転生者の幽雅な日常   作:九戸政景

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政実「どうも、一番好きな季節は春の片倉政実です」
柚希「どうも、遠野柚希です。春か、たしかに桜も綺麗だし、気候も暖かくて過ごしやすい季節ではあるな」
政実「うん。まあ、本音を言えば、暑すぎず寒すぎなきゃどの季節も好きなんだけどね。さて、この第一章では、原作でもちょこちょこと触れられている過去の話を交えた話となります」
柚希「それに加えて俺の『絆の書』の仲間との出会いの章でもあるんだよな?」
政実「うん。最初は第1話から原作の第1巻の話をやるつもりだったけど、それのことがあってこういう形を取ることにしたんだ」
柚希「なるほどな。さて、残りは後書きで話すことにして、そろそろ始めていくか」
政実「うん」
政実・柚希「それでは、第1話をどうぞ」


第一章 過去編
第1話 二人の新たな友達と風に舞う鼬


 暖かな気候の中、桃色の桜の花びらが舞う季節、春。そんな春のある日、穏やかな日差しと吹き抜ける風の中でまるで春を告げる舞いを踊るようにヒラヒラと舞う桜の花びら達を俺は自室の窓から静かに眺めていた。

 

 うん、やっぱり春って良いよな……。まあ、梅雨も含めてどの季節でも好きではあるけど、春って気候のせいもあってか、とても穏やかな気持ちになれるんだよな……。

 

 暖かな朝の日差しに気持ちよさを感じつつ、椅子に座って外を眺めながらそんな事を思っていると、開け放っていた窓を通って外から桜の花弁(はなびら)が部屋へと舞い込んできた。

 

 ……うん、せっかくだし、この花弁を使って栞を作ってみるのも良いかもしれないな。

 

 穏やかな気持ちで静かに来訪した春の証を拾い上げようとしたその時──。

 

「柚希よ、そんなにのんびりしていて良いのか?」

 

 背後から冬の寒さを思わせるような冷たい声で、人間の姿を取った白澤(はくたく)義智(よしとも)が話し掛けてきた。

 

 そっか……冬はまだここに残っていたのか。

 

 本人にバレたら絶対に怒られるであろう事を思いながら、俺はゆっくりと義智の方へと振り返り、ニコリと笑いながら返事をした。

 

「余裕だよ、義智。準備は昨日の夜に終わらせてるし、時間だってまだ6時だから、もう少しのんびりしてても平気だぜ?」

「……いつもそう言っているが、お前にはどこかのんびりし過ぎる傾向がある。そして今日は、小学校の入学式とやらなのだろう? 転生した事で肉体的な(よわい)は幼くなろうとも、精神はそのままなのだから、少しはしっかりとした生活を送るべきだ」

「ん……まあ、それもそうかもな」

 

 義智の言葉に納得しながら答えた後、俺は開けていた窓を閉め、舞い込んできた桜の花弁を机の上に置いていた本の内の一冊に挟み込んだ。そして、椅子からゆっくりと立ち上がった後、俺はニッと笑いながら義智に話し掛けた。

 

「……よし、それじゃあそろそろ下に降りて、『伯父さん』に挨拶してこようぜ、義智」

「ああ」

 

 義智が頷いた事を確認し、俺は机の上の『絆の書』を手に持ち、『ヒーリング・クリスタル』のペンダントを首に掛けた後、義智と一緒に居間のある一階へと降りていった。そして、階段をゆっくりと降りた後、俺達は廊下を通って居間へ向かって歩いた。そして居間に入ってみると、椅子に座って寝間着のままで朝刊を読んでいる銀色の縁の眼鏡を掛けた黒い短髪の男性の姿が目に入ってきた。

 

 あ、いたいた。それにしても……いつも思うけど、伯父さんのこういう姿ってスゴく絵になるよなぁ……。

 

 その様子を見ながらクスリと笑った後、義智と一緒に伯父さんへ近付きながら声を掛けた。

 

「おはようございます、天斗(あまと)伯父さん」

「おはよう、シフル」

「……おや、おはようございます。柚希君、義智さん。今日も早いですね」

 

 天斗伯父さんこと神様のシフルさんは俺達の方へ顔を向けると、ニコッと笑いながら挨拶を返してくれた。そう、俺は今、俺の伯父さんとなったシフルさんの家に居候しているのだ。俺が扉を潜った後、シフルさんはすぐに俺の父さんの兄──遠野天斗(とおのあまと)としてこの世界に誕生し、俺が産まれてくるまで神様の仕事をしつつ、人間としても生活をしながらずっと待っていてくれたらしい。しかし、俺が4歳の頃、俺が傍におらず天斗伯父さんが仕事で忙しかったあの日、俺は両親を交通事故で亡くした。そして両親の葬式の後、他の親戚達が俺の事をたらい回しにしようとする前に、天斗伯父さんが俺の事を引き取ると言い、こうしてこの家に住まわせてくれる事になったのだった。

 

