テレサの朝は遅い。
基本的に低血圧で朝に弱い彼女は、主に放課後に練習や実験を行う。
授業中は、主に勉強をしている。
転生特典としてタブレットに入っている情報は、所詮は攻略情報である。
近辺の細かい情報など、この世界ならではのことや、原作にない情報などについては分からないことの方が多い。
「今日はまた何読んでるんや?」
「『バラムの魔物分布』」
「今は何の時間や?」
「歴史」
「わかっとったら、せめて教科書くらい開いとき。
内容丸暗記してる言うても、周りの目ぇっちゅうもんがあんねん」
「うーい」
テレサは大人しく教科書を開く。
「ついでに載ってないことも聞け。
100年前に神聖ドール帝国崩壊から10年で今の国境線が大体決定しとるんやけどな、セントラ時代の遺跡っちゅうのが結構残っとる。
調べられとるんも、実は極一部や。
なんでかっちゅう話やけど、原因は魔物のせいで護衛がおっても長期間調査してられへんからやと言われとる。
でも、調査が終わっとる遺跡もある。
その1つがこのトラビアガーデンや」
「知ってた」
「え、ホンマか?」
「図書室で読んだ」
テレサは教員泣かせだった。
記憶力が凄いのではない。
貪欲にありとあらゆる情報を集めているだけだ。
目的に合致するならば、覚える。
中でも、歴史はこの世界のルールを読み解く上で重要な資料だった。
だから、一通りの歴史の本は、この1ヶ月で大体読み漁っている。
「RTAは情報収集から始めるんやで」
「?」
彼女はよく、教師の首を傾げさせる言葉も使う。
そのため、クラスの中では不思議キャラとして定着していた。
放課後は、体を動かして、その後に小石に擬似魔法を複数込めて、破裂する前に蹴り飛ばすを繰り返す。
「こんな方法、よう考えたもんやな」
「コレって、スゴいことなん?」
「ホンマは、この破裂っちゅうのは『赤魔法』にとっても『魔法剣』にとっても失敗なんよ。
でも、その破裂の被害を敵に押し付けるんが、この技の真骨頂や。
上手いこと被害増やせる組み合わせ見つけたら、かなり強い技になるで」
教員は眼差しに期待を込める。
居住に適した土地が少ないトラビアに限らず、高い戦闘力の持ち主というのは、この世界では非常に有難がられるのだ。
「でも、テレサって、メインは情報処理やるって言うてたで」
「え、ホンマか?」
「うん」
情報処理というのは、ハッキングやオペレーションなどといった、機械の操作を主に行う、後衛職だ。
その性質上、戦闘力が低い者に回りやすいポジションでもある。
「なんか考えがあるんかなぁ?」
「それは先生も分からへんなぁ」
「せんせーもわからへんのん?」
「分からへんなぁ、ホンマに……」
テレサは教員泣かせである。
翌日。
「今日は何の本読んでるんや?」
「情報処理」
「へえ、そういえば情報処理の方に行くとか言うとったな」
「うい」
「放課後練習しとるアレ、上手いことやったらかなり強いとセンセ思うんやけどな」
「アレ、実験してるだけやん」
「実験?」
「せやで」
教員は目を丸くする。
「実験て、何の実験や?」
「擬似魔法の解析してるんよ。
今使える擬似魔法の組み合わせと、『魔法剣』用の魔力の量とか。
色々変えて試してるんやで。
破片の飛び散り方とか、破片に残った属性とか、もうちょいしたら的の属性とかも色々やってくつもりなんよ」
「え、なんやそれ、新しい擬似魔法でも作るつもりなんか?」
「完成形ゆうのはまだ見えへんけど、色々組み合わせて実験するんに、情報処理取ってないとできへんこともあるから」
「……」
教員は絶句する。
「せんせー、授業授業」
「あ、せやった」
「あ、チャイムやー」
「休み時間やー」
テレサは教員泣かせである。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
さて、サブタイどうしましょう?(ォィ←(ryと似てない?
ドヤ顔で解説していたことが大外れだった時の先生や親の顔が見てみたい(ゲス顔
感想に『PARみたいに数値ガリガリ弄るのか、自分で組んだりしちゃうのか』ってありましたが、将来それに近いことはする予定です。
ただ、擬似魔法の仕組みもよく分かっていないため、まだまだそこに至るまでの解析と実験を行っているところです。
割と授業内容はガン無視しており、テストの成績とかはそこまで高くありませんが。
――――設定
神聖ドール帝国:100年前に崩壊
セントラ崩壊後、逃げ伸びてきた人々が作った出島を中心とした大帝国。
現在もドールの名を残す国があるが、かつての繁栄は影もなく、大国の侵攻に耐えるだけの軍を維持することもできていない。
ただ、トラビアほど過酷な状況にあるわけでもなく、出島ゆえの交通の便と粋な景観、しかも気候も温暖なため、独立を保つことはできている。
(アルティマニア情報)
トラビアガーデン:セントラ遺跡の1つ
実は原作設定で、元々はセントラ時代のシェルターを改造して作られているらしい。
ある意味で調査の終了したセントラ時代の遺跡と言えなくもない。
『魔法剣』:特殊技能?
原作設定では、GFの属性攻撃ジャンクションとして、手軽に属性攻撃が使用できるようになっている。
その他に、特殊技にそれらしいものがいくつか含まれており、それが『魔法剣』という名前で技術が紹介されない理由なのではないかと考察している。
つまり、特別な技能などではなく、練習すれば割と誰でも使用可能な戦闘技術という設定にしてある。
また独自に小石や木片など、強度の低いものについてはあまり強い擬似魔法に耐えられず、破裂するとした。
わざわざ武器で実験して、イチイチ壊すわけにもいかないため。