8/12 5話ほど先の話を間違ってうpしてしまう。対処済み。申し訳ない。
「ふ……ふはは……やったぞ、ついに……!」
アルティミシアは、Seedにイデアを倒させることで、目論見通りテレサに魔女を継がせ、その肉体を乗っ取ることに成功した。
「なんだと……!」「マジかよ!?」「もうだめだ、おしまいだ……!」
せっかく、どうにかイデアを生きたまま倒すことに成功したスコール達は、そこに誕生した絶望に身構える。
「(とはいうものの、さすがに負担も大きいな。
あれだけのことをしたのだ、いたしかたないのかもしれん)」
アルティミシアは、非常に明晰に動く頭でこれからのことを考える。
少々頭痛がするものの、魔法の行使まで不可能というわけではなかった。
イデアに比べ、かなり記憶領域や思考速度といった脳機能が拡張されており、それも相当な無茶をした結果だということが判明した。
「ふむ……」
不思議な力など、欠片もない。
ただ、その概念を知っていたから目指しただけ。
そのためにあらゆることをして、情報を集め、実験を繰り返し、不断の努力の末に、ここまでの技術を築き上げた。
技術の開発者、そして『プログラマー』としては天才であろうとも、戦士、兵士として天才ではない。
なぜならば、一度戦場に出ると、自分自身の肉体を度外視してしまう性格だからである。
それは、兵士や戦士というよりも、『兵器』のそれに近かった。
アルティミシアは、テレサの記憶に残る技術を使用する。
地面や空気にわずかな魔力を浸透させ、そこに重なるように自分の肉体をめり込ませ、その反発力で加速するのだ。
「むおっ!?」
加減を失敗したせいか、一気に2kmほど移動してしまう。
なんとか着地するが、それを追ってきたスコール達と、気絶していたテレサを護衛していたデンネンが追い付いてきた。
「逃がさへんで!」
「チッ……!」
アルティミシアは舌打ちする。
今、相手にできる戦力ではない。
テレサの技術を十全に扱え、また、体調が万全ならばともかく、技術の制御が不完全な状態で勝てる相手ではない。
魔女の力をプラスしても意味がないことは、テレサの記憶が教えてくれた。
今のスコール達は、その4人だけで魔女を倒すことができる。
特にスコールは、戦闘の天才だった。
多少の技術的なハンデでは、簡単に引っ繰り返してしまう実力の持ち主。
今ぶつかるべきではない。
「“ザ・ワールド”『時よ止まれ』」
アルティミシアは、彼女の魔力、魔法をテレサの技術を少し利用して発動させる。
周囲の時間を停止させることで、逃げるまでだけでも時間を稼ごうというのだ。
技術の制御を完全にモノにするのは時間がかかるが、今は逃げ切れればいい。
そうして止まった時間の中を逃げようとして――。
――高速移動のその途中にいた、エスタ兵の蹴りに自分から突っ込んで、元の場所に押し戻された。
「ぐはっ!?」
ダメージを受け集中力が切れたため、時間停止が解ける。
この戦いにおける『最大のイレギュラー』の登場だった。
「やっふー」
青いスーツのマスクを外して、小柄な茶髪少女セルフィは、かつて同じ孤児院にいた仲間達に挨拶する。
「セルフィやないか!」
「なんでエスタ兵?」
「え、知り合い?」
「……」
「話は後や」
セルフィはアルティミシアに支配された親友が逃げようとするのを、また阻止する。
親友の顔面を遠慮なく蹴り飛ばして、押し返していた。
「なぜだ!時間を止めての移動を、なぜ防げる!
