多分これが一番…   作:ひろっさん

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8/20 なんか、一日で3話くらい書いた気がする。


戦後

FF5側。

 

「とりあえず、こんなもんか……」

 

バッツはピラミッドの最奥の台座に『クリスタル』を設置する。

5メートルもある巨大なものだが、バッツ達が触れると不思議なことに、独りでに浮かび始めたのだ。

 

色々と酷いエクスデスとの戦いの後、『時間圧縮』が突然解けたため、『次元の挟間』を探し回ったが、別世界人の姿はどこにもなかった。

代わりに、輝きのない『クリスタル』が大小十数個も残されており、彼らがバッツ達の世界を助けてくれて、何かがあって元の世界へ帰ったのだと、思うことにした。

 

「かなり理不尽で破天荒な連中だったけど、悪いやつではなかったよな」

 

『クリスタル』は、バッツ達が触れることで輝きを得て、エクスデスが操った『無』によって虫食い状態になってしまった世界が取り戻され、『無』に呑み込まれていた人々も無事戻ってきた。

テレサの技術で足りない部分を、バッツ達『クリスタルの戦士』達の力で補ったとでも言うべきなのかもしれないが。

 

『次元の挟間』については、タイクーン城上空に入口が少し残っており、飛空艇から進入することができる状態だ。

とはいえ、その入口は徐々に閉じ始めており、1ヶ月も立たずに入口は消えてなくなるだろう。

 

まだこちらの世界は少し混乱が残ってはいた。

元々分かれていた2つの世界が突然1つになったことで、人々が戸惑っているのだ。

特に新しい隣人との付き合いに四苦八苦している様子も見受けられた。

 

しかし、エクスデスという大きな脅威が取り除かれた今、ほどなく長い平和が訪れるだろうという確信が、バッツ達にはあった。

その前に、こうして別世界人達の努力の証である『クリスタル』を、『次元の挟間』から持ち帰ってそれぞれの神殿に設置する作業が残ってはいたが。

 

「でも、合計18個ってかなり多いよな……」

 

バッツは1人呟く。

 

5メートル級の大きいものは6つ、2メートル級が3つ、後は1メートル級が7つ、それ以下が2つ。

おそらく、思考錯誤も含んでの結果だろう。

 

本来4つしかなかった『クリスタル』は、従来の手順ではない方法で生成されたとはいえ、それだけの数世界が分裂するなどということもなく、エクスデスとの戦いに貢献してくれた人々を中心に世界中に分けられていった。

 

シドとミドなどは、複製された小さな『クリスタル』を、さらに複製できないか、増幅しないまま大きな力に変換できないか、研究を重ねている。

ギードは1メートル級の『クリスタル』を自分の祠に預けられ、

『大事にはするが、何か面倒なことが起きぬといいがのう』

と、呆れ半分にぼやいていた。

 

「心配もなくはないけど、まあ、今のところは大体平和かな……」

 

そう言って、ピラミッドを後にする。

 

バッツは今も相棒のボコと共に世界中を旅して回っていた。

 

 

 

FF8側。

 

ガルバディア軍のドール侵攻から始まった一連の事件の後始末が始まる。

 

まず、ガルバディアガーデンの再建が本格化した。

ガルバディア軍が大幅に規模縮小するため、兵士の大口顧客がなくなってしまったが、逆に軍や政府との癒着もなくなり、理不尽な要求を受けることもなくなったため、元々の理念である中立の立場に戻ったとも言える。

 

ティンバーは、ガルバディア軍が決戦のために占領軍を持って行ったため、独立に成功したことで賑わったものの、熱狂から冷めてみると国を治めるトップがいないことに気付き、大慌てで選挙を行っている最中。

独立、ガルバディア軍がいなくなった真相は、徐々に民衆に知れ渡っており、『森のフクロウ』のリーダー、ゾーンが英雄として大統領選挙に担ぎ出されようとしている。

 

ちなみに、リノアは創作意欲が高まったとかで、実家に帰っていた。

数ヶ月後、デリング大統領とカーウェイ大佐をモデルにしたキャラクターのBL本が、性的な趣味を超えて大人気を博し、モデルとなった両氏が頭を抱えたという。

 

バラムガーデンでは、新技術の普及に調子付いたマスター派が、世間の魔女への恐怖を利用して、魔女賞金の設定を政治的に働きかけようと提案。

その動きを監視していたサイファー、風神、雷神に、塩でとっちめられ、ノーグが繭化。

マスター派の体制が瓦解したため、魔女への過剰な恐怖を駆り立て、遠い未来まで禍根を残す動きは初動で対処され、消えた。

 

その後の運営については、シド学園長は生徒達を含め皆を集めて相談中。

 

トラビアガーデンは、トラビア軍との共同研究によって導入された新技術を利用し、過酷な雪国での生活圏拡大に成功。

相変わらず自然との戦いがメインとなるが、数万人しか維持できない国土環境の改善に向けて、一歩ずつ着実な歩みを見せている。

いずれ、クレアがエスタの技術をある程度持ち帰り、風雪に強い温室を作る技術を研究する方向で調整中。

 

エスタは最後のエクスデス戦時、戦闘の余波による被害があったが、ラグナが先頭に立って対応したことで大した混乱もなく、当初の計画として立ち上がっていたエスタガーデン構想が本格的にスタート。

