ミサイルが険しい雪山の上空を飛んで行く。
備え付けられたセンサーが目標を探し、かつては移動シェルターだったものを改造した建物へと、進路を修正。
魔女の憎悪を載せた破壊の権化は、多くの子供達が集う学び舎へと殺到した。
しかし。
「『お祓い棒、四刀流巫女』」
回転しながら飛んでくる、鋼鉄でできた棒が4本、8発のミサイルを貫いた。
ミサイルは空中で爆発し、周囲に破片を撒き散らす。
だが、戻ってきた棒、ヌンチャクの片側は1本のみ。
そしてそれを受け取ったのは、青いスーツを身に着けた茶髪の少女。
「よっしゃ、コレでアタシらも動けるわ」
彼女は、第二の故郷に迫る危機を撃ち払った後、親友に会いに向かう。
彼女らが行っていた成果を告げるために。
ガルバディアガーデンは白波を立て、悠然と海上を進む。
航海は順調そのものだった。
さすがに1日でとはいかないが、ガルバディアガーデンの速力ならば、1週間もあれば到着するだろう。
F.H.では、エルオーネを探すフリをしながら街を焼く。
補給不能にしてしまうのと、エスタへ破壊工作部隊を送り込むのが肝要だ。
魔女アデルを復活させるには、幾つかの手順が必要となる。
今、彼女は宇宙にある『アデルセメタリー』に封印されているため、それを地上に降ろさなくてはならない。
方法は、『月の涙』を利用する。
古代セントラ文明を崩壊させたのは、『月の涙』と共に地上に降ってきた『大石柱』というもの。
巨大隕石の直撃にも似た巨大な破壊によって、首都が一瞬で壊滅した。
その痕跡が、今はすっかり水没しているセントラクレーターだ。
『大石柱』の落着を伴わなかった『月の涙』の痕跡がトラビアクレーターだが、その大きさを比較すると破壊の規模の違いが歴然としていることが分かる。
その『大石柱』だが、実はエスタが発掘し、浮遊移動装置を取り付けて要塞化してあった。
『月の涙』を意図的に発生させる兵器『ルナティックパンドラ』として利用しようとしたのである。
「(それによって、魔女と人間の対立は決定的となり、ガーデンという、魔女への対抗策を生み出させる契機となった。
憎悪の螺旋の始まりというわけだ)」
さすがに、思うところがないわけではない。
イデアを操る者の第一目標はガーデンの消滅だが、第二目標は魔女アデルなのだ。
その両方を達成するために、今は魔女アデルの復活が必要だった。
魔女アデルの復活には、今が好都合だ。
『アデルセメタリー』の周回軌道が、『月の涙』の発生予想と重なっており、『月の涙』が発生すれば、重力異変によって月から降り注ぐ魔物の群れに『アデルセメタリー』が巻き込まれ、地上に降りてくることになる。
ただ、『月の涙』を発生させるとなると、こっそりというわけにはいかない。
そこで、『ルナティックパンドラ』を移動させる際に邪魔をしてくるであろうエスタ軍を抑えるため、破壊工作部隊を送り込もうというわけだ。
しかし、ここで計画を台無しにする大事件が発生する。
ガルバディアガーデンが突然、大きな衝撃に揺れたのである。
「何事だ!」
側近が慌てて状況を確認。
その結果、こんな報告があった。
「イデア様、何かの構造物が直撃した模様であります」
「構造物?」
「はっ、人工物であることは分かるのですが、我々ではそれが何なのか判別が難しいものであります」
「ふむ……私が直接見に行こう」
「了解いたしました」
側近はすぐに現場に連絡を入れる。
ガルバディアガーデンを移動し、1階校庭の屋根を突き抜けて降ってきたものを目にして、イデアは計画の変更を決断した。
それを説明するのに、24時間ほど時間を遡る必要がある。
24時間前とは、バラムガーデンではすっかり恒例となった、『次元の魔物』戦があった時間帯だ。
「チッ、やりにくいな……」
今回は、無数の触手を持った、巨大な1つ目の怪物。
ゼルが舌打ちしたのは、周囲に重力を発生させ、高速移動を制限してくることである。
しかも『クェイク』で地震を発生させ、広範囲に地属性の魔力を放ち、足を中心にダメージを与えてくる。
さらに、動きが鈍ったところに触手が飛んでくるため、なかなか思ったように攻撃できないでいた。
『レビテト』によって地属性の魔力を遮断しようとも、周囲に発生させている重力に『レビテト』を打ち消す効果があるらしく、すぐに地上に引きずり降ろされてしまう。
そして、今回は以前とは違うところが1つあった。
「あの黒い靄、やけに長く残っているわね」
シュウが呟く。
「地震と重力込みで組み直すわ!
