多分これが一番…   作:ひろっさん

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7/28 外の仕事を済ませた後のクーラーは格別だぜ!(涙)


わけがわからんぞ

イデアは観察によって得られた情報から、テレサが使用している技術について検証する。

場所はガルバディア軍の実験施設。

 

「“この辺から槍でボス部屋にワープし、画面外から長く硬く逞しい骨を投げつけた結果”『ワシが育った』」

 

膨大な魔力によるゴリ押しではあるが、一応は氷の槍と氷の骨を出現させることはできた。

 

しかし。

 

「こんなものを御して見せたというか、あの娘は……」

 

十数本の氷の槍も氷の骨も、意図した方向とは全く別の向きに出現し、飛んで行った。

 

「……ふむ。このままでは使い物にもならぬか」

 

イデアは地面から突き出した氷の槍に触れ、呟く。

それは触れるとすぐに崩れ落ち、魔力に帰った。

 

これでは青白い美女に対して効果を発揮したような強度は到底得られない。

『魔法剣』の付与、出現位置の制御、氷の骨のあの威力を同時に再現する目途も立たない。

 

この検証は、彼女にとっても衝撃的なものだった。

 

「魔力も不思議な力も持たぬ、ただの小娘がアレを成し遂げたのだ。

未来の技術を持ち、魔女の魔力を持ったこの私に、本来出来ぬはずがない。

なれば、認めざるをえまい。

あの娘が魔女と同等か、それ以上の力の持ち主であると。

『この時代』に埋もれた、無名の天才であると」

 

イデアは考える。

 

おそらく、あれほどの力は、周囲の者に恐れられ、疎まれたがために、歴史の闇に葬られたのだろう。

ならば、力でぶつかるのではなく、それを取り込む方向で考えるのが得策だ。

本来、熟練の魔女にこの選択をさせることが異常なのだと、本人を含め、周囲に教えてやればいい。

 

そして、この検証実験の模様を見ていた、イデアに魅了された兵士達の間で『ワシが育った』という言葉が流行るのだが、彼女には知る由もなかった。

 

 

 

イデアが送り込んだ『目』を持ったスパイは、バラムガーデンへの潜入調査を続行する。

 

テレサは丸1日、保健室で眠り続けていた。

 

「(さすがにあれだけの力を振るったのだ、無事というわけにはいかんか)」

 

てっきり、少ない魔力を振り絞ったのだと思っていたのだが。

 

いきなり不可解なことが発生し、思考がそちらに向いてしまう。

 

「今日は軽くね」

「ういうい。ホァイ」

 

兵士養成学校とは思えないほど軽い返事を返すと、件の黒髪少女は消えた。

一緒にいた金髪の美女と共に。

 

「(なにっ!?)」

 

スパイは戸惑う。

追いかけようにも、どこへ行ったか分からなかったのである。

 

慌てて探し回るが、その時になってやっと気付いた。

 

「ドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエドゥエ」

「カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ」

「ビターンビターンビターンビターンビターンビターン」

「ユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッユクゾッ」

 

見ないようにしていたが、生徒達の大半が通路を普通ではない速度で行き来しているのだ。

その技術をもたらしたのがあの少女ならば、彼女がそれ以上の速度で、文字通り目にも留まらない速度で高速移動できるのは、当然と言えば当然だった。

 

「(チッ、見失ったか……しかし、必ず次の機会はある)」

 

こうして、スパイは潜伏を続ける。

 

ちなみに、スパイが見つからないのは、バラムガーデン内に変態が蔓延しているというのも理由の一つだった。

木の葉を隠すなら森の中、というわけだ。

 

 

 

さらに翌日。

 

「やっふぅぅぅぅぅぅぅぅ!」

 

スパイがガーデン内でテレサを探していると、ほんの一瞬だけ上空を何かが飛んで行った。

 

それが訓練施設へ向かっていたため、そちらへ向かう。

というより、それ以外に追えるものがなかったとも言えるのだが。

 

「『Zスライド』!」

「『横に落ちる変態』!」

 

そこでは、妙に速い後ろ歩きを練習する生徒、物凄い速度ですっ飛んで行く生徒など、かなりわけのわからない状況があった。

 

「“バスガス爆発、バスギャスビャクヒャチュ、バスバスバスバス”『フレア』」

「“サシセマッタ ツメタイ シンダ ライオン”『ホーリー』」

 

擬似魔法の練習用の的に向けて、無茶苦茶な詠唱の擬似魔法が放たれる。

 

「(なんだ、なぜ発動するのだ?)」

 

まるでわけが分からない。

 

