柚希「どうも、遠野柚希です。まあ……イメージ通りの回答だったな」
政実「スポーツの秋っていうほど、スポーツをしてるわけでもないし、食欲の秋っていうほど、食べ物を食べるわけでもないし、他の秋シリーズに当てはまる物も無いから、消去法でもこうなっちゃうんだよね」
柚希「まあ、良いんじゃないか? 読書も大切なわけだし。さてと……前書きはここまでにして、そろそろ始めていくか」
政実「そうだね」
政実・柚希「それでは、第4話をどうぞ」
「もう秋かぁ……この前まで夏休みだったせいか、何だか不思議な感じがするなぁ……」
煌めくような日差しと灼熱のような暑さだった夏も過ぎ、すっかり涼しくなった秋の気候の中、俺達が学校に向かって歩いていると、ふと夕士がそんな事を言い始めた。
「不思議って……まだ頭の中では夏な感じがするからって事か?」
「うーん……たぶんそうなんだと思う。ほら、休みの日に一緒に遊んでると、いつの間にか夕方になってて、あ……もう夕方かぁみたいになるだろ? アレと同じような感じがするんだよ」
「なるほどな」
俺が相づちを打つと、長谷が静かに微笑みながら夕士の言葉に答えた。
「たしかに楽しい時間はあっという間だよな。俺なんか稲葉達と初めて会ったのが、ついこの前みたいに感じるよ」
「長谷……ああ、俺もだぜ! 柚希もそうだよな?」
「ああ、もちろん」
もっとも、俺の場合は絆の書の仲間達との出会いもあったから、尚更そう感じるんだけどな。
微笑みながら夕士に答えつつ、そんな事を考えていると、向こう側から茶色と黒色の柴犬の二匹を連れた人が歩いてきた。柴犬達は時々目の前に降ってくる落ち葉に視線を移したりしながら、飼い主の人と一緒に俺達の横をスタスタと歩いていった。
柴犬か……そういえば前世で柴犬を飼ってたけど、アイツは今頃元気かな……?
距離が離れていく柴犬達と前世で飼ってた柴犬とを重ね合わせながら見ていると、夕士が羨ましそうな様子で柴犬達の事を見ていた。
「犬かぁ……良いなぁ……」
「ん、もしかして夕士……犬が飼いたいのか?」
「あ、うん。お父さん達に何回も飼いたいって言ってるんだけど、いつも考えとくねって言われてばっかりでさ……」
「まあ、そうなるよな。なにせ犬だって俺達と同じ命だからな」
「そうだな。生き物を飼うって事は、それ相応の責任を伴う。その責任を背負う覚悟が稲葉に見られた時、その時には稲葉の親御さん達も首を縦に振ってくれるんじゃないか?」
「責任を背負う覚悟……か」
夕士はその言葉を噛み締めるように繰り返した。
実際、俺も前世で同じ事を父さん達から言われた後、その覚悟を見せたからアイツを家族として迎え入れられたんだっけ……でも、生き物を飼うっていう事は、それだけ重要なことだし、仕方がないんだよな……。
夕士の姿を見ながら、前世での事を思い出していると、夕士は何かを決意した様子で俺達に話し掛けてきた。
「よし……俺、その責任を背負う覚悟っていうのが決まるまで、お父さん達に言わないことにするよ」
「そうか……でも、本当に良いのか?」
「ああ。覚悟もないのに、犬を飼った所で、可哀相な目に遭わせちゃうかもしれないだろ?
だから、良いんだよ、これで」
「そっか。そういう事なら、俺達も応援するぜ。な、長谷」
「ああ、もちろんだ」
「柚希……長谷……ありがとうな!」
「どういたしまして」
原作だと犬を飼ってたみたいな描写は無かったけど、果たして今の俺達の発言でそれが変わったりするのかな……?