シュウ、『シェル』を敵にパターンC。
風神、『レビテト』をゼルにパターンD。
ゼル、今から懐に潜り込ませるから、頼んだわよ!」
「了解!」「了解」「了解」
キスティスが矢継ぎ早に指示を出し、自分も詠唱する。
「“貴様の業、俺が背負おう、死んだふ力学”『これで森に自然が戻りました』」
ゼルが眠らされ、ゆったりとした動きで宙を漂うように怪物に向かっていく。
「『シェル』」
魔法によるダメージを薄めることで軽減するフィールドによって、重力と地震が弱まる。
魔力の放射が『シェル』によって、正しく作用しなくなったのだ。
それも2秒程度のことで、怪物はすぐに修正してきたが。
「『レビテト』」
今度は触手によるゼルへの攻撃が、一瞬だけ働いた反重力によって回避。
『レビテト』が切れたゼルは、重力攻撃によるものよりもさらに加速して怪物の真上に落下。
この作用は予想外だったらしく、怪物は触手攻撃を外してしまった
そしてその衝撃でゼルは目覚める。
「うおっ!?『メテオストライク』!」
敵の懐に飛び込んだ状況を察知し、思わず天高く怪物を投げた。
「『デスペル』」
「!?」
怪物は重力攻撃を止めて着地しようとしたが、急に衝撃変換フィールドが解かれたことで魔力の加減を読み誤ってしまい、地面に激突。
慌てて周囲を確認し、重力攻撃を行うも、自分の体の下に潜り込んだゼルには気付いておらず、もう一度投げられる羽目になる。
2度目投げられた時には、他に褐色肌の大男雷神やデンネンが重力を振り切って近付いてきており、対応している内に投げられ、を繰り返している内に、最終的に動かなくなった。
「ギリギリだったけど、なんとかなったもんよ」
武器である
5日後までに最低でも修理しなければならない。
エクスデスは『次元の穴』から、今送り込んだ『カタストロフィ』が倒されるのを見ていた。
「こやつらではないな……確かに我の知らん奇妙な技術を使うが、所詮は人間よ」
彼は、今まで散々呪いをかけてきた相手を探していた。
「遠くに何かおる」
はじめて直接異世界の様子を確認することができたエクスデスは、その世界を満たす強い思念波に気付く。
あちらの世界の神と呼ぶには邪悪な思念だが、おそらくかなり強い。
問題は、それが呪いの主かどうかを確かめるには、距離があり過ぎることだったが。
「確かめるには少々遠いが、『無』ならば容易い」
エクスデスは『次元の穴』越しに『無』を送り込み、力を振るう。
それは遠くの空にあり、本来の軌道を逸れて地上に墜ちてきた。
そして、たまたま通りかかった、赤く巨大な建物ガルバディアガーデンに直撃。
「『アデルセメタリー』、だと……!?」
本来ありえないことにイデアを驚愕させ、そして計画の変更を決断させた。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
敵サイドへのテコ入れ、のように見せて、話を噛み合わせるための予定変更です。
あのままだと、アービンの作戦が活躍する余地がなくなりますから。
そして謎?の少女参戦フラグ。
――――設定
『クェイク』:
ほぼ唯一の地属性魔法。使用可能なタイトルではすべて全体攻撃。
FF6では地属性の敵味方無差別の全体攻撃であり、地属性吸収防具が店売りで入手可能なことから、強力な全体回復手段として利用する戦術が存在した。
火属性でより威力の高い『メルトン』でも同じ戦術が可能。
FF8では画面全体を使っての地割れを含んだ地震が発生する地属性の全体攻撃。
使用した側はどこかへ消えてしまうためか、無差別攻撃魔法ではなくなっている。
ただ、CPUの処理的にラグが酷く、ダメージもそこまで高くないため、結局使われない。
地属性は『クェイク』1種類しかなく、扱いはおそらく上級魔法。
敵と味方で印象がまったく異なる典型的な魔法の1つで、特に『ケルベロス』が『トリプル』から連打してくる際など、上級魔法クラスの威力があるということを忘れて属性防御による無力化を怠ると、普通に死ねる。(1敗)
逆に属性防御をしっかりしていると、回復魔法と化す。
ジャンクションは、序盤で入手可能な擬似魔法の中では強力なステータス上昇値を持ち、『フレア』や『ホーリー』のような苦行を要求されるものに比べれば入手難度はかなり低いため、攻略の設計に組み込まれることも多い。
ただし、上級魔法の中ではガ級以上だが、他の上級魔法、禁断級魔法には届かないことも確か。
『ケルベロス』、『アデル』、『アルテマウェポン』、『オメガウェポン』などが使用してくるため、『アルテマ』を属性防御にジャンクションしない場合は属性防御にオススメ。
『カタストロフィ』:FF5
『次元城』に出現するボス敵。
進路上の牢屋で女性を襲っているか、女性に使役されているような描写があり、牢屋の扉を開くと襲ってくる、必須ボス。
攻撃は通常攻撃と強力な地属性の全体攻撃『アースシェイカー』と『じゅうりょく100ばい』。
『レビテト』で浮遊している味方がいると『じゅうりょく100ばい』で引きずり降ろしてくるが、それでターンが消費されてしまうため、『レビテト』を何度も使用しているとそれだけで完封できてしまうこともある。
FF5でたまに出現する、頭の弱いボスの1体。
(ある意味『バハムート』も含まれる)