多分これが一番…   作:ひろっさん

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8/20 これくらい理不尽でなきゃ。


TASさんがログインしました

敵はなぜかテレサを追ってくるため、テレサがエスタ大陸から南、セントラ大陸の東端にあるカシュクバール砂漠に移動し、他の人々の安全を確保する。

 

「“男に後退の二文字はねえ!”『絶望のシリングフォール』」

「“男は黙って”『金閣寺の一枚天井』」

 

何もないところから落ちてくる天井の瓦礫を、黒髪少女は木製の天井板にして、蛇の目エクスデスに投げ返す。

 

「『ぶるぁあああああああああああああああ!!』」

 

それをエクスデスは手に持っていた斧で真っ二つにした。

防御を透過する効果を無効化して。

 

『無』をかなぐり捨てたエクスデスは、信じられないほど強かった。

FF8側の『時間圧縮』の術式も破壊され、非戦闘員を気にしながら戦える相手でもなかったテレサがクレアの助言を受けて選択したのは、砂漠への退避。

 

カシュクバール砂漠は古代セントラ文明があった時代に行われた実験が元で不毛の大地となったとも言われており、そこに住む生物を調査する人間がたまに訪れるくらいで、基本的に人間は住んでいない。

 

ここならば、周囲の地形破壊を気にせずに暴れることができた。

とはいえ、問題はFF5側の世界を救う作戦からの連戦という点。

魔女の継承や補助スーツのおかげでかなり軽減されていたとはいえ、そろそろテレサの疲労は限界に達しつつあった。

 

しかし、それでもテレサはセルフィ達の助力を断り、万が一の時のための後詰めを要請する。

 

「事情ありそうやから無視するんは悪いんやけど……。

あたしかて、毎回毎回けったいなモン送りつけられて、ウンザリしとってんよな。

テレサ・ドゥて、あんさんが撃退された男の名前で当てつけてたんやで。

やから、遠慮なくツブさしてもらうわ」

「“縮こまってんじゃねえ!”『灼熱のバーンストライク』」

 

会話が成立しているようにも見えるが、偶然である。

 

絶賛怒り狂い、暴走中のエクスデスは、周囲に火の玉を降らせた。

着弾点の砂が融け、グツグツと煮立つほどの超高温である。

 

正直、避けることだけならば今のテレサでも数時間可能だったが、それで穴子化したエクスデスが止まる保証もなく、手っ取り早く倒すという決断を、テレサは選択していたのだ。

 

問題は、これによってテレサ自身が暴走した場合、誰にも止められなくなってしまうことにある。

しかも、疲労がかなり蓄積してきている今、これを使えば、どんな代償があるか分からない。

今までは数日寝込むだけで済んだが、二度と目覚めなくなる可能性すらあった。

 

世界を救うため、人類を救うため、などという、高尚な目的意識はテレサにはない。

ただ、彼女自身が言った通り、何度も何度も送りつけられてくる『次元の魔物』に対処し、エクスデスを倒せる戦力を一刻も早く整えるために、無茶をして焦って失敗もして。

そうやって10年間溜め込んだ鬱憤を晴らすという、低俗な目的で、この少女は今、戦おうとしていた。

 

そして、案外私怨を理由にした方が力が出る人種というのはいる。

テレサもそうだった。

 

なにしろ、そのせいで親友達を殺しかけたのだ。

 

「“貴様の死に場所は……ここだ!ここだ!ここだぁぁぁ!!”『具現結晶ルナシェイド』」

「“TASさんがログインしたようです”『人間辞めました』」

 

当たらないなら回避できないようにすべてを吹き飛ばすとばかりに、エクスデスは自分を中心に超破壊を引き起こす。

 

 

 

「あっ!テレサ!?」

 

テレサに言われて、遠目からやきもきしながら眺めていたセルフィは、親友が蛇の目鎧のエクスデスが放った広範囲攻撃をまともに食らったのを目にして、思わず飛び出しかけた。

