流星のメモリアル   作:スーサン

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子供の日にハメを外すは子供の特権

「ザ・こどもの日!」

「……」

 家に帰ってくるなりいきなり巨大な箱を持って現れるミソラにスバルは呆れた顔をした。

「なに、その箱?」

「えへへ……♪」

 可愛く顔を赤くしミソラはテレた。

「いいもの買ったんだ♪」

「また、無駄遣い?」

「無駄遣いじゃないもん!」

 ぷぅと頬を膨らませるミソラにスバルは座っている部屋のテーブルに頬杖をついた。

「そういってこの前、読みもしない小説を買ったじゃない」

「あ、あれはいつか読む予定だもん」

 口笛を吹いて誤魔化すミソラにスバルはほとほと呆れた顔をした。

「まったく……」

「今回は無駄遣いじゃないもん!」

 ミソラは手に持った巨大な箱を床に置き、リボンを解いた。

「見よ!」

 箱のふたを開け、ミソラは得意げに叫んだ。

「今日のために仕事で出会った職人さんに頼んで作ってもらった……」

 箱がオープンした。

「うわぁ!?」

 料理漫画よろしく謎の光が部屋の中を包んだ。

「な、なんだ、今の光は?」

 光が止み視力が回復するとスバルは仰天した……ように見えた。

「五月人形?」

 デンッと構えられた嫌にリアルな鎧人形にスバルは詰め寄った。

「これなに?」

「さっき自分で言ったじゃん、五月人形!」

 ぷるんっと大きな胸を揺らし威張った態度を取るミソラにスバルは眉間を指で掴んだ。

「い、いや、見たらわかるよ……で、なんで五月人形?」

「今日は5月5日じゃない!」

「ボクの家に帰れば母さんが昔、買ったのを用意してくれるはずだよ」

「それじゃつまんないもん!」

 五月人形の兜を取り、ミソラはニヘラと笑った。

「この五月人形はちょっと違うんだよ!」

「え……うわぁ!?」

 ズボッと頭に五月人形の兜を被らされ、スバルはキョトンとした。

「サイズがピッタリ?」

「すごいでしょう♪」

 ニパァと笑った。

「職人さんに頼んでスバル君の身体にフィットするお手製の五月人形の鎧を作ってもらったんだ!」

 ビシッと指差した。

「名づけて、五月のスバル君人形!」

「あのね……」

 被っていた兜を脱ごうとして手を征された。

「まだ、鎧が残ってるよ!」

「え、ちょ、ちょっとまって……」

 ルパンダイブのようにミソラが襲い掛かった。

「じゃぁ~~ん♪」

「……」

 鎧を全部着せられ、スバルは自分の姿に戸惑った。

「なんで、こんな重いものを着なきゃ……」

「スバル君動かないで!」

「え……うわぁ!?」

 パシャッとフラッシュの光が焚き、スバルは思わず目を瞑ってしまった。

「鎧姿のスバル君の写真ゲッチュー♪」

 可愛くガッツポーズを取るミソラにスバルは困った顔で鎧の上から頭を掻いた。

「もしかして、ボクで遊びたくってこれ買ったの?」

「ち、ちがうよ!」

 カメラを離し、ミソラは慌てて弁解した。

「わ、わたしはじゅんすいにすばるくんとこどものひをたのしみたくって……」

「声が上ずってるよ……」

 呆れ果てるスバルにミソラはふんっと鼻を鳴らした。

「スバル君にコスプレして楽しむのがどこが悪いの!?」

「開き直ったな……」

 ミソラはカメラを構え、ニヘラと笑った。

「いいだもん!」

 シャッターを押した。

「今日はスバルくんでたっぷり楽しむって決めたんだもん!」

 さらにシャッターを押した。

「はい、スバル君、刀を抜いてポーズ!」

「あのねぇ……」

 こうなったら言うことを聞かないと拗ねるなと理解したスバルは言われるまま鞘に刺さった刀の柄に手を置いた。

「刀に手をかけるスバル君、格好いい!」

「ちょ、ミソラちゃん……」

 本気で赤くなるスバルにミソラはカメラを構えながら叫んだ。

「さぁ、早く刀抜いて構えて構えて♪」

「もう変態だな、こうなると……」

 刀を抜き、グッと両手で構えるとミソラはさらに興奮した。

「エクスカリバー!」

 鼻血を出し、ミソラはシャッターのボタンを連打した。

「素敵無敵大人気♪ もうスバル君、食べちゃいたい!」

「あ、あの……」

 一人盛り上がるミソラにスバルはどこか困惑した顔をした。

 そりゃあ、一人異様に盛り上がれば他は困惑して呆れるもの……

 ミソラが写真を撮り飽きてスバルに鎧を脱いでいいと言うまでおよそ二時間、スバルは写真でポーズ撮られまくった。

 

 

「はぁ……」

 ようやく鎧を脱ぐことを許され、スバルはソファーにもたれかかり疲れきった顔をした。

「ミ、ミソラちゃん?」

「えへへ……」

 スバルの鎧姿を堪能したのかミソラは涎を垂らしながら幸せそうに眠っていた。

 その姿にスバルはゾッとするものを覚えた。

「モ、モノホンの変態になってる」

「すばるくぅん……つぎはこっちのふくきてぇ♪」

「しかも本当にコスプレで遊んでる……」

 えへへと夢の中で幸せそうに楽しむミソラを見て、スバルは頭が痛くなった。

「今日はこどもの日だし、なにか和風の夕食でも作ろうかな?」

 テーブルに置いてあった料理カタログを広げ、スバルは昔の精進料理を調べだした。

「ほう、お肉が食べれない僧侶のための精進料理か……これならミソラちゃんも満足かな?」

 ダイエットにもピッタリな肉を連想させる精進料理を見て、スバルは早速材料を買いにデパートに向かおうとした。

「えへへ……すばるくん♪」

 幸せそうに寝返りを打つミソラの身体にタオルシーツをかけ、スバルは部屋を出ていった。

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