「うぅ~~ん……空気が美味しい!」
山の空気をいっぱいに吸い、ミソラは大空に向かって伸びをした。
「ミソラちゃん、すぐ準備したいから手伝って」
「うん!」
スバルが下ろした大荷物の中からバーベキューセットを取り出し青い芝生の上に置いた。
「今日はミソラちゃんの誕生日だからね、お肉多めに用意したよ!」
「えへへ……♪」
テレたようにミソラは頭を掻いた。
「お肉美味しいもんね♪」
「この日のためにナンスカー村から買った牛肉を用意したよ!」
「ワォ! お肉の産地じゃん!」
ジャンプして大喜びするミソラにスバルはバーベキューコンロの中に炭を置いた。
「青い空にバーベキューコンロなんて風情があるねぇ♪」
古い新聞紙をまとめだした。
「なにしてるの、スバル君?」
「炭は直接火を着けても火はつかないからこうやって新聞紙に火をつけて、ちょっとずつ燃やすんだ」
「へぇ~~……」
火のついた新聞紙を炭の入ったコンロの中に入れるとスバルはうちわを用意した。
「あとは火がつくまでうちわで風を送るんだ」
「私、やってみたい!」
「いいよ」
ミソラにうちわを渡すとスバルはテーブルに用意してあった食材に手を付けた。
「ボクはお肉や野菜を串に刺すから、ミソラちゃんは火が消えないようちゃんとうちわで扇いでね!」
「うん!」
コンロの中に向かってうちわをパタパタと扇ぐとミソラは楽しい気持ちになった。
(スバル君とアウトレジャーなんて、なんだから家族になったみたい♪)
頭の中で新婚になった様々な妄想を繰り広げ、ミソラは唇の端に涎を垂らした。
「えへへ……♪」
ジュルッと涎をすするとミソラの顔が青くなった。
「ゲホゲホ……!?」
炭の中から溢れ出た煙を吸い、ミソラは咳き込んでしまった。
「もういいようだね!」
火が完璧についた炭を見て、スバルは串に刺した食材を金網を敷いたバーベキューコンロの上に置いた。
「じゃあ、バーベキューパーティーをしようか!」
「うん!」
炭の匂いと一緒に漂う肉と野菜の香りにミソラはウットリした。
「いい匂い♪」
「炭火焼きは匂いも格別だからね♪」
「でも、ちょっと煙い……」
ゴホゴホと咳をした。
「そこがバーベキューの醍醐味さ!」
ニコッと笑い、スバルは焼き上がった串をミソラに渡した。
「ありがとう」
串をもらい、ミソラは焼きたての炭火の肉を食べた。
「いっただきまぁす!」
パクッと食べた。
「おいしい!」
パァと顔が輝やいた。
「このお肉、いつも家で焼いてるお肉と全然味が違うよ!」
スバルもバーベキューの肉を食べ、ニコッと笑った。
「ナンスカー村のお肉もあるけど、炭火で焼くとお肉や野菜も特別おいしくなるんだよ!」
「へぇ~~!」
パクパクと食べ、ミソラは満面の笑みを浮かべた。
「おいしいねぇ、スバル君!」
「そうだね!」
スバルも串に刺さったお肉を食べ、満面の笑みを浮かべた。
バーベキューを食べ終わるとスバルとミソラはバーベキューセットを片付け、芝生に敷いたブルーシートの上で寝転がっていた。
「あぁ……牛になりそう♪」
膨れた腹をさすりながらミソラはウットリした顔をした。
「お肉は美味しいし、スバル君と食事は楽しいし、山の空気は美味しいし……もう言うことなしだよ!」
「だからって、ひっつかないでよ、ミソラちゃん……」
抱きまくらでも抱くようにミソラはスバルの身体を抱きしめていた。
「えへへ♪」
スバルのちょっと汗臭い匂いを嗅いでミソラはテレたような笑みを浮かべた。
「スバルくんの体温、冷たいから気持ちよくって……」
「ボクは暑いよ……それに」
ムニィと感じるミソラの胸の感触にスバルは赤くなった。
「やっぱり、離れて」
「いやぁ~~……♪」
ギュッとくっつきさらに胸の感触が強くなるとスバルはなんともいえない感覚で身を固めた。
「ねぇ、スバル君……」
「なに?」
「来年も誕生日でなくてもいいからバーベキューをしようね?」
「もちろん!」
来年の再来年もその次の年もずっと一緒にバーベキューをしたいとスバルは純粋に思った。
その願いが永遠に叶うことを天が約束したように青く光っていた。