シューティングスターオンライン2の世界でスバルはミソラに呼ばれ待ち合わせにカフェエリアの椅子に座って待っていた。
「まったく……」
呆れた顔でスバルはため息を吐いた。
「今日がなんの日かわかってるのかねぇ?」
割りと気にしながら今日を待っていたのに呼び出されたのがゲームの世界でしかも待たされている。
ある意味、救いようのないバレンタインデーであった。
「まぁミソラちゃんは今、用事で家を出かけてるから電脳世界に来いなんだろうけど……」
回復アイテムを飲みながらスバルはまたため息をついた。
「待たせスバル君!」
「うん……ミソラちゃん」
振り返るとスバルはビックリした。
「な、なんだその姿は!?」
見るも恐ろしいほど重装備に身を包んだミソラの姿にスバルは軽くひいた。
「スバル君、お待たせ♪」
「……」
格好のことは一回置いておくことにした。
「ミソラちゃん、えらく待ったけどどこ行ってたの?」
「ちょっとリアルの友達と準備してたんだ♪」
「準備?」
リアルの話ならリアルで済ませればいいのにとスバルは呆れ返った
「で、ミソラちゃん、なにかようなの?」
「え、用がないと逢っちゃダメなの?」
寂しそうに目を潤ませるミソラにスバルは頭が痛くなった
「こんな世界で逢わなくっても一緒に住んでるんだから家で用事を済ませようよ?」
「そんな趣がない♪」
「こんな趣いらないよ」
最近、ミソラの趣味が斜め上を行き出した気がしスバルは心労を感じた。
「なにを真っ青になってるの?」
「べつに……」
顔を覗かれ、スバルは恥ずかしそうに視線を逸らした。
「で、用事って?」
「ハハ♪」
楽しそうに笑いミソラはアイテムボックスからアイテムを取り出した。
「スバル君にプレゼント♪」
「え……?」
トレード機能が発動した。
「なにしたのミソラちゃん?」
「適当にE缶を選択しておいて」
「わ、わかった……」
ミソラに言われたとおりトレードアイテムを選び、トレードを成立させた。
「お?」
手に入ったアイテムにスバルは驚いた。
「これって迷彩アイテム?」
使うと指定のジャンル武器が全部、そのビジュアルになるビジュアルにもこだわったSSO2ならではのオシャレアイテムであった。
「って、これってバレンタインのチョコの武器?」
銃剣と呼ばれる武器のビジュアルを全て「バレンタインチョコ」の見た目にするアイテムにスバルは目をギョッとさせた。
「いいでしょう♪」
ミソラは得意げに胸を張った。
「手に入れるのに苦労したんだ♪」
「わざわざ電脳世界まで来てチョコを見繕わなくっても……」
「大丈夫だよ。ちゃんとリアルも気を使ってるから」
「え……?」
「え……?」
ゲーム機から顔を上げると気付いたらミソラの顔が横に映った。
「ミ、ミソラちゃん!?」
いつの間にか家に帰ってきていたミソラにスバルは驚いて尻餅をついてしまった。
「いっつぅ……」
「アハハハ、スバル君、なにやってるの?」
「う、うるさい!」
顔を真っ赤にして立ち上がりスバルは尻をパンパンと叩いた。
「で、なにしに出かけてたの?」
「リアルの友達に会いに行ってたんだよ♪」
「リアルの友達と?」
「もう貰ったでしょう♪」
嫌な予感を覚えた。
「ま、まさか……SSO2の世界で冒険してたの?」
「仕方ないじゃん! ギリギリでなんとか専用ポイントを貯めてバレンタイン迷彩武器を手に入れたんだから!」
「仕方ないって……」
なにか歪に感じるバレンタインプレゼントにスバルはガッカリした。
「なんか期待していたボクがバカみたいだ……」
「バカみたいって……」
楽しげに笑った。
「拗ねないでよ、これもあげるから♪」
「え……?」
手渡されたチョコの包装紙にスバルは呆気にとられた。
「こ、これって……?」
甘い匂いを鼻に感じ、スバルは目を瞬かせた。
「リアル友達と作ったんだ♪」
「あ、ありがとう……」
貰ったチョコを見て、スバルは嬉しそうに赤くなった
「今年も貰えた……♪」
ミソラも満更でない顔で微笑んだ。
「今年もハッピーバレンタイン♪」
チュッと頬にキスをした。