流星のメモリアル   作:スーサン

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すごろくパニック!

「はい?」

 いきなりカメラのレンズを顔に向けられ、スバルは呆気に取られた。

 観客のいるテレビスタジオでスバルは自分に起きた出来事に思考を彷徨わせた。

「ミ、ミソラちゃん!?」

「えへへ♪」

 無邪気に笑うミソラにスバルは顔をしかめた。

(また、勝手に仕事に協力させられたんだ……)

 ミソラの都合につき合わされるのはよくある話だがこうも突然だといつもビックリせずに入られない。

 実際、先日も勝手にスタントマンの役をやらされ死に掛けたときもあったし……

(しかもスタントマンって意外と給金が安い上に危険手当がないなんて……)

『お待たせしました~~~!』

 スタジオの真ん中で大声が響いた。

 司会者が番組のスタートを宣言したみたいだ。

『新春大すごろく大会の始まりです!』

「新春大すごろく大会?」

 顔をしかめるスバルにミソラが説明した。

「今日の番組企画はこの大きなすごろくボードの上を進みながら勝敗を決めるすごろくゲームなんだよ!」

「すごろくゲーム……」

 よく見ると足場のスタジオは正月で使われるすごろくのボードをそのまま大きくしたような形になっていた。

 自分たちの立っている場所も「スタート」と書かれた円形のペイントが施されていた。

(いつの間に……)

 気付かなかった自分に呆れながらスバルは司会者を見た。

『ルールは普通のすごろくと一緒で出たサイコロの数字だけ進み、先にゴールしたチームが勝利です』

「大きい意外は普通のすごろくと一緒なのか?」

『ただし、一マスごとにチームにはお題が出され、そのお題をクリアしないと一回休みとなります!』

「お題……?」

 確かによく見ると一マスずつのマスには大きな字でなにかが書かれていた。

(なるほど、すごろくと課題ゲームを混ぜたアドベンチャーゲームなのか)

 納得するスバルにミソラがガッツポーズを取った。

「クリア目指して頑張ろうね、スバル君!」

「あ、う、うん……」

 どこか嫌な予感を感じながらスバルは頷いた。

 

 

 ゲームが始まった。

 ミソラは巨大すごろくにふさわしい巨大サイコロを振り上げた。

「てぇぇぇぇりゃぁぁ!」

 可愛い叫びを上げ、サイコロを投げ飛ばすとコロコロと三の数字を出した。

「よし! まずまずの数字!」

 スバルの手を握った。

「行っくよぉ!」

「あ、ちょ、ちょっとミソラちゃん!?」

 ケンケンパをするようにすごろくのマスを進むとミソラとスバルは三つ先のマスに止まった。

「転ぶかと思った……」

「えっと……」

 ホッとするスバルにミソラが床に書かれた課題を読んだ。

『相手女の子の胸をタッチしろ』

「え……?」

 マス目に書かれた課題を読んでミソラは真っ赤になった。

 マイクマンの声が高々に上がった。

『おぉ~~と! いきなりパイタッチイベント! どうするスバル少年!?』

 一気に会場のボルゲージが悪い方向に盛り上がった。

「テメェ、俺のミソラちゃんになにするつもりだ!?」

「ミソラちゃんの胸を触ったら覚悟しておけよ!」

「この童○野郎!」

「ムッ……」

 マナーの悪いファンの野次にミソラはムッとなった。

「スバル君!」

「え、ちょっ……ミ、ミソラちゃん!?」

 いきなり着ていたパーカーをミソラは脱ぎだした。

「ど、どうしていきなり脱ぐの!?」

「こうしたほうが触りやすいでしょう!」

 ぷるんっとミソラのふくよかな胸がカラーシャツの下からもわかるように揺れた。

(ま、また大きくなってる……)

 最近、ますます大きくなったミソラの胸にスバルは目を見張った。

 ミソラはちょっとだけ自慢に鳴った自分の胸を張りスバルに叫んだ。

「さぁ、触って……!」

「さ、触れといわれても……」

 挙動不審気味に目を彷徨わせると観客のファンの目がスバルに刺さった。

(本気で怖い~~……)

