鈴音「はい、どうも。夜雀の鈴音です」
政実「という事で、今回は鈴音のAFTER STORYです」
鈴音「サブタイトルを見るに今回は念願の日常回みたいだね」
政実「あはは、そうだね。今までのも日常回といえば日常回だけど、絆の書の仲間達の悩みの解決がメインだったけど、今回はちょっと違う感じかな」
鈴音「そっか。さーてと、それじゃあそろそろ始めていこうか」
政実「うん」
政実・鈴音「それでは、SEVENTH AFTER STORYをどうぞ」
「ふんふんふ~ん♪」
夏の暑さが厳しいある日のお昼頃、お世話になっている遠野家の中をボクが鼻歌を歌いながら飛んでいた時、ふとある事を思いついた。
……そうだ。せっかくだし、少しだけ外を飛んでこようかな。こんなに良い天気なんだし、外に出ないともったいからね。
「よし……そうしよう!」
そう独り言ちた後、ボクはそのままリビングへ向かって飛び、リビングのソファーに座って本を読んでいた柚希に話し掛けた。
「ねえ、柚希」
「ん、何だ?」
「ボク、今から外を飛んでくるね」
「うん、わかった。それにしても……夜雀のお前が昼から外に出るなんて風之真が聞いたら、『それじゃあ『夜雀』じゃなく、『昼雀』だな!』なーんて言いそうだな」
「ふふっ、そうだね。それじゃあそろそろ行ってくるね」
「ああ、
「はーい!」
柚希の言葉に元気よく答えた後、ボクは開けていたリビングの窓から飛び出し、そのまま空に向かって飛んでいった。
さーてと、まずはどこに向かって飛んでいこうかな。せっかく色々な物を見るためにこうして故郷を離れて旅に出たんだし、何か発見してから家に帰りたいかな。
そんな事を思いながらボクは遠野家にお世話になる事になった経緯を思い出した。今から2週間ほど前、ボクは仲間達と共に故郷で楽しく暮らしていた。けれど、ボクは故郷には無い面白い物などを見たくなり、仲間達に別れを告げて故郷を旅立った。
そして、訪れた先で色々な物を見ながら旅を続けていたある日の夜、ボクはこの街を訪れた。何故、この街を訪れたのかというと、実は正直理由は無かった。何となく訪れたくなった。ただ、それだけだった。
そして、街の中を特に何を探すでも無くボーッと飛んでいた時に見つけたのが、学校の友達主催の肝試し中だった柚希だった。ただ肝試しをしているだけなら、特に興味を惹かれはしなかったけれど、柚希は人間でありながらその傍には妖や異国のモノがおり、何故柚希の傍にそんなモノ達がいるのかについて興味を持ち、ボクは柚希へと近付いた。
そして、肝試しをしながら柚希と話をしている内に柚希達と一緒にいるのは楽しそうだと感じ、ボクが仲間入りを志願したところ柚希達はそれを快く受け入れてくれ、ボクは柚希達の仲間入りを果たしたのだった。
故郷での生活も楽しかったけど、柚希達の仲間になってからの生活も色々な発見があって楽しいし、仲間にして欲しいって言って良かったなぁ……。
楽しい気分で満ち溢れながら空を飛び続けていると、その内に柚希が友達とよく遊んでいる公園に着いていた。
「公園かぁ……せっかくだしここでちょっと休憩しようかな。何か面白い物と出会えるかもしれないしね」
そう独り言ちた後、ボクは公園に植わっている木の枝に留まり、そよそよと吹く涼しい風を感じながら静まり返った公園の中を軽く眺め始めた。すると早速、『ある人』が目に入ってきた。
「……ん? あそこにいるのは、もしかして……」
ボクはその人へ向けて枝から飛び出し、その人の肩に留まった。するとその人は、ボクの姿に一瞬驚いた後、どこか嬉しそうな笑みを浮かべた。
「わあ……雀さんだ、可愛いなぁ……。でも、なんだか他の雀さんと少し違うような……?」
