セルフィの説明回
――これは一体、どういうこと?
アルティミシアは、無数の液晶モニタで埋め尽くされた部屋、テレサの精神世界に戸惑う。
通常、人間はこうもはっきりと精神世界が描かれることがないのだ。
そこに他者が入ると、強い拒絶反応を示す。
それを力でねじ伏せることができるからこそ、アルティミシアは『ジャンクションマシーン・エルオーネ』を利用して、過去の世界で活動することができていた。
しかし、テレサの精神世界は全くの逆。
最初からテレサ以外の人間に精神を開け渡すことを、全く躊躇っていない。
他者に判断を委ねる。
その在り様は、兵士や戦士などではなく、『兵器』のそれに近い。
世界をも滅ぼすことができる力を持ちながら、肝心の自分自身の意思を切って捨てた人間。
それがテレサという少女。
ただ、アルティミシアが戸惑ったのはそこではない。
――なぜお前は、
同じ黒髪少女でも、テレサの外見と精神世界での姿はまるで違った。
肉体的な外見は、おそらくガルバディア人とトラビア人の混血児。
精神的な外見は、
実際に幼いのではなく、日本人という人種の特徴として幼く見えるだけ。
それは彼女の転生前の姿だった。
……――。
その声は小さい。
精神世界なため、語りかけられれば聞こえるのだが、声の小ささは隠しようもなかった。
――リノアに似ている?
――当然でしょう。私は彼女の子孫なのだから。
……!――。
――『ファイナルファンタジー8』?平行世界?
――何を言っている?
アルティミシアの戸惑いは大きくなるばかり。
ディンゴー砂漠での決戦の後。
任務完了したことで、Seed達はバラムガーデンへ帰還していた。
カーウェイ軍は、魔女が放った魔物を討伐し、ガルバディア主力部隊と合流し、機械兵器の制御を取り戻すと、デリングシティに魅了の影響が残っていないかを確認しに向かった。
ティンバーを再度占領するかどうかは今後検討が必要とカーウェイは言っていた。
大義名分であるエスタ軍への対抗策は、新技術を導入したバラムガーデンの存在によって崩れて消えた。
これから急いで軍縮を行い、さらに大規模な改革も必要になるだろう。
今までデリング大統領が好き勝手してきた分の後始末が待っていた。
しばらく、ガルバディアは動けない。
動く意味も失った。
なにしろ、肝心の魔女アデルがなぜか戦いに参加し、しかも倒せてしまったのである。
それはつまり、エスタが解放され、世界に一定の平和が戻ったことを意味していた。
バラムガーデンの学園長室。
「けっこーややこしいんやけど。
エスタ軍特殊技術研究室所属の傭兵セルフィ・ティルミットやで」
「軍属なのか?傭兵なのか?」
「傭兵やね」
サイファーの問いにセルフィは答えた。
「よくエスタ政府が許しましたね。
テレサ君と同等以上ということは、セルフィ君1人でエスタ軍に勝てる、ということでしょう?」
「分かりやすく言うたら、オダイン研究所所属の傭兵やねん。
クレアが擬似魔法の研究設備欲しがってたし、アタシはアタシでこの特製強化服欲しかったし」
「研究所所属の傭兵ですか?」
「あそこ、いちおう、大統領の直轄部署やから。命令来る時は、大統領官邸から直接なんよ」
「なるほど……」
つまり、世界最先端の科学技術を求めて、セルフィとクレアはエスタへと渡ったのだ。
「それで、チョイチョイこっち来ながら情報集めて、タイミング見計らっとってん」
「つまり今、セルフィ君は独断でここにいるのですか?」
「許可は大統領が出してくれてんよ」
「剛毅なことですね」
エスタ軍を単独で滅ぼせる戦力に、自由行動を許しているのである。
テレサが来た時にガーデン内で激論が交わされたのは、まさしく自由行動させておくかどうかだった。
後で、テレサを留めておく方法がないため、割り切るしかないと判明しても、なかなか納得できないという教員や事務員達は少なくなかった。
大き過ぎる戦力というのは、それだけ無用なトラブルを招く可能性があるのだ。
「そういや、エスタって、今どうなってんだ?
