流星のメモリアル   作:スーサン

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電波ブロガーの将来は……

「え……半田寛?」

 いきなり人の名前を言われ、ミソラは首を傾げた。

「うん……」

 スバルも開いていたパソコンを見せた。

「かなり有名な悪質な電波ブロガーらしくってね……」

「ブロガー?」

 そういえば、最近、自分のブログを更新してないとミソラはドキッとした。

「見てみて」

「うん……?」

 開いたページを見て、ミソラはギョッとした。

「なにこの無茶苦茶なツィートの連続は?」

 呟きアプリ「ツッター」に連続してスバルのIDに書き込まれた攻撃的な誹謗中傷にミソラはビックリした。

「これってなに?」

「半田寛って、自分の気に入らない相手をとにかく粘着して罵詈雑言浴びせることで有名なんだ」

「しかも、書いてる内容が「スズカの売り方のパクリだ」発言ばっかり……」

「スズカちゃんのファンらしいんだが……」

「本当にファンなの?」

 文章もそうだがスズカのファンにしてはかなりスズカの人格を自分の都合の良いように捉えて発言している。

 要するににわか発言が多いのだ。

「事務所の方でもどう対処するかで相談されてるんだ」

 ミソラの顔を見た。

「内容的に人格を否定してたり営業妨害的な内容を繰り返したら、酷い話、この前のドラマの収録でミソラちゃんが共演したら「スズカの人気を掻っ攫うバカ女が番組を台無しにしてる」という発言も出てるんだ」

「酷い言われよう……」

「訴えることも考えてるんだけど、そうなると事務所やミソラちゃんの評判も下がる可能性もあるから事務所としては難しいところらしいよ」

「訴えるかぁ……」

 正直、訴えるだけの金も時間も惜しい。

 それがミソラの本音であった。

「でも、いつかミソラちゃんの活動に支障をきたす可能性もあるから今のうちに芽を摘もうかと思うんだ」

「どうするの?」

「そこはウォーロック!」

《おう!》

 ハンターVGに現れたウォーロックを見て、スバルはニヤッと笑った。

「ヤラれたらやり返すのが鉄則だよねぇ!」

「最近、スバル君が汚れてきたと思うよ……」

 強硬手段に出ると言い始めたスバルにさすがのミソラも呆れ返った。

 

 

 半田寛の所在を知るのは意外と簡単だった。

 ネットでも仕事はせず三十になっても親のスネを齧ってネットで暴れまわる男だ。

 怖いものなしの性格ゆえに住所も電話番号も普通にネットに晒し、簡単に所在を洗い出すことは可能だった。

 もっとも驚いたのが自分に否定的な人物達に対して「堪忍袋の緒が切れた」と画像に文字を入れ、自分の怒り顔をアップした写真をネットに公開していたことだった。

 世間ではプレデター顔とも言われるこの写真を発見し、半田寛の所在を調べる材料にした時はロックマンもハープ・ノートも軽く寒気を覚えた。

 このなんともえいない破滅的な行動は簡単に取れるものじゃない。

「あ、見つけたよ!」

 海の見える一戸建てでロックマンとハープ・ノートはさらに呆れた光景を見た。

「これって……?」

「なんというか……」

 家には見つけた写真の男以外誰もいなかった。

 男自身も腕に旧モデルの「トランサー」をつけていた。

 部屋に隅には親が買ってきたのであろう週刊誌を見ながら文書を丸写ししたブログの更新をしていた。

 部屋は壊れたおもちゃや食いつぶされたお菓子にジュース、他にも汚物とも取れるゴミが散乱し、とても人の済む世界とは思えなかった。

「……」

 その人間としてどこか終わった感のある光景に二人の中にあった狂気はどこか消え失せてしまった。

「帰ろっか?」

「うん……」

 少し、パソコンをクラッシュして電波環境を遮断するつもりだったがそんなことする必要もなかった。

 半田寛の生活環境はネットで晒してる恥部以上に惨めで救いがなかった。

 ほっといても勝手に自滅するとロックマンもハープ・ノートもなにもせず帰ることにした。

「……」

 そんな二人の視線も気づかず、半田寛は焦点のあってない目でトランサーを弄り続けた。

 数年後、半田寛は近くの模型店の商品を涎でグチョグチョにし裁判沙汰になり、そこから芋づる式でネット内で犯していた犯罪が親にまでバレ、勘当を言い渡さるように見捨てられた。

 

 

 数日後、裁判を起こす時間もないということで半田寛のツィートは全てブロックする形でこの話は終了した。

「にしても、なんだったんだろう、アイツ……」

 スバルの作ってくれた夕食を食べながらミソラはこの前見た、半田寛の実生活を思い出した。

「まるで進歩のない空間というか、世界が完結してるというか……」

 なんとも言えないいつか崩壊するのが約束された半田寛の部屋を思い出し、ミソラは少し悲しそうな目を向けた。

「哀れな人だったね……」

「……」

 スバルもご飯を食べながら頷いた。

「ボクもいつか、ああなってたかも知れなかったかもね」

「え、スバル君が?」

「世間から隔離して自分だけの世界で生きて、それをなにかのせいにする。まるで昔のボクのようだ」

「それは違うよ!」

 バシンッと机を叩いて立ち上がった。

「スバル君はあんな奴にならない! だって、スバル君はみんなのヒーローで私の……恋人だから!」

「……」

 テレ臭そうにスバルは顔を赤らめた。

「今度の休みデートしようか!」

「うん!」

 満面の笑みを浮かべるミソラにスバルも食事を再会した。

 人生から逃げ、ウチの世界に篭もることを選んだ半田寛が決して手に入れることの出来ない幸せな家庭の中で……

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