本来は無かったはずの発言による、話の流れの変化について少しだけ考え始めたその時、夕士が何かを思い出したような様子で俺達に話し掛けてきた。
「そういえば……柚希と長谷ってさ、何というかこう……今みたいに大人っぽい時があるよな? 難しい言葉を知ってたり、大人が言いそうな事を言ってたりさ」
「そうか? 俺はこれで普通だと思うけど……遠野はどうだ?」
「え、あー……うん、そうだな。それに難しい言葉を知ってるのは、たまに伯父さんの持ってる本を読ませてもらってるからだと思うぜ? ……うん」
俺が内心冷や汗をかきながら答えると、夕士は納得した様子を見せた。
「そっか……うーん……俺も本を読んでみた方が良いのかな……?」
「まあ……読書は大事だと思うし、良いんじゃないか? な、長谷?」
「そうだな。小さい頃から本を読む習慣をつけておけば、いざという時に役に立つだろうからな」
「なるほどな……うん、分かった。それじゃあ、何かおすすめの本があったら教えてくれよ?」
「ああ、良いぜ」
「俺も大丈夫だ」
「うん、ありがとうな、二人とも」
夕士の笑顔を見ながら、俺は心の底からホッとしていた。
ふぅ……どうにか話をそらせて良かった……最終的には話さなきゃいけないと思うけど、そのタイミングは絶対に『
心の中で強く決心をしながら、俺は夕士達と話をしながら学校に向けて歩いていった。
「ただいま帰りましたー」
「戻ったぞ」
「ただいまー」
「ただいまです」
「ただいま戻りました」
今日は合気道の道場に行く日では無かったため、学校から帰ってきて、そのまま夕士達と別れた後、俺は絆の書から出した黒銀以外の仲間達と一緒に家の中へ向かって声を掛けた。すると、家の中から何かが走り回るような音が聞こえてきた。
え……この展開、何か覚えがあるんだけど……。
「……今、家の中から何かが走り回るような音が聞こえたよな?」
「……うむ」
「……七夕の時は、アンが泣いてやがったわけだが……今度は一体何だってんだ……?」
「えっと、走り回ってるという事は……もしかしたら何か動物さんがいるんでしょうか?」
「あ、そうかもしれませんね」
「動物か……」
普通の動物ならまだ良いけど……七夕のアンの件で、天斗伯父さんには神様の知り合いがいることが完全に明らかになったし……もしかしたら今回もその類いなんじゃないかな……。
心の中で少し嫌な予感を感じていると、微かな魔力を持った何かがだんだん近付いてきているのを感じた。
魔力って事は……やっぱりそういう系か。でも、今度は一体……?
その魔力を持った何かについて考えようとしたその時、居間から頭が二つある小さな仔犬のようなモノが飛び出してきた。そして仔犬みたいなモノは、突然俺達の方に向きを変えると、舌を少しだけ出しつつ短い尻尾をぶんぶんと振りながら全速力で走ってきた。
「……え? は、ちょっ……!?」
突然の事に俺が反応できずにいると、その仔犬らしきモノは俺の目の前でピョンと飛ぶと、俺の胸に勢い良くぶつかった。
「ぐ……!」
「柚希!」
「柚希の旦那!」
「柚希さん!」
「柚希お兄さん!」
義智達の声を聞きながら、その衝撃と鈍い痛みに俺は声を上げたが、合気道で得た精神力で何とか堪えると、咄嗟に仔犬らしきモノの下に手を伸ばした。すると仔犬らしきモノは、俺の手の中にすぽんと収まると、俺の顔をジッと見つめながら、舌を出しながらハッハッハッという息づかいをしていた。
ふぅ……これで一安心だな。
俺は心の中で少しホッとした後、胸に残る痛みを感じながら、その仔犬らしきモノを観察した。仔犬らしきモノはさっき見たように頭が二つあり、生えている毛は闇のように黒かった。そして短い尻尾のようなモノを見てみると、それは尻尾というよりは蛇のようなモノだった。
頭が二つあって、尻尾が蛇みたいなモノ……つまり、コイツの正体は……。
俺が仔犬らしきモノの正体を確信していると、居間の方から少し困った様子で額の汗を拭う天斗伯父さんが出てきた。そして天斗伯父さんは俺達の姿、そして仔犬らしきモノの姿を見ると、とても安心した様子で声を掛けてきた。
「お帰りなさい、皆さん」
