転生者の幽雅な日常   作:九戸政景

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政実「どうも、もし心が読めたらそれを人間関係に活かしていきたい片倉政実です」
こころ「皆さん、どうもです♪ 覚のこころです」
政実「さて、今回はこころがメインのAFTER STORYです」
こころ「えっと……これは前回風之真さんがやってらした物ですよね?」
政実「うん。そして、今回はこころが主役の話で、こころ視点で話を進めて行く感じかな」
こころ「ふふ、なるほどです。さてと……それでは、そろそろ始めていきましょうか」
政実「うん」
政実・こころ「それでは、SECOND AFTER STORYを始めていきます」


SECOND AFTER STORY 心の音を聴く少女の決意

「……ふふ、今日も良いお天気ですね……♪」

 

 ある春の日のお昼過ぎ、私は和室の縁側に座り、近くで鳴いている雀などの(さえず)りと『心の声』を聞きながら頭上に広がる綺麗な青空を見上げつつそう独り言ちた。

そして、春らしいぽかぽか陽気に思わず小さな欠伸を漏らしてしまった後、私は「いけないいけない」と言いながら眠気を覚ますために軽く首を横に振り、完全に眠気が無くなった事を確認してから両手を軽く握って気合いを入れた。

 

「……うん、これで大丈夫ですね。それにしても……昔は山に棲んでいた私が、今ではこんなに立派なお家にお世話になっているなんて聞いたら、お父さん達は本当に驚くでしょうね……」

 

 お父さんやお母さん、そして仲間の(さとり)達の驚く顔を思い浮かべながらクスリと笑った後、私はこのお家にお世話になる事になった経緯を想起した。

およそ二週間前の事、棲んでいた山の持ち主がその山やその土地を手放すという話を聞き、私の一族は次の住み処を求めて棲んでいた山から去る事になった。

しかし、たとえ家族でも同じ所に固まるよりも散らばった方がこの一族の存続のためになるという長老様の言葉で、私はお父さん達とも別れる事になった。もちろん、お父さん達と別れるのは寂しくて悲しかったけれど、長老様の言葉はもっともであり、私だけ()()()()()姿()である事を考え、その言葉を受け入れた。

そして、一緒にいるよりもお父さんから何かのためになると思って手に入れておいたという人間の女の子らしい服を受け取り、お父さん達ともしっかりと別れを告げた後、私はご先祖様が人間と夫婦だった事で発生した『先祖返り』の影響で人間の姿として生まれた事を利用してどこかの街で暮らせないかと考え、一番近くにあったこの街へとやって来た。

その後、どこか良い所は無いかと思いながら街中を歩き回ったものの、流石に子供が一人で住めるような場所は無く、私は途方に暮れそうになっていた。でもそんな時、どこからか楽しそうに話す声が聞こえ、それと同時に不思議とその声の主と話してみたいという気持ちが湧き、私はその声がした方へと歩いていき、その先で柚希さん達と出会ったのだった。

 

「ふふ……今思えば、あの時の私は本当に幸運でしたよね。柚希さん達のような綺麗な心の持ち主と出会えた上、こうして一緒に住まわせてもらえているのですから……♪」

 

 だから、私はこれからも柚希さん達の事を傍で支えていく。それが私の願いであり、人間と覚という妖が共存していた証である私の使命だと思うから。

 

 そう思いながら再び青空を見上げた後、「……だからこそ、これは考えないといけませんよね」と独り言ち、私はもう一度両手を軽く握って気合いを入れ直した。

 

「さて……それでは、今日も人間と妖の架け橋となるためにはどうするべきか、その方法について考えていきましょうか」

 

 そして、顎に軽く手を当てながらつい先日立てたばかりの目標について考え始めた。この目標を立てたのはこのお家にお世話になる事になった翌日、風之真さんから故郷にいらっしゃるご家族と再会をするのが目標だと聞き、私も何か目標を持って生活をしたいと思ったからで、人間と覚の血を引く私らしい目標は何だろうと考えた結果、つい昨日思いついたのが人間と妖の架け橋になるという事だった。

 

 ……とても果てしない目標ではありますけど、人間と妖の血を引くモノとして生まれた以上、これは避けては通れない事ですし、人間と妖が仲良く暮らせるようになれば、私の一族のような事になる妖だって減りますからね。それに、柚希さんというお手本にするにはピッタリだと思える方もいますし、私も柚希さんのように両方に寄り添う事が出来るような存在になる方法を考えないと……!