そんな技術はテレサの記憶にもないのだぞ!?」
「テレサ、アタシの勘だけは解明できへんかってんよ」
「なっ……!」
アルティミシアの顔が絶望に染まる。
そう、彼女は大きな思い違いをしていたのである。
この世界における最強は、テレサではなくセルフィなのだ。
親友達が大怪我をして、バラムガーデンへ向かってから、2年経過していたため、テレサは親友達がどれだけ鍛錬を重ねていたのか、知らなかった。
だから、テレサの記憶の中では、この瞬間まではテレサがこの世界で最強だったというわけである。
どれほどの頭脳を持った天才児であろうと、間違いは起こす。
テレサはそれをよく知っていたからこそ、バラムガーデンに判断を委ねたのだ。
「せやから、チョイ眠っといてな。
3日ほど、テレサの話聞いてとってくれへん?」
「ふざけ――げふっ!?」
セルフィの容赦ない攻撃で、アルティミシアは意識を飛ばされた。
「セフィ、だよね?」
「おー、アービン、マジでイケメンなってるやん」
かつての孤児院仲間達と再会を喜ぶセルフィ。
「スコール、こないだゴメンな、お姉ちゃん誘拐されてるんかと思ってたら、作戦やってんな」
「いいさ。加減してくれていたようだしな」
「いやまあ、アタシの動き『見える』ようなんがガルバディア一般兵なわけないやん?」
「確かに……(かといって、作戦の中核だったから、お姉ちゃんを渡すわけにもいかなかったんだよな)」
それで思い出したのか、スコールは尋ねる。
「そういえば、トラビアガーデンへミサイルが撃ち込まれると言った時、何か言いかけていたが、まさか、撃ち落としたのか?」
「うん。ばっちり。
逆にミサイル基地に叩き返そうかとか思っててんけど、基地爆破ミッションとかやってたらアレやし、落とした方が丸いかなって」
「我ながら下手な脅しだと思っていたが……」
素で対応できる人間だったわけだ。
「でも、ガルバディア軍と協力して魔女と戦っててんやな。
予定と大分ちゃうかったから、びっくりしたで」
「予定?」
「あー、うん、どこがええかな。とりあえず移動しよ」
セルフィはぐったりしたテレサの身体を抱え上げた。
「そうだな。もうすぐサイファー達が来るはずだ」
スコールは頷く。
込み入った話は、バラムガーデンに帰ってからでいいはずだ。
遠くで、核爆発のキノコ雲が噴き上がるのが見え、その後大地を揺るがす爆音が響いてきた。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
セルフィ参入です。
『最大のイレギュラー』とは、実はセルフィのことだったんだよ!(白目)
時を止めるというのは、ディシディアが元ではあるんですが、FF8本編でも似たようなことをしているようなシーンがあったりします。
ティンバー放送局で、サイファーを追ってきたキスティスやスコール達を止めるシーンですね。
その間に時間の経過がどうなっているのかは分かりませんでしたが、一定範囲の時間を止める魔法だとしました。
アレを再現した『全体化100%ストップ』とか、戦闘で使われると結構ヤバかったんですが、イデア2回目でも『スロウ』を単体にしか使ってこないので、難易度はそこまで高くない感じです。
次は色々な意味で説明回ですね。
――――設定
『ストップ』:時空魔法
敵味方単体の時間を止めるという強力な魔法。
その強力すぎる効果ゆえに、効果時間が短いことが多々あるが、FF9では効果が切れないため、即死と同等の強力な魔法となっている。
特に3Dモーションが取り入れられたFF7以降、時間停止は敵のモーションをカットする意味でそこそこ重要な役割を持つようになった。
ダメージモーション、クリティカルダメージモーションの長い敵と戦う際など、短時間でも使って損はない。
また、3D以前でも、敵のカウンター行動やファイナルアタック行動をキャンセルできるため、縛りプレイなどでは重宝されることが多い。
FF8では、ST攻撃にセットするという使い道があり、『ストップ』への耐性が弱い敵に対して、かなり強力に効果を発揮する。
ボスの大半には通じないが、カード狩りの際など、モンスターのモーションやカウンター行動をカットするのにストック数消費なしはかなり有用。
『時空魔法精製』によって『魔導石』から入手すれば、ティンバー前に揃えることができる。
しかし、逆に言えば普通プレイ時に役立つかというと微妙。
モーションや経験値を気にしなければ、『デス』や『スリプル』の方が効きやすく強力なことも多い。
D地区収容所:アルティマニア情報
ガルバディアによって税金を湯水のごとく投入して建設された、政治犯用の監獄。
地下へ潜る機能を有するため、許可のない潜入や脱走が極めて難しい。
合計15層もあり、中央の吹き抜けにはエレベータが設置されている。
独房はこのエレベータによって直接運ばれる構造。
また、擬似魔法を著しく減衰させるフィールドが常時展開されており、内部では擬似魔法やGF召喚の威力がかなり落ちてしまう。
ただ、GFのドーピング効果は減衰されない模様。
同じ風景の場所を延々と歩かされるため、ダンジョンとしては冗長的になりやすい。
イベントのない階層を中心に3階層ほど削ってもよかったかもしれない。
ちなみに、内部にいる囚人にカードゲームで勝つとアイテムをもらえ、ガーデン生に勝つとバトル計を改造してもらえる。
特に囚人はドーピングアイテムや『ロゼッタ石』などのレアアイテムをくれることがあり、さらに『ハイポーション改』を精製以外で入手可能な唯一の場所でもある。