 シフルさん……いや、天斗伯父さんには本当に感謝しないといけないな……。

 

 心の中で静かに思った後、俺は笑みを浮かべながら天斗伯父さんからの問い掛けに返事をした。

 

「はい。起きた後、部屋でのんびり外を眺めていたんですけど、義智が幼くともしっかりとした生活を送るべきだ、と言うので大人しくそれに従って降りてきたんです」

「ふふ、なるほど、そういう事でしたか」

 

 天斗伯父さんが納得した様子で笑いながら言うと、義智は鼻を鳴らしながら静かな声で言った。

 

「……ふん。たとえ、本来ならば元服をしている齢であろうとも、今は幼き者に過ぎん。幼き頃よりしっかりとした生活を心掛けなければ、ロクな者にならんからな。そしてシフル、お前もいつまでも新聞なぞ読んでいるのではなく、その寝癖を直すなりしたらどうなのだ?」

 

 義智の指摘を聞くと、天斗伯父さんは見る人を安心させるような笑みを浮かべながらコクンと頷きつつ答えた。

 

「そうですね。今日は柚希君の入学式ですから、ビシッとして行かないといけませんもんね」

「その通りだ。神であるお前がそんな様子では、天上の者達に示しがつかんぞ?」

「義智さんの言う通りですね。……では、今の内に寝癖をちょっと直してきます」

 

 天斗伯父さんはニコッと笑いながら言った後、読んでいた新聞を綺麗に畳んでテーブルの上に静かに置くと、そのまま洗面所に向けて歩いていった。ここまでの会話で何となく理解して貰えたと思うが、俺は他の人の前でうっかり口を滑らせるわけにはいかないため、シフルさんの事は常に天斗伯父さんと呼ぶようにしているが、義智はその心配が無いためか呼び方を変えていない。

 

 まあ、本当のところは定かでは無いけど、義智的には常に『人間』としての天斗伯父さんではなく、『神様』としてのシフルさんとして見ているからなのかもしれないな。

 

 ぼんやりとそんな事を考えた後、俺はふうと一息ついてから義智に話し掛けた。

 

「……よし、天斗伯父さんが戻ってくるまでに朝食の準備でもしちゃおうぜ、義智」

「うむ」

 

 義智が頷きながら答えた後、俺達は手分けをして朝食を食べるための準備を始めた。

 

 

 

 

『いただきます』

 

 午前7時頃、天斗伯父さんの寝癖が直り、朝食の準備を終えた後、俺達は声を揃えて挨拶をしてから朝食を食べ始めた。

 

 すごい今更だけど、『転生者』と『瑞獣』と『神様』が食卓を囲む様子って、中々レアな光景だよな……。

 

 朝食を食べながらそんな事を考えていると、ふと天斗伯父さんが何かを思い出したように声を上げた。

 

「あ、そうだ……柚希君、義智さん。本当はお休みなのですが、先程ちょっと連絡があったので、お昼を食べた後、少し職場に顔を出してきますね」

「職場……今日は()()()の方ですか?」

「今日は()()()の方ですね」

「分かりました。それじゃあ午後は、いつも通り散歩とか読書をして過ごしてますね」

「はい、よろしくお願いしますね」

 

 天斗伯父さんとの会話が終わった後、俺達は再び朝食を食べ始めた。天斗伯父さんは天上での神様としての仕事の他にも、こちら側で出来た友人が立ち上げた会社で課長として働いている。そしてその働きぶりから、部下達からは慕われ、同僚や上司からは頼られているため、今日みたいな休みの日でもこうして連絡が来たりする事もあるのだ。

 

 ただ、天斗伯父さんが神様じゃなかったら、完全に倒れてるレベルだし、加えてその分の給料がなかったら、完全にやってられなくなるよな。

 

 人間と神様の二重生活を送る天斗伯父さんの現在の状況について心の中で苦笑いを浮かべた後、俺は目の前の朝食を食べ進めた。そして、それから十数分後、すっかり空になった食器を前に俺は両手を合わせた。

 

『ごちそうさまでした』

 

 同じように朝食を食べ終えた義智と天斗伯父さんと一緒に声を揃えて言った後、俺達は自分の食器をシンクへと運んだ。

 

 ……さてと、そろそろ着替えないとな。

 

「それじゃあ、天斗伯父さん。俺は学校に行く準備をしてきますね」

「はい、分かりました。私も食器洗いが終わったら、すぐに準備を始めます」

「分かりました」

 そして、天斗伯父さんが食器洗いを始める音を聴きながら、俺は『絆の書』を持って義智と一緒に自分の部屋へと戻った。

 

 

 

 

 自室に戻ってから数分後、入学式用として天斗伯父さんに用意してもらった子供用のスーツに着替えた俺は、机の上に置いていた『絆の書』を手に取った。

 

「さて……着替えも済んだし、後は『絆の書』をランドセルに入れるだけだな。義智、一度戻ってくれるか?」

「うむ」

 

