「ふぅ~~……いいお湯だった」
お風呂から出るとルナはクルクルにカールされた独特のロングヘアーをブラシでストレートに梳かし、部屋に帰ってきた。
≪ルナちゃん、もうそろそろ時間だよ!≫
「あ、もうそんな時間?」
髪を梳かし終えるとルナはウィザードのモードが持ってきてくれた小型ラジオを手に取り、スイッチを押した。
『響ミソラのコスモラジオタイ~~ム!』
パチパチと拍手が響き、ルナはクスッと笑った。
「ラジオは初めてだって聞いたけど、なかなか、板についてるじゃない!」
≪友達として鼻が高いね、ルナちゃん!≫
「そうね……」
ラジオを手にしたまま、ベッドに横たわるとルナはこれから読まれる投稿ハガキに胸を躍らせた。
どんな投稿ハガキが来るのか。
笑える話か、感動できる話か。
リスナーとハガキを使った会話はいつの時代になっても人々の忘れられない娯楽の一つであった。
『ええっと……最初の投稿ハガキはペンネーム「衛星おんな」さんからです!』
「ッ!?」
目をギョッとさせた。
『最近、私のちょっと気になる友人がちょっと有名なアイドルの色香に惑わされてるみたいなんです。なんとかしてください!』
ルナは恥ずかしさに顔を真っ赤にした。
まさか、冗談で送ったハガキを読まれるとは想像もつかなかった。
『衛星おんなさん』
「ドキッ!?」
胸を押さえた。
『女は諦めが肝心です! だから、その男の子のことはスッパリ諦めて、アイドルの子に譲っちゃいましょう!』
「な、なんですってぇ~~~~~!?」
≪ル、ルナちゃん……≫
激昂するルナにモードは怯えた顔で彼女をなだめようとした。
「そういう対応なら、こっちだって!」
ハンターVGのメール機能を開いた。
『え、同じ人から新しいメール? ち、違う人のを読んだほうがいいんじゃ……わ、わかりましたよ」
なんだか、ぶつぶつ言いながら、新しいメールを読み始めた。
『その人はいつも最終決戦で怪我をするかませ犬で、それでいて出始めはおいしいところを独り占めにする泥棒猫なんです!』
≪ルナちゃ~~~ん……≫
呆れ果てるモードを無視し、ルナはふんっと鼻を鳴らした。
『で、でも、初登場時でおいしいところもっていけるというのは期待されてる証拠じゃないでしょうか? 期待されてないからおいしいところをとれないんですよ!」
「期待されてないですって~~!?」
≪ひぃぃぃ~~~……≫
怯えなくモードにも気づかず、ルナは、また、ハンターVGのメール機能を開いた。
『え、またメールが届いた!?』
ミソラの声がドンドン暗くなった。
『た、戦うアーティストのキャッチフレーズが古すぎる!? そんなこと、アナタに言われたくありません! むしろ、キャッチフレーズの無いそっちのほうが可愛そうですよ!』
「……」
≪ル、ルナちゃん、落ち着いて……≫
「これでトドメよ!」
光がごとく速さでメールを送信すると、ルナは高笑いを浮かべた。
「私を怒らせたことを後悔するといいわ! アハハハハハハハハハ!」
≪もう、好きにして……≫
モードは完全に諦めた。
『……リストラバトルカード』
ルナの高笑いが最高潮に達した。
『うるさ~~~~~~~い!?』
「おわぁ!?」
ボンッとラジオが爆発し、ルナはようやく平静を取り戻した。
「ちょっと、言い過ぎたかしら?」
ポリポリと頬をかくとルナはテレたように笑った。
≪笑い事じゃないよ、ルナちゃん……≫
呆れて泣き始めるモードにルナはいつまでも、誤魔化し笑いを浮かべ続けた。