 

 その想いを胸に人間と妖の架け橋になるにはどうしたら良いか考え始めたものの、いくら考えてもそれらしい答えは一向に思いつかず、私は小さく溜息をついた。

 

「……ダメです、良い考えがまったく思いつきません……」

 

 良い考えが思いつかない事にガッカリしながら畳の上にゆっくりと倒れ込んだ後、私は射し込んでくる太陽の光を浴びながら額に静かに手の甲を当てた。そして、静かに目を閉じながら再び小さく溜息をついた。

 

「……思いついたのが昨日とはいえ、まったく何も思いつかないとなると、やはり考え方が悪いのでしょうか……。それとも、私じゃ柚希さんのようにはなれないというのでしょうか……」

 

 それらしい答えにまったく辿り着けないという辛さから、悲しさで胸がいっぱいになりそうになったけれど、この目標を話した時の柚希さんや風之真さんの嬉しそうな顔を思いだした瞬間、このままじゃいけないという思いが私の中で強くなった。

 

「……そうですよね。人間と覚の両方の血を引く私を受け入れて下さった皆さんのためにもこのまま諦めるわけにはいきませんよね……!」

 

 そして、目を開きながらゆっくりと体を起こした後、再び考え事を始めようとしたその時、廊下の方から風之真さんの楽しそうな『声』が聞こえてきた。

 

 ……何やらずいぶん楽しそうですけど、何かあったんでしょうか……?

 

 不思議に思いながら小首を傾げていたその時、「……おっ、いたいた!」と楽しそうな笑顔を浮かべた風之真さんが和室へと入ってきた。

 

「風之真さん、どうかしたんですか?」

「へへっ、ちょっとな」

『まさか、天斗の旦那がケーキを焼いてくれるなんてなぁ……!』

「……なるほど、天斗さんがケーキを焼いて下さるから、私を呼びにいらっしゃった、と……」

「ありゃ、心を読まれちまったか。まあ、そういう事だから、さっさと行こうぜ? お前が人間と妖の架け橋になるための方々を考えてぇのは分かるが、根を詰めすぎても良い事はねぇからな」

『このまま考えさせ続けるよりも一度息抜きをさせた方がぜってぇ良いからな』

「……そうですね。私も良い方法がまったく思いつかなくて困っていたところですし、一度休憩をするのも良いかもしれませんね」

「へへっ、だろ?」

『という事で、早速行こうぜ!』

「ふふ……はい♪」

 

 ニッと笑いながら言う風之真さんに返事をした後、私はゆっくりと立ち上がり、風之真さんを肩に乗せて居間に向けて歩き始めた。

そして居間へ向かう途中、天斗さんがどんなケーキを焼いて下さるのかなと考えていたその時、「……なあ、こころ」と風之真さんから突然声を掛けられた。そのため、風之真さんの『声』は聞き逃してしまったものの、私はすぐさま平穏を装いながらニコリと微笑んでそれに答えた。

 

「はい、何ですか?」

「こころが目標にしてる人間と妖の架け橋になる事についてなんだがな……具体的にはどんな風になりてぇみたいなイメージって奴は固まってるのかぃ?」

『……まあ、話を聞いた日から今日まで悩んでるところを見るに、固まってはいないかもしれないけどな……』

「……そうですね。たしかにちゃんと固まっているわけではありませんが……出来るなら柚希さんのようになりたいかなとは思っています」

「……柚希の旦那みてぇにかぃ?」

『柚希の旦那かぁ……たしかに柚希の旦那も純粋な人間側って言うにはちょいと違ぇかもしれねぇから、そう考えんのも分からなくもねぇか』

「はい。柚希さんは人間ではありますが、普通の人間が持ち得ない『力』を持つ転生者でもありますし、人間と人ならざるモノの両方への理解も深いので、私が目指す形としてはピッタリなのかなと思うんです。架け橋となる以上、どちら側に対しても近い距離で接していきたいですから」

「なるほどなぁ……」

『……だが、その考えはちょいと違ぇ気がすんだよなぁ……』

 

 その『声』を聞いた瞬間、私は思わず「え……?」と言いながらその場に立ち止まってしまった。

 

 人間と妖の架け橋になりたいのに、柚希さんのようになるのは違うって、どういう事……?