 心で泣き出しそうになるスバルにミソラが痺れを切らして怒鳴りだしそうになった。

「初めてじゃな」

「わぁ~~わぁ~~!?」

 スバルは慌ててミソラの胸にタッチした。

「あん……♪」

「あ……?」

 ぷるんっとミソラの胸が揺れ、スバルは自分の指が彼女の胸の先を掠めたことに気付いた。

「すばるくん……」

 ちょっと潤んだ目で自分を見るミソラにスバルは助けを求めるように司会者を見た。

 司会者は楽しそうに笑い手をいやらしくワキワキした。

(誰も助けてくれないんだ……)

 心で泣きながらスバルは諦めたように潔くミソラの胸にタッチした。

(あ、前より大きくなってる……)

 つい先日までのミソラの胸の感触と今の胸の感触の違いに気付き、スバルはドキッとした。

 

 

 その後もスバルはファン達の汚い野次に負けそうになりながらゲームを進めた。

 新しいマスに止まると審査員が叫んだ。

『パートナーにプロレス技をかけろ』

「なんて阿呆らしい課題だ……」

「なに呆れてるの?」

「え……?」

 ミソラの腕がスバルの頭をロックした。

「ちょ、ミ、ミソラちゃん……!?」

「てぇい♪」

「おぎゃぁぁぁぁ……あれ!?」

 思わず悲鳴を上げてしまった実際はそんなに痛くはなかった。

「てりゃてりゃ♪ どうだ、スバル君! まいったか!?」

「ちょ、ちょっとミソラちゃん……?」

 ムニムニと感じるミソラの胸の感触にスバルはなにを言えばいいのかわからず顔を真っ赤にした。

「おりゃおりゃ♪」

「ちょ……」

「プロレスって楽しいね♪ プライベートでもやる?」

「ミソラちゃん!」

 

 

 さらにゲームは続いた。

 数多くの(スバルへの)罵詈雑言を切り抜けると二人はようやくゴール手前のマスに止まった。

「こ、この課題をクリアすればようやくクリアだね、ミソラちゃん……」

「うん! 楽しいねスバル君!」

 ミソラの屈託無い笑顔にスバルも少し疲れた笑顔を浮かべ自分たちが止まったマスの課題を見た。

『お互いに着ている衣服を制限時間までに交換すること』

 スバルとミソラの前にリアルウェーブの更衣室が二つ現れた。

「……」

 さすがのミソラもスバルと服を交換するのは恥ずかしいのかテレ笑いを浮かべどうするか迷った。

『おぉ~~と! 後続チームが走ってきたぞ!? このまま逆転されるか!?』

「ヤバァ!」

 ミソラは慌ててスバルの手を掴んだ。

「迷ってる暇はないよ、スバル君!」

「ミソラちゃん、ゲームを楽しむ目的がちょっと変わってるよ!」

 更衣室へと放り込まれた。

「まったく、乱暴なんだから……」

「スバル君、これ私の服ね!」

「え、おわぁ!?」

 下着以外のミソラの服が自分の更衣室へと投げ渡されるとスバルはドキッとした。

(こ、これ……ミソラちゃんが着てた服?)

 頬を服にくっつけジンワリとミソラの肌のぬくもりの残りを感じ、心が熱くなった。

「スバル君も早く君の服を頂戴!」

「あ、ご、ごめん!」

 スバルも慌てて自分の服を脱ぎ、ミソラのいる更衣室へと投げた。

(って、ボクはなにをしてるんだ!?)