「ただいまです、天斗伯父さん。……あの、コイツってもしかして……」
そして俺は、仔犬らしきモノの正体について口にした。
「『オルトロス』ですか?」
「はい……その通りです」
天斗伯父さんが少し疲れた様子で返事をすると、仔犬らしきモノ──オルトロスはまるで正解っと言うかのように、ワンッと仔犬らしい高めの鳴き声を上げた。
『オルトロス』
ギリシャ神話に登場する、双頭の犬。
テュポーンとエキドナを親に持ち、兄は地獄の番犬として有名なケルベロス。
名前には『速い』という意味があり、性格は落ち着きがなく、せっかちであると伝えられている。
うん、まさにその通りだったな。
手に収まっているオルトロスに目を向けると、周りをきょろきょろと見回しながら、走り回りたそうな様子でもぞもぞと動き始めた。
しかし、走り回らせたら最後、総出で家の中の片付けをしないといけなくなりそうなので、俺はオルトロスが逃げないように両手でしっかりと体を掴んだ。そして大丈夫だと感じた後、俺は天斗伯父さんに話し掛けた。
「でも……どうしてオルトロスがこの家にいるんですか?」
「それは……まず、皆で居間に行ってから話す事にしましょうか。今、ちょっと居間の片付けもしないといけなかったので……」
「分かりました。よし、それじゃあ行こうか、皆」
義智達が静かに頷いた後、俺達は居間へと向かい、そのまま途中になっていた居間の片付けを始めた。
十数分後、居間の片付けも無事に終わり、俺は知恵を借りるために黒銀にも外に出てもらった。そして俺達、人型のモノ達は椅子へと座り、風之真達のような獣型のモノ達には机の上に座ってもらった後、俺達はオルトロスについての話を始めた。
「えっと……それで、どうしてここにオルトロスがいるんですか?」
「それはですね……七夕の時のアンさんと同じように、オルトロス君のご両親から頼まれたからなんです」
「なるほどな……おおよそ、お前が『こちら』の仕事終わりに、『あちら』に行った際、このオルトロスの両親がちょうど来ていたといったところか」
「はい、その通りです」
義智の問い掛けに天斗伯父さんが答えると、風之真がオルトロスのことを見ながら不思議そうな様子で訊いてきた。
「このワン吉の両親ねぇ……ってこたぁ、その両親ってのもわんこなのかぃ?」
「いや、父親のテュポーンはギリシャ神話に出てくる巨人だし、母親のエキドナは同じギリシャ神話に出てくる、人間の女性の上半身に蛇の下半身を持った、いわゆる蛇女みたいな感じかな」
「はぁー……! そんな両親からこんなワン吉が生まれるってのか……! 異国ってのは、中々どうして珍妙なとこなんだねぇ……」
「まあ……そう言えなくも無いかもな」
風之真の感想に俺は苦笑いを浮かべながら答えた。
実際のところ、日本神話も含めて神話っていうのは、大体のが人間から見れば珍妙な物ばかりだしな。
そして、天斗伯父さんも風之真の感想に朗らかに笑いながら静かに答えた。
「ふふ、たしかにそうですね。私が知っている限りでも、様々なご夫婦がいらっしゃいますから。さて、話を戻しますね。それでご両親の話を聞いてみたのですが……先日、お兄さんのケルベロス君をある魔導師に預けたそうなのですが、このオルトロス君も修行の一環として誰か良い人に預けたいとの事だったのです」
「良い人……それはつまり、魔導師で誰か良い人って事ですよね?」
「その通りです。七夕のアンさんと同じように色々な物を見たり触れたりして、成長をして欲しいとご両親は言っておりました」
「ふむ……まあ、子供の成長という物は、親にとって大事なことだからな。それで、そのアテという物があるからとりあえず預かってきたのだな?」
「はい。ですが……初めての場所だったからなのか、家の中を突然走り回ってしまって……」
「その結果……さっきみたいな事になってしまったんですね?」
「はい……皆さんには、本当にご迷惑をおかけしました……」
「あ、いえ……迷惑なんて思ってませんよ。それよりも……」
俺は再びオルトロスの方へ視線を向けた。すると、オルトロスはさっきまでの落ち着かない様子とは打ってかわって、とてもリラックスした様子で体を丸めていた。
もしかして流石に疲れたのかな……?
