ミソラとの最後の夏休みの思い出【アカネサイド 】
「出かけてきま~~~す!」
そういって、スバルが遊びに出かけたのが彼是、二時間前の出来事だった。
久しぶりに静かな家の中でアカネは煎餅を片手にテレビのスイッチをオンにした。
『ドキ! アイドルと一般人混合大水泳大かい~~~~~~~~~~~~!』
「ぶっ!?」
テレビに映った我が子の姿に食べていた煎餅を吹いてしまった。
「あの子、なにに出てるの!?」
テレビの中でしどろもどろしているスバルにアカネは顔を真っ赤にした。
「……あ、ミソラちゃんの番組ね?」
すぐにミソラの姿を認め、安心した顔で椅子に座りなおした。
「でも、相変わらず、ミソラちゃん、可愛いわね? 水着もよく似合ってるし……我が子も隅に置けないわね?」
バナナボートに乗って、素肌を密着させる二人にアカネはゴクリと喉を鳴らした。
(スバル……今、アナタは世界中の誰よりも輝いてるわよ!)
ゲームが始まるとなぜか、スバル達を襲いにかかろうとした一般男性チームが次々とケンカを始め自爆していった。
「なにかしら、この茶番?」
あまりの阿呆らしさにアカネはボウとしてしまった。
『ウィナー響ミソラチーム!』
勝負がついた瞬間、歓声が鳴り、スバルに抱きついていたミソラは大喜びし、両腕を上げた。
「あ……?」
その瞬間、水着の紐が解け、スラッと落ちた。
「ミ、ミソラちゃん!?」
思いがけないアクシデントにアカネはテレビを掴み、迫りよった。
『元気の印! ゼロビタンエース!』
CMに入り、アカネはホトホト呆れた顔でイスの背もたれに身体を預けた。
「あの子……大人の階段を上ったわね?」
CMに入る前にほんの少し映ったスバルに抱きついて自分の胸を隠すミソラを思い出しクスクスと笑った。
「今日はお赤飯を炊いてあげようかしら?」
それから日が暮れる頃にスバルは帰ってきた。
その姿は全身、傷だらけのタンコブだらけで、見るも無残な姿であった。
「どうしたの、スバル? 大人の階段を上りすぎて、ミソラちゃんになにかしたの?」
「なにもしてないよ!」
ガッと怒鳴り、涙目になった。
「あの後、一般参加者の男性に追い回され、命からがら帰ったら町の皆に問答無用で折檻をくらったんだよ。今日ほど、生きて帰ってこれたことを感謝するよ!」
えぐえぐと涙をすするスバルにアカネはふぅとため息を吐いた。
「まぁ、いいじゃない……」
「いいって……そんな!?」
「楽しかったんでしょう、スバル?」
「楽しかった?」
「ミソラちゃんとの夏休み最後のプールデート……どうだった?」
「……」
少し考えるように天井を見上げ、スバルもニコッと笑った。
「うん、楽しかったよ……!」
「なら、今日はスバルが大人の階段を上った記念にお赤飯を炊いてあげよう♪」
「なぜ!?」
「ついでにおかずも豪勢にしてあげよう!」
「いったい、なにが大人の階段なの?」
一人、ハシャぐアカネにスバルは諦めた顔で居間から出て行った。
部屋に戻るスバルを見送り、アカネは上機嫌でエプロンを着始めた。
(ミソラちゃんみたいな子がウチの子になってくれると嬉しいんだけどね?)
ウキウキした気分でアカネは料理を作り出しのであった。
今日は夏休み最後の夕食であった。