魔女アデルがなんであそこきてたのかとか、こっちは分からねえことだらけなんだ」
「魔女アデルって、17年前に封印されてたんよ。
『アデルセメタリー』って、封印施設が宇宙に打ち上げられてて、半年に1回大統領が封印の状態を直接チェックしに行くねん。
アタシも見たことあんねんけど、なんでか知らんけど、ガルバディアガーデンの瓦礫の中に『アデルセメタリー』見かけたで」
「ということは、エスタはもう17年前に解放されていた、ということですか?」
「そゆことやね」
サイファーとシド学園長は驚く。
ガルバディアがティンバーを支配し続けた大義名分は、誰も知らなかったとはいえ、17年前には崩れていたのだ。
「あのアデルも相当強かったぞ。17年前ってことは、アレに変態技術もGFもナシで、生身で勝ったってことだろ?」
「なんか、封印装置の前に呼び出して、油断してる隙に封印したって言うてたで」
「マジかよ……」
「それでも、素晴らしい知恵と勇気ですね」
そして、シド学園長は尋ねる。
「それで、セルフィ君は、どのような用向きでこちらへ?
バラムガーデンという意味ではなく、ガルバディアでの決戦に参加したのか、という意味です」
「うん、その話もするつもりで来てんやけど、テレサのサポートする約束やったんよ」
「『次元の魔物』のことだったら、もっと早くてよかったんじゃねえのか?」
「サイファー、なんで『次元の魔物』て呼んでるんか、知っとる?」
「そりゃ、別世界から来たからだろ?」
「その別世界から来たて、誰が言うたか知っとる?」
「テレサ君、ですか?」
「シドさん、当たり」
「それがどうかしたのか?」
「どこかから魔女が召喚したのだとは、なぜ考えなかったのでしょう?
――ということです」
「――!」
サイファーは息を呑んだ。
確かに、この世界において、不思議なことは大抵GFと魔女で説明がつく。
普通は説明のできないことは、魔女の仕業にするのだ。
この世界の人間は、そういう風に教育されており、特段の事情がなければそう考えるように仕込まれている。
しかし、テレサだけはそうは考えなかった。
真っ先に、『次元の魔物』と呼び、魔女とは関係のない現象であるとして、それが今現在、バラムガーデンにも定着している。
魔女ができることとできないことについて詳しく知る、シド学園長ならばともかく。
「そもそも、今回のことに至る直前、私はテレサ君に聞いたことがあります。
最近の『次元の魔物』は、明らかに魔女と同等かそれ以上の力を有しており、テレサ君は楽にとは言いませんが、それを倒してのけています。
まるで、魔女以上の相手と戦うために、鍛錬を積んできたのではないかとしか思えないほどの力を有していたわけです。
彼女は、そこまで力を付けた目的について、『次元の魔物』を送り込んでいる何者かがいる、と教えてくれました。
それは、おそらく魔女ではなく、魔女よりも遥かに高い力を有しているのでしょう」
「やっぱスゴいんやな。シドさん。説明してへんかったデンネン先生もどないかって思うんやけど」
セルフィは、テレサが完全な異世界から来た、転生者であるということと、その証拠があるということを話した。
「まま先生を支配してたアルティミシア。その協力が欲しいねん。
ホンマにヤバいやつ倒さへんかったら、この世界、未来もまるごと滅ぶんよ」
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
説明回でした。
ここから、本格的にアルティミシアと協力してエクスデスを倒すための行動となります。
幾つかルートがあって、他にも『時間圧縮』を利用してFF5の側に乗り込むか、エクスデスが来てから倒すか、決めていませんでした。
このルートになったのは、アルティミシアがテレサを支配するために、イデアの魔女を無理矢理継承させたからです。
それまでは本当にどのルートにするか、決めていませんでした。
――――解説
アルティミシア:考察、独自設定
未来の魔女と銘打たれた魔女。
アルティミシアという名前も本名かどうか不明。(アルテマをもじった?)
アルティマニアにも詳しい説明はなく、ゲーム中のセリフなどから類推するしかない。
(フロム脳がはかどる)
現在分かっているのは以下の通り。
・ガーデンとSeedを憎んでいる。
・人々に対して恐怖の魔女を演出しようとしている。
・原作時点12年前より以前の過去からの時間圧縮を目指している。
また、『月の涙』を発生させ、アデルを復活させた理由にも謎が残る。
あの時点では、リノアの肉体に留まっているだけで、オダインが勝手にエルオーネの力を使って時間圧縮させ、アルティミシアを倒す算段を付けていた可能性が高い。
そもそも、単に時間圧縮だけが目的ならば、12年前の時点でシドを騙すなりしてエルオーネの力を借り、可能な限り遠い過去に飛ばしてもらうこともできたはず。
もっとも、ガーデンとSeedへの憎しみから、感情的にそれができなかった可能性はある。
これらの不合理から、アルティミシアの目的は、魔女の力を消すことそのものだという説もあり、リノアル説誕生の原因にもなった。
(まさしくフロム脳)
これに関する公式の見解はない。(2017年8月8日現在)