 静かに頷きながら答えた義智が、小さな光の球になって『絆の書』の中に戻った事を確認した後、目の前にある中身の少ない黒いランドセルに『絆の書』を入れた。

 

 それにしても……またこれを背負う事になるなんて、夢にも思わなかったな……。

 

 少しの懐かしさと少しの気恥ずかしさを感じながら、俺はランドセルを静かに背負った。そして中身が少しだけ入っているランドセルの小さな重みを背中で感じた後、俺は再び一階へと降り、居間の中を覗いた。すると、そこには机の上に小さなカバンを置いて黒のスーツ姿で穏やかな笑みを浮かべながらテレビを観ている天斗伯父さんの姿があり、俺が居間へ入っていくと、天斗伯父さんは静かに俺の方へ顔を向け、ニコリと笑いながら話し掛けてきた。

 

「どうやら、準備は出来たみたいですね。それでは、そろそろ行きましょうか、柚希君」

「はい!」

 

 天斗伯父さんの言葉に元気よく返事をした後、俺達は手分けをして家の中の戸締まりを確認した。そして、戸締まりが完璧なのを確認した後、俺は天斗伯父さんと一緒に玄関から外へと出て、前世から併せて2回目となる小学校の入学式に参加するために話をしながらゆっくりと歩き始めた。

 

 

 

 

 はぁー……入学式、ちょっとだけ緊張したなぁ……。

 

 数時間後、入学式を終えてクラスメイト達と一緒にクラスに戻った後、俺は席に座りながらぼんやりとそんな事を考えていた。天斗伯父さん達生徒の保護者は、別の教室でこれからの学校生活についての説明を受けているらしく、教室内には担任の先生と俺達生徒だけがいた。

 

 それに学校の式の定番、『校長先生の長話』も味わったし、流石にちょっと疲れたなぁ……。

 

 今にも机にもたれ掛かりそうになるのを我慢しながら、担任の先生の話をのんびりと聞いていたその時、先生が突然クラス内での自己紹介をしようと言い出し、その提案にクラスメート達は楽しそうにざわめき始めた。

 

 自己紹介……そういえば、生前は名前が女子っぽいって言われた事もあったけど、今回はどうかな……?

 

 生前の事をぼんやりと思い出しながらそんな事を考えていると、俺の前の席の生徒が静かに立ち上がり、自己紹介を始めた。

 ……おっと、次は俺か。

 

 そして、前の席の生徒が座った後、俺は静かに立ち上がり、クラス内に聞こえる程度の声で自己紹介を始めた。

 

「遠野柚希です。これからよろしくお願いします」

 

 ペコリと頭を下げた後、静かに席に座ると、クラス中から拍手の音が上がり、それが止むと同時に後ろの席の生徒が立ち上がる音が聞こえた。

 

 ……まあ、自己紹介はこんなもんで良いよな。……それにしても、普段の授業とかテストではどんな風にやっていこうかな……一応、生前は高校生だったわけだし、小学校レベルなら余裕だけど、それで変に目立ちたくもないし……。

 

 クラスメート達の自己紹介を聞きながらこれからの学校での身の振り方に少し悩んでいると、最後の生徒の自己紹介が終わり、担任の先生がニコニコと笑いながら再び話を始めた。

 

 ……まあ、それについては後で義智と相談しながら考えるか。俺一人で考えるよりも義智と一緒に考えた方が良い案も浮かぶかもしれないし。

 

 そしてそんな事を考えている内に先生の話が終わると、先生は帰りの挨拶をするために、俺達に立つように促した。

 

 ……っと、今日はこれで終わりか。さて……帰ったらまずは天斗伯父さん達と一緒に昼食にしないとな。

 

 そんな事を考えつつ、他の生徒達と声を揃えて帰りの挨拶をした。そして先生がそれに答え、教室を出て行った後、クラスメート達は周りの奴と話を始めたり帰り支度を始めたりと思い思いの行動を取り始めた。

 

 さて、俺も──っと、その前に義智に終わった事を伝えておくかな。

 

 そんな事を思いながら俺がランドセルの中から『絆の書』を取りだし、魔力を使って義智に声を掛けようとしたその時、横から突然興奮した様子の誰かの声が聞こえてきた。

 

「なぁ、それって外国の本なのか!?」

「え……?」

 

 その声を不思議に思いながらそっちに顔を向けてみると、そこには俺と同じように子供用のスーツ姿のキラキラとした目で『絆の書』を見ているツンツンとした黒い短髪の少年が立っていた。

 

 外国の本……まあ、書いてる文字はぱっと見そんな感じだし、これが魔導書だと分からない奴からすれば似たような物かもな。

 

 そう思いながらクスリと笑った後、俺は静かに頷きながらソイツの問い掛けに答えた。

 

「まあ、そんなところかな。……と言っても、描いてあるのは日本の妖怪とか西洋の怪物の絵だから、画集みたいなもんだけどさ」

「へぇ-! そうなのか!」

 

 少年は俺の返事を聞くと、更に顔を輝かせ始め、その子供らしい反応に俺は再びクスリと笑った。

 

 ふふ……やっぱりこのくらいの歳だとこういうのに興味は惹かれるよな。実際、前世で人ならざるモノ達に惹かれ始めたのは、大体この頃だったし。

 

 前世の事を思い出しながらそんな事を思っていたその時、ふと少年の胸の名札に目が行き、その名前に俺は思わず小さな声で「……え?」と言ってしまっていた。

 

()()()()()()……? いや、まさかそんな事が……?

