「“『無』を取得、空白、キ5”『アイテム複製』」
バッツ達から借りた『クリスタルの欠片』を真上に放り投げ、名状し難い何かを2度投げ捨てる。
それから落ちてきた『クリスタルの欠片』を片手でキャッチすると、もう片方の手に『クリスタルの欠片』が出現した。
「さすがに俺達が持ってるのと比べると、輝きがくすんでるな。大きさも小さいし……」
バッツは残念そうに呟く。
「まま先生の『いたわり』でこれだと、やっぱりかなり『無』に近付かないといけないということみたいね」
「下手すりゃ戦闘の真っ只中か」「そうなるか」
「あら、まあ……」
イデアは少し困った顔をする。
キスティスもサイファーも、他のメンバーも、誰1人としてイデア以上に『いたわり』の心の強い人間がいないという意見に異論を唱えなかったのである。
アルティミシアも含めて。
「それでも凄いぞ、コレ」
「テレサ、消耗はどうだ?」
「22回以上は帰りがキツい」
「そっか、元の世界に帰らなきゃなんだね……」
クルルがバッツとは別の意味で残念そうに呟いた。
「でも、今見た感じだと、あなた達だけじゃ『クリスタル』は維持できないのね」
「ああ、今まで『無』から『クリスタル』を生成するなんて考えもしなかったが、『クリスタル』が選んだ俺達の心が核になって、『クリスタル』が維持されるみたいだ」
「彼女達が元の世界に帰ってしまうと、この『クリスタル』も砕けてしまうんだろうな」
さすがに『クリスタル』と関係が深いと、この辺はすぐに理解できるようだ。
「でも」
「ええ、今は『クリスタル』を生成できること自体が大切よ」
「じゃあ、俺達はエクスデス、ネオエクスデスを相手に時間稼ぎしてればいいわけか」
「襲ってくる『次元の挟間』の魔物は、彼らだけで戦うことになるけれど……」
大して力を持たない者が多く混じっていることをレナが心配するが、アルティミシアがこう答えた。
「それは大丈夫だろう。今まで何度も、エクスデスが送り込んできた『次元の魔物』を倒してきた猛者達だ」
「マジかよ……」
『クリスタル』の力に頼ってきたバッツ達からすると、それは信じられないことだった。
何度か魔物と軍隊との戦いを見てきた彼らは、自分達にとってかなり弱い魔物でも、訓練された兵士達にとっては大きな脅威であることを知っていたのだ。
「作戦を確認するわよ」
キスティスが皆に呼び掛けた。
「まず、エクスデスと直接戦うのはバッツ達にお願いします」
バッツ達は頷く。
「次に、テレサは『クリスタル』の生成。
まま先生が必須として、エルオーネも一緒に。
私とアルティミシア、サイファー、スコールが護衛するわ」
「ウチらはー?」「なんかやることないん?」
「両方のサポートよ。
エクスデスがいつの段階で『無限創生』するようになったのか分からないわ。
だから、何が起きてもいいように、控えていてもらいたいの」
「了解、きのこ先生」
「……(きのこ……?)」
スコールがやや首を傾げた以外は、概ねこの作戦で行くことになった。
「基本的に命令系統みたいなものはないから、みんな臨機応変にお願いするわ」
「了解!」「了解」「承知した」
それぞれ頷き、戦いが始まる。
『時間圧縮』空間の中で、エクスデスは配下の者を呼び寄せ、守りを固めていた。
「エクスデス様、これは一体……?」
「何者かが我らの勝利の歴史を改竄しようとしておるようだ」
実はエクスデスも内心動揺していたのだが、配下達の前でそれを露わにすることはない。
さらに言えば、『勝利の歴史』というのもハッタリだったりする。
「(『無』をぶつけると一応は安定するようだが、時間を歪めるだと?
