流星のメモリアル   作:スーサン

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時を超えたゲート

「明かりをつけましょうぼんぼりに~~……♪」

 歌を歌いながら居間の奥に置いてあるテレビの上にデフォルトに造形されたスバルのお内裏様とミソラのお雛様を乗せるとミソラは満足げに笑った。

「でけた! お手製、響家雛段!」

「おお……これはなかなか」

 テレビの上からもハッキリ主張されるSDな自分たちのお雛様とお内裏様にスバルは呆れた顔をした。

「最近、部屋に籠ってなにをしてるかと思ったら、こんなの作ってたの?」

「よく出来てるでしょう♪」

 テレたように笑い、ミソラはスバルお内裏様の頭を小突いた。

「スバル君の写真をもとに可愛く作ったんだから♪」

「器用なことするなぁ……」

 スバルも可愛くデフォルトされたミソラお雛様の頭を指で撫でた。

「あ、着物のほうは本物を使ったんだ?」

「舞台で使う衣装の布の残りを譲ってもらったんだ。ついでに作り方も習ってね♪」

「一日で仕舞うのに凝ってるなぁ」

「一日だから凝るんだよ! 芸術は爆発だからね!」

「なんか、違う気がするけど……まぁ、いいか」

 用意してあった団子と甘酒をミソラに渡した。

「じゃあ、ひな祭りを始めようか。今日はミソラちゃんの好きなものを作っておいたからたくさん食べてね」

「うん! スバル君、大好き!」

「おっと!?」

 じゃれるように抱き付かれ、スバルはバランスを取るように後ずさった。

「も、もう、ふざけないの!」

「えへへ……」

 照れ隠しのように団子を食べた。

「そういえば、もうそろそろ花見もあるね」

「委員長たちと相談して壮大にやろうってことになってるよ……」

 なぜか同棲のことは知っていたがあえてなにも言わなかったルナにスバルはいまだに喉の奥に魚の小骨が刺さったような違和感を感じていてが今は無視することにした。

「よし! その日は私が料理するよ!」

「じゃあ、ボクは場所取りでもしてるかな!」

「途中で寝て、場所を取られるようなヘマしないでよ!」

「もう、何年も場所取りしてるからそんなヘマしないよ!」

 ケラケラ笑い、スバルも甘酒を飲んだ。

「ひっく……」

「ギクッ!?」

 ミソラの顔が真っ青になった。

「なぁちゃって♪ 甘酒で酔うって定番だよね……って!?」

 殴られた。

「なんで!?」

「冗談が過ぎるよ!」

 酒癖が悪いことを理解してないスバルにミソラはハラハラした。

(酒癖さえ良ければ完璧なのに……)

「あれ……?」

「どうしたの、酔っぱらいのスバル君?」

 急にお雛様を飾ってあるテレビを見るスバルにミソラはも目線を合わせた。

≪なにか変だぞ!?≫

≪来るわ!≫

 同じように気配を感じたウォーロックとハープも現れ、テレビのスイッチがオンになった。

「これって!?」

「テレビの中に異空間が!?」

 テレビの画面から吸い込まれるように異次元の穴が開き、四人は動きが取れなくなった。

「な、なんだ、これは!?」

「だ、誰か出てくるよ!」

 加速してくる異変にスバルはミソラを守るように身体を抱きしめた。

≪来る!≫

 ウォーロックとハープも二人を守るように構えた。

「どこだ……ここ?」

 出てきた少年にウォーロックとスバルは目を丸めた。

「本当。熱斗と一緒だとトラブルに困らないわね……」

「俺のせいかよ……」

 テレビの中から現れた少年と少女にスバルは声を上げた。

「熱斗くん!?」

「それにメイルちゃん!?」

「うん?」

 熱斗とメイルは意外そうな顔をした。

「お前ら、なんで俺たちの時代にいるんだ?」

「まさか、またクロックマンが!?」

≪……ここは未来だ≫

「え……?」

 ようやく二人は自分たちがどこにいるのか気付いた。

 

 

