「……」
ハンターVGを弄りながらミソラはマジメな顔をして指をフリックしていた。
「……」
ミソラの前にティーカップを置き、スバルはなにをしているのか覗いた。
『マシンガンストリングス!』
ゲームのカードが相手プレイヤーにダメージを与え、ミソラはガッツポーズを取った。
「よし、私の勝ち!」
気づいたようにスバルを見た。
「あ、か、勝手に見ないでよ……」
恥ずかしそうにハンターVGを手で隠すミソラにスバルは呆れた。
「なにをしてるかと思えばゲーム?」
困った子供を持つ母親のような顔をして、エプロンを脱いだ。
「違うよ!」
ミソラも叱られた子供のように拗ねた顔をした。
「れっきとしたカードゲームだよ!」
「ああ、ソシャゲね……結局ゲームだし」
のれんに腕押し、糠に釘、カエルの顔に小便とはこのことだろうなとスバルは疲れた顔をした。
「これは本格ソーシャルTCGなの!」
「本格ソーシャルTCG?」
なにそれと目を瞬かせた。
「ようするにちゃんとした戦略性重視のカードゲームなんだよ! すごく面白くってさ! ついやめられなくってやめられなくって」
ニパァと笑うミソラにスバルは対面するようにテーブルの前に座った。
「いくら課金したの?」
「ぴゅ~~……」
「目をそらすな……」
「だって、強くなるにはそれなりにお金を使わないとダメじゃん!」
「やっぱりお金を使ってるのか……」
ミソラが稼いだ金だから自分がとやかく言う気はないが、こうも道楽に使われるとため息も出ない。
(そういえばSSO2も結構、お金使ってたな……)
トップアイドルとはいえこの金の浪費ようは少し考えないといけないかなと思った。
「ねぇ、スバル君も始めなよ! ちょっとした微課金で簡単に強くなれるから!」
「断っても布教し続けるんでしょう?」
「もっちろん♪」
屈託なく笑う美少女にスバルは今度こそ深いため息を吐いた。
それから数日後……
「ふっふっふっ……」
運命の日が来て、ミソラは大きな乳房を両腕を組むように寄せてあげて妙に色っぽいポーズを取っていた。
「スバル君にゲームで敗け続け何度も泣かされた毎日! それも今日が最後!」
ビシッと指差した。
「この重課金者の私にスバル君みたいな無課金者が勝てるわけがない!」
自分”重課金者”と開き直るミソラにスバルは用意された卓上テーブルに座った。
「さっさとやるよ」
「よっしき!」
ハンターVGの画面を対戦モードに起動し、お互いの通信を繋げた。
「勝負開始!」
「ウェーブバトルライドオン!」
二人のゲームが始まり手札が切られた。
それから十分後……
「ぽか~~ん……」
口からエクトプラズムを吐き出すミソラにスバルはため息を吐いた。
「いくらお金を使ってもデッキバランスが悪ければこうなるよな……」
エクトプラズムを飲み込み、スバルに迫った。
「な、なにが悪いの!?」
「まず、ドローを強化してるくせにコストの重いカードばかりで返って使いこなせてない!」
「グッ……」
「しかも効果は強くとも能力が強すぎて弱いカードに強力な効果を使ってるから足し引きの計算で損してる」
「グッ……」
「場のカードも揃いが悪いから基本ノーガード戦法になりがち」
「ががが……」
「極めつけは……」
「まだあるの!?」
「デッキの方向性が間違ってるからデッキパワーが発揮しきれてない。弓だけで相手を斬り殺そうとするくらい運用性を間違ってる」
「うぇぇぇぇん……」
ミソラの隣に座った。
「ほら、調整をつき合ってあげるから見せて!」
「う、うん……」
自分のハンターVGを見せた。
「あ、このカードはいらない」
ミソラのハンターVGの画面をフリックした。
「このカードは一枚でいい。このカードは三枚積み……このカードは」
カードを選び”いる””いらない”を選択するスバルをミソラはジッと眺めた。
(ちょっと格好いいかも……)
マジメにデッキを作るスバルの横顔に色気を見出し、ミソラは喉を鳴らした。
(えへへ……♪)
思わず幸せな気持ちになり、ミソラの心が蕩けた。
だが、結局、デッキはスバルがオーダーメイドしたため、ミソラのものでなくなったのだが……
これぞ本末転倒である。
チャンチャン……
なぜスバルがここまでデッキ作りがうまいかというと……
「そりゃあ、バトルカードの戦略で作ってるからね!」
「あ、そっか……」
自分がロックマンという”カードバトラー”としてカードを切っているのだ。
そりゃ、強くなって当然だとミソラは納得した。
(どのカードゲームも組む際の基本は一緒だもんね……)
心の中でヤレヤレだぜと思うミソラであった。
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字数が足りないため、次の話も載せます。
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タイトル「最高の誕生日プレゼント」
「ミソラちゃん、誕生日おめでとう!」
「ほへぇ?」
食べていたプリンのスプーンから口を離し、ミソラはハッとした。
「今日、私の誕生日だっけ!」
「そうだよ!」
呆れたようにスバルは苦笑した。
「忘れちゃダメだよ……もう」
「えへへ……♪」
テレたようにミソラは頭を掻いた。
「覚えててくれたんだね」
スバルのプレゼントしてくれた誕生日プレゼントの箱を受け取り、首を傾げた。
「小さいね?」
「開けてみて」
「……?」
綺麗に包装された紙を解いた。
「こう小さいと逆に期待しちゃうなぁ……」
紙の中からしっかりとした箱が現れた。
「こ、これって……」
軽かったはずの箱が今度は重く感じ、喉を鳴らした。
「もしかして?」
箱のふたをそっと開けた。
「あ……」
箱の中から現れた綺麗な光を放つリングにミソラの目がジワァと潤んだ。
「もう……バカァ……」
スバルに抱き付いた。
「ばかぁ……」
ボロボロと涙を零し、スバルの唇にキスをした。
「でも、大好き」
また強く抱きつき子供のように泣いた。
「ミソラちゃん……」
スバルもミソラの心を理解し、嬉しそうに抱きしめかえした。
「ずっと一緒だよ」
「うん!」
嗚咽を漏らしながら何度もうなずいた。
「例え、全ての人がスバル君を忘れても私はスバル君を忘れない、ずっと一緒にいる!」
「ミソラちゃん……」
プレゼントされた誕生日指輪をミソラの左手の薬指に通し、二人はまたキスをした。
二人のキズナ値がまた一つ大きく成長するのを感じて……
幸せな誕生日、おめでとうミソラちゃん……