 

 俺がその名前に少しだけ動揺していると、『いなばゆうし』は何かを思い出したように両手をポンと打ち鳴らし、ニッと笑いながら話し始めた。

 

「そういえば、自己紹介がまだだったよな! 俺の名前は 稲葉夕士(いなばゆうし)! 漢字は、えっと……こんな感じの!」

「どれどれ……」

 

 そして、『夕士』がランドセルから取り出した小さな紙に書かれた漢字を見た瞬間、俺は目の前にいるのが誰なのかを確信した。

 

 ……ちょっと崩れてて見づらいけど、この漢字は間違いない。つまり、コイツは……。

 

 俺がその少年──『稲葉夕士』に視線を戻すと、夕士はニコニコとしながら俺に右手を差し出してきた。

 

「お前は遠野柚希だったよな。これからよろしくな、柚希!」

「……うん、こちらこそよろしくな、夕士」

 

 そして夕士の言葉に答えた後、俺は夕士と固く握手を交わした。

 

 ……やっぱりコイツは、この世界『妖怪アパートの幽雅な日常』の本当の主人公である稲葉夕士本人みたいだな。でも、まさか入学初日で夕士クラスメートになるとは思わなかったなぁ……。

 

 前世の頃から好きだった作品の主人公が目の前におり、その上クラスメートであるという事実に嬉しさを覚えていたその時、頭の中にふとある人物の顔が思い浮かんだ。

 

 ん、待てよ……夕士がいるって事は、たぶんアイツも……。

 

 そして、俺がこの学校にいるであろうもう一人の主要人物の事を考えていたその時、俺の背後から落ち着いた声が聞こえてきた。

 

「……なあ、その自己紹介、俺も混ぜてもらっても良いか?」

 

 その声がした方を見てみると、そこには高級そうな子供用のスーツに身を包み、穏やかに笑いながら俺達を見つめるサラサラとした短いストレートの黒髪の少年が立っていた。そして俺は、すかさず名札に視線を向けると、そこには夕士と同じように見慣れた名前が書かれていた。

 

 ……やっぱりいたか、そしてコイツまで同じクラスとはな……。

 

 その少年の事について考えていると、夕士はニカッと笑いながら少年の言葉に元気よく返事をした。

 

「ああ、もちろん良いぜ! な、柚希!」

「うん」

「ありがとうな、稲葉夕士、遠野柚希」

 

 少年はその端整な顔でニコッと微笑むと、ゆっくりと俺達へ近付いてきた。

 

 それにしても……まさか入学初日にこの二人に会うなんて、これもいわゆる『(えにし)』という奴なのかな……?

 

 その偶然の出来事に少し驚きながらそんな事を考えていると、少年は俺達の傍まで歩み寄り、純真無垢な笑顔を浮かべながら俺達に手を差し出してきた。

 

「俺の名前は 長谷泉貴(はせみずき)、出来れば苗字の方で呼んでくれると助かる。これからよろしくな、二人とも」

「ああ、よろしくな!」

「よろしくな、長谷」

「ああ」

 

 長谷と握手を交わした後、嬉しそうな笑みを浮かべながら握手をする夕士と長谷の姿を見て、俺はこれからの学校生活がとても楽しみになった。

 

 この二人と一緒の学校生活かぁ……どんな毎日になるかは分からないけど、楽しい事に間違いは無いはずだし、二人と仲良くしながら目いっぱい楽しんでいければ良いな。

 

 二人との学校生活の様子を想像しながら心の中で強くそう願った後、俺は握手を終えた夕士達と一緒に様々な事について話を始めた。

 

 

 

 

「それにしても、まさかアイツらと一年生の時から一緒になるなんてなぁ……」

 

 学校からの帰り道、俺は夕士達の顔を思い浮かべながら小さな声で独り言ちていると、それを聞いていた天斗伯父さんがクスリと笑った。

 

「柚希君としては思わぬ出会いにはなったようですが、それでも夕士君達との出会いは嬉しい物のようですね」

「はい、それはもちろんです。元々、どこかのタイミングで出会えればくらいに考えていたので、小学校の時から出会えた上に友達になれたのは、やっぱり嬉しいです」

「ふふ、そうですか。まあ、夕士君達とは色々な事を話せたようですし、これからの学校生活がとても楽しみですね」

「ふふ……はい」

 

