多分これが一番…   作:ひろっさん

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7/30 体重がヤバい。


魔改造の果てに

「状況を説明しよう」

 

妙に老け込んだ白髪の中年男性カーウェイ大佐が説明する。

 

「魔女の暗躍によって、ドール議会は電波塔の使用権を1年の期限付きでガルバディア政府に貸与した。それによって、軍事力的な面ではなく、政治的にガルバディア政府の威厳は魔女に奪われつつある。

それに危機感を強めているのは、私を含め政府内にも数人いるが、実際にある程度動けるのは私だけだ」

「デリング大統領の友人だから?」

「そういうことだな。

だが、それもお目溢しを受けているにすぎん。

魔女によって実権を持って行かれるまでがタイムリミット。

しかし、一度でも失敗すればその時点でアウトだ。慎重に動かねばならん」

 

なかなか難しい状況のようだ。

 

「ボク達は、過去に魔女が経営していた孤児院に入っていました。

しかし、7年前に彼女は夫に重傷を負わせて姿を消し、今もなお見つかっていません。

もしかすると、ガルバディアを支援している魔女がそうかもしれない、そう思ってボク達は調査に来ています」

 

アーヴァインが自分達の状況を説明する。

 

「ふむ……それで、ガルバディアの魔女が君達の恩人だったとしたら、君達はどうするつもりかね?」

「とりあえず、魔女の旦那に一報を入れる」

 

サイファーが答えた。

 

「妨害があるだろうが、それでも連絡がつくのかね?」

「問題ねえよ。星の裏側にだって一瞬で行き来出来る奴が迎えに来る」

「それが魔女だというオチか」

「いや、アイツは魔女じゃねえな。

ていうか、あんなモンと魔女を一緒にしたら魔女が可愛そぶ――っ!」

 

サイファーの後頭部に槍の柄がめり込んでいた。

 

「何者だ!?」

「え、マジで誰?」

「コレの師匠や」

「何しやがる、定時連絡はまだ先だろうが」

「ティンバーから手紙やで」

「あぁ?」

 

突然屋敷内に現れた小柄な黒髪少女は、封筒にすら入っていない手紙をサイファーに押し付けると、なぜかサイの氷像を召喚し、それを蹴ってどこかへ消えた。

サイの氷像は魔力で編まれていたらしく、数秒で砕けて消えてなくなる。

 

「屋敷の警備を見直さねばならんか……」

「アイツに関しちゃ無駄だと言っておくぜ。

今のだって、そこの壁際から外に抜けてったんだ」

「意味が分からないよ!」

 

アーヴァインは頭を抱えた。

 

「今のサイは?」

「『サイキックワープ』だな。

幾つかある瞬間移動の手法の一つで、壁抜けからワープに繋げる方法だ。

俺はまだ自分であそこまではできねえから、なんでサイなのかってのは説明できねえんだが」

「ボクの幼馴染がそこまで変態じゃなくて良かったなんて一瞬でも考えたボクは負けた気がする」

 

そうして、サイファーは少女から押し付けられた手紙に目を通す。

 

「ぶっ!?」

 

彼は突然噴き出した。

 

「一体、何が書いてあった?」

「見せていい内容?」

「両方とも見た方がいいだろうな。特に大佐」

 

手紙にはこう書いてあった。

 

『本物のビンザー・デリング大統領らしき人物を捕縛することに成功したが、どうすればいいと思う?

byティンバー班』

 

「ファーwww」「ファーwww」

 

アーヴァインもカーウェイ大佐も、あまりの予想外の出来事に笑うしかなかった。

 

 

 

ティンバーでは、『森のフクロウ』のメンバーも戸惑っていた。

 

「なんだというのだ、何が起こったというのだ、どうすればいい?」

「マジか、本物のデリング大統領、なんだよな?」

「そうとも、私がビンザー・デリング終身大統領だ。

今ならまだ君らの命を助けてやらんでもないが」

「うわ、エラそう」

「……(命令されてのこととはいえ、やってしまった感が半端じゃない)」

 

スコールは頭を抱える。

 

一体どうやって誘拐したのかというと。

単純明快、正面突破である。

 

最初は『森のフクロウ』の情報から、ティンバーにやってきたデリング大統領を誘拐しようとした。

作戦は単純に列車を片端から制圧していくというもので、アジト列車から飛び移り、緊急事態に列車が次々?切り離されていく中、見事スコールは12秒でそのミッションを達成。

だが、その列車に乗っていたのは、怪物が化けた偽物だった。

 