「ごめんなさい!」

 天地研究所につくとさっそく、いつもの二人が土下座した。

「奇妙な事件の陰に天地研究所ありだね……」

「そんな、酷いこと言わないでくれよ」

 バツの悪い顔で天地は頭を上げた。

 スバルは溜息を吐いた。

「で、今回はどんな失敗したの?」

「じ、実はミソラちゃんが使ってるテレビですがこれ、前にミソラちゃんが修理してくれと頼まれて作ったんです」

「ミソラちゃん……」

「わ、わたし、わるくないもん……」

 ミソラは口笛を吹いた。

「で、修理した部品にどうやら間違ってタイムマシンのパーツが紛れてたようで」

≪どこをどうすれば、そんなすんごい間違いを起こすんだ?≫

 ウォーロックのツッコミに宇田海は恥ずかしそうに俯いた。

「大丈夫だと思ったんだけどなぁ……」

「って、この人、わかってて、パーツ組み込んでるよ」

 呆れ果てる熱斗にスバルも一応、聞いた。

「元の世界に戻る方法ってあるの? 念のため、テレビは弄らず、ボク達の家にあるけど」

「ボク達の家?」

 不思議そうな顔をする熱斗とメイルにミソラはスバルの腕に抱き付いた。

「私達、一緒に住んでまぁす♪」

「えぇええぇええ!?」

 仰天する熱斗とメイルにミソラは自慢げにメイルに耳打ちした。

「メイルちゃんもこれくらい大胆になってもいいんだよ♪」

「も、もう、ミソラちゃん!」

 真っ赤になるメイルにミソラはおかしそうに笑った。

「あ、そうそう……で、二人は帰れるの?」

「それは見てみないとわかりませんが恐らく大丈夫です」

 ゲートの開いたテレビの写真を見て宇田海はコクリと頷いた。

「ヨイリー博士のタイムマシン理論とボクのタイムマシン理論。そしてスバル君たちの妙な悪運が重なって偶然ではありますけど、特定空間のみのタイムゲートが開いたんです。だから、条件さえクリアすればいつでも過去にも未来にも行けます」

「どういうこと?」

 訳の分からない顔をするミソラにスバルが小声で説明した。

「ようするに鍵さえあれば、ドアを開いて、いつでも未来にも過去にも行けるってこと……」

「ってことは私達も熱斗くん達と同じ世界に行けるんだね♪」

「まぁ、理論上ですけど……」

 天地が注意するようにいった。

「とりあえず、今回の件は我々が責任をもって調べてみるよ。今後の研究の発展になるかもしれないしね」

「今回はミソラちゃんの勝手じゃなく、偶然の事故ですから公にしても問題のない案件ですからね!」

「まだ、そのこと、根に持ってたんだ……」

「なんの話?」

 前にミソラがしでかした時間移動事件のことを知らない熱斗とメイルは不思議そうな顔をした。

「あ、そうだ! ねぇ、天地さん、こっちのほうに持ってきたいものがあるんだけどいいかな?」

「うん?」

 熱斗の言葉に天地は腕を組んで考えた。

「まぁ、スバル君たちがいいなら、僕達は否定しないよ」

「よし!」

 パチンッと指を鳴らした。

「じゃあ、二人とも、面白いものがあるんだ! ちょっと待っててくれ!」

「うん……?」

 

 

 家に帰ると熱斗とメイルは当たり前のようにテレビの中へと入り、過去へと戻った。

「さすが歴代の勇者。順応力激しすぎ……」

「スバル君も普通の人と比べたら相当、順応力高いけどね」

「褒め言葉に聞こえないな……」

「あ、帰ってきたよ!」

「お……って!?」

 スバルとミソラは仰天した。

「ロックマン!?」

「久しぶり、スバル君、ミソラちゃん!」

 テレビの中から現れたロックマンエグゼにスバルとミソラはお互いの顔を見合った。

「ここ電脳空間じゃないよね?」

「うん……」

「ふっふっふ……♪」

 後から追ってきた熱斗とメイルもテレビの中から現れ、ロックマンエグゼの肩を掴んだ。

「コピーロイドっていって、ナビを実体化させるロボットなんだ!」

「たぶん、これが発展してウィザードが出来たんだね」

 メイルも宙に浮いたウォーロックとハープを見た。

≪俺たちはちょっと違うんだけどな≫

≪まぁ、一緒でいいじゃない。で、これからどうするの二人とも……うぅん、三人とも≫

≪四人よ、四人! 私も忘れないで!≫

「あ、ロールちゃんもいたんだ?」

≪酷い、スバル君!?≫

 メイルのPETの中でショックを受けるロールにウォーロックが聞いた。

≪なぁ、コピーロイドの在庫ならもしかしたら天地研究所にあるんじゃないか、研究対象として……≫

≪あ、それなら、私もコピーロイドを使いたい! 私もロックと同じことしたい!≫

 大はしゃぎするロールにスバルもひと息入れ、頷いた。

「行ってみようか?」

「また、天地研究所にレッツラゴー!」

 ジャンプするようにミソラが走り出した。

 