 

その一歩は次の瞬間、近くにいたアーヴァインやキスティスの首根っこを掴んでの退避に変わる。

 

「ちょっと、一体、どうしたの!テレサが危ないんでしょ!?」

「セフィ、他のみんなは……!?」

「アタシらが一番前や!テレサから見える範囲や!」

 

セルフィはそう叫んで、エスタ軍が展開していた偵察用の小型無人飛空艇を一瞥。

つまり、彼女ら3人以外はカメラを通じての観測である。

 

「2年前、アタシらが大怪我したて聞いたやろ?」

 

安全な場所に到着したのか、やや青ざめた顔のセルフィは語り始める。

 

「アレな、テレサの攻撃に巻き込まれたんとちゃうねん」

「どういうこと?」

「操ってんよ。テレサが、アタシらを。

正確には、見えてる範囲の人間とか魔物やね」

「敵を操るだけじゃなくて?」

 

新技術にある程度詳しいキスティスが聞き返す。

 

「キスティ、結構『魔改造バーサク』使いよるやろ?

アレ、多分テレサが実験して、安全確保したバージョンやと思うんやけど。

対象設定に敵と自分ってあるんわかる?」

「ええ、あの子が、これがないと大変なことになるって……まさか?」

「そのまさかやで。

対象設定せえへん、リミッターが完全に解除された『魔改造バーサク』て、認識できてる範囲のモン全部使うて目標達成するんよ。

その過程で、誰が何人死ぬとか、そんなんお構いなしや。

テレサ自身も危ないんやけど……。

今はアカン、近付かれへん。アタシらが巻き込まれたら、テレサが泣く」

「……」「……」

 

2人は、もう見えなくなった戦地へ、厳しい目を向けるしかできない。

もう、誰かが介入して何かの結果を変えるということはできなくなったのである。

 

セルフィはエスタ軍と連絡を取り、無人偵察機のリアルタイム映像を回してもらうことにした。

 

 

 

「“死ぬかぁ!”『轟炎斬』

“消えるかぁ!”『斬空断』

“土下座してでも生き延びるのかぁ!”『裂砕断』

『これぞ奥義・三連殺』」

 

黒髪少女の体が斧に刻まれる。

3人。

 

「あたしは、死ぬと、『増える(エクステンデッド)から』」

 

その言葉通り、近寄って来た別の魔物が黒髪少女の姿となり、儀式を始める。

 

周囲には、黒髪少女から戻った魔物の死骸が無数に転がっていた。

 

「“俺の背後に、立つんじゃねえぇい!!!”『バックスナイパー』」

 

背後から近付く黒髪少女に反応してカウンター攻撃の紫光弾をバラ撒くと、その攻撃を受けた黒髪少女がそれぞれ巨大化し、エクスデスに攻撃を仕掛ける。

 

それは、異様な光景だった。

最早、戦闘などという生易しいものではない。

無限に続く攻撃、倒しても倒しても現れ続ける敵。

しかも、1人1人が素のテレサと同等の力を持つ。

エクスデスに正気があったなら、この光景を見て心を折られていただろう。

 

「“大きすぎる……修正が必要だ……”」

「“勝負だレイヴン。どちらが正しいかは戦いで決めよう”」

「“ダァーイレイヴォォォン!!”」

「“ターゲット確認、排除……開始”」

「“排除、排除、排除……”」

 

黒髪少女の、複数の詠唱が周囲に響き渡る。

 

「“微塵に砕けろぉ!”『ジェノサイドブレイバー』」

 

周囲を薙ぎ払うも、詠唱は止まらない。

 

複数の口を持ったテレサを止めることは、最早誰にもできない。

エクスデスが狂い、もがいている内に、長時間かけて行われていた詠唱、魔力操作は完成した。

 

