賢亀「どうも、玄武の賢亀です」
政実「という事で、今回は賢亀のAFTER STORYです」
賢亀「今回は僕かぁ……どんな話になるかは読んでからのお楽しみで良いんですよね?」
政実「うん、そうだね」
賢亀「わかりました。さて……それじゃあそろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・賢亀「それでは、THIRTEENTH AFTER STORYをどうぞ」
「はふぅ……」
「ふぅ……」
「ほわぁ……」
外で雪が降り積もり、外の寒さで廊下も冷え冷えとしているある冬の日、庭で雪女の雪花さんとオルトロスのオルト君が楽しそうに遊び回る中、僕はヒーターの前に作られたスペースでのんびりとしていた。
その傍では鎌鼬の風之真さんと夜雀の鈴音さんもホースから出てくるヒーターの暖気にほわんとした表情を浮かべており、その表情から二人も幸せを感じているのがハッキリと見て取れた。
「はぁ……やっぱりここでのんびりするのは良いなぁ」
「違ぇねぇな……雪花とオルトは外ではしゃいで、義智の旦那や蒼牙の旦那はこの寒さも修行の一つだって言って和室にいるが、俺達は寒さには弱ぇから、ここにいるのが一番だな」
「だねぇ……でも、
「それは大丈夫ですよぉ……術を使って乾燥しすぎないようにしてますし、僕達玄武は冬を司ってはいますけど、寒すぎたら冬眠状態になっちゃうので……」
「あー……そういや、そんな状態になっていた時に柚希の旦那達と出会ったんだったよな」
「はい……あのまま見つけてもらえなかったら、ずっと雪の中で埋まっていたり気付かずに踏まれたりしていたかもしれないので、智虎君とオルト君に見つけてもらえて本当に良かったです」
ホースから流れてくる暖気でぽかぽかとしながら僕はここにお世話になる事になった経緯を想起した。
四神の一体である玄武のお父さんの末っ子として生まれた僕は同じ四神の子供として生まれた智虎君や他の子達と一緒にお父さん達を束ねる黄龍の煌龍様の命で四神として成長するための修行をする事になった。
修行の方法についてはそれぞれに任せられていたため、僕は父さんから修行の内容を告げられたけれど、父さんが決めたのは玄武である僕には向いていないと言える旅だった。
どうして父さんが修行の方法として旅を指示したのかはわからなかったけれど、それを断る理由も無かったし、その旅を通じて僕の暢気すぎる性格を少しでも変えられるかもしれないと思ったので、僕は父さんからの指示に従って旅を始めた。
玄武というモノの特徴上、動きが遅い事から色々な場所を巡るのは本当に骨が折れ、大変だと思う度に父さんがどうして僕に旅を指示したのだろうと不思議に感じていた。
そして、旅を始めて数ヶ月後にこの街に辿り着き、空からはらはらと降る雪と冬の寒さに辛さを感じながら歩いていたけれど、その途中で遂に眠くなり、冬眠状態に入って雪に埋もれていたところを発見してくれたのが智虎君とオルト君、そして転生者であり神様の甥っ子でもある柚希さんだった。
柚希さん達に助けられて遠野家に保護された後、父さん達の知り合いであり神様でもある天斗さんが父さんのところへ行っている間に僕は智虎君の変わり様や様々なモノ達が一つの場所で協力し合ったり仲睦まじく暮らしたりしている姿に驚かされ、それと同時にここで僕も一緒に暮らしてみたいと感じた。
その後、父さんが僕に旅を指示した理由やこの遠野家で智虎君や柚希さん達と一緒に暮らす事について許された事で僕は智虎君と同じように柚希さんにトレーナー役を務めてもらえる事になったのだった。
……今思えば、あの時柚希さん達に偶然見つけてもらえてなかったら、本当にあのまま春まで埋もれてたかもしれないし、その分、みんなよりも修行の期間も短くなっていたはずだ。
それが原因で父さんや煌龍様を失望させたり智虎君達に心配をかけたりしたかもしれないし、見つけてもらえたのは本当によかったなぁ。
嬉しさと安心感で胸の奥もぽかぽかしてくるのを感じていた時、リビングのドアがゆっくりと開き、柚希さんと智虎君が中へと入ってきた。
「あ、柚希さんに智虎君」
「よっ、賢亀。そのスペースはやっぱり落ち着くか?」
「はい、ここにいると居住空間にいなくても寒くなくて良いですし、風之真さん達ともお話出来て楽しいです」
「ふふ、賢亀君は冬を司る玄武ではあるけど、春に陽に当たりながらのんびりしたり夏に水の中にいて涼んだりする方が好きだからね。まあ、僕も冬よりは春や秋の方が好きだけど」
「俺も春や秋の方が良いかねぇ……夏も冬も美味ぇ食い物は多いが、夏は暑くてかなわねぇし冬も寒くて凍えちまうからな」
「ボクも冬は苦手だけど、夏は好きだよ。夜の涼しい時に飛んでみるのもまた乙な物だからね。柚希はどう?」
「俺か? 俺はどの季節でも好きだぜ? 春は桜の花を愛でられるし夏は暑い中で飲む冷たい飲み物が最高だし、秋はサツマイモや栗が美味いし冬は雪で色々作って遊べるからな」
「なるほどねぇ……まあでも、冬の楽しさは庭で遊んでるアイツらが一番知ってそうだな」
そう言いながら風之真さんが庭に視線を向けるのに合わせて僕達も庭で遊ぶ雪花さんとオルト君に視線を向けると、柚希さんは二人の様子を見ながらクスリと笑った。
