ドンブラー湖につくとロックマンとミソラは浮遊島のサーバーにアクセスし、天地の残したデータを解析していた。
「やっぱり……」
納得した顔でロックマンは頷いた。
「ダークサイドロックマンの正体が分かった」
「ほ、本当にロックマン?」
「うん」
ロックマンはサーバーに転送されたメールを開いた。
「あのロックマンはかつてムー大陸でこっちの世界と繋がって出来た"裏地球のロックマン"なんだ」
「裏地球?」
かつて聞いたことがあるロックマンが戦った崩壊した世界の地球。
そこではかつてロックマンが戦ったことのある敵が自分も含め全て現れ、死闘を繰り広げた。
だが、なぜ、今それをとハープ・ノートは思った。
「ボクは裏地球に行ってからずっと謎の部分が残ってたんだ」
「謎の部分?」
「なぜ、ロックマンは裏地球にいなかったのかだよ」
「え……?」
ロックマンは首を縦に振った。
「答えは実戦デビューする前にボクが裏地球のムーを倒したからだ。たぶん、裏地球のロックマンは生まれる前にどこかに放逐され、それがある理由で完全な身体として生まれたんだ」
「ある理由って?」
「これだよ」
ポケットから一枚のカードを取り出した。
「それって前にスバル君が侵食されたダークカード……あ」
ハープ・ノートも声を上げた。
「そう」
コクリと頷いた。
「裏地球で誕生しなかったロックマンは不足したデータをボクが犯されたダークカードの力を吸収して本物として誕生したんだ」
「そ、そんなバカげたこと……」
「事実だよ」
曇りのない目で見つめた。
「ロックマンの胸に浮かんでいた紋様も「ムーの印」だったしね……」
「……」
言葉を詰まらせるハープ・ノートに後ろからパチパチと手を打つ音が聞こえた。
「え……?」
振り返るとロックマンとハープは仰天した。
「ダークサイドロックマン」
「ふっ……」
ニヒルに笑いダークサイドロックマンは叩いていた手を合わせた。
「まさか、この短期間で答えにたどり着くなんて……さすが世界を救ったロックマン。ボクとは違うねぇ」
「……」
ハープ・ノートを後ろに下げ、ロックマンはダークサイドロックマンを睨んだ。
「でも、なんで人々から記憶を?」
「……」
ダークサイドロックマンは遠くを見るようにサーバーの外を眺めた。
「さっき君はボクは本物だと言った。だが、それは本当にそうかな?」
「え……?」
「ボクは君をベースに作られながらも不完全なまま生まれることなく消えた。今ここにある身体もダークカードを使ってようやく実態を維持する程度……なら、どうやって本物になる?」
「……?」
「答えは完璧さ。君たちに関する記憶を全てボクが手に入れ、君たちの存在そのものをボクの物にする。ボクという存在が本物になるために」
ハープ・ノートの目が怒りに染まった。
「そんな勝手な理由で私達の日常を!?」
ギターを構え弦を弾いた。
「マシンガンストリングス!」
「ッ……」
ギターの音と一緒に飛び交う音波攻撃にダークサイドロックマンは腕を振り切った。
「弾かれた!?」
ダークサイドロックマンはニヤッと笑った。
「そして、最後のカードはハープ・ノート……いや、響ミソラ。君だ」
「え……?」
一瞬で詰め寄られハープ・ノートの頭が鷲掴みにされた。
「君はボクが貰う」
「え……?」
掴まれた頭からなにかが抜け落ちるような虚空感が生まれた。
「す、すばるくん……」
ハープ・ノートの手がダランっと下がった。
「ハープ・ノートから離れろ!」
ロックマンのソードがダークサイドロックマンの頭上を斬り裂こうとした。
「おっと……」
ハープ・ノートを抱え、ダークサイドロックマンは上空へと飛んだ。
「素晴らしい……素晴らしい!」
ダークサイドロックマンの姿がノイズを浴び変わっていた。
「……!?」
姿を変えたダークサイドロックマンはロックマンの人間体・星河スバルとなった。
「ボク……?」
「そう、これが究極の姿。誰もが愛し愛され、そしてすべてを手に入れた男の力……」
ロックマンを指さした。
「さしずめ、星河昴と名付けよう!」
「昴……」
目線を吊り上げるロックマンに昴はサーバー空間を抜け消えていった。
「待て!」
リアル世界に戻るとロックマンは上空で空間の歪みを作る昴を認めた。
「ミソラちゃんを返せ!」
「断る」
昴は断固とした意志でミソラを抱きしめた。
「ボクはこのミソラを使い、ボクのパートナーとなる存在を作る。そうより完璧な君たちになるために……」
「勝手なことを……」
「だが、君はもう追ってこれない。この誰も君を知らない世界で君は永遠に一人で生きるんだな。自分が存在していたのかもわからない絶望の中に」
「……」
昴の言葉にロックマンは奥歯を噛みしめた。
「このぉ……」
「さぁ……ミソラ……行こう……」
次元の歪みの中へと消えていく昴にロックマンは慌てて飛び上がった。
「逃がすか!?」
ハープ・ノートの手を掴もうとした瞬間、二人の姿が歪みの中へと消えていった。
「ハープ……ノート……」
一人残されたロックマンは拳を握り締め、咆哮した。
「くっそおおおおおぉおぉお!」