「ここがライブハウスか?」
しっかり整備された設備を見て、スバルは感嘆とした声を上げた。
横に立つミソラもフフッと笑った。
「今回は音合わせだけだけど本番のつもりで演奏してね」
「わかった……それよりもメンバーだけど」
「もう来てるみたい」
「え……?」
ライブステージに入ると見知った顔が自分たちを迎え入れてくれた。
「久しぶりね、スバル君」
「また逢えてうれしいよ」
「委員長、ツカサ君!」
久しぶりに会う友達にスバルは駆け寄った。
「久しぶり! 仕事があってなかなか会えなかったけど、どうしてたの?」
「ミソラちゃんに誘われてバンドのメンバーになったのよ」
「バンドのメンバー……じゃあ、二人が!?」
「そういうこと」
ツカサもニコッと笑った。
「これからチームメイトでもあるからよろしくね!」
「こっちこそ!」
嬉しそうに笑うスバルにルナが背を向けた。
「さっそく、音合わせとしましょう」
キーボードの前に立つとルナが指示を出した。
「スバル君は私の前に立って! ミソラちゃんは真ん中でボーカル。ツカサ君はドラムで開始の指示を!」
「オーケー!」
「ルナちゃん、リーダー私!」
「拗ねない拗ねない!」
「むぅ~~……」
それぞれ所定の位置に立つとツカサはスティックを振り上げた。
「ワン・ツー・ワン・ツー!」
四人の演奏が始まった。
「……」
スバルはビックリした。
(すごい、みんな息がピッタリだ)
元々仲が良かったメンバーだが初めて音を合わせるはずなのにちゃんと音楽になっておりビックリした。
(もっと無茶苦茶になると思ったけど……)
考えてみればメインになる二人が音楽経験者だ。
後は自分とツカサがどれだけ追いつくかの問題で人選そのものは間違ってない。
(音を合わせるって気持ちいい!)
ベースの音がうまく、みんなの音楽に乗り、いい音色を奏でるとスバルは言い知れない快感に身体を震わせた。
(ずっと演奏してたいくらいだ……)
そう考えているとギターの音が止み、皆、演奏していた手が止まった。
「ふぅ……」
額の汗を拭うとミソラは興奮した顔でみんなを見た。
「すごいよ、みんな! とくにスバル君の演奏は冗談抜きでうまかった! これなら本番もバッチリだよ!」
「そ、そうかな……」
テレるスバルにルナが肩を掴んだ。
「ツカサ君はともかく、音楽未経験者のアナタにしてはなかなかだったわよ!」
「え、えへへ……♪」
調子に乗るスバルにミソラの顔が面白くなさそうにムクれた。
ルナも挑発的な笑みを浮かべた。
「……」
「……」
二人の間に静かな火花が散り、それに気付くことなくスバルはツカサに近づいた。
「ツカサ君、ドラムが出来たんだね」
「練習したんだよ。君が参加するって言うし、結構、努力したよ」
「アハハ♪ これは負けてられないな!」
「……」
「……」
今度はルナとミソラの目線がスバルに対して厳しくなった。
「スバル君、遊んでないでもっと練習するよ!」
「そうよ! 一回、成功したくらいでなに浮かれてるの! 本番はこうは行かないからね!」
「は、はい!」
二人に怒鳴られ、スバルは慌てて元の場所に走った。
「ふぅ~~……」
家に帰るとスバルは今日の音合わせの興奮にまだ酔いがさめなかった。
「音楽ってこんなに気持ちよかったんだね?」
スバルに持ってきたジュースを渡すとミソラもニコッと笑った。
「本当、私もあまりのセッションの良さにビックリしてるよ! これならすぐにライブを始められそうだね!」
「メンバーがいいからね」
ルナとツカサの顔を思い出し、またフフッと笑った。
「それもあるけど、やっぱり、スバル君が一番頑張ってるからだよ!」
「そ、そうかな?」
「ベースは名前の通り、音の下地だからね。これがダメになると全部ダメになる。スバル君は案外、ベース向きかも」
「あはは……なんか、テレるな」
「うん……電話だ」
ハンターVGの電話機能を開くとルナが怒鳴りだした。
『ちょ、ミソラちゃん、大変よ!』
「ど、どうしたのルナちゃん? そんなに慌てて?」
『実はさっき私の元にアナタの事務所の関係者から連絡が入ったんだけど、私達、オーディションメンバーに選ばれてるわよ!』
「え……?」
二人は呆気にとられた。