その子、金ヶ崎ちゃんはボクの姿に少しだけ不思議そうに首を傾げていたけれど、すぐに「まあ、いっか」と言うと、軽く周囲を見回してから肩の上のボクにそっと顔を近付けた。
「雀さん、私の話を聞いてもらっても良いかな?」
「……うん、良いよ」
「ありがと──って、ええ!? 雀さんが喋った?!」
「そりゃあ喋るよ。だってボクは、ただの雀じゃなくて夜雀だもん」
「夜雀……?」
金ヶ崎ちゃんが不思議そうに首を傾げる中、ボクは頷きながら答えた。
「そう。簡単に言えば、遠くの地方出身の妖怪かな」
「よ、妖怪……こんなに可愛いのに……」
「ふふ、妖怪の中には色々なのがいるんだよ、金ヶ崎ちゃん」
「そうなんだ……って、どうして私の名前を知ってるの?」
「この前、友達の誘いで肝試しに参加してたでしょ? あの時、ボクもいたんだよ。まあ、あの時はボクの
「そっか……あの時の声はあなただったんだね」
「そういう事。あ、そういえば自己紹介がまだだったね。ボクは夜雀の鈴音。ボクなんて言ってるけど、性別は雌だよ」
「女の子だったんだね。私は金ヶ崎雫、雫で良いよ」
「オッケー、雫。それで、ボクに聞いて欲しい事って何かな? もしかして、肝試しの時にペアだったあの子の事かな?」
すると、雫はとても驚いた表情を浮かべた。
「よ、よくわかったね……」
「ふふっ、話す前の雫の様子を見たら
「そ、そっか……あ、それでね。私のペアだったのは、私とは違うクラスで遠野柚希君って言うんだけど、柚希君と同じクラスの稲葉夕士君と長谷泉貴君を含めた三人は、同じ学年の子達だけじゃなく、他の学年の子達からもスゴい人気があるの」
「まあ、そうだろうね。顔ももちろん良いし、肝試しの時に君が怖がらせないように色々な事をしていたんだ。モテて当然だよ。なのに、自分にとっては不本意だって言うなんて……まったく、
ため息混じりに言っていると、雫は少し驚いた様子を見せた。
「あれ……鈴音ちゃんは、柚希君ともお話した事があるの?」
「うん。ボクと柚希は友達だからね」
「そっか……柚希君、妖怪のお友達までいるんだ。スゴいね……」
「ふふ、そうだね。けど、この事は柚希や他の子には内緒にしててね。柚希、その事は他の人には知られたくないようだからさ」
「うん、わかった。私達だけの秘密だね」
「うん、ボク達だけの秘密。さてと、それじゃあ雫の話に戻ろうか」
「あ、うん。それで、鈴音ちゃんはもう気付いてると思うけど、私は柚希君の事が好きなんだ。でも……」
「同じように柚希の事が好きな子が多くて、柚希の事を振り向かせられるかちょっと自信がない、と」
「うん……可愛い子も多いから、私なんかそもそも同じ土俵にすら立ててないんじゃないかって思って……」
「雫……」
「やっぱり……私なんかじゃ、柚希君の事を好きになってもしょうがないのかな……」
目を涙で潤ませながら俯いて雫がポツリと呟いた時、「……そんな事ないよ」とボクが雫に対して言うと、雫は少し驚いた様子で顔を上げた。
「鈴音ちゃん……」
「私なんかなんて言うけど、雫も充分可愛いとボクは思う。まあ、今のところは脈は無いと思うけど」
「……やっぱり、そうだよね……」
「でも、あくまでも
「あ、そうなんだ……」
「うん。だから、モテるのは不本意だなんて言うんだよ。柚希にとって、今は恋愛よりも友達との毎日の方が楽しいんだからね」
「それじゃあ、誰がいくら柚希君に想いを伝えようとしたり、アピールしようとしても無駄って事?」
「無駄では無いよ。そういう積み重ねは恋愛においても重要だからね。けど、その中でも一番可能性があるのは……君だよ、雫」
「え……わ、私!?」
ボクの言葉に雫が驚く中、ボクはクスリと笑ってから言葉を続けた。
