多分これが一番…   作:ひろっさん

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8/17 ここからは未知の領域。作者にとっても。


無とは

「わたしは、ネオエクスデス。

すべての記憶、すべてのそんざい、すべての次元を消し。

そして、わたしも消えよう、永遠に」

 

『無』の制御を失い『無』そのものとなり、色々な生物がごちゃ混ぜになったエクスデスが、告げる。

 

「下がって!」「なんやコレ!?」「えー、どないなったん?見てなかってんけど、コイツがエクスデス?」

「私達は足手まといのようです、下がりましょう」「あ、うん」

「一応、バリアを展開しておくが、『次元の魔物』相手には気休め程度にしかならんぞ」

「余波を防げるならOKよ」

 

テレサが速攻でエクスデスを倒し、ネオエクスデスにしてしまったため、場が混沌とし始めていた。

 

テレサ自身にとっても、この結果は予想外で、セルフィ、クレアと一緒にネオエクスデスの注意を惹きつけながら、様子を見る。

他のメンバーは、非戦闘員を護衛しつつ、周囲の魔物を倒し、安全地帯を確保しようとする。

 

「“無明逆流れ”『未来予知打法』」

 

クレアがラケットで真空の刃を撃ち返す。

物理的にありえないことだが、今さら気にする者はいない。

 

それはネオエクスデスに命中したが、瞬間的に傷口から名状しがたい奇妙な生物(でっていう)が生えてきて、傷が塞がった。

 

「“十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字十字砲火”『結局、剣』」

 

セルフィは可能な限り消耗を低減し、詠唱を短縮した、強制自爆を使用する。

 

元々、『無』のエネルギーを内包していたネオエクスデスは、半分ほどが吹き飛んだ。

『無』が飛び散り、しかし1秒もたたずに残ったネオエクスデスに吸収され、傷口に無数の奇怪な生物(ワンワンとボム兵とブーメランブロス)が生えてきて、反撃を始める。

 

「なんやコイツ、再生怪人かいな!」

 

いくら攻撃してもごく短期間で無尽蔵にある『無』を吸収し、傷口に何かの生物を創生してしまうため、普通の手段では倒せないのだ。

これが理由で、新旧『クリスタルの戦士達』は敗北した。

 

とても不条理で、理不尽だった。

ただ、『オメガ』ほど危険な感じは受けない。

 

「あ、そゆことやってんや?」

 

クレアは、テレサに視線を送る。

 

「ってことは、『無』の供給引っぺがしたらいけるんちゃう?」

 

親友ならできる。

確信があった。

 

黒髪少女はその期待に応える。

 

「“口寄せ”『フカヒノ、クルマノ、かめのこうら』。

“『無』を取得”『ミニ黒い寒い美しいなんでも食べる胃』

ていっ」

 

テレサはその場で作り出した黒い物体を、召喚した亀の甲羅を蹴ってぶつけ、ネオエクスデスに直撃させる。

黒い物体は『無』ごとネオエクスデスの身体を抉り取り、そこに留まって再生、肉体創造されるたびに吸い込み続けた。

 

「“口寄せ”『ブラックホール』」

 

残りの肉体も、重力操作によって黒い物体に吸い込ませ、ネオエクスデスは完全に消えてなくなる。

 

 

 

「さて、この世界で『時間圧縮』を行うには、まずはジャンクションにて私を過去へ送り込むことが必要だ」

「人を探さないとダメね。まだ生き残っていればいいけど……」

 

エルオーネは少し困った顔で言った。

未来の『ジャンクションマシーン・エルオーネ』を使用する案もあったのだが、より融通の利くエルオーネ自身を連れてきた方が確実だということになった経緯がある。

エルオーネの力なら、テレサがある程度は調整できるからだ。

 

だが、アルティミシアは言う。

 

「ただ人間であればいいわけではない。

我々の世界では、魔女の精神を過去に飛ばすための器は、魔女である必要があった。

この世界では、特別な力を持った人間を探す必要がある」

「『光の四戦士』?」

「生きとるんかな?」

「もっと確実に生きとる奴おるで」

 

クレアが声を上げる。

 

「最初に『無』を生み出した魔道士エヌオーや」

「エクスデスの先輩やな」

「でも、テレサの話だと、ソイツはエクスデスに協力してたんだろ?」

 

サイファーが口を挟む。

 

「捕獲していうこと聞かせたらエエで」

「……(そんなにうまく行くのか……?)」

「とにかく、会いに行ってみましょう」

「“口寄せ”『航空ノ戦艦』」

 

