多分これが一番…   作:ひろっさん

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7/24 雨が降るのか降らないのか。降るにしても小分けにして降ってほしい。


本格導入

「10秒で地下へ」

 

バラムガーデン地下層のマスタールームへ、テレサは呼び出された。

 

「3秒で来たで」

「!?」「!?」

 

中央にあるエレベータを利用することなく、床をすり抜けて降ってきた少女に驚く制服教員達。

 

「3階やったら2秒で行けたんに、地下やったら自由落下するしかないから遅いねん」

「そ、そうか……」

 

謎の文句に動揺しつつ、制服教員は案内する。

はっきり言って、案内される時間の方が長かった。

 

玉座のような装置の前で、質問が投げかけられた。

テレサは中身がノーグであると前世の知識から知っていたため、特に動揺はない。

 

「生徒達の強化はいつ始められる?」

「そらセンセらにまかせとる。

あたしの方でも教えてるけど、あたし、教えるのヘタっぴみたいなんよ」

「理論だけでも提出できないか?」

「だいたい書いて渡してるで」

「荒唐無稽過ぎる」

「あたしやと、アレ以上分かりやすぅはできへんねん」

 

テレサはあまり他者に教えるように理論を組んでいないのだ。

それでもまだ、すべて感覚でやってしまう本当の意味での天才よりはマシなのだが、まだまだ生徒が理解できるレベルではなかった。

 

「とにかく、Seedの強化計画を急いでもらいたい」

「今でメいっぱいやから、これ以上はムリ」

 

テレサは、頭はいいのだが、誤魔化しのような処世術は苦手だった。

 

「チッ、『何某』め……!」

 

罵られるが、少女は特に反応しない。

 

「て、テレサが……なに!?」

 

目の前で消えられて慌てて探しに来た制服教員が、ようやくやってきて、テレサがとっくに着いていたことを知った。

 

 

 

所変わって『赤魔法研究室』。

 

「ということはだ、GFによる脳のリミッター解除は、連続使用による判断力の低下を休暇で回避していれば、従来のジャンクションよりも、むしろ代償は軽いということか」

「多分な」

 

ヤマザキの結論に、サイファーは頷く。

 

「ただ、テレサのアレは俺より大分無茶してやがる。

例の武器を壊した時も、その前に何かに焦ってた様子だった。

時間的にも、症状は俺よりかなり深いはずだ」

「『次元の魔物』を倒す戦いの代替を始めたことで、彼女がしっかり休めていればいいんだが」

「ああ、言えてるぜ……」

 

最近のサイファーは、ガキ大将的な部分がなりを潜めつつあった。

大人になってきた、と言うべきか。

おかげで、『次元の魔物』対策チームのサブリーダーとして評価されつつあり、それがさらに彼の中で良い方向に責任感を持たせているようだ。

 

「なら、そろそろ本格的に授業の取り入れていこう。

例の『変態機動』の方は、教えられそうか?」

「人を選ぶとしか言えねえな。感覚を掴めるかどうかなんだが……」

「さすがに全員が習得するとはいかんか……」

「やるだけやってみて損はねえ、ってのが俺の意見だ。

なんとか説明できるやつが出てくれば、ソイツに任せるってのも手だな」

「うむ。妥当だな」

 

以前はこうやって教員に意見して、それが通ることなどなかったのだが、今はヤマザキも唸る意見を言ってくるようになった。

 

「これもGFの新しい利用法のおかげかな……」

「なんだって?」

「いや、なんでもない」

 

ヤマザキは寂しいような嬉しいような複雑な気持ちで、苦笑を返す。

 

 

 

イデアは様々な人間を魅了して操り、情報を集めていた。

『この時代』の脅威となる人間を見極めるために。

 

他の魔女を探すことができれば手っ取り早いのだが、魔女は基本的に社会には馴染めない。

民衆が魔女を嫌がり、結果として魔女は隠れるのが上手くなっていく。

そう簡単に探すことはできない。

 

それに、首尾よく見つけ出すことができたとしても、彼女の行動理由に反するため、他の魔女に手を出すのは気が引けた。

 

「やはり、ガルバディアか……」

 

『この時代』の知識はそれほど多くはなかったが、10年以上潜伏し情報を集めていると、ガルバディア以外は難しいことを知った。

 

しかし、同時に最近、奇妙な噂を耳にするようになった。

ドールを中心に活動するフリーの傭兵の中に、別種合成を成功させた『赤魔法』の使い手がいるようなのだ。

別種合成は、かなり後の時代の技術である。

 

「手品のようなものか」

 

内容を聞いて、イデアは唸る。

どう考えても本来の別種合成ではない。

『魔法剣』を利用する方法では、そもそも下級魔法を2つまでしか合成できないのだ。

雑魚相手ならば、それでもそれなりに役には立つのだが、魔女を倒すほどの脅威とはなりえない。

 

『赤魔法』は、威力だけならば『魔女の魔法』に匹敵するのだが、準備時間の長さから、対魔女の技術としては不足だった。

脅威度なら、『青魔法』や『魔法剣』の方が上と言えた。

 

「それよりも、そのような不完全な技術を上手く扱う機転の方が脅威か」

 

呟き、調査を指示する。

 

彼女は彼女で、やることがあった。

これからガルバディアを乗っ取るための方策を練らなければならない。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
「10秒で来い」「3秒で来た」は、FF8でやりたかったネタの1つです。

ここから本格的にバラムガーデン生の魔改造が始まります。
ついでに、イデアの話も入ってきます。

ストーリーは原作からかなり変えるつもりです。
まあ、『当然こうなるよな』という話がかなりありますし。
もしかすると予想がつくかもしれませんが。



――――設定

『何某』:ある意味原作設定、現実知識
本作主人公テレサ・ドゥの『ドゥ』の意味。
イギリスの身元不明の死体や記憶喪失者などに、便宜上つけられる名前。
日本で言うところの『ドザエモン』や『名無しの権兵衛』に当たる。
この世界では、『ドゥ』という名字から変えられた子供はそう珍しくないと設定している。
原作開始から18年前まで、魔女戦争が続いていたため。

テレサに両親がおらず、名字が分からない子供だったことを意味する。
通常は成長に伴い、別の名字が付けられるが、テレサはそうはならなかった。
一応、彼女なりの理由がある。

ちなみに、FF5のガラフも、記憶喪失だった序盤は『ガラフ・ドゥ』だった。
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