「肝試しの際、君はボクの声を聞いて何かがいるという事に恐怖を感じ、それを見た柚希は君をそれ以上怖がらせないように手を繋ぐなどして恐怖を紛らわせようとした。
そりゃあ柚希は優しいから、たとえペアの相手が君じゃなかったとしてもその時に応じて行動は取ったと思う。けれど、今回はそれが君だった。この時点で君は他の女の子よりもアドバンテージがあるんだ」
「そう……なのかな?」
「うん。間違いなく君は他の女の子よりも少し先に行けてるけれど、このままだとすぐに先を越されてしまう。だから、このアドバンテージを維持したまま君自身の良さを柚希にアピールするんだ。そうすれば、少しずつ柚希も君の事を意識しだし、いつかは君の事を好きになるはずだよ」
「鈴音ちゃん……」
「大丈夫だよ、雫。自分の容姿や良さに自信を持って柚希に接すれば、きっとその想いは伝わる。それだけの良さを君は持っているんだから」
「鈴音ちゃん……うん、ありがとう。私、これからは私なんかなんて言わずに頑張ってみるね」
「うん、その意気だよ、雫。それと……そんな雫のためにボクが知ってる限りの柚希についてのあんな事やこんな事を教えてあげよう」
「それは嬉しいけど……鈴音ちゃんはどうしてそこまでしてくれるの?」
雫からのその問い掛けにボクはニコリと笑いながら答えた。
「君の事を応援したいからだよ、雫。ボクは君みたいに
「鈴音ちゃん……」
「という事で、せっかくだから色々訊いてよ。もっとも、本当にプライバシーに関わる事までは話せないけどね」
「……うん、わかった」
雫がニコリと笑いながら答えた後、ボクは雫から投げかけられる柚希についての問いかけを次々と答えていった。質問に答えている最中、雫は本当に楽しそうな笑みを浮かべており、その笑みから雫が本当に柚希の事が好きなんだという事がわかった。
ふふ……こうなったら、とことん雫の事をサポートしてあげなくちゃね。まあ、いつでも会えるわけじゃないけど、会えた時には今みたいに話をしたり、何かボクが出来ることをしてあげよう。それがボクの中に出来た新しい目標だからね。
そんな事を思いながら雫と話す事数十分、そろそろ話のネタも尽きてきたと感じてきたその時、ボクはある事が気になりそれを雫に訊いた。
「ねえ、雫。スッゴく今さらなんだけど、雫はどうして一人で公園にいたの?」
「あ、それはね……これから友達と遊ぶ約束をしてるからだよ。それで、先に来て待ってたんだけど……一人で待ってるのはちょっと寂しかったんだ。だから、鈴音ちゃんが来てくれてスゴく助かっちゃった」
「そっか。それじゃあそろそろその友達も来るかもね。だいぶ長い事話しちゃったし」
「あ、そうだね」
「それなら、ボクはそろそろ行くよ。君の友達がどんな子かは気になるけど、君がボクと話してるところを見られると、君が変な目で見られかねないからね」
「そっか……」
「うん。それじゃあ──」
またね、と言いながら飛び立とうとしたその時、「待って」と雫から声を掛けられ、ボクは翼を軽く広げながら雫の方へ顔を向けた。
「どうしたの、雫?」
「……また、会えるよね?」
「……うん、会えるよ。会える機会は少ないかもしれないけど、ボクは暇があったらその辺を飛んでるし、時々はこの公園にも来る。だから、その時にはまたこうして色々な話をしよう。正直、ボクはまだまだ話し足りないからね」
「うん、そうだね。それじゃあ……」
「うん、またね、雫」
「うん、またね、鈴音ちゃん」
そう言いながら手を振る雫に対して翼を振り返した後、ボクは雫の肩から飛び立ち、空へ向かって静かに飛んでいった。そして、家に向かって飛びながらボクはさっきまでの雫との会話を思い出し、一人でクスリと笑った。