 

 で、またまた天地研究所。

「さすがに置いてないよ、そんな古いもの」

「ですよねぇ」

 行き帰り繰り返したせいかスッカリ疲れてしまったスバルとミソラ、メイル、熱斗、PETに戻ったロックマンエグゼにロールは溜息を吐いた。

「あ、やっぱり来たのね、スバルちゃんにミソラちゃん♪」

「ヨイリー博士!?」

 研究所の奥から朗らかな笑顔を浮かべ現れた老婆にスバルとミソラは頭を下げた。

「久しぶりです。ヨイリー博士!」

「久しぶり。そっちがキズナ理論の提唱者、光熱斗博士に光メイルちゃんね?」

「え……キズナ理論?」

「ひ、ひかりめいる!?」

「あら」

 ヨイリーは口を隠した。

「この時代じゃまだ、二人は自分たちの将来を知らないのね」

 スバルとミソラを呼んで耳打ちした。

(なるべく、二人の将来に触れないよう接しなさい。未来が変わる可能性があるから)

(わかりました)

 二人も頷き、誤魔化し笑顔を浮かべた。

「それより、ヨイリー博士」

「ええ」

 またニッコリ笑った。

「話は聞いてるわ。必要になるかもって思って持ってきたわよ!」

「おお!」

 ヨイリー博士が持ってきたコピーロイドにメイルと熱斗は感動した。

「ちゃんとこの時代にもコピーロイドがあった!」

「でも、形がちょっと違う気が……」

 より洗練されたコピーロイドの形にメイルは首を傾げた。

「なるべく新しいものを用意して使えるように調整したの。ロックマンちゃんが使ってるものより高性能よ」

 コピーロイドを立たせ、メイルと熱斗の前に置いた。

「二つ用意したから一つはロックマンちゃんが使いなさい。熱斗ちゃんが使ってるのは大切なものなんでしょう。大事にしなきゃダメよ」

「あ、ありがとうございます! ヨイリー博士!」

 なんとなくだが、熱斗はこのコピーロイドがどれだけ大切かヨイリー博士は理解してる気がし、嬉しくなった。

(なんだか……ワイリー博士に似てる気がするなぁ)

 たまにしか優しく笑わないワイリー博士の笑顔が目の前のヨイリー博士と被り、目をこすった。

「どうしたの、熱斗ちゃん?」

「い、いえ……」

 気のせいかと気持ちを切り替えた。

「じゃあ、今日はこのまま、みんなで熱斗ちゃん達の歓迎会を開きましょう。ルナちゃん達も呼んで!」

「うん!」

 真っ先にミソラが名乗りを上げた。

「私がみんなを呼んでくるね! スバル君たちはパーティーの準備! ちゃんとしてよね!」

「よし、任せておけ!」

「愛してるよ、スバル君♪」

 チュッと投げキッスし、ミソラはハープを呼んだ。

「行くよ!」

≪はいはい≫

「電波変換! 響ミソラ、オン・エア!」

 電波変換して天地研究所から消えたミソラにスバルは優しく笑い、熱斗たちの顔を見た。

「ねぇ、ミソラちゃんが戻ってくるまで、君たちになにがあったのか教えてよ。ボクも話したいことたくさんあるしさ」

「ああ、いいぜ」

 熱斗もニッと笑った。

「まずは……」

 熱斗が話し始めるとスバルはなぜか心が熱くなるのを感じた。

 これからきっともっと面白いことが起こる気がしたからだ。

 光熱斗、桜井メイル。

 この二人が巻き起こす事件はきっと今まで以上に刺激的で今まで以上に楽しいだろうなと嬉しくなった。

(これからよろしくね、熱斗くん、メイルちゃん)

 まさにキズナが生んだ奇跡の友達であった。

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