それに伴い、進み過ぎた技術による混乱を避けるために閉鎖されていたホライズンブリッジの列車運行再開に向けて、ティンバーやF.H.に外交官が派遣された。

 

ホライズンブリッジ再開の理由は、エスタガーデンの建設予定地が『大塩湖』の西側、ウェストコート地方だからである。

いざという時、世界中を駆け回るのに、存在を消すフェンスが張り巡らされた内側では都合が悪いという事情があったのだ。

 

魔女アルティミシアは、エクスデスに『時間圧縮』が破られて以降、接続してきていない。

これについて、オダイン博士やクレアは、未来にアルティミシアの存在を許さないほどに、過去が改変されてしまった結果だとした。

 

元々、『時間圧縮』というのは、古来から伝わる珍しい術式に『ジャンクションマシーン・エルオーネ』の作用を組み込んだものである。

それは多少の努力で組み上がるものではなく、『過去を変えたい』という強い想いがなければ、作ろうとすら思わない可能性が高かった。

つまり、これ以上過去を変える必要がない程度には、未来がよくなるということを示しているともとれるわけだ。

 

 

 

テレサは、1ヶ月後も目を覚まさなかった。

 

元々疲労が蓄積していたのに加えて、さらにあらゆる意味でのリミッターを解除する『魔改造バーサク』の使用によって、昏睡状態に陥ってしまったのである。

 

「まあ、よう頑張ったわ。ホンマ、最初っからテレサがムチャしてガンバってなかったら、この世界滅んでたかもしれへん」

 

セルフィは親友の髪を撫でる。

 

極限の反動のためか、その髪はある長さから真っ白に変色していた。

それも1ヶ月の長い休養を経て、徐々に金色、赤、茶色とグラデーションを経て戻りつつある。

 

最後のエクスデスがどれほどの強敵だったのか。

後になって、映像やテレサが着用していた補助スーツのデータを解析したセルフィとクレア、キスティスが一致した答えを導き出した。

それは、あのエクスデスには、古今東西どのような攻撃も通じず、しかもあらゆる攻撃に触れただけで耐性を無視して即死するという、理不尽と不条理の体現者。

 

それを倒すために、テレサは禁じ手となっていた『魔改造バーサク』を使用した。

その状態の彼女の攻撃も、理不尽と不条理の塊。

 

エクスデスは確かに理不尽状態だったのだが、唯一にして通常は想定すらしない弱点があった。

それは攻撃が命中する、つまりそこに存在がある、ということだ。

 

それに対して、『魔改造バーサク』によってリミッターを完全に解除したテレサが行ったのは、『存在の消滅』である。

 

まず、自分自身の存在を一時的に消滅させた。

しかしそれではエクスデスに干渉できなくなるため、周囲の魔物を無差別に呼び寄せ、無理矢理自分自身に変身させる。

それはエクスデスの攻撃によって次々死んでいくものの、次々と自分自身を複製し、操ることで、エクスデスの魔力操作の処理能力を突破。

 

しかも、その膨大な処理能力により本来は触れることができないはずの世界の記憶を書き換えることに成功。世界のルールとしてエクスデスの存在を維持できなくしてしまったのだ。

これは、対象を取ることができるなら、たとえ別世界に逃げようとも倒し切ってしまえるという、理不尽極まりない攻撃方法である。

 

世界では究極の攻撃魔法として『原子分解(ディスインテグレート)』が存在するかどうかが議論の対象となり、研究が進んでいたが、テレサが行ったのはそれよりも上。

存在の記憶を書き換えるという、ハインの伝承にも出てこなかった、文字通りの神業だった。

 

逆に言えば、あの暴走エクスデスは、それ以外では倒せなかったのである。

 

「でも、あんまり遅かったら、アタシが抜け駆けしてまうかもしれへんで」

 

セルフィは呟く。

 

「テレサは、ガンバってんから、シアワセにならんとアカンで」

 

エスタ中央病院の病室に、少女の親友に対する切なる願いが空しく響いた。

 

とはいえ、そんな劇的なこともなく、テレサは数日後に目覚め、リハビリを始めることになる。




――――あとがき

こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
エクスデス戦後です。

ちょろっとFF5側の話のフォローも入れてみました。
……フォローになってますかね?

ぶっちゃけ、ここからはエンディングで、この後は蛇足のオマケなんですが。



――――設定

『バーサク』:アルティマニア情報、考察、独自設定
自動的に攻撃を行い続ける、攻撃力が50%増加(状態異常としての説明)
対象の闘争本能を引き出し無意識に攻撃させる(魔法としての説明)

おそらく感情を激昂させる、神経操作系の擬似魔法と考えられる。
毒ガス、神経ガスに『笑気ガス』というものがリアルに存在する。
催涙ガスや催眠ガスのような、相手を無力化する非殺傷兵器の一種で、副交感神経を刺激して無理矢理笑わせることで、行動や判断の精度を著しく落とすというもの。

それに似た作用をすると考えるなら、自分自身専用に調整することで、常識や忌避感などによる感情的なリミッターを一時的に解除できるのではないかと考えたのが、この小説における『魔改造バーサク』。

目標達成のために他のことを一切顧みなくなるため、非常に大きなリスクを伴う。
反動による昏睡は『魔改造バーサク』そのものではなく、あくまでその後の行動が原因となっている。
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