キスティスの提案で、全員がテレサが召喚した空飛ぶ巨大戦艦に乗り込む。

 

 

 

道中、大した敵には遭わなかった。

エクスデスがあっさり倒されたことで、手を出してはならない集団と認識されたらしい。

それとも、ワープに近い速度で航行する鋼鉄の塊を認識できなかっただけかもしれない。

 

途中で何度か、何かにぶつけて壊したような衝撃があったが、あっさりと次元を突破して、『光と闇の果て』の奥地へと到着した。

最早、世界を隔てる壁や距離など、あってないが如しである。

 

「エクスデスですらも、ここまで非常識ではなかったぞ」

「ぐう正論」「フツーの返事や、つまらへん」「ウチら、非常識を求めてるわけでもないんやけどね」

「むしろこれで常識的とか言われたら話ができねえぞ」

「むしろ自分達が非常識だという認識があったのか……」

「気持ちは分かるけど、物凄く失礼なこと言ってない?」

 

文句を言う触手のようなものを纏った男は、頭を抱える。

 

「……突然、あんなもので押しかけたのは悪かった。

けど、協力してほしいことがあるんだ」

 

混沌とした中で、スコールが声をかける。

 

「我に協力をだと?」

 

エヌオーは少し思案し、こう言った。

 

「ならば、力を示して見――」

「“まじで親のダイヤの結婚指輪のネックレスを指にはめてぶん殴るぞ”『キングベヒんモス』」

“『多分奥歯が揺れるくらいの威力はあるはずだしね』”

「はおおぅっ!?」

 

セリフに被せたテレサが召喚したGFの攻撃を『股間』に食らって、エヌオーはのた打ち回る。

巨大獣の角による、男の急所への一撃は、軽減しても効いたようだ。

 

「指輪なのにネックレスとは……」

「……そこなのか……?」

「それに、指輪は表面を抉る効果があるのであって、奥歯を揺らすのはコインを数十枚握った方が効果があるはずだ」

「いや、そうマジになられてもな……」

 

エヌオーのツッコミに、スコールとサイファーが頭を傾げた。

 

「しかし、事象改変に踏み込むとは……」

「まだ常識的だったと思うが、今ので分かったというのか。

なるほど、伝説として語り継がれるほどではあるようだ」

 

アルティミシアが驚く。

今の滅茶苦茶な召喚と攻撃で、テレサが何をやったのか、気付いたらしい。

 

「常識的だと?

我がバリアの内側に召喚して、瞬きの間に攻撃を当てるアレがか?」

「……すまん、私も彼女らに毒されてきているのか……」

 

アルティミシアは指摘されて頭を抱えた。

自分自身が対処に回り、練習もしていたが故に、常識と非常識の境目が曖昧になっていたようだ。

 

「事象改変は神の力。

神が『無』と4つの『心』を用い、『クリスタル』を作り出して、世界を安定させた。

私は神とは別の方法にて、『無』をこの世界に呼び出したに過ぎん。

しかしそこの娘よ。

お前の力はこの世界を作り上げた神のそれに近い。

その力と我が『無』を用い、お前は新たな神にでもなるつもりか?」

「あ、そゆんやないから。

過去に飛べる器になれるヒト探してただけやし」

「……………………………………………………………………………………なに?」

 

エヌオー、協力を承諾するも、真の『無』の力を振るう機会なし。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
FF5編、作戦進行中です。

ルートは幾つか考えていたんですが、ネオエクスデスがバグったところから、『無』に呑まれた四戦士をサルベージする案は消えました。
あんなのと戦って、まともに生きてるわけないですからね。
誰をどうやってサルベージするかという問題もありましたし。

なので、GBAのエヌオーに白羽の矢が立ちました。
他のキャラは大体死んでいるか、人間ではないか、『無』に呑まれているので。

ちなみに、私ひろっさんはGBAはやっていません。



――――設定

エヌオー:FF5GBA
ゲームボーイアドバンス版FF5の追加ダンジョンにいる隠しボス。

『無』を操って世界を支配しようとし、12の武器を持った勇者に倒された。
元々は不死身だったが、『無』を生み出す際に不死を失ったらしい。
そのために倒されたが、なぜか復活。

説明では『無』を生み出したとなっているが、それだとクリア後にクリスタルの力で世界が元通りになるシーンの『最初に無があった』のくだりが説明できないため、『無』を普通ではない方法で手中に収めたということにした。

原作では『無』がどういう性質を持ったエネルギーなのか、細かくは説明されていないため、どうとでも解釈できてしまう。
(フロム脳がはかどる)
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