4年後、3馬鹿娘12歳。
いよいよ授業でも実技の訓練が始まり、子供達は自分用の武器を選ぶことになる。
武器選びは1つに限らないとはいえ、大体難航する子供が年に数人は出てくるらしい。
その1人に、テレサがいた。
「ソイヤッ、ソイヤッ、うーん……」
幼少期からバスケを始め、色々な鍛錬で鍛えてきたせいか、どれを使っても動きが一定レベル以上ではある。
「モーニングスターは威力出るけど、振り回してからのラグが気になるんよな……」
「モーニングスター、アウトー」
「斧は威力あるけど、振り回すんがメンドい」
「斧、アウトー」
「ブーメランて、戻ってくるの待ってなあかんやん」
「ブーメラン、アウトー」
「
「コウベン、アウトー」
「ていうかセルフィ、面白がってへん?」
「セルフィ、アウトー」
「ぴゃー」
セルフィの腋が2人がかりでくすぐられる。
いつもの友人同士のじゃれ合いだった。
「剣は扱いやすいんやけど、リーチ短い」
「剣、アウトー」
「弓矢は連射がメンドい」
「弓矢、アウトー」
「槍、うーん、槍……」
「ラケットはどないや?」
教員が横から口を挟み、ラクロスのラケットのようなものを手渡す。
「ラケット?」
「せや。弾を投げて攻撃できるし、ラケットで殴ってもええし」
「両方使えんねんな」
「ただし、両方を武器にするんは結構難しいで。
別の種類の武器を2つ持ってるて考えた方がええわ」
しっかり、リスクも伝える。武器屋の売り子ではないのだ。
彼女らがちゃんと使いこなすことができなければ意味がない。
それでも紹介したのは、テレサならばできると確信していたからである。
「別の種類の武器……」
テレサは考える。
「リーチと、扱いやすさと、威力と、サイクル」
「サイクル?」
「スピード出過ぎたら、鎖もんて動き変わるやろ?」
「ああ、確かになぁ」
鎖分銅系の武器のメリットは、防御が難しいことだ。
鎖の途中で受けると回り込んでしまう上に、盾でも直撃を受けると壊れかねないほどの威力が出る。
ただ、それを最大に発揮するには技量が必要とされる。
つまり、デメリットは使い手の動きが制限されてしまうこと。
鎖系武器の扱い方をある程度知っていれば、鎖の先の
さらに、鎖の動きを待ってから使い手本体が動く必要があり、素早い行動を阻害しかねない。鎖は強度がある代わりに重量があり、鎖鎌の簡易版のように分銅部分の動きに影響を与えずに本体が動くというのが難しいのだ。
そのデメリットをテレサは嫌っていた。
「あー、ちゅうことは、要するにリーチと手数が欲しいっちゅうことか?」
「うん」
「制御優先で、威力は多少度外視でもエエか?」
「うん」
「ほんなら、槍やな」
「槍て、アンデッドとかに弱かったりってイメージあるんやけど?」
「ああ、アンデッド相手やったら破壊範囲広い方がエエっちゅうことやろ?
