流星のメモリアル   作:スーサン

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Game on Battle

「……」

 居間のテーブルでスバルは暇そうにマンガを読んでいた。

「ミソラちゃん、なにしに出かけてるんだろう?」

 一時間前に急に出ていったミソラにスバルは身体を伸ばすように柔軟した。

「あぁ~~……うるさい娘だけど、いなきゃいないで寂しいな」

「スバル君、最新ゲーム、買ってきたよぉ♪」

「うぐぅ!?」

 ドアを叩くように開けられ、スバルは思わず、息を飲んで咳こんでしまった。

「げほげほ……」

「大丈夫、スバル君?」

「あ、ああ……大丈夫」

 唇の端に垂れた涎を拭き、ミソラの顔を見た。

「ゲームする趣味なんて、あったの?」

「これは特別♪」

 ゲームソフトのパッケージを見て、ビックリした。

「電波変換したボク達じゃないか!?」

「ギャプコン社が開発した格闘ゲームで今、人気あるんだよ!」

 ミソラはすごい速さで二機の携帯ゲーム機を取り出した。

「一本で二人遊べるから一緒にやろう♪」

「まぁ、いいけど……」

 青いほうの自分専用のゲーム機を受け取るとスバルは機体を操作しだした。

「じゃあ、ミソラちゃん親機になってね。ボクは子機になるから」

「了解♪」

 ミソラも自分のゲーム機を弄った。

 二人の視線がゲームの画面に集中された。

 

 

 フィールドにロックマンがに立つと上空から踊るようにハープ・ノートが現れた。

(なんか、演出が違う……)

 若干、不満を感じながら、ロックマンは構えをとった。

『Ready Fight!』

 ハープ・ノートが駆け出した。

「一撃必殺!」

 手に持ったギターを振り上げた。

「覚悟!」

 ギターの本体が音を立てて振り下ろされた。

「ッ……」

 振り下ろされたハープ・ノートのギターを避け、身体をひねった。

「ごめんね……」

「キャッ……!?」

 強烈な回し蹴りがハープ・ノートの横顔にヒットした。

「ひどい!」

 吹き飛ばされたハープ・ノートを見て、ロックマンは腰をかがめた。

「バトルカード、ガトリング!」

 ロックマンの左手がガトリングガンへと変わり、吹き飛ばされ地面に激突するハープ・ノートに向かって構えた。

 凄まじい爆音と光り、粉塵が舞い、ハープ・ノートを黒い煙の中へと包み込んだ。

「……」

 あたりに黒煙が舞うとロックマンはガトリングガンの左腕を下ろした。

 風がビュッと吹いた。

「きゅ~~……」

 黒煙が風で飛ぶと目を回したハープ・ノートが倒れていた。

『YOU WIN』

 

 

「……」

 ゲームが終了するとミソラは廃人のように真っ白になっていた。

「だ、大丈夫、ミソラちゃん?」

 スバルは恐る恐る話しかけた。

「まだ、勝負はついてない!」

「うわぁ、復活早ッ!?」

 居間のテーブルのイスに座り直すとミソラはゲーム機のボタンを乱暴に操作した。

「ハープ・ノートなんてステータスの弱いキャラを選んだから負けたんだ!」

「いや、ハープ・ノートって結構ガチキャラ……」

「よし、これにする!」

 キャラセレクトを終えるとミソラの目が燃えた。

「これでスバル君を完膚なきまでに叩き伏せてあげるから!」

 ビシッと指をさされ、スバルは困った顔をした。

 

 

 フィールドにブライが現れるとロックマンはマジだと感心した。

(本当にガチキャラ使ってきた……)

 お互い決め台詞を言うとフィールドが一瞬、静まり返った。

『Ready Fight!』

 ブライが駆け出した。

 走りながら手から剣を取り出すとブライは剣の柄を握り、振り上げた。

「くらえ!」

 振り下ろされる剣にロックマン腰をかがめ、バトルカードを取り出した。

「バトルカード、ソード!」

「遅い!」

 ブライの剣がロックマンの頭上を斬り裂こうとした。

 だが、ビームソードへと変わったロックマンの右手がブライの剣を弾いた。

「なに!?」

「この!」

 身体を横回転させロックマンはブライの身体を斬りつけた。

「クッ……!?」

 寸前のところでロックマンの剣を避け、身体に軽い切り傷を作るとソロは吠えた。

「この!」

 またロックマンを斬りかかろうと剣を振り上げた。

「バトルカード、バリア!」

 身体にはったバリアがブライの剣を弾いた。

「く、この!」

 またバリアに向かって剣を振り下ろした。

「クッ……」

 また剣を弾かれ、ブライは苛立った顔をした。

「このこのこのこの!」

 自棄になったようにバリアに向かって剣を何度も振り下ろすブライにロックマンはまた腰をかがめた。

「バトルカード、ハイメガキャノン!」

「え……?」

 バリアが解けると同時にブライの身体が光に飲み込まれた。

『YOU WIN』

 

 

「……」

 口から煙を出すミソラにスバルは頬をポリポリと掻いた。

「ブ、ブライは初心者向けじゃないよ……」

「う、うるさい! 今度こそ!」

 本気で泣き出すミソラにスバルは頭の後ろを掻いた。

(ご飯、作っちゃいたいんだけどな……)

 

 

 それから三時間、ミソラの無駄とも取れるスバル攻略作戦は次々と失敗に終わった。

 オックス・ファイヤーでは攻撃をすべて避けられ……

 キャンサー・バブルスでは弱点を突かれ……

 オフュカス・クイーンでは張った毒を踏まれず作戦ミスで自滅……

 最後のキャラともいえるアシッド・エースでも……

「バトルカード、ワイドソード!」

「うあぁぁぁぁぁ!?」

 身体を斬り裂かれ、アシッド・エースの姿がフィールドから消えた。

「もういや! なんで、勝てないの!?」

 ゲーム機を投げ出すミソラにスバルは苦笑いした。

「それは明白だと思うよ」

「なんで!?」

「だって、ミソラちゃん、突っ込むだけのパンチオンリーで技を一切使わないんだもん……勝てるわけないよ、そんな単純操作じゃ」

「……」

 見事な指摘にミソラは呆けたように黙り込み、次第に目に涙がダクダクと溢れてきた。

「う、うえぇぇぇぇぇん!?」

 ついに堪えきれずミソラは泣き出した。

「ああ、ミソラちゃん、泣かないで!?」

 泣き出すミソラにスバルも慌てて彼女の機嫌を取ろうとあやしだした。

 この後、ミソラの機嫌が直るのは夜寝るまでかかった。

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