 天斗伯父さんの言葉に答えた後、俺はさっきまでの出来事を想起した。自己紹介の後、各々の趣味や家の事といった事などを話していった結果、俺の家と夕士の家、そして長谷の家が実は思っていたよりも近くにある事が分かったため、俺達は明日から一緒に登校する約束をした。

そして、保護者への説明を聞き終えた天斗伯父さん達が俺達の教室へ来た後、保護者同士の自己紹介などが始まり、それらを終えた後、俺は両親と一緒に帰っていく夕士達を見送り、途中からミニサイズの義智を肩に乗せながら天斗伯父さんと一緒に帰路についていたのだった。

 

 ……まあ、今のアイツらには『絆の書』の真実や俺が転生者である事なんかは話せないけど、いつかは話さないといけないわけだし、その心の準備だけはしておいた方が良いかもしれないな。

 

 そんな事を思いながら歩いていると、肩に乗っている義智が小さな声で独り言ちた。

 

「奴らがこの世界の主要人物か……あの長谷泉貴という小僧はともかく、稲葉夕士の方は大した事が無いようであったな」

「たしかに今はそう見えるかもしれないけど、いずれは夕士だって色々な出会いを経て、立派な魔導書のマスターになるんだぜ?」

「ふん。魔導書の主になるからと言って、全ての者が強力な者になるとは限らん」

「ま、そうだけどさー……」

 

 頭の後ろで手を組みながら義智の言葉に返事をしていたその時、不意に小さな妖気を感じ、俺達は静かに立ち止まった。

 

「これは……妖気、という事は……」

「この辺りに妖でもいるのだろうが、この程度であれば大した事はない。この程度の妖気ならば、力の弱い妖か妖の小童だろうからな」

「妖の子供ねぇ……」

 

 たとえ子供だとしても、妖は妖だと思うけど、白澤の義智からすればそういうもんだろうなぁ……。

 

 義智の言葉について考えていたその時、突然弱い風が吹いてきたかと思うと、右手に小さな痛みが走った。

 

 風……でも、同時に妖気も感じたような……。

 

 そして、右手に視線を向けると、そこには小さな切り傷があり、ごく少量だったが出血もしていた。

 

 血が出てるな……しょうがない、ここは『ヒーリング・クリスタル』の力で……!

 

 俺はもう片方の手で首に掛けている『ヒーリング・クリスタル』に魔力を送った。すると、右手にあった切り傷はみるみるうちに塞がり、程なくして細い筋のようになった。

 

 よし、ひとまずこれで良いな。さて、今度はこの辺りにいる妖の正体についてだけど……。

 

 塞がった傷から天斗伯父さん達に視線を移すと、天斗伯父さん達も妖の正体に気付いている様子で静かに頷いた。

 

「……やはり、間違いないですよね……?」

「はい。少し妙な点はありますが、恐らく間違いないでしょうね」

「うむ……」

 

 俺の問い掛けに天斗伯父さん達が頷きながら答えた後、俺は周囲の様子を窺いながらその妖の名前を呟いた。

 

「……『鎌鼬』だな」

 

 

『鎌鼬』

 

 日本で昔から名を知られている妖の一種で、地方によって色々な伝えられ方をされているが、基本的には鎌のような爪を持った鼬の姿として知られている妖で、つむじ風に乗って現れ人を切り付けるが、切り付けられた場所に痛みや出血はなく、ただ鋭い切り傷だけが残される。

 そして時には、それぞれ違う役割を持った三匹一組で現れる妖とも言われている。

 

 

 ただ、今のは痛みも出血もあった……つまり、鎌鼬の仕業だとしたらちょっと妙なんだよな……。

 

「義智、とりあえずどうしたら良いと思う?」

「そうだな……まずは、そやつに話し掛けてみるのはどうだ?」

「話し掛ける、か。分かった、やってみるよ」

 

 義智の提案に頷きながら答えた後、俺はこの辺りにいるであろう鎌鼬に聞こえるような声で話し掛けた。

 

「おーい、鎌鼬-。ちょっと俺達と話をしないかー?」

 

 すると、突然一陣のつむじ風が吹くと、目の前に鎌のような爪を持った一匹の小さな鼬が現れた。

 

 ……お、いたいた。

 

 予想していた正体が合っていた事で少しホッとしていると、鎌鼬は俺達の事をチラリと見た後、義智が乗っているのとは逆の肩に着地してから不思議そうに首を傾げた。

 

「……今、俺に話し掛けたのは、兄ちゃん達かぃ?」

「ああ、そうだよ。ちょっとお前と話したくてさ」

「ほうほう、人間が俺と話ったぁ、中々面白ぇ事を言うもんだ。まあ、隣に何やら強ぇ力を持った御仁を連れてたり、肩に白澤の兄さんを乗せてたりするくれぇだ。兄ちゃん自身も中々の力を持ってると見たぜ? で、実のとこはどうなんだい?」