なまじ完成された未来の知識を持っているからこそ、ここで練習されている技術を見て、イデアは混乱した。

規則性というものが欠片も感じられないのだ。

 

この実技の授業は以前も見たが、魔女をして何をしているのかさっぱりなのである。

 

「挑戦者が出たぞ!みんな集まれ!」

 

大人の男性、教員の声で、全員がそちらに注目する。

 

一組の男女が向かい合い、構えているのか何なのか。

頬に入れ墨の金髪短パン少年が、入念に身体を伸ばしている向かい側で、件の黒髪少女が槍を持ち、なぜか回転しながら小刻みにジャンプと急降下を繰り返していた。

 

「今回は何秒持つかな?」「嘘でも勝つか負けるかって言ってやろうぜ」

「勝てると思うか?」「思うわけねえじゃん」

 

生徒達は、口々に勝手なことを言う。

 

「擬似魔法は相手に当てない限りOK。

武器は当てても相手に怪我させないこと。

両方とも、いいな?」

「うい」「了解!」

 

教員(レフリー)が両者にルールを確認。

そして開始の合図を出す。

 

「始め!」

「スイー」「スイー」

 

両者、足をまったく動かさずに移動する。

 

「(なんだ、この気持ち悪い動きは……?)」

 

魔女として恐ろしい魔物を見せつけることも少なくないイデアだが、そういう分かりやすい恐怖は、『理解しようとしても何一つ理解できない』という事実によって容易に塗り潰されるということに気付いた。

 

「次にお前は『なぜとばたし』という」

「『なぜとばたし』――ぶべらっ!?」

 

お互いに慎重に距離を測っていたように見えたが、ある時点で両者ともに瞬間移動し、何がどうなったのか、金髪少年側が槍を支点としたドロップキックに顔面から突っ込んで吹き飛んだ。

 

「それまで!」

 

レフリーが勝負ありと見て止める。

 

「(どういうことなのだ、まるでわけがわからんぞ)」

 

結局、直接見ても分からないものは分からないということが分かっただけに終わった。

 

そして、対策を立てようにも原理が分からないため、イデアは頭を抱える。

 

「(結局、取り込む方向で考えるしかないということか。

それも、この様子を見るに一筋縄ではいかぬ)」

 

誰も、件の少女を恐れているようには見えない。

模擬戦の結果に昼食を賭けるくらい、生徒達にとって当たり前となっていた。

それでもやるしかないのだが。

バラムガーデン内での離間工作が成功しなければ、計画をどう変更しようとも、成功する道がないのだ。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
とりあえずバラムガーデン編です。

結局スパイを送り込んでも、そもそも理解するのに一筋縄ではいかないものなため、対策を立てることもできないという。
そして、地味に魅了との合わせ技による二次被害が……。



――――設定

『フレア』:
アルティマニア情報では、『核エネルギーの爆発に巻き込む』と書いてある。
『アルテマ』は『対象を核爆発させる究極魔法』と書いてある。
違いが良く分からないが、『フレア』は単体攻撃で、『アルテマ』は全体攻撃。
他のFFナンバリングタイトルでは、『フレア』は無属性の強力な単体攻撃魔法であることが多い。

FF8では、ジャンクションの際の上昇値が優秀な擬似魔法の1つ。
属性防御にジャンクションすると、炎、冷気、雷の3種を吸収できるため、便利ではある。

ただし、魔力Jでは『ペイン』と『メテオ』、力Jでは『オーラ』と『メテオ』に劣るため、出番はあっても中盤まで。
他は味方の女性に使用し、エフェクトで胸が大きくなる様子を観察するくらいしか使い道がない。

最低レベルでも、レベルが上がらないように『炎魔法精製』を覚えさせれば、ドール実地試験前に揃えることができる。

『ホーリー』:
唯一の聖属性の攻撃魔法。
他のFFナンバリングタイトルでは、かなり強力な使い道があった。
FF8では、威力は高いが、エフェクトの長さもあって普通に使用されることはまずない。

ジャンクションの上昇値がそこそこ優秀で、聖属性に弱い敵が多く、さらにST防御Jに付けると複数のST変化を防御してくれる、優秀な擬似魔法であり、序盤から終盤まで通して利用できる。
ただし、『オーラ』や『ペイン』より上ということはなく、他の禁断級魔法よりは多少マシという程度。

初任務前でも、『炎の洞窟』の『ボム』をカードにする際、レア判定で手に入る『コキュートス』をカード変化させて『ホーリーストーン』を入手し、それから『生命魔法精製』で『ホーリー』にするという面倒な手順を踏めば、初期レベルでも十分揃えることができる。
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