流星のメモリアル   作:スーサン

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ミソラの創作旅行 ~哀愁漂うスランプ娘~

「……」

 家のベッドでミソラは死んだように眠っていた。

「……」

 目は虚ろで口は汚く涎をたらし、足は宙をぶらんぶらんと彷徨わせていた……

 まさに生きた干物……

 ダメ女の典型……

 なにか終わってる感すら感じる……

 そんな哀れともいえる姿にハープはため息を吐いた。

≪ちょっとは創作活動に勤しんだらどうなの?≫

「……」

 死んだ目のままゴロンッと寝転がった。

≪ミソラ!≫

 ミソラは感情の篭ってない目でハープを見た。

「だって……ネタが枯れちゃったんだもん」

 枕に顔を埋めた。

「ネタが出ない作曲家なんて作曲の出来ない創作家と一緒だよ!」

≪ツッコミが難しいボケをしないで……≫

 天井に堂々と貼られた「スバル君ポスター(お風呂上りin隠し撮り)」を見て、頭が痛くなった。

≪だからって、アイドルがそんな格好でどうするの……?≫

「いいの! 再就職先は決まってるから! だから、私はこのまま腐」

≪らせるわけないでしょう!?≫

「あ、私の枕!?」

 ハープを睨んだ。

≪少しは私の気苦労を感じなさい!≫

「気苦労も木耳も知らないもん……!」

≪なんですって……!?≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「……」

≪……≫

「よし! ネタ探しの旅に出よう!」

≪アンタね……≫

 

 

 星河家のスバルの部屋。

「……」

 暇なので残ってる夏休みの宿題を片付けていた。

「ミソラちゃんが缶詰状態だと宿題もはかどるなぁ……」

≪まぁ、夏休みの間、遊んでばかりだからな……!≫

「ふわぁぁ~~……」

 ハンターVGのメール機能が鳴った。

≪ミソラから、メールが来たぜ!≫

「ミソラちゃんから……?」

 どうせ、くだらないことだろうとメールを開いた。

『Re:今日のミソラちゃん情報その1

 ヤッホ~~スバル君!

 今、私は世界一高い山、ケベレスト山にいます。

 見晴らしがすっごくよく、もう三十回もヤッホ~~をやってます!(最初のヤッホ~~は意味が違うからね♪)

 今日は一日中、ヤッホ~~を言いつづけて、ギネスを狙ってみます!

 ギネスブックに載ったらスバル君、ギネスブック買ってね♪』

「……」

 ハンターVGを切った。

「残暑だからねぇ……」

≪ヒデェ……≫

 

 次の日

 

「ハイスコア!」

 あまりに暇だからシューティングゲームでハイスコアを狙っていた。

≪メールだぜ……≫

 メールを開いた。

『Re:今日のミソラちゃん情報その2

 今、私はキャリブ海の海のど真ん中で海水浴を楽しんでます!

 海上保安庁が鬼ごっこしてくれてとっても楽しかった♪

 今度、手近に日本海でおにごっごしようかな?』

 ハンターVGを切り、新しいゲームを始めた。

「海の水じゃ頭は冷えないか……」

≪容赦ないな……≫

 

 さらに次の日

 

『Re:今日のミソラちゃん情報その3

 今日はお風呂の本場、ホーマで入浴を楽しんでます♪

 写真を送ります。サービスだよ♪』

 タオル一枚の格好のミソラにスバルは赤くなった。

 

 さらにさらに次の日

『Re:今日のミソラちゃん情報・スバル君に捧げる詩篇

 スバルくぅ~~ん!

 もう、スバル君に三日も逢ってないよ~~……(しくしく3636)

 スバル君も私に逢えなくって寂しいでしょう?

 だから、私の創作旅行に付き合ってよ!

 今、私はコメリカの正義の女神の持ってるたいまつの上で待ってます。

 私はスバル君に逢えて嬉しい。スバル君も私にあえて嬉しい。

 いいこと尽くめだから、早く来てぇぇぇぇ……

 早く来ないと、ミソラちゃん、寂しくって、たいまつの火を自慢の美声で消しちゃうかも♪

 消されたくなければ、今すぐ来い!

 来ないと泣くから!(えぇ~~ん! えぇ~~ん! 遠近法!)』

「……」

 ハンターVGを切り、ベッドに投げ捨てた。

「夏休みが終わるぅ~~……!?」

≪無視かよ!?≫

 

 現在

 

「スバルくぅ~~ん……ジュースが切れた!」

 ベッドの上でジュースの切れたコップを振り上げた。

「はいはい……」

「なに、ノンビリしてるの……この薄情者!」

「今、立ったばっかりでしょう……」

 面倒臭そうに昨日の夜、無理やり買わされた小型冷蔵庫の蓋を開け、ジュースを取り出した。

「氷も忘れちゃダメだよ!」

「はいはい……」

 さらに別で買わされた冷凍庫からこれまた専門店で買わされた高級な氷(スバル持ち)をコップに入れた。

「まったく……最近、平和だったのに」

「なにか文句でも、あるの!? 私を正義の女神の前で置き去りにした薄情者が!?

「はいはい……ボクが悪かったボクが悪かった」

 氷の入ったコップにジュースを注いだ。

(結局、こうなるんだよな……)

 スランプの名を借りた現実逃避旅行は大抵、一週間も続かないうちにスバルの家で終焉を迎える。

(今回は四日か……新記録だな)

 過去最低は一時間だったりする……

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