「あああ……出ない~~~~~!?」
部屋中をぐるぐる走り回り、ピョンピョン跳ね、逆立ちするとミソラは泣き叫び出した。
「新曲のアイディアが出ない~~~~~~!?」
《なに、奇行に走ってるのミソラ?》
「だって……」
グッスンと涙ぐみ、逆立ちのまま、ハンターVGに映るハープを見た。
「明日までに新曲の歌詞作らないと、締め切りすぎちゃうんだよ。プロデューサーや、マネージャーに怒られる」
「散々、遊んでたもんね」
「ああ~~……未来から青い猫が来ないかな」
「来るわけないでしょう。いい加減、逆立ちやめないと頭に血が上るわよ」
「……」
よっこいしょと逆立ちから床に座りなおすとミソラはう~~んと頭を悩ませた。
「今回の新曲は作曲は別に作られてるから、作りやすいと思ったんだけどな」
《他人のセンスに自分のセンスを合わせるからね。案外難しいかもしれないわね?》
「と、こんな会話してるうちに、日付が変わってる!?」
深夜を回った時計を見て、ミソラはどうしようどうしようと、また部屋の回り走り出した。
「あた!?」
ズデンッ……
よっぽど慌ててたのか床をツルッと滑り転び、ミソラの頭の上にコツンッと写真立てが落ちた。
「悪いことって、なんで、こんなに続くんだろう」
《慌てるからよ……》
「第一から、この写真だって、慌ててる私を馬鹿にしてるよ……うに」
《ミソラ?》
突然、言葉を詰まらせるミソラにハープは心配そうに声を上げた。
《お~~い、ミソラ。生きてる?》
「今から、スバル君に会いに行きましょう!」
《はい!?》
あまりにも突拍子もない言葉にマイペースなハープも目を白黒させ、驚いた。
「あのね、ミソラ……今、もう深夜よ。よい子はもう寝てる時間よ」
「私は悪い子だ!」
「あなたね」
「いいからいいから」
バッとハンターVGを手に取り、頭上に掲げた。
「電波変換! 響ミソラ、オンエア!」
光に包まれ、ピンクの可愛い衣装に身を包んだミソラは頭上に見える電波空間に向かってジャンプした。
「おっこしょと!」
うまく電波空間に乗っかり、伸びをするとハープ・ノートは星河家まで向かって走りだした。
《ところで、なんで、いきなり、星河くんの家に行く気になったの?》
「うん! さっき、頭に落ちた写真立て、スバル君の写真だったんだ。そしたら、ピキンッと来たのよ!」
《来たって?》
「私のインスピレーションは今、爆発しかけてるのよ。その起爆剤は」
《星河くんって、いいたいわけね?》
「そのとおり!」
ちょうど、スバルの家の真上までたどり着くとハープ・ノートは飛び降りるように、スバルの家へと入り込んだ。
スバルの家に入り込むとハープ・ノートは電波変換を解き、ベッドで寝ているスバルを見た。
「スバル君……」
前回の秋祭りのことを思い出し、胸を高鳴らせるとミソラはなにも言わず、彼の唇にキスをした。
チュッ……
「じゃ……おやすみ、スバル君」
また静かにハープ・ノートに電波変換したミソラは自分の家へと帰ったいった。
家に帰るとミソラは思いのほか、上機嫌な顔で身体をゆらゆら揺らしていた。
「るんるん……」
《えらく、ご機嫌ね。締め切りは確実に迫ってるのに?》
楽しそうに微笑むとミソラの手が自然とシャープペンシルを握り、真っ白のノートに文字を走らせた。
《ミソラ?》
さっきまでと違い、楽しそうにペンを走らせるミソラにハープは心底驚かされた。
本当に、星河くんの力でインスピレーションが爆発しちゃった……
「そして、これは最初からつけようとずっと考えてたい一文……」
『大空に浮かぶ愛しきスバル 誰よりも純粋で優しい君に私はいつも救われる』
「出来た!」
心底満足した顔でベッドに倒れこむと、ミソラは唇に残るキスの感触を思い出し、顔を赤らめた。
「なんだか、今日は、いい夢を見れそう……」
そっと、目を瞑り、すぅ~~と静かに寝息を立てるとミソラは深い眠りに入っていった。
《おやすみ……ミソラ》
「うん」
朝、目覚め、母に頼まれ、ポストの新聞を取りに来るとスバルは不思議そうに首をかしげた。
「なんだろう、僕に郵便物が届けられてる」
郵便の差出人を見るとスバルはふと微笑んだ。
「ミソラちゃんからだ……新曲のCDかな」
新しく届けられた新曲の内容に顔を赤らめることになことになるのは、そんなに時間はかからなかった。