「みんな~~~……今日は私のクリスマスコンサートに来てくれてありがとう!?」
わ~~~~~と歓声が沸き起こり、ミソラは高揚した顔でさらに叫んだ。
「今日一日、夜になるまで私の歌でクリスマスを楽しんでってね~~~~!?」
「おぉ~~~~~~~!?」
また、歓声が鳴り響き、その渦中にいたスバルはついていけない顔で耳を押さえた。
「相変わらずうるさい……」
「ミソラちゃ~~~~~ん!?」
「……」
他の観客にも負けない歓声を上げるゴン太とキザマロにスバルは呆れた顔をした。
「よくみんな、この空気に馴染めるな……僕は何度来ても、慣れないよ」
「へぇ~~……何度も来たことがあるんだ」
「ギクッ!?」
顔を真っ青にして、スバルは左隣のルナの顔を見た。
ルナの顔はシラ~~としていた。
「そもそも、今回のコンサートチケット、スバル君からのだけど、どこから手に入れたの」
「あ……えっと」
誤魔化すように頬を掻き、スバルはえへへと笑った。
「ごまかすな!」
「ほへんなはい……」
両口を思いっきり引っ張られ、スバルは泣きながら謝った。
その時……
「みんな~~~~……私を見てる~~~!? 特に女の子とイチャついているバイザー君!?」
「あ……」
「え……」
一瞬で注目を集めるスバルとルナにミソラは黒いオーラを発し、微笑んだ。
「じゃあ、そこのバカップルに負けない取って置きを歌います! 最初は「ハート・ウェーブ!」
ワ~~~と歓声が響き、二人は恥ずかしそうにうずくまった。
コンサートも昼休みに入り、昼食を取るため、会場の廊下に出るとルナはぷんぷん怒りながら、頬を膨らませていた。
「スバル君のせいで、私まで恥じかいたわ!」
「ご、ごめん……委員長」
「ごめんじゃないわよ!」
ギロッと睨まれ、スバルは怯えたように震えた。
生まれたての小鹿のように震えるスバルにルナもこれ以上言うのを諦めたのか、深くため息を吐き、後ろのゴン太たちに叫んだ。
「じゃあ、お昼のコンサートまで時間があるし、さっさと昼食とって休憩にしましょう」
「おう、委員長」
ブルルルルル……
「うん」
スバルはポケットに入れてあったハンターVGのマナーモードが揺れ、コッソリ見た。
「あ……」
顔を真っ青にして、スバルは叫んだ。
「ぼ、僕、ちょっと用事があるから、みんな先にレストランかどこかに行ってて」
「ちょっと……団体行動を乱さない!?」
「ご、ごめん……本当に大変な用事だから」
そういい、スバルはおもむろに股間の辺りをモモでさすりだした。
ルナの顔もボッと赤くなり怒鳴った。
「そ、それなら仕方ないわね……早く行きなさいよ!?」
「は、は~~~い……」
ルナ達が見えなくなるまで手を振ると、スバルはガクッと疲れたように肩を落とした。
「疲れる……」
「なぁ~~にが疲れるの」
「え……うわぁ!?」
いきなり、首根っこを掴まれ、引きずられるように人の見えない、関係者階段に連れ込まれると、スバルの唇が塞がれた。
「ぷはぁ……」
顔を真っ赤にして、唇を離すとミソラは怖い顔でスバルを見上げた。
「私のライブで委員長とラブラブしてるなんて、いい度胸だね、スバル君」
「べ、別にイチャイチャしてないよ」
「誰もイチャイチャなんって言ってないもん! やっぱり、ラブラブしてたんだ!?」
「そ、そんな拗ねないでよ。委員長とはなにも無いよ」
「信用できない! スバル君って、天然ジゴロだし」
「ジゴロ」
意味がわからず顔をしかめるスバルにミソラは悔しそうに涙目になった。
「もう知らない! キスだって、もうしてあげないんだから!」
「いつも、ミソラちゃんのほうからしてるくせに……」
「……」
また、悔しそうに唇をかむと……
「あ……」
ニヤリと唇の端を吊り上げ、笑った。
「わかった! スバル君は私と健全な関係でいたいんだよね」
「え……あ、うん……まぁね」
乱れた仲なのは確かだし……
「よし! じゃあ、今日からキスをする関係はなし! お互い、健全に行こうね」
パチンッと可愛くウィンクするミソラにスバルはポッと赤くなってしまった。
「じゃあ、今日のライブ、楽しんで行ってね……そうそう、これ連絡の品ね」
ミソラはカバンの中からお弁当箱を取り出し、スバルに手渡した。
「はい、私のお弁当。味は自信ないけど、一生懸命作ったから、出来れば食べてね」「う、うん……わかった」
ニッコリ微笑み弁当箱を受け取ると、今度はミソラが真っ赤になり、微笑んだ。
「ス、スバル君……と」
慌てて唇を手で押さえ、ミソラは笑顔で関係者階段を抜け、スバルに手を上げた。
「じゃあ、お昼、会場で会おうね」
「う、うん……」
スバルもコッソリ、関係者階段を抜け、ミソラを見送ると目の前のお弁当を見た。
「委員長たちの前じゃ食べれないし、帰って夕飯にしよう」
ゆっくり、自分の持ってきたカバンの中にミソラのお弁当を入れると不意にスバルは、顔を上げた。
「ワガママなミソラちゃんが意外なほどアッサリ、今回は引いたな」
なにかあるんじゃないかとスバルは身の毛をよだした。
そして、その後、元旦までスバルにとって、ある種の地獄が訪れるのであった。