そんなん殴ったらエエ話やで」
「え、そうなん?」
テレサは珍しく驚く。
「槍で斬ったり殴ったりしたらアカンやゆうこともないねん。
斬る用の槍もあるし、殴る用の槍もあるさかいな」
矛やハルバードなど、斬ったり殴ったりすることを用途に含めた槍の一種が存在するのも確かだ。
FFで槍といえば『竜騎士』という思い込みがあったのかもしれない。
シリーズによって異なるのだが、『ジャンプ』は大体空中から体重をかけて突き刺すか、空中から槍を投げ落す攻撃となっており、『斬る』や『殴る』とする攻撃はほとんど見ないのも確かだった。
「じゃあ、槍にしよ」
「長いのと短いの、どっちがエエ?」
「長い方がエエんとちゃうのん?」
「長いとどないしても小回りが利かへんし、手数が減る。威力出るんやけどな」
「あー、じゃあ、短いの」
「ほんなら、まずは『ショートスピア』か。
斬りたいんか殴りたいんかは後で決めたんでエエわ」
この辺は、さすがの教員である。
早速、訓練用の『ショートスピア』が持って来られる。
長さは1.5メートル程度、テレサの135センチ前後の身長よりも大きいが、槍は通常2メートル以上あるのが普通で、槍の中でもかなり短い部類である。
今は尖った穂先の代わりにゴム製のカバーがついている。
「とりあえず練習の時はコレ振り回すようにしとき。
穂先とか柄の手入れとか、またぼちぼち教えるさかいに」
「うい」
「センセってセンセなんやね」「ちゃんとセンセしとるんやなー」
「失礼なやっちゃな」
ともかく、こうしてテレサはとりあえずの武器を決めた。
ここからまた、身体に武器の扱い方を覚え込ませる作業が始まる。
「ソイヤッ、ソイヤッ……うん、練習したらイケそうやね」
ただ、彼女の目指すところは、一般的なそれとは大きく違っていた。
彼女が求めた手数も、教員が想定したそれとは大きく異なっていた。
ちなみに、セルフィは巨大ヌンチャク、クレアはラケットを選択していた。
「やっぱ威力高い方がエエやん?」
「ウチは新型の『赤魔法』使おかな思うて」
実験も手分けし、擬似魔法の戦闘用鍛錬も積んできたため、クレアは特殊技、つまり切り札に『赤魔法』を選ぶようだ。
「エエなぁ、あたしもなんかエエ感じのやりたいなぁ」
「派手なん?」「派手なやつやろ?」
「えー、なんでわかったん?」
「そら、セルフィやし」「わからいでか」
後に、セルフィは何が発動するか分からない、ギャンブル要素を含んだド派手な切り札を用いるようになるのだった。
――――あとがき
こんばんは、毎度お馴染みのひろっさんです。
4年の歳月の成果は順次紹介していく予定です。
実は塩分不足っぽい症状を経験したことがあります。
全身がだるくなって、頭も上手く回らなくなって、十分休んでいるはずなのに、動きたいのに動けない、力が入らない。
これって、実はかなりヤバい症状みたいですね。
調べてみると、塩分過多は病気のきっかけになるだけですが、塩分不足はそのまま死に至るんだとか。
まあ、どっちも最後には死に至るという意味で、何事もほどほどがいいんでしょう。
その見極めもまた難しいものなんですけど。
――――設定
武器:考察、独自設定
FF8のゲーム中に登場する武器は、プレイヤーキャラの11種、風神雷神で2種、ガルバディア一般兵1種、エリート兵1種、エスタ兵1種、魔物の持ち物3種、合計16種。
ガルバディア兵とエスタ兵が刃物と銃火器を併用していることから、剣が現役であり、銃器がそれほど信用されていないことが読み取れる。
理由は魔物の存在と擬似魔法の登場が考えられる。
FF8の世界では街の外などに魔物が大量に跋扈しており、銃火器のみでは弾切れになった際に致命的である。
擬似魔法は『アルティマニア』に設定が存在し、武器を持たずとも戦闘力を発揮可能なために、ガルバディアのD地区収容所などでは擬似魔法を減衰させるフィールドを展開しているという話がある。
擬似魔法が戦闘力としてそれなりに評価されていることが分かる。
おそらく、現実における銃火器と同じ感覚で擬似魔法が使用されているものと考えられ、魔物の種類によってはこちらの方が有効なために、銃器類が極端には発達しなかった可能性が考えられる。
ラケット:独自設定
FF9のものと類似した武器。
あちらは魔力を飛ばすが、こちらは小石等の弾を飛ばす。
形状はラクロスのラケットをイメージすると分かりやすい。
現実には『スタッフ・スリング』という武器が最も近い。
あちらは木の棒の端に投擲用の皮パーツを取り付けてあるもので、主に石を投げる補助である。
ラクロスのラケットの方が命中率が高いため、ラケットはスリングの発展型とも考えられるが、打撃武器としては元の棒のまま扱えるスタッフ・スリングの方に軍配が上がる。
本編で教員が別の武器を使っているようなものと称したのは、ラケット部分の強度がどうしても足りず、特殊な扱い方をしなければならないため。
アイデアとしては槍(ジャベリン)と両方持ち、いざという時はラケットで槍を投げるという使い方を考えていた。
しかし、飛び道具は擬似魔法に頼ればいいという考えから、槍とラケットの二刀流案は流れた。