ミサイルが雲を突き抜け、バラムガーデンに降り注ぐ。
しかし、なぜかピンク色の球体がミサイルに衝突。
それが当たった反動で跳ねて、掛けられていた回転によって別のミサイルへ命中。
そこで赤く力を貯めて解放すると、ビリヤードのように次々と別のミサイルに命中、跳ねて別のミサイルへを繰り返し、あっという間に無数のミサイルがセンサーを狂わされ、空の彼方へと飛んで行った。
「たぶん、コレがイチバン楽やと思います」
黒髪少女は呟いた。
タイミングを計り、アーヴァインが考えた作戦が始動する。
キモはただ1つ。
魔女イデアの居場所を固定すること。
そのための要素が、エルオーネだった。
彼女が持つ不思議な力を、イデアを操る何物かは求めて行動している。
その何者かからイデアを取り戻すには、最低でもイデアの居場所を確定させる必要があった。
『魔女イデアには、洗脳使役していい人員を何人か預けてある。
それと、計画の強行には慎重だった。
ドールの敗戦を挽回する必要があったため私が押し切ったが、結局ティンバーには来なかったのだ。
電波放送は、幻を被せた代役で済ませる予定だった』
というデリングの証言から、アーヴァインは魔女がテレサやサイファーのような、新技術についてある程度の情報があるものと想定した。
ということは、バラムガーデンと正面から戦えば負けると考えている。
しかし、正確にどれだけのことができるのか、把握しているとは思えない。
把握するには直接バラムガーデンに乗り込み、生徒達に聞いて回る必要があるのだ。
だが、潜入させたスパイでは、それができない。
ガーデン内で変態移動を鍛錬する生徒達に目が行くだろう。
つまり、魔女はテレサが大陸間であろうと瞬間移動できることを知らないのである。
お姉ちゃんには、悪いけど、囮になってほしいんだ――。
――ママ先生を取り戻すためだもんね。
……お姉ちゃんの守りは?――。
――そこはスコールの出番よ。
……俺の?――。
連絡には、エルオーネの接続能力が使用された。
飛ばされた過去は、ウィンヒルでの穏やかな日々。
「ジュリアって、あの歌手の?」
小さなバーを営む女性レインが、居候のラグナに会いに来たキロスに聞き返す。
セントラ発掘現場より脱出に成功したものの、全身の骨を折る重傷を負ったラグナは、近くのウィンヒルに搬送されて治療を受けた。
全治6ヶ月。
その間、看病していたのがこのレインだった。
「彼女は、ホテルのバーでピアノを弾いていて、ラグナ君はいつもそこに通っていたんだ」
「へぇ、ジュリアって、歌手になる前はピアノを弾いていたのね」
「ラグナおじちゃん?どうしたの?」
「い、いや、なんでもない」
「なぜかラグナはあの日から、ジュリアの話を嫌がるようになっていてね」
「そうなの?」
「私はホテルの部屋に呼ばれた時に、何か大失敗をやらかしたんじゃないかと勘繰っているんだが、なかなか話してくれないんだ」
「いいじゃねっかよ~!」
キロスの中に入っていたアーヴァインが首を傾げる。
これって、何があったの?――。
……聞くな――。
――まあ、ねえ……。
スコールとエルオーネは2人とも、言葉を濁す。
美女としても有名な歌姫ジュリア。
そのイメージを進んで壊すほど、2人は野暮ではない。
――何、何の話?
