大帝国 南遣艦隊記   作:ShinGen

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私たち第106護衛戦隊と離脱に成功した少数の艦艇は護衛艦隊、第四艦隊と共に後退。

 

何とか生き延びた日本海軍艦艇たちは無茶な連続全速航行や中帝国艦隊、反乱部隊との交戦により負った傷を癒すために多くがドック入りとなった。

 

今この時ばかりは、中帝国軍の外征能力の低さをこの上なくありがたく感る。

 

と言うのも、現状での稼働艦艇はそのほとんどが中小護衛艦ばかりで大型主力艦は機関部の補修のため徹底した機関改装を施されている「伊勢」に現在公試段階の「長門」。

 

艤装半ばの「陸奥」に近代化改装が終わったばかりで練成中途の金剛型4隻と満州会戦を命からがら逃げ延び、上部構造物をほぼ全損しドック入りした巡戦「赤城」戦艦「加賀」の計9隻がその全てだった。

 

巡洋艦についても、重巡は修理中の「利根」「筑摩」に、建造途中、近代化改装中の物を含めて10隻。

 

建造中や改装中を含めても半数近い主力艦を失った今、稼働する軽巡や駆逐艦と陸軍要塞砲隊が最後の防衛戦力だった。

 

 

そして私はと言うと……

 

「……暇」

 

帰還後に待機を命じられ、本土の自宅で時間を持て余していた。

 

帰って直ぐはお父さんのお葬式に遺品の整理なんかで忙しくどこか現実味が無かったが、やるべき事が無くなると一気に悲しみが襲ってきた。

 

でも、そんな私を励まし元気づけてくれた人がいたから、私は悲しみを乗り越えることができた。

 

「多萌?いるー?」

「あ、はーい。今開けるー」

 

それが今我が家を訪れた彼女、松田(まつだ)千春(ちはる)だった。

 

「ごめんごめん、意外と道混んでてさ」

「あー……この時間大通り混むもんね」

 

千春は私と同い年で、艦船での回避機動に定評があって「伊勢」の艦長を拝命していた。

 

先の会戦で私が「伊勢」を助けた縁もあり、お父さんの部下でもあった彼女と出会うのは必然的でもあった。

 

「で、どうしたの?なにか用事?」

「海軍本部からの使いだよ。多萌に、本部まで出仕しろだって」

「……やっぱり()()、かな?」

 

というのも、事情はどうあれ私たちは第一艦隊を置いて撤退してしまったのだ。敵前逃亡と言われても仕方がないと考えていた。

 

「いや、そういう訳では無いっぽいよ?」

「え?」

「とにかく、行こう!」

 

千春に促され、私は海軍本部へ向かった。

 

 

―――――――――

 

 

海軍本部庁舎――――

 

 

「山口多萌大佐、出頭しました!」

「同じく松田千春、出頭しました!」

 

出仕した私たちの耳に最初に飛び込んできたのは――――

 

「いい加減にしてください!東郷長官!!」

怒鳴り声と――――

 

「はっはっは、そう硬いことを言うな秋山」

 

完全に状況を楽しんでいる笑い声だった。

 

怒鳴り声の主は、満州で壊滅した幕僚陣の後継として連合艦隊参謀長の任に就いた秋山(あきやま)敬一郎(けいいちろう)少将。

 

そして笑い声の主は――――

 

「お、来たね?」

 

お父さんの次代として海軍司令長官となった、東郷(とうごう)(つよし)大将だ。

 

「実は君たちに……正確には多萌ちゃん、君にお願いがあってね」

「お願い……ですか?」

「ああ。多萌ちゃん、艦隊司令になってくれないかい?」

 

その言葉の意味を飲み込むまで、少し時間がかかった。

 

当然だ。私は単なる戦隊司令、艦隊を指揮するには階級も、経験も足りなかった。

 

「……なぜ、でしょうか?」

「ふむ、君の軍学校での成績とこれまでの勤務態度から判断した。君ならやってくれる、ってね」

「で、ですが私は階級も低いですし経験も……」

「その点でしたら問題ありません」

 

私の疑問に、秋山参謀長が答えてくれた。

 

「階級は、この辞令を受けるならば少将に昇進しますから問題ありません。経験については、先の満州会戦で多くの将兵が亡くなったため実戦経験者はほぼ皆無な状況ですから」

「で、ですが……」

 

そう言われても、簡単に決めることは出来なかった。

 

「多萌」

「千春……」

「多萌の気持ち次第だと思うよ?」

 

気持ち……私の気持ちは……

 

「長官」

「なんだい?」

「私は、前倉長官に……お父さんに言われたんです。日本を、海軍を頼む……って」

 

お父さんに最後に言われた事、最後に頼まれたこと……

 

「私は、お父さんの最後の頼みをちゃんと聞いてあげたい……!」

 

そうだ、迷う必要なんて無かったじゃないか。

 

「長官、若輩者ではありますが栄えある帝国海軍艦隊司令の大任、謹んでお引き受けします!よろしくお願いします!」

「ああ、こちらこそよろしく頼む」

 

そう言って、長官は私の手を取った。

 

「さて、では早速だが君の同僚達とあいさつと行こうか」

「はっ、既に全員揃っています」

「わ、分かりました」

「千春ちゃんも来ると良い、君と君の「伊勢」は山口艦隊に配属される事が内定しているからね」

「おっ、わっかりましたー!」

 

そうして通された別室で、私は先輩と新しい同僚になる個性的な提督たちと顔を合わせた。

 

「お?多萌じゃないか!多萌も提督に?」

「先輩もでしたか!」

 

旧知の南雲先輩。

 

「おう、嬢ちゃん!これからよろしく頼むぜ!」

 

そう言ってがはははっと豪放磊落に笑ってみせる老提督、山本(やまもと)無限(むげん)中将とその専属看護師古賀(こが)ひとみさん。

 

「よろしくな、ただし!俺が頂点を目指す邪魔はするんじゃねーぞ!」

 

何というか、猪突猛進を絵に書いたような青年、田中(たなか)雷蔵(らいぞう)少将。

 

「……よろしくお願いします」

 

どことなく独特の雰囲気を醸し出す少女、小澤(おざわ)祀梨(まつり)少将。

 

東郷長官に私を含めたこの6人が、新生日本海軍の主力艦隊を指揮する提督だ。

 

「では皆、よろしく頼む!」

「ふふ、面白くなりそうだね」

「がっはっは!久々に面白い博打が打てそうじゃ!」

「言われるまでもねぇぜ!」

「む、頑張りますよ」

「精一杯やらせていただきます!」

 

この日から、私の艦隊司令としての人生が始まった―――――

 

 

 

 




本家風山口多萌少将の能力値

スキル:大制空

指揮値360→390

部隊1 全性能+10%(旗艦伊勢 変更不可)
部隊2 航空+10%
部隊3 航空+10%
部隊4 徹甲弾-20%

原作をやったことがある人にはわかる……?
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