 

 そんな疑問を抱きながら風之真さんの顔を見ていると、風之真さんは小さく溜息をついてから静かに話を始めた。

 

「……たしかに、柚希の旦那は俺達や義智の旦那みてぇな人ならざるモノの知識や理解は深ぇし、人間に対しての不信感なんかもねぇから、こころが目指す形としてピッタリだと思ったのは分かる」

『だが、それはあくまでも柚希の旦那だから出来てる事で、こころがそんな風になりてぇと思ったところで、本当にそうなれるわけじゃねぇし、柚希の旦那本人もそれは望んじゃいねぇだろうしなぁ……』

「柚希さんもそれは望んでいないって……それじゃあ私は人間と妖の架け橋として一体どのような存在になっていけば良いんですか……?」

「……そんなの決まってんだろ?」

『これからの人生の中でゆっくりとその答えを探すしかねぇよ』

「ゆっくりと……ですか?」

「おうよ。人間と妖の架け橋になりてぇっていうその考えは立派だが、正直俺やこころはまだまだ人生経験って奴が圧倒的に足りてねぇ」

『だから、その状態で完全な答えなんて求めたところで、上手くいくわけもねぇや。知識や経験が足りねぇ状態でそんなご立派なモノになろうとするのは、材料もねぇのに料理を作ろうとするのと大差ねぇからな』

「そんな……」

「それに、柚希の旦那の事を参考にして自分らしいやり方をみっけていくならまだ良いが、ピッタリだと思ってそのまま突き進んだ結果、本当にそれ自身になっちまったら、こころらしさってのが無くなっちまうぜ?」

『こころにはこころにしかねぇ良さや強みがあんだから、それはやっぱり捨てて欲しかねぇよなぁ……』

「私にしか無い良さ……」

「そうだ。こころは相手の『声』が聞こえる他にも先祖返りだかの影響みてぇなので、そんな風に人間の姿をしてるし、相手の心の様子を視る事も出来るんだろ? だったら、それを活かして行きゃあ良い。

柚希の旦那は相手の波動の様子は視られても、心の中まではこころと同調してねぇと視る事が出来ねぇみてぇだからな」

『もっとも、これは俺的にはそうなってほしいという希望みてぇなもんだから、それを矯正するつもりはねぇさ。だが、心の片隅くれぇに留めておいてくれりゃあ俺としては大満足だ』

 

 声と『声』の両方で自分の思いを話した後、私を見ながらニッと笑う風之真さんの心の中はとても澄み切っており、その事から風之真さんが私の目標に対してとても真剣に意見を述べてくれていた事がしっかりと伝わってきた。

 

 ……ふふ、なんだか不思議ですね。覚である私の良さや強みを活かしながら人間と妖の架け橋になっている自分の姿がまったく想像できないのに、風之真さんの笑顔を見ていると、いつかは絶対にそうなれるような気がしてきます。

もっとも、それが本当に私が目指すべき姿なのかは分かりません。ですが、少なくともただ柚希さんのようになりたいと思うよりは、ずっと正解に近いかもしれませんね。

 

 そんなことを思いながらクスリと笑った後、私は風之真へ向けてペコリと頭を下げた。

 

「風之真、本当にありがとうございます。風之真さんのおかげで、少しだけ道が開けたような気がします」

「へへっ、それなら良かったぜ。まあ、また何か困った時は遠慮なく言えよ?」

『俺で良ければ、幾らでも助けてやっからな!』

「ふふっ……はい、もちろんです」

 

 そうして風之真さんと一緒に笑い合っていたその時、「……どうやら、こころの悩みは解決したみたいだな」という声が聞こえたかと思うと、居間の扉の影からどこか安心したような表情を浮かべた柚希さんがスッと現れた。

 

「柚希さん……私達の話を聞いていたんですか?」

「ああ。居間でお前達を待ちながら義智と一緒に天斗伯父さんの準備をしていた時、お前達の話す声が聞こえたもんでな。悪いかなとは思ったけど、扉の影から聞かせてもらったよ」

『本当は俺もその話には参加したかったけど、風之真が俺の言いたかった事を全て言ってくれたからな』

「なるほど……という事は、風之真さんの言う通り、柚希さんも私が目指すべきは柚希さんのような存在ではなく、私の良さや強みを活かしながら人間と妖の架け橋になれるような存在になるべきだと思っているわけですね?」