キスティスは、今はウォードの中に入っているのだが、彼はこの時、別の場所にいた。
だから、彼女だけは話に参加できていないのだ。
ええっと、作戦の話に戻ろうか――。
アーヴァインの作戦はこうだ。
カーウェイ大佐の策によって、魔女が掌握するガルバディア軍主力部隊に対抗可能な戦力、仮称『カーウェイ軍』が揃いつつある。
それはデリングが必死にかき集めた戦力だが、実際に魔女に対抗できるわけではなかった。
十分な訓練を受けているとはいえ、主力戦闘部隊と施設の維持管理と防衛を主任務とする部隊では、受けている訓練の質に差があるのは当たり前だ。
魔女の側も、それは承知しているはずだ。
だからこそ、カーウェイ軍にエルオーネを護衛させる。
実際は、白いSeedの船を経由し、カーウェイ軍に化けたスコール達が誘拐するのである。
エルオーネ誘拐の理由は、デリング大統領の命令とでもすればいい。
今まで散々、理不尽な命令で部下達を振り回してきたのである。
美女を1人連れ去るように命令する程度のことは、むしろ信憑性を高めることになる。
その情報を受けた魔女は、標的をカーウェイ軍に変えて戦いを挑んでくるだろう。
魔女はカーウェイ軍を雑魚の集まりと見ているはずだ。
そこをサイファー達Seed主力部隊で叩く。
サイファー、キスティスがガルバディアガーデンを攻撃するためのSeed主力部隊。
スコールはカーウェイ軍に化け、エルオーネを狂言誘拐する役回り。
この作戦中は『次元の魔物』対策班をフル投入するため、『次元の魔物』への対応はテレサ1人に託される。
元々、テレサで倒せなければどうにもならなかったため、誰も問題視はしなかった。
この作戦は、スコールの演技にかかってる――。
任せたよ――。
――ちゃんと誘拐してね。
……了解――。
――特に移動系の新技術は使っちゃダメよ。
――かなり目立つから。
…………了解――。
魔女イデアは、エルオーネの移動をそう不審には思わなかった。
なぜならば、移動先が白いSeedの船、エルオーネのためにイデア、乗っ取られる前の魔女がエルオーネのために用意した乗り物だったからである。
そこならば安全だとでも思ったのだろう。
実際、あの船には魔女の追跡を振り切る仕掛けがあった。
せっかく『この時代』で用意した『目』が使えないため、スパイを潜り込ませる意味がないのだ。
発信器などはない。
電波障害の発生源が手中に収まり、電波が使用可能になったのはいいが、18年という歳月は電波関連のオフライン機器を現場から駆逐するには十分だったということだ。
バラムガーデンでもバラムの街でも、発信機として利用可能な機器は手に入らないのである。
だから、とりあえずは魔女アデルの復活を優先することにした。
バラムガーデンさえ潰すことができたなら、エルオーネを探すのは後回しでいい、という判断だ。
スパイもバラムガーデンから引き揚げさせた。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
アービンの作戦の全貌でした。
後数話で決戦へ突入の予定です。
さあ、難しいのはアデルですね。
なんせ、情報がほとんどありませんから。
というわけで、二次創作の特権として、半オリキャラ化させることにします。
どうなるかは今後のお楽しみということで(未定)。
――――設定
魔女アデル:アルティマニア情報、考察
18年前までエスタを支配していた恐怖の魔女。
魔女の中ではかなり強いということと、欲望のままに魔力を振るっていたということ、油断したせいでラグナにしてやられ魔女封印装置で封印され、原作で封印が解けるまでは電波障害の原因になっていたということ以外、分かっていることはない。
FF8の中ではかなり謎に包まれた存在でもある。
セリフはたった1つで、「こんな手に乗ると思ったのか?」だけ。
二次設定で多いのは、『復活したアデルをスコール達が倒せているのは、復活したばかりで本調子ではなかったから』とする説。
GFの力だけでエスタを支配した魔女が倒せてしまったら、アデルの立場がないと考える人が多いのかもしれない。
原作での戦闘時、リノアを『ドレイン』で取り込みながらの戦闘となり、リノアのHPが0になるとゲームオーバーとなる。
なお、HPが最大51000しかなく、特殊技でゴリ押しして倒せてしまう。
スコールで意気揚々と連続剣を叩き込むと、フィニッシュブローが発動してリノアを殺してしまうのは、何度もやっていると一度は経験することである。
ちなみに、アデルと同時にリノアを倒してしまってもゲームオーバーにはならないため、GF『エデン』で応援込み6万ダメージを叩き込んでもクリア可能。
攻撃の方は普通に痛く、油断して準備せずに臨むと普通に全滅する。
ただ、アデルに負けるようだと、その後の魔女連戦がかなり辛いため、負けた場合はすぐ再戦ではなく、行動可能な範囲でパーティを強化するのがオススメ。
アデルからは結構なレアアイテム『ソウルオブサマサ』を盗むことができ、リノアからも『ラストエリクサー8個』を盗むことが可能なため、パーティ1人の力を極力抑え、回復手段も用意するのがやり込みプレイヤー。
盗む際、うっかりクリティカルしないようにスコールにやらせるのが常道。
これらから、おそらくプレイヤーのうっかりでリノアを一番多く殺してきたのは、スコールであると考えられる。
そのためか、よく二次創作のネタにされている。