ふふ……雫との会話、本当に楽しかったなぁ……。会える機会自体は本当に少ないかもしれないけど、もしまた会えたなら今度は目いっぱい話をしたいな……。
そんな事を思いながらボクは飛び続け、開け放された窓から遠野家の中に入った。すると、
「おかえり、鈴音。なんだか楽しそうだけど、何かあったか?」
「ふふ、まあね」
「へえ、そんなら何があったか話してもらっても良いかぃ?」
「うん、良いよ。あのね……」
そしてボクは、出会ったのが雫だという事などを隠しながらさっきまであった事を柚希と風之真に話した。
「うーん、今日も良い天気だなぁ……」
翌日、リビングの窓から射し込む陽射しに当たって日向ぼっこをしていた時、リビングに入ってきた柚希がクスリと笑ってから話し掛けてきた。
「鈴音、今日は外に飛びに行かないのか?」
「今日、かぁ……うん、今日も良い天気だし、ありかもね」
「そっか。それじゃあ窓は開けておくから、行くなら好きに行ってきても良いぞ。ただし……」
「烏とかには気をつけて行ってこい、でしょ? わかってるよ」
「それなら良し。それじゃあ窓を開けとくな」
「うん」
返事をした後、ボクはゆっくりと立ち上がり、開け放された窓から外へ向かって静かに飛びたった。そして、どこに向かって行こうかと考えながら飛んでいた時、ふと昨日の事を思い出した。
「……流石に雫はいないと思うけど、また思いがけない出会いもあるかもしれないし、今日も公園に行ってみようかな」
そう独り言ちた後、ボクは公園に向かって飛び、昨日と同じように木の枝に静かに留まった。
さて、何か面白い物は無いかな~?
そんな事を思いながら公園の中を軽く見回していたその時、『ある人』が目に入ってきた。
「……これも『
クスクスと笑いながら独り言ちてから、ボクはその人に向かって飛び、その人の肩に留まった。すると、その人はボクの姿に驚いた様子を見せた後、微笑みながら優しい声で話し掛けてきた。
「こんにちは、鈴音ちゃん」
「うん、こんにちは、雫。思ったよりも早く再会できたね」
「ふふ、そうだね。鈴音ちゃんは今日もお散歩?」
「うん。雫は?」
「私も今日はお散歩。家が公園の近くだから、昨日の鈴音ちゃんとのお話を思い出して公園に寄ってみたんだけど……まさかまた会えるなんて思ってなかったよ」
「ふふ、ボクもだよ。さて……こうして再会できたわけだし、今日も色々お話ししようか」
「うん!」
雫がとても嬉しそうに返事をした後、ボク達は昨日と同じように色々な事を話し始めた。
ふふ……やっぱり雫と一緒にいるのは楽しいな。
そんな事を思った後、ボクは雫の方を見ながらニコリと笑った。
「雫」
「うん、どうしたの?」
「改めてこれからもよろしくね」
「……うん、こちらこそよろしくね」
微笑みながら言う雫に対して同じように微笑みながら頷いた後、ボク達は気持ちの良い青空の下で再び話を始めた。
政実「SEVENTH AFTER STORY、いかがでしたでしょうか」
鈴音「今回は珍しく柚希や絆の書のメンバーが殆ど出なかったから、ボクと雫だけの回みたいな感じだったね」
政実「そうだね。柚希と絆の書のメンバーのやりとりは今まで色々書いてきたけど、絆の書のメンバーと他のキャラクターとのやりとりは設定上中々書けなかったから、今回はこんな感じにしてみたよ」
鈴音「そっか。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いしまーす」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
鈴音「うん!」
政実・鈴音「それでは、また次回」