「ス・バ・ルくぅ~~ん♪」
前屈みになりミソラの育ちかけた大きな胸が谷間を見せた。
「今日はなんの日?」
「わかってるよ……」
スバルも家事で着ていたエプロンを脱いだ。
「じゃあ、バレンタインデーのお返しのホワイトデーデートしようか?」
「うん!」
元気よく頷くとミソラの大きな胸がぷるんっと揺れた。
『アシモフ……いやぁぁぁっ!?』
『……』
『おい、GV!?』
《GVに触れないで!》
傷つき、たくさんのものを失った彼が唯一残った大切なもの……
その後、彼の消息を知るものはいない。
「……」
「……ぐす」
涙ぐむミソラにスバルはそっとハンカチを渡した。
「ぶびぃ!」
「……」
遠慮なく鼻をかむミソラにスバルは呆れた顔をした。
「GV……シアン……モルフォ……可哀想……」
また鼻をかむミソラにスバルは新しいハンカチを買うことを考えた。
「あ、もうそろそろだ!」
時計を確認すると二人はすぐ近くのカードショップに入った。
……
…………
…………………
…………………………
「アルティメット・ジークヴルム・ノヴァでアタック!」
「ラ、ライフで受ける!」
ミソラのライフのコアが弾けた。
「キャァァァァァ!?」
吹き飛ばされバトルフィールドから追い出されるとミソラの身体が硬い床に叩きつけられた。
「いったぁぁぁ……」
息をハァと吐き、ミソラは涙目で起き上がった。
「スバル君、バトスピ強すぎだよ……」
スバルもバトルフィールドから戻り、バトルフォームを脱いだ。
「もうそろそろ新作開始だからね! ここでボクの強さを思い出してもらわないと!」
「中の人ネタ的な話ね……」
「アハハハ♪」
見事にハイランカーに選ばれたスバルは優勝者カードを貰い、ショップを後にしていった。
「はむ……むぐむぐ♪」
昼になり雑誌で紹介されていたハンバーグ屋で昼食を取るとミソラは晴れやかな顔でスバルを見た。
「このハンバーグ、美味しいね♪」
「そうだね……」
スバルも自分のぶんのハンバーグステーキを口に入れた。
「むぐむぐ……」
「こうナイフを入れた時の肉汁の染み出す音とその肉汁の詰まったハンバーグを口に入れた時の旨味の強い熱さ! もうサイコーだね!」
「うん!」
口に入れたハンバーグを飲み込んだ。
「雑誌に載ってた通りの味だね!」
「むしろ、それ以上だよ!」
一口大に切ったハンバーグステーキを大口を開けて食べるとミソラは満面の笑みを浮かべた。
(子供みたいなんだから……)
「あ、あの……少し、いいでしょうか?」
「はい……」
食事中に声をかけられ、二人は口を手で隠した。
「あ、もしかしてうるさかったですか?」
「い、いえ……」
人の良さそうな店主は少しテレた顔で一枚の色紙を差し出した。
「ァンなんです! 店に飾るサインをください!」
「……あむぅ」
ハンバーグステーキを口に入れ、ミソラは幸せに顔を緩めた。
「喜んで!」
「ありがとうございます!」
店主の本当に嬉しそうな顔にスバルはクスッと笑ってしまった。
「ふぅ~~……食った食った♪」
お腹をさすり、ミソラはニコッと笑った。
「じゃあ、今日のメインに行こうか♪」
「そ、そうだね……」
スバルも少しテレたように頬をかいた。
「このスーパースパに!」
立派に構えられたおしゃれなお風呂屋を見て、二人は少しだけ顔を赤らめた。
「じゃ~~ん♪ 可愛いでしょう♪」
「う、うん……」
ミソラが着ているシンデレラの魔法のドレスをイメージしたような上下別れた水着を見て、スバルは顔を赤くした。
「もう見慣れてるくせにテレちゃって♪」
むにゅぅとスバルの腕に自分の胸を押し付けるように抱きつき、ミソラは彼の腕を引っ張った。
「早く入ろう! 今日、ここに来たくってワクワクしてたんだ♪」
「ミソラちゃんってそんなにお風呂好きだったっけ?」
「スーパースパは別だよ! だって、いろんなお風呂があって楽しんだよ、ここ♪」
満面の笑みでスバルを引っ張るとミソラは目の前のお風呂に入った。
「まずはおでん風呂だ!」
「なんで、おでんの出汁がお風呂に!?」
仰天を隠せないスバルにミソラは新しいお風呂へと入ろうとした。
「味噌汁風呂!」
「なんで味噌汁!?」
「赤味噌だよ!」
「種類なんて聞いてない!」
新しい風呂へと向かった。
「ジュース風呂♪」
「つめたぁぁぁ!?」
「甘酒風呂!」
「酔いそう……」
「ビーフシチュー風呂!」
「だからなんで食べ物限定!?」
「最後は味噌ラーメン風呂! 響ミソラだけに……」
「早く入ろう、寒くなってきた」
「むぅ~~……」
「なんだろう……」
メインを済ませ、ホワイトデーデートを終えるとスバルは口を押さえていた。
「もう晩ごはんまだなのに今日はもうご飯いらない……うぷぅ」
嘔吐しそうに口を押さえるスバルにミソラは満足げに大股で歩いた。
「楽しかったね! 今日の夕食、カレーが食べたいな♪」
「自分で作って……うぷぅ」
本当に吐きそうになるスバルにミソラはバンッと背中を叩いた。
「もう、スバル君ったら年取ったフリして♪」
キャハハと笑い家のドアを開けると……
「熱斗、やっぱりよくわ無いわよ!」
「大丈夫だって! 家に不審者が入らないよう俺が守ってやってるんだよ!」
《その不審者がボク達だと思うけど……》
「……」
居間に上がるとミソラは目を三角しに家に招いた覚えもない客を見た。
「二人共、不法侵入って言葉、知ってる?」
「あ、ミソラちゃん、これは違うの!」
慌てて弁明しようとするメイルに熱斗が割って入った。
「あ、ミソラ……これ、バレンタインのお返し!」
「どうも……」
不機嫌にプレゼントを受け取るとミソラは面白くなさそうにそっぽを向いた。
(今晩は楽しもうと思ったのに……興が削がれた!)
頬を膨らませ、ミソラは不機嫌にムクれた。
「なぁ、聞いていいか?」
熱斗に肩をチョンチョン叩かれた。
「お前らなに食ったんだ……いろんな食材の匂いが混ざって臭いぞ」
「ッッッッッ!?」
ミソラは顔を真っ赤にしてお風呂へと走った。
「なにがあったんだ、スバル。お前も臭いぞ」
「今日はもうなにも食べたくない……うぷぅ」
口を押さえるスバルに熱斗は不思議そうに肩まで手を持ち上げ、わけのわからないといったポーズを取った。
それからミソラが風呂から上がったのは臭いが完璧に取れる一時間も後の話だった。