大帝国 南遣艦隊記   作:ShinGen

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Turn 6

「攻撃隊に伝えて!祀梨ちゃんの部隊と歩調を合わせて、要塞線の一端をぶち抜くよ!」

「了解!」

 

飛び立った戦闘機隊に攻撃機隊は艦隊前方で体勢を整えると、要塞線へ向けて突進して行く。

 

「指揮官機からのト連送を受信!」

「皆、頼んだよ……!」

 

 

―――――――――

 

 

是苦外(ゼークト)ライン上空

 

「よーし!一気に要塞を粉砕するぞ!(たか)ちゃんにも伝えて!」

 

「飛龍」を発艦した攻撃隊は、友永(ともなが)聖子(しょうこ)大尉指揮の下、獲物を物色していた。

 

「隊長!「蒼龍」の江草(えぐさ)貴音(たかね)大尉より、右翼レーザー砲台への攻撃を行うと通信有り!」

「オッケー!それにしても……」

 

中帝国はこの是苦外(ゼークト)ラインを東洋一の大要塞と豪語していたが、その実殆ど機能していなかった。

 

というのも、要塞の建設意図が艦隊の阻害であり航空攻撃の想定が甘かったため対空火器が著しく不足していた事と、所詮安全な後方と高を括っていた要塞指揮官達はその武装を横流ししており、当初の艦隊阻害の目的すら達せるかは微妙なところであった。

 

「脆そうな要塞だなぁ……」

「隊長、油断は禁物ですよ?」

「ハハ、分かってる分かってる。さて、コッチもやりますか!」

 

友永の目に着いたのは、要塞中央部に鎮座する大口径レーザー砲と周辺のミサイル陣地。

 

「よし!中央のアレをやろうか!全機突撃ぃ!!」

 

トトトトト……

 

友永機よりト連送が発せられる。

 

そして――――

 

「よーい……テーッ!!」

 

「飛龍」攻撃隊から次々とミサイルや誘導爆弾が叩き込まれる。

 

「……命中!命中!」

 

その殆どが迎撃されることもなく目標としたガメリカ製旧型レーザー砲台に吸い込まれ、ミサイル陣地の弾薬に誘爆でもしたのか盛大に爆発した。

 

「やったね!これで要塞線は破断だー!」

「各艦の攻撃隊も、盛んに攻撃成功を打電しています。損害はほぼ無いようですね、我が隊も損傷機はあれど撃墜機は0です」

「じゃあ「飛龍」に帰ろう!編隊を纏めるよ!」

「了解です」

 

爆撃を終えた航空隊は、悠々とその場を後にする。

 

そして、要塞を失った中帝国軍相手に日本海軍が突撃を始めようとしていた。

 

 

―――――――――

 

 

「聖子ちゃんから入電だよ!要塞線破断に成功、第二次攻撃の要は無いって!」

「損害は?」

「ウチの隊からは出てないらしいよ?祀梨ちゃんのトコも殆ど無いって」

 

千春のその言葉に、私は安堵する。

 

航空隊の損耗はすなわちそれを駆る搭乗員の損耗だ、犠牲者が出るのは戦争だから仕方ないとしても少ないに越したことは無かった。

 

「「長門」の東郷長官より通信です」

「分かった、モニターに出して」

 

攻撃隊を収容すると同時に、東郷長官から通信が入った。

 

『まず、緒戦は快勝といったところだな。祀梨ちゃんからも報告は受けた』

「はい、敵要塞線は完全に破断されました。突入の好機だと思います。」

『そうだな、各隊に突入の用意を――』

「……ッ!?敵艦隊中央付近に高エネルギー反応!!」

 

その通信の最中、レーダー員が声を上げる。

 

「高エネルギー……?」

「大型要塞レーザー砲クラスと思われます!」

「ッ!?射線予測!」

「我が艦隊中央部と想定!」

 

要塞線は潰したはず、なのに大型レーザー砲が飛んでこようとしている。

 

一瞬硬直してしまったが、私たち(第六艦隊)が狙われていると分かり声を張り上げる。

 

