流星のメモリアル   作:スーサン

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コンサート・ラブ

「みんな、ありがとう~~~~~!」

 バァンッとギターを鳴り止むと、溢れんばかりの拍手と歓声が降り会場全体に降り注いだ。

 今日は響ミソラのファン感謝コンサートの日であった。

 巨大ドームを一日貸切のオールミソラ一色のコンサートライブ。

 自分の歌を聴きにきた観客だけでなく、歌を歌うミソラ自身も一世一代の晴れ舞台に身体を震わせ、喜びを感じていた。

 その中で一番、嬉しかったのは自分の見える位置に自分の大好きな人が歌を聞いていてくれてることだった。

 スバル君、楽しんでくれてるかな?

 目の前で拍手を送る少年の姿にミソラは胸をドキドキさせ、呼吸を整えた。

「ふぅ……」

 間隙を縫うようにミソラの前にマイクを持った進行人が現れ、笑顔を向けた。

「ミソラちゃん、最高の舞台だね。どう、緊張とかしてない」

「あ……」

 マイクを向けられるとミソラは歌の高揚で赤くなった顔を、ほんの少し違う理由で赤らめ、満面の笑顔を向けた。

「最高です! 歌は私にとって、最高の表現ですし、なによりも最高の告白なんです!」

「告白」

 一瞬でザワめく会場に、ミソラはスバルにだけウィンクを投げ、声を上げた。

「みんな、今日は私のために……うぅん、私だけのために来てくれて、ありがとう!」

 また、ワ~~と会場が沸き、ミソラとスバルは一瞬、目線があった。

 最高だったよ、ミソラちゃん。チケット逃した僕のために、招待してくれてありがとう。

 いいよ、スバル君。君がいてくれたほうが、私は頑張れるから?

 ミソラちゃん……

 スバル君……

 目で見ただけでスバルの言ってることがわかり、ミソラはウフフと笑った。

「さぁ、じゃあ、今から、ミソラちゃんと会話できる、特別イベント、「ミソラトークターイム」の時間です。皆様、会場入りしたときに貰った控えを見てください。一名だけ、当たりの番号があります。それを見つけてください!」

「……」

 さすがに、こればかりはスバル君は引いてくれないよね?

 若干、諦め気味に吐息を漏らすと進行人は手に持った当選番号を読み始めた。

「え~~……当選番号は「0000192067番」です」

「当たってる」

「え……!?」

 信じられない顔でスバルを見ると、スバルもミソラの顔を見た。

「お~~~と!? 当選したラッキーな人は、ミソラちゃんと同い年のバイザーの似合う、美少年だ!」

 すぐにスタッフがスバルを連行されるようにミソラの待つステージへと立たせた。

「……」

「……」

 お互い顔を見合わせ、なにを話すか迷った。

 一応、公(おおやけ)では、二人の関係は初対面である。

 なにせ、響ミソラは、世間が注目する大人気アイドル。

 方や星河スバルは、コダマ小学校に通う、一介の小学生。

 普通に考えれば、接点など、どこにもない。

 ただ、二人が少し、世間から進んだ関係であること以外は……

「おやおや、美少年。トップアイドルを前にして緊張してるな」

 ウリウリと肘を小突く進行人にスバルはどう反応していいか困った。

 自然と行動も挙動不審になり、顔も真っ青であった。

 もっとも、これくらいの反応、進行人は想定済みなのか、一人勝手に話を進めていった。

「それでは、美少年、名前を教えてくれるかな」

「あ、はい! 星河スバルです……コダマ小学校に通ってます」

「星河くんか!? ミソラちゃん、まさかまさかの同い年の少年。これは芽生えるものが、あるんじゃないの」

「め……」

「芽生える!?」

 ほぼ同じタイミングでスバルが動転し、会場からドッと爆笑した。

 はたから見たら、トップアイドルを前にして浮かれる小学生。

 ただし、実際は、秋祭りですでにキスを済ませた、恋人未満の初々しいカップル。

 もし、この場でそれがバレれば、スキャンダルは避けられない。

 スバルからしても、不用意なことはいえない。

「星河くんは今回、どのような理由で、ここに参加できたのかな」

「と、友達が突然、イベントに参加できなくなって、僕が招待されたんです」

「じゃあ、時間も無駄に出来ないし、早速、トークをしてもらいましょう。星河くん、なにかミソラちゃんに聞きたいことある」

「え……」

 どうしようかと、目で合図を送ると、ミソラも、適当に誤魔化してと目で返事した。

「……じゃあ、ヒット曲「シューティングスター」は、あれは、誰かへのメッセージソングですか」

「……スバル君」

 ボッと顔を真っ赤にし、ミソラはニコッと笑った。

「あれは私の一番大切な人に向けたメッセージソングだったんです。その人がいたから、私はまた、ここに戻ってこれた。私は壊れずに済んだ。そう思ってます」

「……ミソラちゃん」

 ホッとした顔で、微笑むとスバルはまた、質問した。

「今年で一番、嬉しかったイベントはありますか」

「秋祭りです」

「一番、信用できる友達はいますか」

「……いません」

「え……」

 顔を真っ青にするスバルにミソラはニコッと笑い、観客席に向かって、マイクに叫んだ。

「友達なんかじゃない! 私の一番大切な人が一番信用できる人で~~~す!」

 オ~~~とまた、意味の無いテンションだけの歓声が響き渡り、ミソラはパチンッとスバルにだけウィンクした。

 

 

 イベントが終わり、夜中になると、ミソラは汗まみれの顔をタイルで拭い、会場の外へ出た。

「お疲れ様、ミソラちゃん」

「あ……」

 会場を降りるための石階段の前まで来るとミソラは仰天した顔でスバルを見た。

「スバル君、まだ帰ってなかったの」

「最高のイベントだったからね。最高の星空も見えるのに、このまま一人で帰っちゃうの、勿体無いでしょう」

 石階段に座りながら微笑むスバルにミソラも彼の隣に座り、そっと寄りかかった。

「綺麗な夜だね」

「もうそろそろ、冬だからね……最高に空が綺麗に見える時期が来るんだ。僕たち二人の名前をあわせたようにね」

「星河にミソラか……」

 見えるはずも無いのに、天の川が見える気がし、ミソラはスバルに身体を支えてもらったまま、聞いた。

「ねぇ、最後の質問のとき、ビックリした」

「ああ……あの信用の話」

「うん……驚いたよ、あの質問には」

「僕のほうがビックリだったよ……一瞬、目の前が真っ暗ッ!?」

 自分の唇を彼女の唇に塞がれ、スバルは仰天した顔でミソラを見た。

「ぷはぁ……」

 糸を引き、唇を離すとミソラは照れたように笑った。

「さぁ……早く帰らないと、お母さんに怒られるよ」

 急ぎ足で階段から降りるとミソラの身体が光に包まれ、星空の空へと消えていった。

「……」

 一人残されたスバルは強く鼓動する胸を抑え、起きたことを理解しようと必死に頭を回し、顔を真っ赤にした。

 その時、頭上に一閃の流れ星が落ちた。

 それこそ、まさに流星のように……

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