オルトロスの様子に少しだけ疑問を抱きながらも、俺は言葉を続けた。
「良い魔導師のアテがあるって言ってましたけど、それって一体……?」
「それはですね……少々魔導師とは違うのですが、柚希君の事なんです」
「え、俺ですか……?」
「はい。柚希君ならば、オルトロス君の事も大事にしながら、成長を促していけると感じましたので」
「そう言ってもらえるのは嬉しいですけど……でも、本当に俺で良いんですか?」
「はい。それにそう決めたのには、ちゃんとした理由もありますしね」
「理由……ですか?」
俺が首を傾げつつ訊くと、天斗伯父さんはニコニコと笑いながら静かに答えた。
「オルトロス君なんですが……さっきはとても活発に走り回っていましたが、今は柚希君の傍でとてものんびりとしていますよね?」
「はい、でもそれが一体……?」
「実はご両親のお話によると、オルトロス君は気に入った相手の傍でしか、このような姿を見せないそうなのです」
「そうなんですか?」
「はい、そのようです。さっき初めて会ったはずの柚希君に対してこのような姿を見せている、つまりオルトロス君は柚希君の事を気に入ってるという事になります」
「ふむ……なるほどな。どうせ預けるならば、オルトロスが気に入った相手の方が良いという事か」
「はい、その通りです。それに、オルトロス君の世話をする事が、柚希君がまた違った成長をするチャンスにも繋がると思いましたので」
「また違った成長をするチャンス……」
俺がオルトロスに視線を向けると、オルトロスはゆっくりと起き上がり、再び俺の顔をジッと見ながら尻尾の蛇をぶんぶんと振り始めた。
違った成長をするチャンス……それに繋がるかは正直分からない。でも、コイツが俺の事を気に入ってくれているのなら……!
俺は心の中で決心した後、天斗伯父さんに話し掛けた。
「天斗伯父さん、俺にコイツを……オルトロスを育てさせて下さい」
「柚希君……ふふ、そう言ってくれると思っていましたよ。
それではご両親には私がお話をしておきますので、オルトロス君の世話はお願いしますね?」
「はい!」
天斗伯父さんの顔をまっすぐに見ながら、俺は大きく返事をした。
コイツが俺の事を気に入ってくれているのなら……俺はコイツの世話をする事の責任を背負おう。今日初めて会った俺の事に好意を示してくれているコイツや期待してくれている天斗伯父さんの為にも……。
そしてオルトロスの方へ視線を移した後、俺はオルトロスと同じ目線になるように頭の位置を下げてから、オルトロスの頭を撫でつつ声を掛けた。
「これからよろしくな、オルトロス」
するとオルトロスは、それに答えるようにワンッと大きな鳴き声を一回だけ上げた。
それにしてもオルトロスか……ケルベロスを預かったっていう魔導師が、もし俺の思ってる存在だとしたら、数年後に兄弟が再会することになるなぁ……。
でも……『あの時』のケルベロスって、たしか目も開いてないようなくらいの仔犬だった気もするし……もしかしたら、俺達のような『
オルトロスを撫でながらそんな事を考えていると、風之真が少々高めのテンションで話し掛けてきた。
「よっし……となりゃあ、柚希の旦那。早速このワン吉に名前をつけたらどうでぃ?」
「名前か……それならもう決まってるよ」
少しだけ口元を綻ばせながら風之真に答えた後、俺はオルトロスの顔を見ながら、前世での事を思い出していた。前世でアイツを飼うことが決まった後、俺は色んな本とかを参考にして、アイツの名前を考えていた。そしてその中で、俺はある名前を見つけた。それがこのオルトロスだった。
そしてあの頃の俺は、そのオルトロスの絵と詳細を見て、とてもピッタリだと感じ、すぐにアイツが入っているケージへと走り、今みたいにアイツの顔をまっすぐに見ながら、少し興奮気味に話し掛けた。
『お前の名前が決まったよ!』
「お前の名前は……」
「『オルト』だ」
あの頃と重なるような形でオルトロス──オルトに名前を告げると、オルトはあの頃のアイツと同じように俺の顔をジッと見つめた後、嬉しそうな様子でワンっと一声だけ鳴いた。
思い返してみれば、アイツと出会ったのもこのくらいの時だった気がする。前世でのペットだった黒柴のオルト、そして俺の新しい仲間であるオルトロスのオルト。このあの時と同じような出会いも、また俺の『縁』が招いた物なのかもしれない。
