多分これが一番…   作:ひろっさん

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8/20 タイトルに偽りなし。『最期』ではない。


最後のエクスデス

「“『無』を取得、空白、キ5使用”『アイテム複製』――おっ?」

 

『無』に直接手を突っ込んでいたテレサが声を上げる。

 

周囲では、『次元の挟間』に封じられていた雑魚魔物達とサイファー達護衛との戦闘が行われていた。

とはいえ、どうやら瞬殺されたりお手玉されている強者を見ていた者も多いらしく、そこまで攻撃が激しくはなっていない。

それとも、『時間圧縮』というアルティミシア専用フィールドに屈して溶けてしまったのだろうか。

 

ともかく、テレサが手応えに異常を感じたのは、『次元の挟間』に封じられていた『無』を枯渇させるために、『クリスタル』を無理矢理複製していた時のことである。

 

テレサはびっくりして『無』に触れていた手を引っ込めた。

複製した『クリスタル』は、5メートル近いサイズになっている。

おそらく、元々FF5にあったフルサイズだろうと思われる。

ただ、やはり輝きはないが。

 

「大丈夫かしら、みんな、まだ余裕があるようだし、少し休む?」

 

手を繋いでいたイデアが、労りの声をかける。

 

「んにゃ、そっちは大丈夫やで。ちょい『無』がコッチ突っ込んできただけ」

 

テレサは首を横に振った。

 

「えっと、ホントに大丈夫なの?」

 

エルオーネも心配そうに声をかける。

 

「欲張って『無』をよーさん『無』のまんま制御しようとかしよると、逆に『無』が呑み込みにくるみたいやねん。

量に気ぃ付けたら大丈夫やで」

 

テレサは大丈夫と返し、作業を再開する。

 

「“『無』を取得、袋2番目、『クリスタル』を袋へ、魔法の鍵を袋へ”『クリスタル複製』」

 

今度は手順を変えて、先程の5メートル級の『クリスタル』をそのまま複製することにした。

それを合計6つ用意したところで、『次元の挟間』に封印されていた『無』が枯渇を始める。

 

「ん、んん……?」

 

ここで、作業をしていたテレサがまた眉をひそめる。

 

「もう大分減ったのがわかるくらいになってきたけれど……どうかしたの?」

「作業に問題ないんやけど、妙に『無』が散ろうとするんよね……」

 

本来、『無』とは強力に空間を歪める。

それは重力に似た性質を持ち、つまり何もかもを吸い込むはずなのだ。

しかし、テレサはそれとは逆の性質を感じていた。

 

先程、『無』が呑み込みに来た時、顕著になったため、それから制御する『無』の量を一定に制限していたのと合わせて、注意していたのだが。

やはり、テレサに近付くと『無』が発散している。

イデアやエルオーネ、アルティミシアではそんなことはなかったのに。

 

テレサにあって、上記の3人にないもの。

それは3人の特殊性を考えれば、すぐに答えが出る。

 

イデアは魔女をテレサに継承して失ったとはいえ、その『いたわり』の心の大きさは、魔女アルティミシアが異論を挟まないほど。

魔女に関する古い術式の知識に関しては、アルティミシアをも凌ぐ。

 

エルオーネは言わずと知れた不思議の力、接続能力の持ち主。

他者の精神を過去の別の人間の中に『接続』する能力を研究することによって、GFを人間の脳にジャンクションすることができるようになった。

『無』がそれに影響される可能性はないではない。

 

現役の未来の魔女アルティミシアは、『時間圧縮』という特殊な術式を用いて過去を改変しようとした。

『時間圧縮』は現代では『クイック』という時間を止める強力な魔法の一種としてイデアが知っている。

つまり、現在だけを圧縮し、擬似的に時間を止めるのが『クイック』だ。

現代では『ダブル』、『トリプル』という形で、肉体を動かさないという条件で弱体化、擬似魔法に落とし込まれていた。

自分の精神を過去へと飛ばし、儀式を行って過去方向へ範囲を拡大することで、過去と現在を圧縮して混ぜ、過去を改変するのが『時間圧縮』というわけだ。

 

実は、テレサも完全に解明し切れているわけではない。

だから、『時間圧縮』の実行のために、アルティミシアの協力が必要となっていた。

逆に言えば、知識面、技術面の話であり、かなり多くの魔女を1人に継承しているということを除いて、テレサとそう大きな違いはない。

 

今は、アルティミシアが魔女であるということが重要だった。

つまり、テレサが魔女であることが原因ではないということだ。

 

ならば、残るは1つしかない。

テレサが転生者であり、神から依頼と共に転生特典を与えられていることである。

 

『タブレット端末』、『記憶保護』、『エニグマ』、『パラメータアップ』。

 

正直、転生特典でまともに役に立ったのは、『タブレット端末』そのものだけである。

幼い頃、ビデオカメラを申請できなかった時、擬似魔法やこの世界の法則を検証するのに、多いに役立った。

しかし、他はあれば便利という程度であり、なくて困ったことは一度もない。

 

ここへ来て、5つ目の転生特典の可能性が発覚した。

しかも、彼女はそれが、むしろ解析の邪魔になっている可能性に思い至る。

 

テレサの周囲だけ、『無』の働き方が特殊になるのだ。

彼女はそれを加味して『無』を制御しなければならない。

 

そして、散ろうとする『無』を片端から召喚して固め、2メートル強というサイズの『クリスタル』を生成したところで、『次元の挟間』に封印されていた『無』が底をついた。

 