「たしかにな。毛皮でモフモフなオルトに冬が本番みたいな雪花だから、この寒さも気にせずに遊べるのは羨ましい限りだな」
「たしかにねぇ……冬が近くなったらいつ雪が降るか聞きに来るくらいだし、あの二人が一番冬を楽しんでると思うよ」
「へへ、違ぇねぇな。まあ、人生ってのはそういう物でありてぇしあるべきだからな。生き急ぐよりものんびりのんきにいた方が俺としては楽しいと思うぜ?」
「のんびりのんきに……たしかにそうですね。僕は自分ののんきな性格を直したいと思っていましたけど、そののんきさが玄武にとってはとても良い物で、そんな自分を受け入れた上でどっしりと構えて皆さんのサポートをしていけたら良いなと思います」
「ふふ、そうだな。無理に性格を変えようとしても良い事は無いし、その賢亀の性質が歓迎される物ならやっぱりそのままで良いんだよ。ウチにはその程度の事で目くじらを立てるような奴はいないし、なんだったら俺だってのんきなところはあるしな」
「たしかに……義智さんからも少しのんきすぎると言われている時もありますからね。僕達はあまり気にしてませんでしたけど……」
「はっはっは! 義智の旦那はちっと細けぇとこがあるからな。細けぇ事ばっか言ってると、その内、細けぇシワばかりに──」
「風之真。そういう事を言ってると、また義智に聞かれて酷い目に遭うぞ?」
柚希さんが呆れ顔で
「おっと、いけねぇ。二年前の冬にあったあれの再来は勘弁してもらいてぇし、ここらで止めとくかね。だが、賢亀はのんきなままで良いと思うぜ。のんきすぎても良くはねぇが、賢亀程なら問題ねぇし、何かあった時の頭脳の一人として信頼出来るからな」
「そうだね。ボクや風之真、オルトは結構せっかちなところがあるし、義智さんや蒼牙みたいに落ち着いて判断出来るメンバーが増えてくれるのは本当にありがたいよ。その分、ボク達も協力して何かをする時に安心しながら行動出来るしね」
「だな。俺も相談相手が増えるのは嬉しいよ。まあ、風之真達も相談相手としてすごく信頼してるけどな」
「へへ、ありがとな。まあとりあえず、賢亀はそのままでいてくれや。頭脳派が増えるのは実に良い事だが、ウチの頭脳派達の中でも賢亀みてぇにあまり焦らずに物事を考えられる奴は貴重だからな」
「はい、もちろんです。今はまだ修行途中の未熟者ですけど、父さんのような立派な玄武になりたいと思っていますし、智虎君と一緒にいっぱい修行をして、お世話になっている皆さんのお役に立てるように頑張ります」
「これからも一緒に頑張ろうね、賢亀君」
「うん」
微笑みながら言う智虎君の言葉に僕は頷きながら答えた。僕も智虎君もまだまだ修行が足りない子供で今のままだと煌龍様からも父さん達からも一人前の四神として認めてはもらえないだろう。
それに、修行をしっかりとしないと僕達と同じく修行を積んでいる彼らにだって失礼だし、きっと呆れられてしまうに違いない。だからこそ、しっかりと修行を積んで父さんや煌龍様、彼らや智虎君、そして柚希さん達にも胸を張っていられる自分であろう。
今はまだちっぽけでもそれが出来るようになった頃にはきっと大きくて強い自分になれているだろうから。
そのためにも一歩ずつ前に進む事を忘れずにいよう。僕だけだとその歩みは本当に遅いかもしれないけど、手伝ってくれる人や一緒に歩いてくれる人が傍にいてくれるのだから。
みんなとのこれからを想像して静かにやる気を高めていると、庭で遊んでいたはずの雪花さんとオルト君の姿はいつの間にか無くなっており、玄関のドアが開く音が聞こえると同時に雪花さん達の声も聞こえてきた。
「みんな、たっだいまー! いやぁ、本当に楽しかったぁー!」
「ただいまー! 柚希兄ちゃーん、ブラッシングしてー!」
「……アイツら、普段から元気だけど、冬はもっと元気いっぱいだよな」
「へへっ、違ぇねぇや。だが、元気なのが良いのは間違いねぇし、オルトも俺達みてぇに柚希の旦那達ともしっかり話せるようになれるくれぇ成長してる。まったく、ガキの成長の早さときたら目を見張るばかりだねぇ」
「ふふ、兄貴分としてはやっぱり弟分の成長は嬉しいみたいだな。だけど、俺達だってまだまだ成長の途中の子供だし、これからもっと伸びていける。だから、俺達もオルト達に負けないように日々成長していこうぜ、風之真」
「おうよ、柚希の旦那!」
柚希さんと風之真さんは笑い合いながら拳をぶつけ合い、その姿に僕は羨ましさを感じると同時に更にやる気を高め、智虎君に視線を向けた。
智虎君はその視線に気付いた様子で僕に顔を向けると、視線の意図がわかっているらしく、やる気満々な表情を浮かべながら頷き、僕もそれに対して頷き返した。
そして、雪花さんとオルト君がリビングに入ってきて柚希さん達が二人と話を始める中、僕はそれに混ざりながらこれからの修行についてやる気を高めていった。
政実「THIRTEENTH AFTER STORY、いかがでしたでしょうか」
賢亀「今回は日常回も兼ねた感じでしたね」
政実「そうだね。悩みの解決回や日常回だけでも良いけど、時にはこういうのもありかなと思ってるし、少しずつ増やす予定だよ」
賢亀「わかりました。そして最後に、今作品についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
賢亀「はい」
政実・賢亀「それでは、また次回」