「じんぐるべーるじんぐるべーるすずがなぁるぅ~~~♪」
「み、みそらちゃん……普通に歌ってよ……」
なんとも言えない音程のズレたクリスマスの歌にスバルは耳を押え、唸った。
「えぇ~~……今日は音程とか気にせず心で歌おうと思ったのに」
「あ、あのねぇ……」
不満満々の顔をするミソラにスバルも耳を離した。
「声がいいぶん、はずれた音程が破壊的なんだよ……」
「アハハ……それじゃあ、クリスマスパーティーを始めようか?」
「無視かよ……」
「おっこいしょっと!」
サンタの帽子を被るとミソラは部屋のテーブルにかけていあったテーブルクロスを取った。
「クリスマス恒例……ではない、ロシアンルーレットシュークリーム!」
「ロシアンルーレットシュークリーム?」
ミソラの自慢の胸をプルンッと揺らした。
「なんとこのたくさんあるシュークリームの中にとんでもなくまずいシュークリームがあるの!」
「なんで、そんなものを?」
「暇だったから作ってみた。やはり、クリスマスにはゲームは必須でしょう?」
「ましなゲーム作りなよ」
「いいから食べて! ねぇ、食べて! 食べなさいよ! 私が食べてって言ってるのよ! どうして食べないの!?」
「それ、ヤンデレのCDのセリフだね……」
「わかるスバル君、大好き♪」
「まったく……」
諦めて、シュークリームの一つを食べた。
「うん。うまい……!」
「さっそく、当たりかぁ……♪」
ミソラもシュークリームの一つを取った。
「でも、このシュークリームを作ったのは私だよ! どれにどれがマズイかなんて、すでにわかりきってるんだよ。パクッ……ッッッッッッ!?」
凄まじい顔をした。
「こ、このゲームは私が有利だってこと忘れないでね♪」
「顔が真っ青だよ……」
「あ、あまりにもおいしく作りすぎて自分でもびっくりしてるだけだよ♪」
「まぁ、確かにおいしいからね」
また食べた。
「うん。当たり!」
「よし、わたしもぉぉぉおぉぉぉお!?」
また、とんでもない悲鳴を上げた。
「はずれ?」
「お、大当たり……」
ニヘラと笑い、もう一個食べた。
「ひょげえぇええぇえええ!?」
「ミソラちゃん……」
見るに堪えないミソラにスバルは涙した。
「続ける?」
「せめて一回だけ……あっぎゃぁあああぁあ!?」
続けて悲鳴を上げるミソラにスバルは哀れに思えた。
ゲームは無事に終わった。
ミソラの全敗で……
そして、全敗で終わったミソラは……
「むちゅ~~~~~~~~~!」
「うむぅ~~~~~!?」
無理やりスバルは自分の唇を奪われ、手を動けないようギュっと掴まれていた。
「ぶはぁ!?」
唾液が零れ落ちるほど濃厚なキスをすると、ミソラは顎にまで垂れた大量の唾液を服の袖で拭うとブスッとした顔をした。
「酷い味だった……!」
「確かにエグイ味だった……」
口の中がマズくなっていたミソラの唇の味を思い出し、スバルはなんとも言えない顔をした。
(作らなければいいのに……変なところで冒険心あるんだから)
「さぁ、ここからが本番だよ!」
用意していたクリスマスケーキを取り出した。
「どうだ、スバル君! この日のために夜も寝ず昼寝して作ったミソラちゃんケーキだぞ!」
「えっと……一個、2000円ね?」
「ウッ……!?」
いつの間にか見つけられていたケーキ購入の伝票を見つけられ、ミソラは真っ赤になった。
(だ、だって、自分で作ると味が微妙なんだもん……)
っと悔しくって言えなかった。
「じゃあ、ボクもミソラちゃんにとっておきのプレゼントを用意したんだ!」
「え、なになに!?」
スバルが自分にプレゼント。
しかも今は金を持っている社会人のスバルのプレゼントだ。
これは期待できるとワクワクした。
「なんと、新年の生放送の出演枠をプレゼント!」
「……」
ミソラの目が厳しくなった。
「なに、それ?」
「……」
スバルも言いづらそうに目をそらした。
「じ、実はかなり前からあって……い、言い忘れてた。あ、明日、リハーサルだから早く寝たほうがいいよッ!?」
殴られた。
「ふん!」
ベッドに入るとミソラはふくれっ面で身体を大の字にした。
「あの……ボクの寝る場所は?」
同じようにパジャマに着替えたスバルはベッドを占領するミソラに場所の提供を求めた。
「床で寝れば!」
ミソラは可愛くそっぽを向かれた。
「……」
ションボリした。
「……」
ミソラは少し、可愛そうな気持になり、顔をそむけたまま口を開いた。
「新年の生放送が終わったらちゃんと時間開けられる?」
「う、うん……一日だけなら正月休みだよ」
「じゃ……じゃあさ」
頬を赤らめた。
「その日、デートしよう。スバル君がエスコートしてくれるなら仕事の伝え忘れは許してあげる」
「う、うん……わかった!」
「ならよし!」
ベッドを半分離し、掛布団をはいだ。
「じゅあ、一緒に寝よ! 約束、破ったら、私、本気で怒るからね!」
「う、うん……承知した」
一瞬だけ、ハイライトの消えたミソラの目を見て、スバルは自分の背中が寒くなるのを感じた。
「じゃあ、おやすみ、スバル君!」
「う、うん……」
眠る前のキスを済ませるとスバルもベッドに入り、目をつむった。
「うぅん♪」
「……」
慣れたように抱き付くミソラにスバルはなんとも言えない顔をした。
「スバル君の匂ひぃ~~……♪」
すでに自分に抱き付いて寝るのがデフォになったミソラにスバルはドキドキした。
(また……大きくなってる……)
腕に当たる二つの大きな膨らみにスバルは手をギュっと握り、自制心を作ろうと努力した。
もっとも、ミソラは気にした風もなくもう寝ていたが……