さて……そろそろいつものをやっておくか。
そして机に置いていた絆の書の空白のページを開いた後、俺はオルトに絆の書や俺の正体についての説明を始めた。説明をしている間、オルトの顔からは俺の説明が理解出来ているかは分からなかった。
けれど説明を終えた瞬間、オルトは再びワンっと大きな鳴き声を上げた。すると、こころがクスクスと笑いながら静かに声を掛けてきた。
「柚希さん、オルト君にはしっかりと説明は届いてるみたいですよ?」
「そっか、それなら良かったよ」
「はは……こりゃしばらくは、こころを介しての会話になりそうだなぁ……」
「そうだな。でも……いつかはちゃんとオルトとも話せる日が来る、俺はそう思ってるから」
「うむ、そうじゃな。だが、オルトと話す事が目的になるのではなく、オルトを成長させつつ、お前も精進せねばならんぞ、柚希」
「ああ、もちろんだ。よし、それじゃあ早速……」
皆との会話を終えた後、俺はオルトに声を掛けた。
「それじゃあオルト、お前もここに前足を置いてくれ」
そして、オルトがワンっと一声鳴いて、空白のページに前足をポンッと置いた後、俺も手をページに置いた。その瞬間、いつものように魔力が体の奥底から腕を伝って、手にある穴から空白のページへと流れ込むイメージが頭の中に浮かんだ。
ここまで何回もやってきたから、俺は大丈夫だけど……。
チラリとオルトの方へ視線を向けると、オルトは少しだけ辛そうな表情を浮かべていたが、俺の顔をチラリと見ると、すぐに大丈夫だというような表情へと変わった。しかし、必要な量が流れ込んだ瞬間、俺の体から力が抜け、ガクッと倒れ込みそうになったが、机にもう片方の手を置くことでどうにか体を支えることが出来た。
オルトは……?
絆の書に視線を向けると、そこには空に向かって雄叫びを上げているオルトの姿とオルトロスについての詳細が浮かび上がっていた。
良かった……成功したんだな……。
心の底からホッとした後、俺はオルトのページに手を置き、魔力を注ぎ込んだ。そして、ページから光の球体が浮かび上がり、それが机の上でオルトへと変化すると、オルトは元気な様子でワンっと一声鳴いた。
「ははっ! オルトの奴、向こうの空気吸ってすっかり元気になったみてぇだな」
「そうみたいだな」
風之真の言葉に返事をした後、俺はオルトに声を掛けた。
「オルト、これからよろしくな」
するとオルトは、俺の顔をジッと見ながら、それに返事をするように元気な声でワンっと鳴いた。そしてその日の内に、天斗伯父さんがオルト用のリードと首輪を用意してくれたため、次の日から学校や合気道の道場通いの他に、早朝のオルトの散歩が一日の行動の中に加わった。
次の日の午前5時頃、絆の書の中から出したオルトに首輪とリードを付け、俺は散歩へと繰り出した。様々な事を考え、この時間に設定したものの、やっぱり久しぶりの早起きは少しだけキツかった。
まあでも……オルトのためだし、これくらいは頑張らないとな。
そして、二つの頭で周りをきょろきょろと見回しながら歩くオルトの姿を見ていた時、ふと黒銀の言葉を思い出した。
オルトを成長させつつ、俺も精進をしなければならない、か……。前々から分かってはいたけど、これからはもっと頑張らないとな。オルトのためにも、俺の事を信じてくれてる皆のためにも。
強く決心した後、俺はオルトに声を掛けた。
「オルト、これから一緒に頑張っていこうな」
するとオルトは立ち止まり、二つの頭を同時にこちらへ向けると、俺の言葉に返事をするように元気な声でワンっと鳴いた。
政実「第4話、いかがでしたでしょうか」
柚希「徐々にだけど、俺達が関わってきた事による、影響みたいなのが明らかになってきたな」
政実「うん。そしてこれにより、徐々に原作の流れとは少々違うことにはなっていくかもしれないけど、それはまだ未定かな」
柚希「そっか。さてと、次の投稿予定はいつ頃になりそうなんだ?」
政実「未定ではあるけど、この過去編が当初よりも長くなりそうだから、過去編が終わるまでは出来る限り早めの投稿にしていくよ」
柚希「分かった。そして最後に、この作品についての感想や意見、評価もお待ちしていますので、書いて頂けると嬉しいです。よろしくお願いします」
政実「さて……それじゃあそろそろ締めていこうか」
柚希「そうだな」
政実・柚希「それでは、また次回」