大帝国 南遣艦隊記   作:ShinGen

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Turn 7

「敵艦隊ワープアウト!特設巡6、コロニー砲1!」

 

私たち日本艦隊は北京と南京モン星域の治安改善や補給線の確保、ア・バオワ重慶攻撃のための戦力整備といった理由から南京モンに集結しつつ何度も攻めてくる中帝国軍に対しての迎撃戦を行っていた。

 

「優先目標はコロニー砲!航空隊発進始め!」

「了解!二航戦に通達、攻撃隊発進!」

 

とは言っても、戦力差は歴然。

 

「友永大尉機より、第二次攻撃の要無しとの報告です」

「分かった。じゃあ、降伏を呼びかけてみようか」

 

コロニー砲は出現と同時に航空攻撃により叩かれ、そもそもの士気が下がっている中帝国軍は多くが降伏していた。

 

「敵巡洋艦戦隊より、国際バンドで降伏信号来ました!」

「じゃあ後始末は根拠地隊に任せて帰ろうか。千春?」

「了解!取舵いっぱーい!」

 

こうして、中帝国は残る貴重な戦力を次々と擂り潰していた。

 

 

―――――――――

 

 

アジア星海域以外の国際情勢も大きく動いた。

 

天才(アイドル)総統に率いられたドクツ第三帝国は開戦から破竹の勢いで快進撃を続け、ポッポーランド共和国、北欧連合王国を軍門に下し欧州星海域中央部の覇者となった。

 

オフランス王国は国境のマジノ要塞群を盾に主力艦隊を集結させつつあり、欧州で大会戦が起こるのは時間の問題だろう。

 

そして日本でも大きなイベントがあった、大怪獣富嶽の来寇だ。

 

日本海軍が即座にア・バオワ重慶攻略に乗り出さなかったのはこれも理由の一つ。

 

帝様の神風の儀式を執り行うために旗艦「長門」が本土に招集されていたため、前線を一度固定し迎撃戦に徹していたのだ。

 

そしてもう一つの大きな事案が――

 

「マニラ2000、マイクロネシア星域における日本帝国企業の撤退と権益放棄()()ですか……」

「ハッ!ふざけたヤロー共だぜ」

「しかし、このタイミングとはのぉ……」

 

ガメリカ共和国政府からの、要請とは名ばかりの撤退勧告だ。

 

「ガメリカは仮にも民主主義を前面に押す国ですからね、殴りかかって貰う方が楽なんでしょう」

「面倒だねぇ……。本土はどうするって?」

「帝様の御意向もあり、現在外交交渉での決着を目指して宇垣外務長官が飛び回ってくださっています」

 

今の帝様は無用な戦を好まない心優しい方だ、外交で片付くならそれが最良でもある。

 

だが――

 

「まあ、ガメリカは諦めないだろうな」

 

東郷長官の言う通りだ。

 

ガメリカは先の大恐慌以降、国内産業が落ち込んでいる。

 

これを払拭するためにも戦争という手段に訴えたいのだろう。

 

「その相手が日本帝国(私たち)、ですか」

「彼らに言わせれば、我々は極東の劣等国だからな。楽して勝てる相手を選んだつもりなんだろう」

「選ばれたこっちは堪ったものじゃないんですけどねぇ……」

 

ガメリカの生産力は圧倒的だ、更に戦端が開かれればエイリスアジア植民地との二正面作戦すら待っているのだ。

 

「何はともあれ、中帝国との戦いに片をつけよう。三正面作戦なんて考えたくもない」

 

東郷長官の言に提督たちの意見が一致する。

 

ガメリカのことも気掛かりだが、先ずは目先の中帝国戦に決着をつけなきゃいけない。

 

本土から戻った「長門」を筆頭に注ぎ込める全戦力を持って、日本海軍は中帝国に引導を渡すべくア・バオワ重慶攻略作戦を発動する。

 

 

―――――――――

 

 

「宇宙生物部隊、後退!」

「大型コロニー砲台の沈黙を確認!」

 

ア・バオワ重慶星域――

 

今、この星域は黒煙を上げる中帝国艦の残骸が多量に漂う地獄絵図と化していた。

 

「……相手が降伏してくれないなら徹底的に叩くしかないよ。砲撃の手を緩めないで」

「わ、分かった……」

 

日本海軍の進出に合わせて、多くの中帝国艦が一度は降伏を申し入れていた。

 

だが、収容しようとした部隊で突如として爆発が起こる。

 

わずかに生き延びた中帝国人によれば、皇帝が防衛部隊の各艦に自爆プログラムを仕込んでいて降伏した途端に発破されたというのだ。

 

「あの皇帝、許せないよ……!全部終わったら法廷で責任を負わせてやる!」

「……そうだね!」

 

皇帝の()()によって抗戦を余儀なくされた中帝国軍の攻撃は苛烈だった。

 

彼らにしても生命がかかっているのだ、当然だろう。

 

だが、技術差戦力差共に圧倒的だった。

 

「敵艦隊損耗率76%!残存艦は尚も戦闘を続行中!」

「……終わらせようか、陸軍部隊の進路を切り開いて一気に降下してもらおう!」

 

中帝国の戦線は既に崩壊していた。

 

そこに第六艦隊の全力を叩きつけて、ア・バオワ重慶本星への進路を開くことはさほど難しいことではない。

 

「敵の右翼に攻撃を集中!戦線の崩壊を決定づけてそのまま陸軍部隊を送り届けるよ!」

「分かった!全主砲、艦橋指示の目標狙って……撃てーっ!」

 

戦艦「伊勢」を筆頭に第六艦隊が突撃を開始する。

 

このひと押しが決定打となり、既に崩壊していた中帝国軍は壊走を始めた。

 

「進路クリア!」

「陸軍部隊に連絡!突入経路確保!」

「了解!」

 

そして、日本陸軍がア・バオワ重慶本星へと降下する。

 

「……ッ!陸軍部隊より入電、中帝国軍総司令部で大規模な火災を確認。シュウ皇帝の行方は不明なれど司令部機能の喪失を確認!」

「……終わり、かな」

 

日本軍の猛攻によりア・バオワ重慶は陥落。

 

後の調べで司令部跡からシュウ皇帝らしき焼死体が発見される。

 

ここに、名実ともにかつての中元の覇者中帝国は滅亡したのだ。

 

 

 





やっと序章たる中帝国戦が終了。


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