「……うし」

 

テレサは確認してから頷き、合図を送る。

 

「やっちゃえバーサーカー!」

 

『時間圧縮』の最中、その合図を受けて、バッツ達は無力化されたエクスデスを倒した。

非常に釈然としない気持ちの中で。

 

しかし、まだ終わってはいない。

 

 

 

「『タンスの角に小指をぶつける呪い』」

 

エクスデスは静かに告げる。

 

「『クシャミが出そうで出なくなる呪い』。

『タライが降ってくる呪い』。『酒瓶が降ってくる呪い』。

『肝心なところでうっかりする呪い』。

『呪いを解く詠唱がオチ○チ○ビロ~ンになる呪い』。

○○○(気が狂うほど気持ちええんじゃ~)に毛が絡まる呪い』」

 

なぜか青、赤、白の蛇の目模様の入った鎧のエクスデスは、さらに続ける。

 

「『キノコがタケノコになる呪い』!

『卵にかけた醤油がソースに変わる呪い』!

『紅茶が切れる呪い』!!」

 

激しくヒートアップしながら。

 

「小娘ェ、貴様が原因かァ!カメェェェェッ!!ヤローテメーブッコロース!!」

 

蛇の目エクスデスが、『無』をかなぐり捨てて、この時点では未来からテレサを追跡し、襲いかかってきた。

 

それはもう、ご立腹な様子で。

 

「“『無』を取得、ドラゴンパワー、サムソンパワー、英雄の薬、レベル5デス”『()()しい()いだった』」

 

テレサはとっさに迎撃し、退避する。

 

「“『無』なんぞ使ってんじゃねえ!軟弱者は消え失せろ!”『断罪のエクセキューションンン』!!」

 

しかし、蛇の目エクスデスは逆に反撃してくる。

 

「ッ――ホァイ!」

 

テレサはイデアとエルオーネを連れて、攻撃の範囲外に回避。

どうしてか、『無』の気配もないのに別人のように強化、狂化されており、今のテレサでさえも即死耐性を突破できなくなっていた。

 

「どないなっとんねん?」

 

何が起きているのか、まったく分からない。

 

「テレサ、アレ、マジか?」

 

異変を感知してきたセルフィが、蛇の目エクスデスに視線を送りながら、尋ねる。

誰かに尋ねたくなる事態が、まさに目の前で起きていた。

 

「なんで、エクスデスがテレサっぽい技術使いよんねん?」

 

セルフィ自身答えが返ってくるなどとは思っていなかった。

しかし、すぐにそれどころではなくなる。

 

「“一発で沈めてやるよ、覚悟はできたか?”『ワールドデストロイヤー』!!」

「まずい、距離と時間が……!」

 

アルティミシアは焦りの声を上げる。

蛇の目エクスデスが振り下ろした腕が、『時間圧縮』の術式と共に、『時間圧縮』によって不安定化していた世界線を砕いたのだ。

空間の無秩序化によって瞬間移動、高速移動で退避できない状態になったテレサ達は、為す術もなくFF8側の世界へと放り込まれる。

 

そしてエクスデスとの、本当に最後の戦いが始まった。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
次回、VSエクスデス3戦目、暴走エクスデス、あるいはエクスデス(若本)です。

割とまっとうな理由で怒り狂うエクスデスは、なんとテレサと似た技術を使います。
テレサが『クリスタル』を複製する際に色々とおかしなことに気付いていましたが、エクスデス戦の伏線でした。

いよいよフィナーレも近いですね。

ちなみに、一応、後でフォローは入れますが、バッツ達『光の四戦士』はFF5の世界に残っていますので、最後のエクスデス戦には参加しません。

今回、解説をすることがないので、FF8のやり込み『ディスク1ライオンハート』について解説します。



――――設定

ディスク1で『ライオンハート』:手順
『ライオンハート』というのはFF8主人公スコールの最強武器。
スコールの特殊技はガンブレードの改造段階によって追加されていくため、『ライオンハート』の入手は最強技『エンドオブハート』が使用可能になるという意味でもある。

必要素材は『アダマンタイン』、『竜の牙』、『波動弾』。
『アダマンタイン』の最速入手は、ティンバー後、ガルバディア大陸のいずれかの海岸に出現する『アダマンタイマイ』レベル20~29からのレアドロップ(12/256)。
『竜の牙』の最速入手は、OP正門到達前、訓練施設に出る『アルケオダイノス』レベル20~29からのドロップ(51/256)。
『波動弾』の最速入手は、『炎の洞窟』クリア後、『エルノーイル』のカードを20枚集めて『ケツァクアトル』の『カード変化』により『エネルギー結晶体』へ、さらに『イフリート』の『弾薬精製』で『波動弾』へ。

『アダマンタイン』は、カードから入手するには『ミノタウロス』を倒して『ミノタウロス』のカードを入手する必要があり、デリングシティ到達後になってしまう。
『竜の牙』はティンバー後、高台判定の場所に出現する『グレンデル』が通常ドロップするため、それを狙ってもいい。
レベルを一定に保ちたいなら、モンスターを『カード』にして倒すといい。

やり込みプレイヤーは中盤辺りまで低レベルで進めることが多く、『ライオンハート』の最速入手は基本的にスルーする。
特殊技での大ダメージが必要なのは『セクレト』戦だが、この戦闘ではアーヴァインの『アーマーショット』やゼルの『超究武神破拳』で代用可能。
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