「“メモリ改竄用セーブデータを眺めて”」

「“5秒以内にニューゲーム”」

「『長く苦しい戦いだった(オープニング終了後10秒以内にクリア)』」

「オ……!」

 

エクスデスの鎧から色が失われて灰色になり、砂のように崩れていく。

最後の抵抗として何かをしていたが、それすらもテレサに操作されてのことだと、彼は最後の最後まで気付かなかった。

 

無数の魔物の屍の中央に、砂漠の砂の中に埋もれていた少女が眠っている姿が現れ、数分後に親友達に回収されていった。

 

後に、数百体はいると思われた魔物の死骸は、たった52体だったことが判明する。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
ついにエクスデスが倒れ、世界を乱すものは何もなくなりました。

本物のTASは、相手からするとこんな感じなんじゃないかと。
この最後の暴走エクスデスは、チートによって無敵、攻撃力命中率無限化していましたが、だからこそ正気だったらSAN値が直送されていたような方法での討伐となりました。

今回も解説することがないため、ドール実地試験の目玉ボス、例のカニマシンについてとなります。



――――設定

カニマシン戦:X-ATM092『ブラックウィドウ』
ドール実地試験のみ戦うことができる、色々な意味での目玉ボス。
時限イベント中は戦闘で破壊可能で、逃げれば何度でも戦闘可能。

最も重要な点は、一度HPを0に削り切ると、逃げた際にAP50やドロップアイテムがもらえるという点。
そのため、やり込みプレイヤーはAP50を目当てに、むしろ時限イベントの時間が許す限り何度も戦う事が多い。
(低レベル進行するには、経験値が入らず大量のAPが入るこの戦闘は都合がいい)

HPを削り切る方法は4パターンある。
1つ目は、GFを使用する方法。
『ケツァクアトル』をレベル100にすると、3500以上の雷属性ダメージとなり、召喚魔法+10%~30%、属性によるダメージ増加、応援を含めると9000近いダメージを安定して出せる。
ただし、GF召喚は演出が長いため、罠と言われることが多い。

2つ目は、最大限力を上げて特殊技を使用する方法。
最も特殊技モーションの短いセルフィではダメージが足りず、その次のスコールはダメージが足りるが、フィニッシュブローで時間を取られる可能性がそれなりにあるため、GFと同じく罠。

3つ目は、最大限力を上げ、属性攻撃に『サンダガ』をセットして通常攻撃。
この時点で入手可能な擬似魔法で最大の力上昇量があるのは『フレア』。
しかし低レベルでは200しか揃わない上に、一撃で1000ダメージ程度のため、実は微妙だったりする。
高レベルを容認するなら話は別で、『イフリート』の『力ボーナス』でキャラクターを十分育てていれば、ほぼ1撃か2撃で倒し切ることが可能。
(ただし、低レベルで大量のAPを稼ぐという趣旨から外れてしまう)

4つ目は、事前の『エルヴィオレ』戦で『ダブル』を大量ドローしておき、魔力を上げて『サンダガ』を連発する方法。
魔力の上昇値は『フレア』が44、『トルネド』が42で、揃えやすい『トルネド』で代用可能な数値なのが利点と言えば利点。
全員が『サンダガ』を6回使用するとHPを削り切れるが、演出の長さ的に『ダブル』+『サンダガ』となるため、通常攻撃パターンと比べると安定はしているが微妙かもしれない。
『ダブル』を選択しての『サンダガ』は2回目の演出が1回目に被る上に詠唱モーションが1回になるため、普通に2回使うよりも時間が短いのは確か。

いずれにせよ、ちゃんと時間を測っていないため、どの方法が最も時間効率が高いのかは要検証。

もっとも、実は『セイレーン』が『生命魔法精製』、『ST防御J』、『ST防御J×2』、『ST攻撃J』を覚えた辺りで、それ以上の大量AP獲得が必要なくなるため、極限の効率化を追求すること自体に疑問も出てきてしまう。
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