「艦隊散開!」

「了解!機関全速取舵一杯!!」

 

日々の訓練の成果だろう、「伊勢」を先頭に固まっていた第六艦隊は急速に散開。

 

艦隊中央部が空いた瞬間、青白い光の奔流がそこを貫いた。

 

大型艦である「伊勢」も激しく揺すぶられる。

 

直撃していたら、そう考えると少し足が震えた。

 

「損害報告!」

「右舷側面装甲に微弱な融解を認む!」

「三水戦より、駆逐艦数隻に負傷者ありとの事!」

「二航戦、格納庫の機体に数機の損壊があるそうです!」

 

直撃を喰らわずともこの威力、完全に予想外だった。

 

「一体何処から……?」

「射点判明!例のコロニーです!」

 

例のコロニーからの大威力レーザー、それはつまり――――

 

「ッ!?あの皇帝!少数民族のコロニーを潰してレーザー砲台にした!?」

「ううん、もっと酷いかも知れない」

「……え?」

「猫玉の住人が移動した話は全然ないから、住人ごと強制徴用して中を気にせず撃ったっぽいよ、アレ……!!」

 

千春の言葉に私は戦慄すら覚えた。

 

つまり、当初想定していた人間の盾なんて目じゃなかったのだ。

 

「なんて酷い……」

「もう中帝国も終わりだね、こんなことする国に未来は無いよ」

 

努めて感情を表に出さないように呟く。

 

民を軽んじる国に未来は絶対にありえない。

 

中帝国は自らの首を絞めているのだ。

 

「東郷長官の「長門」より入電!『これ以上の狼藉を許すわけにはいかない、ここで中帝国艦隊を完膚なきまでに撃滅し降伏を促す』以上!」

「……言われなくても。二航戦に通達!第二次攻撃隊を用意出来次第即時発艦!最大驚異のコロニー砲台を叩かせて!」

「了解!」

 

全空母から第二次攻撃隊が放たれる。

 

それと同時に、艦隊は敵部隊へ向けて突入を開始した。

 

「敵艦隊の詳細判明!ガメリカ巡、恐らくポートランド級4、日巡2、駆逐多数!」

「ウチはポートランドに当たるよ!全砲門開け!砲撃用意!」

 

既に半ば宇宙ゴミと化した要塞線を突破し、一気に間合いを詰める。

 

生き残った砲台から散発的に砲撃があったが、その数倍するレーザーの奔流を叩き込まれ沈黙してゆく。

 

「田中艦隊、突入を開始!」

「南雲、山本両艦隊砲撃始めました!」

「小澤艦隊より、電子戦開始との報あり!」

 

中帝国艦隊と相対した私たち日本艦隊は、各々がその役を全うすべく攻撃を開始した。

 

「私たちも始めるよ!駆逐隊を付けて二航戦を分離、本隊は砲撃を始めるよ!」

「了解!撃てーっ!!」

 

要塞線に依った作戦を立てていたのだろう、中帝国軍はコロニー砲台が撃破されると同時に統制を失い算を乱して逃走を始める。

 

「逃がさないよ!追撃戦に移行!重慶に逃げ込まれる前に叩けるだけ叩くよ!」

「機関全速!追撃ー!」

 

 

―――――――――

 

 

南京モン星域の戦い、日本軍は勝利したが中帝国は頑として和平に応じる態度を見せなかった。

 

それどころかあの皇帝は後宮の女官達を惨殺し、コロニー砲台の増産を命じたらしいと後宮から逃げ出した者達により伝えられる。

 

事ここに至り、日本帝国は中帝国との和平交渉を断念。

 

中帝国奥地、ア・バオワ重慶を攻略し完全に屈服させるべく作戦行動を開始することとなる――――

 

 

 

 




中帝国戦が長引きすぎている……ッ!?


第六(山口)艦隊編成(南京モン戦時)

旗艦「伊勢」

第二航空戦隊「飛龍」「蒼龍」「龍驤」
第六戦隊「利根」「筑摩」
第四水雷戦隊「五十鈴」以下駆逐艦12隻

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