよるくらいにはなっとんねんな」
「スコールも分かるの?今ので?」
「……ああ」
傍で聞いていたキスティスに聞かれて、スコールは微妙な表情で頷いた。
ちなみに、サイファーの症状がある程度治ったことで変なテンションになったせいでポロッと出てきた旅先の女性について、様々な憶測が流れたのは言うまでもない。
「テレサについて相談があるんですが」
キスティスが、たまたま食堂でくつろいでいたデンネンに話しかける。
「ホの字やったらライバルが1人おる「違います」
下ネタに走ろうとしたオッサンを笑顔で威圧し、彼女は本題に入る。
「テレサがカードバトルをやりたがらないんです」
「あぁ、それなぁ……」
「何か理由があるんでしょうか?」
「単純やで、アイツに勝てる奴がおらへんからや」
微妙に困った顔で、中年オヤジは語った。
「トラビアガーデンのカード大会で、テレサがこっち来るチョイ前に
俺も何回かやったけど、ありゃ勝てんわ。
それでもセルフィと何回かやっとるんは見かけたなぁ」
「そんなことが……」
「まあ、今から考えたら、脳味噌開発しとるんやもんなぁ。
強ぉて当たり前っちゅうたら当たり前なんや。
話題のついでやし、やってみるか?」
「……そうですね。トラビアがどのくらいのレベルなのかも知っておきたいですし」
「よっしゃ、やろか。せっかくやし、トラビアのルールと混ぜてみよか」
「ええ、是非」
後に、キスティスは保健医のカドワキに語る。
トラビアは、カードバトルにおいては修羅の国だと。
要するに、思考能力を3年かけて拡張し続けていたテレサに対し、最後の1度しか
それに気付いたのは、
ちなみに、キスティスは現在、バラム最強の腕前を認定されている。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
今回はカードでしたね。
テレサにカードバトルが絡むと、必ずトラビアガーデンの話が出てくる上に、彼女はこの手のゲームが得意でカードの種類をほぼ完全に網羅していて、思考能力の拡張までやっていますから、かなり最適解に近い一手を選ぶことができます。
そのせいで、勘で最適解を選んでくることがあるセルフィ以外とはあんまり勝負にならないんですよね。
トラビアエリアには『プラス』があるのもネックです。
数字の強弱では単純に有利不利が決まりませんから。
それに加えて『ランダムハンド』があるため、バラムとはカードゲームの環境が違いすぎます。
――――設定
カードバトル:アルティマニア情報
正式名称『トリプルトライアド』。
世界的に普及し、親しまれているカードゲーム。
ゲーム中では『カード変化』に絡み、様々なアイテムの入手と密接に係わっており、カードゲームだけでもやるとやらないとでは難易度が大きく変化する。
ただし、結構な中毒性があり、ハマると1時間くらいは軽く吹き飛ぶ。
カードをコンプリートする際、注意すべき点はカードクイーンのイベントと三大修羅の国。
カードクイーンはレアカードを渡すか奪うとドールに移動し、特定のレアカードを要求してくる。
ドールでのイベントで渡したレアカード自体は画家の孫が持っているため、取り返せるが、そのレアカードを渡した際にカードクイーンは移動してしまうため、またドールに移動させる必要がある。
アルティマニアにはどこへ移動するかのパーセンテージが書いてあるが、あまり信用しない方がいい。
また、画家の孫のAIが強く、『ランダムハンド』が残っている状態で挑むと、レアカードを取り返すどころか、さらにレアカードを奪われるということもよくある(5敗)。
なので、カードコンプリートを目指す場合は、最初にドールのカードルールから『ランダムハンド』を消すことを強く推奨する。
FF8カードバトル三大修羅の国とは、トラビア、セントラ、宇宙のこと。
いずれもカードルールに『ランダムハンド』と『プラス』がある。
ただ、最高に難しいのはすべてのルールがある宇宙エリアではなく、セントラ。
バラムで調子に乗っていた後にセントラへ行くと、自分がどれだけバラムのルールに甘えていたのかを思い知らせてくれる。
FF8最強カードがセントラに配置されている辺り、スタッフは分かってやっているとしか思えない。
そして、宇宙とセントラが特に難しいからと言って、トラビアが簡単かというと、そんなことはない。
雪国なせいで、バスケの他にはカードくらいしかやることがないのだろうか?