このような術式、エヌオーからも聞いておらんぞ……)」
まさか、別世界の未来の存在が行っているとは、夢にも思わなかった。
そもそもこの時点のエクスデスは、未来の自分が別世界にちょっかいを出していることなど知らないのだ。
そして、刺客を呼び戻して団体での決戦などということになるとは、予想だにしていなかった。
もちろん、バッツ達が新たな仲間を得て確実に自分達を殺しにくるなど、考えもしない。
ましてや、自分達が奇襲を受け、次々倒されていくなどとは……。
「“さすがディオ”『へんじがない』」
「エクスデス様――ぐふっ!?」
「“俺達にできないことを平然とやってのける”『ただの』」
「なんだ貴様ら――ひでぶっ!?」
「“そこにシビレる”『しかばねの』」
「奇襲だと――あべしっ!?」
「“憧れるゥ”『ようだ』」
「アッ――!?」
上から順に、テレサが『アポカリョープス』、セルフィが『ツインタニア』、クレアが『ハリカルナッソス』、キスティスが『ネクロフォビア』と倒していった。
『ハリカルナッソス』は2度目だが、時間軸的にバッツ達が倒される前に戻っているため、復活していた。結局瞬殺だが。
「“他界他界”『セカイガオワルマデハー』」
「ヴぉおおお……!」
少し遅れてサイファーが『カタストロフィ』の巨体を瞬間的に連続して切り上げることで、天高く浮かせて刻み倒す。
「ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ、ワッショイ……」
「ヴぁあああ……!」
さらに、スコールが『アパンダ』を打ち上げ、落ちてくる先に回り込んで打ち上げるを繰り返して倒した。
「もう、あいつらだけでいいんじゃないか?」
「姉さん、そういうわけにもいかないでしょ」
「エクスデス様ぁああっ!!」
言いながら、バッツ達が息の合ったコンビネーションで『カロフィステリ』を倒す。
「……」
目の前の惨劇に、頭が真っ白になるエクスデス。
『次元の挟間』に封じられていた、名だたる魔物達が一瞬で全滅したのだ。
『無』の力を得たエクスデスにすら、そんなことができるかどうか。
「さあ、覚悟しろ、エクスデス!」
「ファファファ、ま、まだ私に逆らおうという者がいたとは。
だが、『無』の力の前に平伏すがいい!」
「あ」「ちょいどもった」「噛んだ?」
「いいからこっちはこっちで作戦通りにやるわよ……!」
エクスデス以外のボスを倒したテレサ達は、キスティスの注意を受けて、さっさと『無』に接触できる場所に別の足場を作っているアルティミシアのところへ瞬間移動していく。
「ええっと、“バクサツ、ボクサツ、おやすみベア”『永眠剣スヤァ』」
「とぅ!」
「今更『魔法剣スリプル』程度がこの私に――スヤァ」
「ホントに寝たぁぁぁっ!?」
テレサが組み上げた『状況再現』による新技術『耐性無視魔法剣スリプル』。
それが効いたことに、クルルの補助を受けて攻撃したバッツ自身が驚いていた。
こうして、FF5側の世界は、見所が行方不明のまま、救われることになる。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
私ひろっさんが、久々にやらかしたようです。
感想返信にも書いたんですが、改めて。
現在、私が使っているノートパソコンは、メモ帳にクセがありまして、『右端で折り返す』をONにしていると、文章を保存した際に自動で折り返した部分が切られてしまいます。
保存データの方には普通に切られずに保存されていますが、問題は保存後に作業を続行し、特にコピペしたりすると、右端で切られたままコピーされてしまうという性質があります。
一度閉じて開き直してからコピペすれば済む話なんですが、眠かったり疲れていたりすると、やってしまうようです。
そして今回ミスをした日付は、以前に先の話を誤投稿した翌日でした。
自分でそこまでとは思っていなかったんですが、どうやら疲れていたようです。
もちろん、それが言い訳になるとは思っていません。
こういうミスはない方がいいに決まっていますから。
以上が今回の顛末です。
――――設定
アイテム増殖バグ:FF5、独自設定
スーパーファミコン版FF5に2種類あるアイテム増殖バグの1つ。
『99増殖バグ』とも呼ばれる。
増殖したいアイテムがない状態にする。
装備でき、かつ投げることができる武器を1種類1個だけ用意。
(個数を1にするという意味。武器のレア度、種類は問わない)
アビリティ『なげる』と『ぬすむ』をセット。
(バラけさせてもいいし1人に集中させてもいい)
用意した武器を並び替えで一番左上に配置。
用意した武器を装備できるキャラを素手にする。(装備を外すという意味)
戦闘中、アイテム欄から素手のキャラに用意した武器を装備させる。
『なげる』で、一番左上にできた空欄を選択し、投げる。
もう一度『なげる』で、一番左上に出現した『キ5』を投げる。
その後、モンスターから増殖したいアイテムを盗む。
するとそのアイテムが99個手に入る。
もう1つ『255増殖バグ(無限増殖とも)』が存在。
『99増殖バグ』の際、出現する『キ5』を投げずに盗み、それからそのアイテムを使ったり捨てたりすることで数を減らす。
すると個数が『キ5』となる。
ただし、こちらでは店では1個か255個でしか売れなくなる。
1個ずつ売ると無限に売れるため、『無限増殖バグ』と呼ばれることがある。
この小説では、『99増殖バグ』の手順を用いて『クリスタル』を複製している。
実はサイズは心の強さや別世界人であることとは何の関係もない。
単にテレサが召喚した『無』の総量が少なかったのが、小さいサイズだった原因。
また、別世界人であることで、イデアの『いたわり』の心を上手く核にできなかったために、輝きが失われている。
……という設定。