「さて、それはどうだろうな。自分の事ではあるんだけど、正直な事を言うなら具体的には分かんないかな」

「はっはっはっ! そりゃあ、そうだよなぁ! てめぇの事はてめぇが一番知ってるなんて言葉もあっけどよぉ、一番知らねぇのがてめぇ自身の事なんだよな! これぞいわゆる灯台下暗しって奴だな! はっはっはっ!」

 

 鎌鼬はとても愉快そうな様子で笑い始めた。

 

 ……何というか、すごく明るい奴だな。それに若干江戸っ子口調だし。

 

 俺は心の中で少しだけ苦笑いを浮かべた後、鎌鼬に再び声を掛けた。

 

「なぁ、鎌鼬。お前の名前を教えてもらっても良いか?」

「ん、俺の名前かぃ? 俺は鎌鼬三兄妹、次男の 風之真(かざのしん)ってんだ!」

「風之真だな。俺は遠野柚希、見ての通りの人間だ」

「我は白澤の義智だ」

「私は遠野天斗、柚希君の伯父です」

「柚希の兄ちゃんに義智の兄さん、そして天斗の兄さんだな! よろしく頼むぜ、三人とも!」

「こちらこそよろしくな、風之真」

「よろしく頼む」

「よろしくお願いいたします」

「おうよ!」

 

 俺達の言葉に風之真がニッと笑いながら返事をする様子から、風之真が俺達に対して一切の警戒心を抱いていない事を感じ、心からホッとしていた。

 

 俺としてはただ話がしたいだけなのに、警戒されていたら何も出来なかったからな。さて、自己紹介は終わったし、そろそろ本題に……。

 

 そして、俺が本題に入ろうとしたその時、風之真が空を仰ぎながら明るい調子で独り言ちた。

 

「いや-、さっきまでは今日は厄日だーなんて思ってたが、こんなに良い奴らに出会えたんなら、今日は思ってたよりも良い日だったみてぇだな!」

「厄日だと思ってたって……何かあったのか?」

「んー……まあ、な。実は俺、こことは違ぇ場所の生まれでな? さっきのさっきまで上機嫌なおてんとさんの下で散歩がてらすいすいすいーって飛んでたんだよ」

「うんうん」

「そうしたら、いきなり目の前がおてんとさんが雲隠れしたみてぇに真っ暗になりやがってよぉ! んで、気付いたらこんなとこにいたもんだから、もう耳元で火縄撃たれたみてぇに驚いちまって、さっきまでここがどこかってのを知るためにびゅんびゅん飛び回ってたんだよ」

「……あ、なるほど。そういう事か」

 

 まあ、そういう理由があったんだったら、しょうがないか。

 

 俺が心の中で納得していると、風之真が不思議そうな顔をした。

 

「そういう事って……いってぇどういう事なんだぃ?」

「いや、さっき突然風が吹いたと思ったら、右手に小さな切り傷が出来てたんだよ。それでここに鎌鼬がいることが分かって、理由を聞くためにお前に声を掛けたんだよ」

 すると、俺が理由を話した途端、風之真はやってしまったという顔になった。

「あちゃあ……そいつぁ、申し訳ねぇ事をしたなぁ……。本当にすまなかったな、柚希の兄ちゃん……」

「いや、別に良いよ。いきなり知らない場所にいたらパニックになるのは仕方ないことだからさ。それにほら、俺の持ち物の力で傷自体は塞いだから、もう問題は無いよ」

 

 俺が塞がった傷口を見せながら優しく言うと、風之真はとても感動した様子を見せた。

 

「柚希の兄ちゃん……! あんたぁ、スッゴく良い人だなぁ……! 兄ちゃんのその観音様みてぇな情け、スッゴく胸に染みわたってくるぜ……!」

「観音様って……別にそんな大層なもんでもないよ。誰だってパニックになったら、周りが見えなくなるもんだしさ」

「柚希の兄ちゃん……あんたって奴ぁ、本当に優しいお人なんだなぁ……」

 

 俺の言葉に風之真は少し感動した様子を見せていたが、すぐにショボンとした様子になると、暗い調子で言葉を続けた。

 

「実は、さっきまで本当にそんな感じでなぁ……いっつも周りにいてくれた兄貴と妹がいないってだけで、スッゴく心細くなっちまったんだよ……。いっつもいっつも、少しは落ち着きを持てーだの少しは世界の事を学べーだの言ってくるばかりの兄貴達でも、いないだけでこんなに心細くなるなんて、まったく思ってもみなかったぜ……」

「風之真……」

 

 ……俺の場合は、自分がすでに死んだって分かってた分、心細さとかは無かった。けど……。

 

「大切な人との別れって、やっぱり辛いものだよな……」

「柚希……」

「柚希君……」

 

 俺の呟くような声を聞いて、義智と天斗伯父さんが少しだけ心配そうに声を上げる。俺は両親を事故で亡くしたと聞いた時、そして葬式の時に人前では泣かないように努めていた。それを見ると親戚以外の参列者達は、まだ四歳だった俺の事を『強い子だ』とか『まだ本当はわかってないんだろう』とか様々な言葉で評した。本当は強くもないし、しっかりと理解はしていたけれど。