次に放送局を使った電波障害発生以来初の電波放送で、ティンバーの独立宣言を『森のフクロウ』は立案したのだが、計画が実行される前に大勢のガルバディア兵が放送局周辺と内部を固めてしまった。

 

それに対して、スコールは正面突破を提案。

リノアはそれを了承し、スコールに敵中単独突撃して、デリング大統領の誘拐を命令した。

 

様々な人間にとって不幸なことに、スコールにはそれができるだけの実力があった。

 

そして現在。

スコール1人に制圧された放送局で、デリング大統領は手錠で手足を拘束され、床に転がされている。

 

「先程、何かを伝令に渡していたが、無駄だろう。

我がガルバディア軍が蟻一匹逃がしはしない」

「……(さすがに、もうデリングシティに到着してるなんて思わないよな)」

 

スコールは、憐憫の籠った視線を落とす。

 

「な、なんだ、その目は……」

「……(昨日は今までより強いやつが出てきたから、定時連絡に来れなかったらしい。

むしろガルバディア軍より、そっちの方が心配だ)」

 

なんの感慨もなく、視線を逸らした。

 

「くっ、貴様、顔を覚えたからな。子供とて容赦はせんぞ……!」

「……(サイファーの方の材料になるなら……そうか。コイツに聞けばいい)」

 

スコールは視線を床に転がる大統領に戻す。

 

「1つ聞きたいことがある」

「拷問されても言わん」

「大したことじゃないさ。

ガルバディアがドールを侵攻した際の、ドール市街に出現した大量の『スケルトン』は、誰の仕業だ?」

「……」

 

デリングは睨むばかり。

 

「魔女の仕業だということまでは分かっている。その魔女の名前を知りたい」

「なぜ名前などを知りたがる?」

「(そうだな……)その内倒しに行くのに、知り合いだったら気まずいと思わないか?」

 

特に気負うことなく、怯えることもなく、少年は淡々と告げた。

 

「魔女を、倒す……だと?馬鹿な、荒唐無稽だ。できるはずがない!」

「……(ああ、コイツからすると、できないから利用価値があるのか)」

 

スコールにとって、魔女は人々に恐怖を与える存在ではない。

かつては身近にあって、今は敵になりうる人間の1人だ。

 

周囲では、『森のフクロウ』のメンバー達によって、放送局のスタッフの協力を得ての、電波障害後初の電波放送の準備が進められていた。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
初任務がエラい酷いことになっています。

果たしてスコールはどうなってしまうんでしょうか(白目)。

今回、解説することがないんですがどうしましょう?
そうですね、カーウェイ大佐についてでもやりますか。



――――設定

フューリィ・カーウェイ大佐:アルティマニア情報、考察、独自設定
デリングシティ東地区に巨大な邸宅を構える、ガルバディア軍の事実上の最高実力者。
世界的な歌手として有名になったジュリア・ハーティリーと結婚し、リノアが生まれる。
原作でも魔女を政策の中心に掲げようとしたガルバディア政府に危機感を抱き、魔女の暗殺を企んだ。

二次創作では、
・ラグナを危険な偵察任務に送り込んだ。
・ジュリアとの結婚は略奪結婚。
・ジュリアの死を裏で策謀した。
・ジュリアの死に際、会いに行くより仕事を優先した。
などの疑惑が持たれている。

しかし、
・ラグナを偵察任務に送り込んだのは、作中の台詞などからビッグスであることがうかがえる。
・ジュリアとの結婚について、恋愛結婚だったかどうかは不明。(情報なし)
・ジュリアの死を裏で策謀したなら、リノアも排除しているはず。(連れ戻そうと考えているような台詞がある)
・カーウェイ大佐には大統領を名前で呼び捨てにするセリフがあり、そんなことができるほど大統領と親しい間柄の人間が、妻の死に目より仕事を優先しようとした際、上司が土下座してでも行かせた可能性が高い。(大統領からの不興を恐れて)
等、疑惑に関しては不確定か、否定する情報がある。

ただ、幾つか突っ込み所はある。
アルティマニアでは巨大な邸宅とされているが、人間と大きさを比較すると普通の一戸建ての2倍ほどであり、都会ではかなり大きい方だが、『巨大』というほどではない。
ガルバディア軍の階級がどうなっているのかは分からないが、大佐は通常、政略について口を出す階級ではない。(将官がその階級)
独裁国家の最高権力者の友人が、18年かけて少佐から大佐にしか昇進していない。(ただし、急性な昇進を断った可能性がある)

この小説では、原作よりもかなり老け込んでおり、白髪の量が多い。
理由は妻と娘の趣味のせい。
そのため、妻と娘の実情を知る人間からは、羨望よりも同情の目を向けられている。
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