流星のメモリアル   作:スーサン

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ママ

「はい、ミソラ……」

 スッと渡されたギターを見て、ミソラは目をパチパチさせた。

「ママ……これって」

「オーディションを受けるためのママからのプレゼント」

 ニッコリ微笑み、母は咳き込んだ。

「マ、ママ、大丈夫!?」

 慌てて苦しむ母の背中を摩り、ミソラは心配そうに聞いた。

「でも、これって……高かったんじゃ」

「ミソラのためですもの……たいした事ないわよ」

「やっぱり、ギターを買うのにムリしたんじゃ」

「もぅ……」

 ツンッとおでこを小突き、ニコッと微笑んだ。

「ママはね、ミソラの歌が大好きなの……ミソラが歌える環境を作れれば、ママは幸せよ。ねぇ、聴かせて、ミソラの歌」

「う、うん……」

 一瞬、迷いながらも、ミソラは頭の中で思い浮んだ詩を歌い始めた。

 

 

「あ……」

 カーテンの隙間から日差しが差し込み、ミソラはムクリとベッドから起き上がった。

「……夢か」

 ベッドから出て、部屋の隅に丁寧に置かれたギターを手に取った。

「ママが必死になって貯めたお金で買ってくれたギター……」

 ポロンッとギターを鳴らすと、ミソラは自分の持ち歌の一つ、「グッナイママ」を歌い始めた。

 もしかしたら、ギターを買うために無理をしたから死んだのかもしれない。

 もしかしたら、自分がオーディションを受けることを承諾しなければ、もっと長生きできたのかもしれない。

 でも……

「歌のおかげでスバル君と会えたのかもしれない……」

 ゆっくり、ギターを演奏を止めると、うつむくようにギターを抱いた。

「ママ……会いたいよ」

 

 

「……お昼はこんなものかしらね」

 作り上げた料理をテーブルに並べるとアカネはうんっと満足そうに頷いた。

「我ながら上出来!」

 うんうんっと頷き、ちょっとだけ味見をするとアカネはニコッと微笑んだ。

「私って、才能あるかも」

 などと、自画自賛した。

「さて……後はスバルが帰ってくるのを待つだけね」

 ピンポ~~ン……

「うん……お客さんかしら」

 は~~いと大声を出して、玄関までエプロンを脱ぎ、玄関のドアを開けた。

「どちら様」

「こ、こんにちわ……」

「あら」

 ペコリと頭を下げる少女にアカネは意外そうな顔をした。

「ミソラちゃん」

「お久しぶりです」

 また丁寧に頭を下げるとミソラはスバルはいないか聞いた。

「あの子なら、委員長に呼ばれて、繁華街に買い物に行ったわよ」

「そう……ですか」

「ミソラちゃん」

 いつもと違い、元気のないミソラにアカネは少し心配そうに顔を覗きこんだ。

「なにか悩み事。もしよかったら、私に話してくれないかしら」

「……」

 今にも泣き出しそうに肩を震わせるミソラにアカネは優しく微笑んだ。

「ミソラちゃん」

「あ……」

 いきなり、抱きしめられミソラは顔を真っ赤にした。

「ミソラちゃん……一人で悩みを抱えてないで話してみて。意外と解決の道は近いかもしれないわよ」

「……ママの匂い」

「え」

 今度はアカネが顔を赤らめた。

 

 

「なるほど……」

 ミソラにお茶を出すとアカネは朗らかな笑顔で頷いた。

「お母様の夢を見たのね」

「そしたら、すごく寂しくなって……なんだか、スバル君に」

「会いたくなったんだ」

「……」

 カァ~~と赤くなるミソラにアカネはクスクスといたずらっ子のように笑った。

「私じゃ……駄目かしら」

「え」

「私じゃ、ミソラちゃんのお母さんになれないかしら」

「スバル君のお母さんが……私のママ」

 信じられない顔をするミソラにアカネはコクリコクリと頷いた。

「ねぇ」

 いつの間にか、頭を撫でてくれているアカネにミソラは今度こそ本当に決壊したように泣き出した。

「ママ……ママは本当に私のママになってくれるの」

「ええ……ミソラちゃんみたいな娘なら、こっちからお願いしたいくらいよ」

「うん!」

 ガバッと覆いかぶさるようにアカネに抱きつくミソラにアカネも優しく受け止め、いい子いい子した。

「ママの身体って柔らかくっていい匂いがする」

「ありがとう、ミソラちゃん」

 アカネも嬉しそうに微笑みお互い抱きしめあうように抱擁を交わした。

 その時……

「ただいま……お昼、出来てる。実はすぐに委員長に来いっていわれてて……」

 家に入るとスバルの顔が真っ青になった。

「あ……」

 ミソラの顔も真っ青になり、慌てて抱きついていたアカネから離れた。

「こ、これは違うよ、スバル君!?」

「え……えっと、人の趣味はそれぞれだから……ぼ、僕は」

 バタンッと逃げるように家を出て行くスバルにミソラも慌てて後を追い誤解を解こうと走り出した。

「スバル君……これは誤解だよ!?」

 砂煙を撒き散らし消えていくミソラとスバルに残されたアカネは目をパチパチさせた。

「本当に可愛い娘だこと」

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