「そんなとこだな。まあ、俺みたいになりたいと思ってくれてるのはスゴく光栄だけど、恐らくこころにはこころに合ったやり方が存在すると思うから、俺みたいになろうとするのはあまりオススメ出来ない」

『だから、こころには色々な経験を積み、色々な知識を得ていく中で、どんな風に人間と妖の架け橋になっていきたいかを決めていって欲しいんだ。そのこころの目標自体はとても素晴らしいと思うし、俺としても応援していきたいからな』

「まあ、最後に決めるのはこころだから、口うるさく言い続ける気はねぇが、さっきも言ったように心の片隅くれぇに留めておいてくれりゃあ俺も嬉しいぜ。『こころ』、だけにな!」

「……風之真、お前なぁ……」

 

 柚希さんがどこか呆れたように風之真さんを見るのに対して、風之真さんが頭の後ろに両手を回しながら楽しそうな笑顔を浮かべるいつも通りの光景に、私は安心感を覚えながら思わずクスリと笑っていた。何故なら、それは人間と妖が仲良くしているという光景、人間と妖が共存しているという私が望む光景が広がっていたからだ。

 

 ふふ……やっぱり、この光景を見ていると、スゴく安心しますね。ですが、このお家に神様である天斗さんと聖獣の白澤である義智さんがいらっしゃるように、世界には私達とは違う方が大勢いらっしゃいます。

 

「……となると、私が本当に望むべき光景は……!」

 

 私の中に『ある思い』が生まれた後、私は柚希さん達に声を掛けた。

 

「柚希さん、風之真さん、少し私の話を聞いて頂いても良いですか?」

「ん、別に良いけど……」

『こころ……』

「いってぇどうしたんだ?」

『……まあ、とりあえず話を聞いてからでも良いかねぇ……』

「……お二人もご存じの通り、私は人間と妖が共存するための架け橋となれる方法を模索していました」

「そうだな」

『この感じ……』

「ですが……この世界には、人間と妖以外にも様々な方が大勢いらっしゃいます。つまり、人間と妖の二つだけが、共存出来ていても意味は無いと思うんです」

「ふんふん……」

『やっぱり、か……』

「だから、無謀なのは分かっていても、私は更に上の目標を目指してみたいと思うんです。人間と妖だけではなく、様々な種族が仲良く出来るそんな未来が来るようにこの覚としての能力を駆使して、様々な種族の方々の架け橋のような存在になる。それが私の新しい目標です」

「「……」」

『まあ……予想通りではあるけど……』

『正直、難しい話ではあるかねぇ……』

 

 柚希さんと風之真さんの『声』に私は不安感を覚え、思わずその発言を取り下げてしまいそうになった。けれど、発言を取り下げてしまったら、自分の思いにも嘘をつく事になるような気がし、私は声を震わせながらも柚希さんに問い掛けた。

 

「……やはり、そんなのは私には無謀でしょうか……?」

「……無謀とまでは言わないけど、こころの新しい目標は、実現させるのがかなり難しいと思う」

『人間に対して強い憎しみを持ったモノ達は、世界中に多くいるだろうし、そもそも他種族との関わりを絶っているモノ達もいるはずだしな』

「……そう、ですよね……」

「でも、その目標自体はとても素晴らしいと思うよ」

『俺だって出来るなら色々なモノ達とふれあいったり話をしたりして、仲良くしていきたいからな』

「へへ、だな!」

『実際、神様と聖獣と人間と妖が仲良く暮らせてるんだ。やってやれねぇこたぁねぇよな!』

「柚希さん……風之真さん……」

「だから俺達は、その目標を達成出来るように出来る限りサポートするよ、こころ」

『正直、それくらいしか出来ないのはもどかしい限りだけどな』

「こころ、何か相談してぇ事や協力してほしい事があったら、遠慮無く言ってくれよ?」

『まあ、もっと知識なり経験なりがありゃあ、色々な事をしてやれんだが……今はこれくれぇで勘弁してもらうしかねぇな……』

 

 柚希さん達の頼り甲斐のある声と申し訳なさそうな『声』の対比にクスッと笑ってしまった後、私はニコリと笑いながら柚希さん達に話し掛けた。

 

