一緒に暮らしてそれなりに経つと同棲する前では気づかないことも多くのことを気付くようになる。
ミソラはそれに気づいた。
「……」
「な、なに……ミソラちゃん?」
手を伸ばしてスバルの身長と自分の身長を比べてみた。
「やっぱり、たいして変わらない……というより、私よりちょっと高い」
「な、なにが?」
めいっぱい近づかれたせいでミソラの大きくなりかけている胸の谷間が見え、スバルをドキドキさせた。
「スバル君、身長いくつ?」
「え……うん」
服の上からもわかるほど大きく揺れるミソラの胸から目を離した。
「145センチ……かな」
「え……私とたいして変わらない! というか、スバル君、デカすぎ!?」
「そう?」
不思議そうな顔をした。
「ボクより大きい男の子なんて結構いると思うけど」
「いないよ!」
怒鳴るように迫った。
「たまに気まぐれで学校に行くけど私のクラスの男子、私より大きい子いないもん!」
「今、聞き捨てならない部分があったけど仕事上、黙っていよう」
なんとか学校に行けるように日程を組もうと考えた。
「スバル君、引きこもりの宇宙オタクの癖に大きいなんて生意気だよ!」
「無茶苦茶な……」
どうも、からまれてる気がして、スバルはさっさと退場しようと背を向けた。
「よ、用がないなら、ボクは夕食を作るよ。ボクだって、暇じゃないんだから……」
「今からこんなデカいなら、成人するときにはどれだけ大きくなるだろうね……二メートルいったりして?」
「さぁね……」
ヒヨコのようにスバルの後をついていった。
「スバル君、ニンジンとグリンピースが嫌いなんだよね?」
「悪い?」
エプロンを着て、ニンジンを取り出した。
「今日はなに?」
「カレー」
「手を抜きに来たね」
「だったら、食うな!」
「スバル君って、ムキになりやすいよね」
「ミソラちゃんはルー抜きのカレーライスね」
「後、意地悪だ」
「そらぁ、君と暮らしてたらね……」
野菜を切り始めた。
「後、キスがうまい!」
「君のおかげでね……」
カレールーの置き場所を忘れ、冷蔵庫の中をあさりだした。
「最近、クロスワードにハマりだして、懸賞に出してるよね?」
「暇つぶしにはいいからね」
「学校の課題、誤魔化してるよね……」
「……」
カレールーを見つけた。
「あと……同棲生活、楽しんでるよね、スバル君!」
「そう……かな♪」
ニッコリ微笑んだ。
「最近、私への扱いが雑な気がする! というか、スバル君自身、ちょっと性格が雑だよね!」
「ケンカ、売ってるの?」
「後、料理のメニューを文句言うと作らなくなる!」
「カレー、欲しくないの?」
「最終的に脅しに入るのもよくないと思う!」
「さっきからどうしたの、ミソラちゃん……ストレス溜まってるの?」
テレたように可愛く頬を掻いた。
「な、なんか、同棲する前よりスバル君のいいところも悪いところも発見されていくよ……」
腕を組んで、うんうんと頷いた。
「私の中のスバル君評価がドンドン変わっていく♪」
満更でない顔をするミソラにスバルは切った野菜を鍋に入れ煮出した。
「バカ言ってないでカレー作るってるから、お皿出して!」
「面倒くさい」
「ダァメ! ミソラちゃんの悪いところ。簡単なことを面倒くさがるところは!」
「……」
呆気にとられたようにスバルを見た。
「なに?」
「スバル君も私の新しいところ発見してるんだ……」
「な、なにが嬉しいの?」
「べぇつにぃ~~……そういう鈍感なところは悪いところだけどいいところだよね♪」
「と言いながら逃げるな! 面倒なことに逃げてますます面倒なところに行くところが君の悪いところだ!」
「わかってるなら……さよなら!」
「こら!」
二階の寝室へと逃げるミソラにスバルは溜息を吐いた。
「ったく……本当、簡単なことから逃げるんだから」
食器棚から底厚の皿を取り出した。
「あ、ご飯炊くの忘れてた」
「スバル君の悪いところ! 一つのことに夢中で他が散漫になる!」
パシンッと戻ってきたミソラの頭にトイレスリッパを見舞ってやった。