「あ~~あ~~……」
テーブルにマイクと裁判で使う木槌をコンコンと叩くとミソラは厳しい目でスバルを睨んだ。
「被告、星河スバル! 君の罪状を述べよ!」
「……」
スバルは納得のいかない顔で頭の後ろを掻いた。
「ボクはなにも悪いことしてないよ……」
「被告、星河スバルに反省の色はなし。よって、有罪とする!」
「そもそも、なんの裁判だよ、これ!?」
「決まってるよ!」
手に持った木槌をスバルに投げ飛ばした。
「おっと」
木槌を片手で受け止めた。
「危ないなぁ……ケガしたらどうするんだ?」
「被告、星河スバルは彼女がいるにもかかわらず、他の女子からバレンタインチョコを貰った! これは重罪である!」
「別に義理なんだし……いいじゃ」
「ぐす……」
「あ~~あ~~……悪かった! ボクが悪かった! なんでもするから泣くな!」
「よし! じゃあ、賠償金請求をします!」
「ウソ泣きかよ……」
わかっていても引っかかる自分のお人好しさに嫌気がさす……
「じゃあ、デートしよう! 実は欲しい服があるんだ♪」
「ま、まさかと思うけど……?」
「買ってね♪」
ため息が漏れた。
「欲しかったんだ、この服♪」
買ってもらったばかりの新作の冬服を着て街中を歩くとミソラは満足げな顔でスバルにの腕抱き付いた。
「ありがとう、スバル君♪」
「……」
逆にスバルは軽くなってしまった自分の財布の中身を見て頭が重くなった。
「二万五千ゼニー……今月はキツくなるなぁ」
「まぁ、大丈夫だよ! 私がいるんだし♪」
また溜息を吐くスバルにミソラは呆れた顔をした。
「まったく……お金がちょっと減ったくらいで♪」
「君と違って貯金が少ないの……」
暗い顔をするスバルの頬を優しく撫でた。
「ミ、ミソラちゃん……?」
いきなり頬を撫でられ真っ赤になった。
「本当に可愛いんだからぁ……♪」
優しい手つきでスバルの顔を自分のほうへと向けた
「ほらぁ……元気出して♪」
「あむぅ!?」
唇をふさぐようにキスをされ、スバルは目をギョッとさせた。
「うむぅちゅむ……」
他に通行人がいるにもかかわらず、スバルの口の唾液を吸い出すように熱いキスをするミソラにスバルは気づいたらトロンッとしていた。
「ぷはぁ……」
唇を離すとミソラはツゥ~~と下唇を指で撫でた。
「……はぁ」
キスしてもなおも晴れない顔をするスバルにミソラは面白くない顔をした。
「ああ、わかりましたよ! 少し悪ふざけが過ぎました!」
ポケットの中をまさぐりだした。
「ほら、スバル君にプレゼント♪」
「うん?」
ポケットから出された包みを見て、スバルは首を傾げた。
「なにこれ?」
包みのリボンを外した。
「ジャジャン♪」
「おお、チョコクッキーだ!」
チョコ味のクッキーを見てスバルは目を輝かせた。
「えへへ♪」
ミソラもテレたように笑った。
「ちょっと意地悪してから渡すつもりだったけど、スバル君、ナイーブすぎるから♪」
「二万ゼニー以上も使えば誰でもあんな顔するよ」
クッキーを一つ、つまんだ。
「うん! うまい!」
「だよねぇ♪ 私も自分で作ってさすがと思ったもん!」
自分でも一枚つまんでみた。
「ッ!?」
電気ショックを受けたような顔をするミソラにスバルは不思議そうな顔をした。
「どうしたの?」
(び、微妙!?)
スバルは味音痴に情けなくなった。
「むぐむぐ……ごくん」
なんとも言えない微妙なクッキーを飲み込み、ミソラは慌てて近くの自販機を指さした。
「買って!」
「なんで、ボクが」
ミソラのクッキーをつまみながら自販機に100ゼニー入れた。
「はい。メロンソーダ」
「あ、ありがとう!」
慌ててメロンソーダを飲み口直しをするとまた、スバルにキスをした。
「うぅ……ごくん!?」
今度は口移しでメロンソーダを飲まされ、器官に入りむせてしまった。
「な、なにするの!?」
「口直しに口直し! これぞ究極!」
「なにを訳の分からないことを……」
またクッキーを食べるスバルにミソラも自分で作ったクッキーと同じくらい微妙な顔をした。
「来年はもっとおいしいもの作るからね!」
「楽しみにしてるよ!」
クッキーを食べ続けるスバルにミソラも来年こそはと心の中で誓う。