「お二人とも、本当にありがとうございます。私、お二人のご期待に応えられるように精いっぱい頑張りますね」

「こころ……ああ、頑張れよ」

『俺もこころに負けないように色々頑張らないと、だな』

「へへっ、応援してるぜ、こころ!」

『さーて……俺も負けずにもっと色々な事を学んでいかねぇとな!』

「ふふっ……はい♪」

 

 柚希さんと風之真さんの決意に満ちた『声』を聞き、改めてやる気を出していたその時、「ふふ……どうやら解決したようですね」という声が居間から聞こえ、私達は揃ってそちらに視線を向けた。

すると、居間から天斗さんと義智さんが私達の事を見ており、天斗さんがニコニコと笑っているのに対し、義智さんはいつものように落ち着き払った様子で軽く腕を組んでいた。

 

「天斗さん、それに義智さんも……」

「ケーキが出来上がったので早速呼びに行こうとしたのですが……何やら真剣にお話をしていたので、申し訳ありませんがこっそり聞かせて頂いていました」

「……まあ、結論は想定通りではあったがな」

『だが、その考えは悪くない』

「ふふ、そうですね。こころさん、柚希君達同様、私達も何かお手伝い出来る事があれば、お手伝いさせて頂きますね」

「共に暮らす者として、それくらいはやって当然だからな」

『どこまで出来るかは分からんが……な』

「天斗さん……義智さん……はい、ありがとうございます♪」

 

 ふふっ……やっぱり、皆さんに出会う事が出来て、本当に良かったです。皆さんにもサポートしてもらう以上、この目標を達成出来るように精いっぱい頑張っていかないと、ですね♪

 

 柚希さん達の姿を見ながらやる気を高めていると、突然グーッという音が鳴り響き、途端に柚希さん達の視線が私に集中した。

 

「あ……す、すみません……」

「ふふ、頑張る前にまずは腹拵えですね。腹が減っては戦は出来ぬ、なんて言葉もありますし、とりあえず休憩がてらティータイムにしましょう。柚希君、義智さん、手伝ってもらっても良いですか?」

「はい、もちろんです」

『まずは、皿とフォーク……いや、紅茶からの方が……』

「無論だ」

『……とりあえず、作業については柚希と相談をしなければな……』

 

 そして、柚希さん達が準備のために居間へ入っていった後、私がそれに続いて歩き始めようとしたその時、「こころ」と風之真さんが声を掛けてきた。

 

「風之真さん、どうかされました?」

「……いや、頑張るのは良いが、頑張りすぎねぇようにだけはしろよって言いたくなっただけだよ」

『こころはいつもほわほわとしてるが、何だかんだで真面目だから、ほっとくとがんばり過ぎちまうかもしれねぇからな』

「……ふふ、お気遣いありがとうございます。私もそうならないように気をつけますが、もしもそうなりそうな時は止めてもらっても良いですか?」

「おう、もちろんだ!」

『こころだって、俺達の大切な仲間で家族だからな! 手伝うと決めた以上、全力で手伝わせてもらうぜ!』

「……ふふっ、ありがとうございます。さてと……それでは、私達も行きましょうか」

「おうよ!」

『ケーキ♪ ケーキ♪』

 

 ケーキを楽しみにしている気持ちが風之真さんの『声』から伝わってきた後、私は同じようにケーキを楽しみにしながらゆっくりと歩き始めた。

 これから、私は柚希さん達と一緒に様々な出会いや経験をして、時には哀しく辛い事にも遭うかもしれない。でも、例えどんな事があったとしても、この幸せで平和な時間だけは、いつまでも大切にしたい。ここは私にとっての新たな居場所であり、新しく出来た大切な宝物なのだから。

 そんな事を思いながら小さく笑った後、私は美味しそうな香りが漂ってくるのを感じながら柚希さん達のいる居間へと入っていった。




政実「SECOND AFTER STORY、いかがでしたでしょうか」
こころ「今回は私のこれからの目標についてのお話でしたね」
政実「そうだね。人間の血を引く妖であるこころだからこそ全てのモノ達が手に手を取り合うような未来を夢見る。そんな話を書いたつもりだけど、正直いつもの会話文の他に心の声を書くのは結構疲れたかな……」
こころ「ふふ、お疲れ様です♪ さて……それでは最後に、今作についての感想や意見、評価などもお待ちしていますので、書いて頂けるととても嬉しいです。よろしくお願い致しますね」
政実「さてと、それじゃあそろそろ締めていこうか」
こころ「はい♪」
政実・こころ「それでは、また次回」
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