「調べてみたわ……」
テーブルに置かれた書類を見て、スバルは苦い顔をした。
「やはり、今回のミスコン、主催者は金田だったのか……」
元・ミソラのマネージャーの名前を見て、スバルは辟易とした顔をした。
「もうこの男、チートすぎて笑える……」
社長もテーブルに肘を乗せた状態で顎を手の甲に置いた。
「どうやらミソラにオファーをかけたのも金田みたい」
「金田さんが?」
ミソラが意外そうな顔をした。
「あの人、私たちの敵なのに?」
スバルは調べられた資料をさらに読んだ。
「どうやら、今回のミスコン、金田がプロデュースするアイドルが大多数を占めるみたい。ようするに」
社長の顔が苦々しくなった。
「大衆の面前でミソラの評価を落として、ミソラを失脚させる……それが目的ね」
「そうかな……」
ミソラは否定的な反応を返した。
「金田さんって金の亡者だから私を失脚させる程度でこんな大きな大会は開かないよ」
むしろとミソラは鋭い目をした。
「私を人寄せパンダに自分のプロデュースする女の子を目立たせようってところじゃないかな? もちろん、自分のアイドルが勝つように細工して」
「……」
「……」
ミソラらしからぬ理にかなった的確な推理に二人は目をパチパチさせた。
「じゃ、じゃあ、金田の狙いは……」
社長の言葉にスバルもうなづいた。
「ミソラちゃんを徹底的に利用して自分のアイドルを目立たせ、金を作る……」
「呆れかえるくらい用意周到で回りくどい……」
呆れる社長にスバルは頭を掻いた。
「しかも、もう出ると決めちゃったから今更、勝つ見込みがないから参加しないじゃ見る側は納得しないだろうし……」
「この調子じゃ、審査員も金田の息のかかった人たちだろうし……正直、出るも地獄。出ないも地獄じゃねぇ」
「ねぇ、そんなに悩むこと?」
「うん?」
ミソラはニパァと笑った。
「こうすればいいんだよ♪」
ミソラのアイディアに二人は呆気にとられた。
同じころ、金田は自分が選んだこれから金になる女の子のプロフィールを見てニシシと笑った。
「これだけヒットすれば俺はもっともっと金持ちに」
「金田くん、ちょっといいかな?」
「あ、運営委員会の会長。どうしんたですか、わざわざ私のような個人事務所に」
ソファーから立ち上がる金田を制止し、今回のミスコンの運営委員会の会長は難しい顔をした。
「実は響ミソラの事務所に嘆願書が届いてね」
「言っときますが私はおりませんよ」
毅然とする金田に会長は首を振った。
「いや、ミスコンの投票をファン投票で決めようということになった」
「なに!?」
驚く金田に会長はうんうんと頷いた。
「ファン投票は君の得意分野だろう。その方式に則って今回のミスコンは完全ファン投票で行こうということになった。ということで審査は完全に我々のほうで行う。君は安心して違う仕事に入ってくれ!」
「ちょ、待って……」
勝手に進められる話に金田は一人置いて行かれた。
「期待してるよ。金田くん!」
肩を力強く叩かれ、金田はいう言葉を逃した……
「ミ、ミソラめぇ……」
メラメラと背後に炎を滾らせ、金田は下唇をかんだ。
「俺の目的以上の行動をとりやがって……こうなったら本気で潰してやる!」
ハンターVGの電話機能を取り出し、金田は禁断の作戦に出た。
またまた同じころ、ミソラの事務所では……
「はい、わかりました!」
かかった電話を切り、社長はガッツポーズをとった。
「やったわ! 運営委員会はミソラのアイディアを受け入れ完全に審査方法をファン投票にするみたい!」
「やった!」
嬉しそうにミソラはソファーから飛び上がった。
「金田さんの得意とする大量に同じものを買わせて投票するというシステムを利用すれば簡単に運営委員会を動かせると思ったんだ!」
「金田と運営委員会は別組織なのが功を奏したね」
スバルもホッとしたようにソファーにもたれた。
「でも、これで条件はイーブン……ミスコンはテレビで中継され新年明けて結果が出る。ミソラちゃん……勝つ自信は?」
「当然!」
ダブルピースした。
「絶対に勝つ! だって、私、負けるの嫌いだもん!」
「よし、いい返事! 頑張ろう、ミソラちゃん!」
「オーケー、ダーリン♪」
パチンッと手を叩きあい、二人は笑顔を浮かべた。
「人前でイチャつかないでよ、若人……」
ミソラとスバルは恥ずかしそうに顔を赤らめた。