しかし、天斗伯父さんに引き取ってもらい、その後改めて両親を亡くした事を理解した時、俺は初めて声を上げて泣いた。あの時ならいくらでも耐えられた涙が、止めどなく俺の頬を伝い、そして俺の衣服を濡らした。

 産まれてから四年、そして物心がついてからだと一年足らずという短い期間の関係だったとしても、やはり辛いものは辛かった。そして誰かを大切だと思うのに、時間の長さなんて関係ないんだと、あの日思い知らされたような気がした。

 

 もしかしたらあの日の涙は、生前の分も含まれていたのかもしれないな……。

 

 その時の事を考え、また少しだけ辛くなりそうだったが、それを何とか押しとどめた後、俺は風之真に対して言葉を続けた。

 

「だから良いんだよ、心細くたって辛くたってさ。だって、それが当然だから、大切な人といきなり別れることになる事なんてのは、さ……」

「柚希の兄ちゃん……」

 

 風之真の寂しさと心配の入り混じった小さな声を聞いた後、俺はある事を話すためにゆっくりと口を開いた。

 

「風之真、実は俺は……」

 

 俺は風之真に自分の正体、ここまでの経緯について語り始めた。そして、俺が語り終えると、風之真は少しだけ落ち着いた様子で静かに口を開いた。

 

「……なるほど、柚希の兄ちゃんもそんな辛ぇ出来事を経験してきてたんだな……」

「ああ。今となってはもう乗り越えられたけど、やっぱり辛いものは辛くて良いんだと思うんだ。けど、その後にその辛さをどうするかはその人次第だ。それをバネに頑張っていくか、その辛さに浸り続けるかは、な……」

「辛さをバネにするか、辛さに浸り続けるか……俺は……」

 

 風之真は呟くように言葉を繰り返した後、静かに考え事を始めた。自分自身の気持ちと向き合い、自分なりのベストの答えを導き出すために。そして数分後、風之真は静かに口を開いた。

 

「……やっぱり、兄貴達がいねぇ分、辛ぇものは辛ぇし、心細ぇものは心細ぇ。けど……だからといってそのまま辛ぇ辛ぇって泣いてんのは俺らしくもねぇ……! 俺は……また兄貴達と会うまで、頑張って生きていかなきゃねぇんだ! いつまでもめそめそ泣いてなんていられねぇんだ! だから俺は……! この気持ちを頑張るための原動力って奴にする! いつか兄貴達と会い、また笑い合うその日まで!」

 

 風之真の顔にはさっきまでの不安などの代わりに、炎のように熱い決意が秘められていた。

 

 これが風之真の選択、か……。

 

 俺は風之真の顔を見ながら静かな声でエールを送った。

 

「……そっか。頑張れよ、風之真」

「おう! もちろんでぃ!」

 

 風之真はさっきまでの曇り空みたいに暗い様子から一変し、快晴の青空みたいな明るい様子で返事をした。

 

 うん、これなら問題は無さそうだな。

 

 風之真の様子を見て、俺がうんうんと頷いていたその時、風之真が何かを思い出したように声を上げた。

 

「あ……でも、俺には行くとこがねぇんだった……」

「あはは……」

 

 まあ、初めての場所なわけだし、基本的にはそうなるよな。よし……。

 

 ある決断をした後、俺は再びショボンとしている風之真に話し掛けた。

 

「なぁ、風之真。それなら俺達と一緒に来ないか?」

「へ……柚希の兄ちゃん達と一緒に、かぃ?」

「ああ。このまま行くとこがないお前を放ってもおけないしさ。それにお前のふるさと探しだって、一緒にやれば見つかる可能性もグッと上がると思うんだ」

「……柚希の言う通りだな。見つけられるまでは分からんが、少ない可能性を追い続けるよりは、多い可能性を追う方が賢い選択だと我は思うぞ」

「ふふ、そうですね。探す人の数が多い方が、見つかる可能性も高まりますから」

「みんな……」

 

 風之真は呟くように言った後、小さく笑いながら言葉を続けた。

 

「へっ、アンタ達の言う通りだ。このまま分の悪ぃ賭けなんざ続けちまってたら、ボロボロに負け続けてすぐに文無しのオケラになっちまう。だったら、一匹で探すなんていう大穴は完全に()して、兄ちゃん達と一緒に探すっていう本命を狙い続けた方が賢い選択だからな!」

「大穴とか本命って……ふふ、やっぱり面白い奴だな、風之真って」

「へへっ、兄ちゃん達……いや、旦那達も似たようなもんだろ? なんせ、転生者なんて不思議な存在とその伯父の神さん、そしてその仲間の白澤様なんだからな!」

「ははっ! たしかにそうだな!」

「へへっ、だろ?」

 

 風之真と一緒に笑い合った後、俺は風之真に右手を差し出した。

 