 怒鳴られ思わずミソラの言うとおりにしたがこれは人間としてありなのかとスバルは疑問に思った。

「あ、スバル君の匂いだ……」

「ミ、ミソラちゃん!」

 今度はスバルが怒鳴り返した。

 ミソラの服を着るとスバルは高鳴る心臓の鼓動を抑え自分の胸元を見た。

(胸がガバガバだ……)

 不自然に出来た胸元のシワにスバルは妙な興奮を覚えた。

(こ、ここにミソラちゃんの胸があったんだ……)

 胸元の皺を引張り、スバルはミソラの胸を想像した。

(ここにさっきまでミソラちゃんの……)

『はい、時間切れ!』

 パサッと更衣室のカーテンが落ちた。

「あ……?」

 ミソラの服の胸元を引張るスバルを見てファン達のブーイングが飛んだ。

「なに、ミソラちゃんの服の胸を掴んでるんだ、この変態野郎!」

「地獄へ落ちろ!」

「ミソラちゃんは俺の嫁だぞ!」

 勝手なことを言う観客達にスバルは言い知れない敗北感を覚えた。

「もう!」

 なにも言い返さないスバルに今度はミソラが機嫌を悪くし、サイコロを振った。

「これで一番乗りだ!」

 サイコロがコロコロ転がり一の目を出した。

「はい! これでゴール!」

 あからさまにスバルの腕を掴み強引にゴールするとクラッカーの音が鳴った。

『ゴォ~~~ル!』

 マイクマンの雄叫びにゲームが終了した。

「やっと終わった……」

 安堵の息を吐くスバルにマイクマンの叫びが続いた。

『最後の課題です!』

「最後の課題?」

 二人の目の前に電光掲示板が置かれた。

『実は最後のゴールマスにも課題が用意されています! それをクリアすることで今回のゲームの覇者となれます! さぁ、ミソラチームが最後に受ける課題は……!』

 ゴールのマスに用意された電光掲示板に課題が表示された。

『パートナーはミソラちゃんがときめくような言葉をかけてください』

「いっ……!?」

「あ……?」

 観客のブーイングがデッドヒートする中、ミソラはどこか期待した顔でスバルを見た。

 スバルはどうすればいいのか迷いながらゴール前にいるチームを見た。

 ここでコケてくれれば自分たちにも勝利があるのだろうと踏んだのだろう。

 ワクワクする後続チームにスバルは意を決した。

「ミソラちゃん……」

「え……?」

 ボソボソと耳打ちされミソラの顔が信じられないほど真っ赤になった。

「あうぅ~~……」

 鼻血を吹いて倒れるミソラにスバルは慌てて身体を抱き締めた。

「ミ、ミソラちゃん!?」

『た、担架~~~~~!』

 司会者も慌ててスタッフ達に担架を用意させ、顔を真っ赤にするミソラを運んでいった。

 残された司会者はスバルにコッソリ聞いた。

「なに言ったの?」

「……」

 スバルはさっき言った言葉を思い出し、恥ずかしそうにだんまりを決め込んだ。

(ミソラちゃん結婚しようね……)

 

 

 番組は多少のトラブルを抱えながらも無事終了した。

 ミソラはスバルの前を先行しながら気持ち悪い笑顔を浮かべていた。

「そうか、スバル君はもう結婚まで考えてくれてたなんて私、どうしようかな~~……♪」

「……忘れてくれ」

 気持ち悪く涎をたらすミソラにスバルは言い知れない恥ずかしさを感じ無口になっていた。

「スバル君は将来性もあるし私は大丈夫だよ!」

「なにが大丈夫だよ……」

 後姿からもわかるほど顔を真っ赤にしてニヤけるミソラにスバルはため息を吐いた。

「なんであんなこと言っちゃったんだろう?」

「スバル君!」

「はい!?」

 聞こえたかと直立浮動するスバルにミソラは少しマジメな顔でいった。

「私を幸せにしないと許さないからね!」

「……」

 スバルは少し考えるように黙り、優しくミソラの頭を撫でた。

「努力するよ」

「もう! 絶対とかいえないの?」

「結果よりも経過を大事にしよう」

「むぅ~~……」

 撫でられた頭を払いミソラは拗ねたように頬を膨らませた。

「いいもん! じゃあ……」

 スバルの身体に抱きつき、そっと唇にキスをした。

「これが約束の印だもん」

 一度唇を離しもう一度キスをするとミソラは舌を入れスバルの口内を嬲った。

(ミソラちゃん……)

 ミソラの熱いキスにスバルもクスッとし、自分の下を這うミソラの舌に自分の舌を絡ませた。

 綺麗な星空の下、ちょっと下品な粘着音があたりに響いた。

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