「それじゃあ……これからよろしくな、風之真」

「よろしく頼むぞ、風之真」

「よろしくお願いしますね、風之真さん」

「おう! こちらこそよろしくな! 柚希の旦那! 義智の旦那! 天斗の旦那!」

 

 風之真が満面の笑みを浮かべながら答えた後、俺達はガッチリと握手を交わした。

 

 夕士達の時と同じで、これも思わぬ出会いにはなったけど、風之真が加わったこれからの生活は絶対に楽しいものになるはずだ。

 

 握手を交わしながら俺はそう強く確信した。そして握手を終えた後、俺はランドセルから『絆の書』を取りだし、空白のページを開いた。

 

「よし、風之真。それじゃあここに手を置いてくれ」

「おう! そして柚希の旦那と一緒に妖力をここに送りゃあ良いんだよな?」

「ああ。よし……それじゃあ始めるぞ」

「へっ、合点承知だ!」

 

『絆の書』のページに俺と風之真の手が置かれた後、俺は魔力を、そして風之真は妖力を白紙のページへと流し込み始めた。

 

 ぐ……この感覚、やっぱりまだ慣れないな……。

 

 魔力が体の奥から腕を伝って手からページへ勢い良く流れ込む感覚を味わっていたその時、義智の時と同様に魔力を注ぎ込み終わった瞬間、体の力が一気に抜け、俺は立ち眩みのような症状に見舞われて倒れ込みそうになった。しかし、両足でアスファルトを踏みしめた事で、どうにか倒れずに済んだ。

 

「……ふぅ、危ない危ない……」

「柚希、大丈夫なのか?」

「……ああ、大丈夫。魔力を一気に多く使うと、どうにもこうなっちゃうみたいでさ」

「そうか……」

 

 俺の返事に義智が少しだけ安心したように声を上げ、その様子に天斗伯父さんはクスリと笑う中、俺は自分の力不足を痛感しながらいつの間にか垂れてきていた額の汗をソッと拭った。

 

 ふぅ……やっぱりこの感覚に慣れるために何か修行みたいなのもした方が良いのかな。

 

 そんな事を考えた後、俺は『絆の書』に視線を落とした。するとそこには、風に乗って飛んでいる様子で描かれた風之真の姿と鎌鼬の詳細が書かれた文章が浮かび上がっていた。

 

 うん、これでオッケーだな。とりあえず、一回風之真を出してやるか。

 

 俺は再び風之真のページに手を置き、そのまま魔力を送り込んだ。するとページから光の球体が浮かび上がり、そのまま俺の横で滞空すると、そのまま鎌鼬の姿へと変化した。

 

「風之真、どうだ? 『絆の書』の中の居住空間の居心地は?」

「へへっ、最高だったぜ! 柚希の旦那! 広ぇ庭園のある武家屋敷みてぇな場所の横に、同じくれぇ大っきな庭付きの異国の建物があったんだ! それに大っきな山とか森とか川とか、色々な花が咲いてる丘とかちっと寒そうな感じのする場所とかもあってよ! あんなに豪華で心地良い場所、一国の殿様でも住めねぇんじゃねぇかと思ったぜ!」

「ふふ、気に入ってくれたようで何よりだよ」

「おう! あんなに良い場所だからな、一目で気に入ったぜ!」

 

 とても楽しそうに『絆の書』の中の居住空間についての感想を述べる風之真の様子に、俺は居住空間に対しての興味が湧いてくるのを感じた。

 

 そういえば、義智によると居住空間にはお手伝いさんみたいなのもいるんだっけ……居住空間について詳しい事は聞いた事が無かったけど、風之真達の話から考えると、もしかしたら居住空間ってこことはまた別の世界にあるのかもしれないな。

 

 まだ見ぬ居住空間について考えを巡らせていたその時、辺りに大きな腹の音が鳴り響いた。

 

「あ……そういえば、昼食がまだだったっけな」

「そうだな。風之真の故郷について考える前に、まずは腹拵えとしよう」

「よし……それじゃあ今日は、風之真の歓迎会もかねた昼食にするか。天斗伯父さん、良いですか?」

「はい、もちろんです」

「ありがとうございます」

 

 そして『絆の書』をランドセルにしまった後、俺は皆に声を掛けた。

 

「よし……それじゃあ早速帰りましょうか」

「うむ」

「おうよ!」

「はい」

 

 三者三様の返事が聞こえた後、吹き抜ける気持ちの良い風のような新しい友達と共に、俺達は家に向かって話をしながら歩き始めた。




政実「第1話、いかがでしたでしょうか」
柚希「夕士達との出会い、そして鎌鼬の風之真との出会いの回だったな。ところで、作中で軽く鎌鼬の説明をしてたけど、これからもやっていくのか?」
政実「『絆の書』のメンバーになるモノが出てくる回はそうするつもりだよ」
柚希「了解。そして最後に、この作品についての感想や意見、評価などもお待ちしておりますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「よし……それじゃあそろそろ締めようか」
柚希「ああ」
政実・柚希「それでは、また次回」
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