「~~~♪」
ノリノリでルナはハンターVGに流れる音楽をイヤホンをつけて聴いていた。
「委員長~~~……これ、頼まれてた資料!」
音を立てず、大量をの資料をルナの机に置くとスバルは不思議そうに顔を覗いた。
「なに聴いてるの……委員長」
「え、あうん……な、なに、スバル君」
慌ててイヤホンを取り、真っ赤になった。
「いや、資料……」
「あ、ごめんなさい……」
机の上の資料に目を通すとルナの目が厳しくなった。
「……」
手が消えるように一枚一枚の資料が分別されると三十分もしないうちに資料が綺麗に区分けされた。
「スバル君、こっちは受理するほう、そっちは受理しないほうね」
「うん……わかった」
区分けされた資料を見て、さすがと声を漏らした。
「相変わらず早くって正確だね」
「伊達に生徒会長は名乗ってないわよ」
えっへんと胸を張るルナにスバルは苦笑し、彼女のハンターVGを見た。
「なに、聴いてたの」
「あ、こら!? 勝手に人のイヤホンつけないでよ!?」
イヤホンを奪うとルナは恥ずかしそうにつぶやいた。
「今、流行のRRM48の歌よ」
「委員長、ああいうの好きなの」
「ちょっと興味惹かれただけよ!」
ふんっと鼻息を荒くするルナにスバルも興味深そうに微笑み目を合わせた。
「なによ……」
「別に……」
ニッコリ笑顔の見つめた。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「……」
「ハンターVGを出しなさい……データを送信してあげるから」
「ヤリィ♪」
パチンッと指を鳴らし、スバルはテレた顔でえへへと笑った。
「実は僕も興味あったんだ……諸事情で他の女の子の歌、買うことも出来ないから、ヤキモキしてたんだ」
「……」
家に帰るとスバルはリアライズしたウォーロックを電波ロードに立たせ、怒鳴った。
「いい、ミソラちゃんが来たら、絶対に言ってよ!? もし、黙って通したら絶交だからね」
《はいはい……まったく》
呆れたようにため息を吐いた。
《たかが歌だろう……なんで、そこまで過敏にならないといかん?》
「たかがじゃないよ……ああ見えて、ミソラちゃん、嫉妬深いんだよ」
なにか思い当たる過去があるのか顔を真っ青にするスバルにウォーロックは首を振った。
《わからんな……人間の恋愛感情は?》
「スバル君、仕事で近くに来たから、遊びに来ちゃった!?」
「え……」
バタンッと普通に部屋のドアから入ってきたミソラにスバルは真っ青になった。
「あ~~……スバル君、歌、聴いてたんだ。なに聴いてたの」
「だ、だめ!? 聴いちゃ……」
イヤホンの金具がぷつんっと取れ、アイドル口調の陽気な歌が部屋中に響いた。
「……」
静寂が辺りを包んだ。(音楽は流れてたけど)
「これって……どういうこと」
「あ、これは間違いだよ!? これは委員長に無理やり……」
《思いっきりねだってたじゃねーかよ?》
「バカッ!?」
慌ててウォーロックの口をふさぐも手遅れだった。
「スバル君の浮気者!?」
「タ、タンマ……!?」
「バトルカード!」
超強力なバトルカードが宙に舞、星河家の窓が光った。
「全消去!」
ピッピッとRRM48の歌も含めた女性ボーカルの歌を全部消去されるとスバルは泣き出しそうな顔をした。
「ぼ、僕だって、他の女の子の歌聴きたいよ」
「SNAPやBUNP OF BEEFでも、聴けばいいじゃない!?」
ギロッと睨まれ、スバルはゴニョゴニョと胸の前で指をいじった。
「いいじゃん……たまには違う女の子の曲だって」
「なにそのオヤツは別腹発言!? 私の歌じゃダメなの!? 飽きたの!?」
「そ、そうじゃないけどさ……でも」
不貞腐れるスバルにミソラの目がウルウル潤んだ。
「私はいつもスバル君に喜んでくれるような歌を作ってるのに、こんな人海戦術のアイドルの歌が聴きたいの」
「色々なところから怒られるから、それ言いすぎ」
「ねぇ、私の歌のどこがダメなの!? ダメなところ直すから、お願いだから私の歌だけを聴いてよ」
「……」
一瞬、目線を泳がせ、スバルは観念した顔でため息を吐いた。
「ミソラちゃんのが一番だよ」
「え……」
「そらぁ、ちょっと後ろめたかったけど、なんだかんだでミソラちゃんの歌が一番、聴いてて落ち着くし……なにより、この「シューティング・スター」は」
ピッとハンターVGからミソラの人気曲、「シューティング・スター」が流れた。
「この歌は僕と君の歌のような気がして、いつも、頭の中で流れてるんだ」
「……」
少し考えるように黙り、背中のギターを構えた。
「一・二……♪」
リズムを取るように足踏みをしギターを鳴らした。
「ミ、ミソラちゃん……」
「~~~~~♪」
「RRM48の歌」
ミソラが口ずさむRRM48の歌にスバルは驚いた。
RRMの歌はテレビで聴く程度だったが、その歌は広くて浅いイメージがあった。
それに比べ、ミソラの歌は広いとはいえないが深みを感じさせる音程があった。
「……っと」
バァンッとギターを鳴らし終わり、ハンターVGのスイッチを切った。
「スバル君……今日はこれで勘弁してあげる」
「あ……」
ハンターVGにミソラの歌った曲が録音されていた。
「響ミソラカバー曲だよ。誰も持ってない貴重品なんだから、大切にしてね」
「僕だけに聴かせる、ミソラちゃんのカバー曲か」
「嬉しいでしょう、スバル君」
ニッコリ微笑むと電話が鳴った。
「あ、仕事の時間だ……じゃあ、スバル君、その歌以外は他の女の子の曲、聴いちゃダメだからね。入れたら、本当に怒るからね」
「う、うん……わかった」
ミソラが部屋から出とスバルは少しの間、ジッと立ち止まり、ゴメンと頭を下げた。
「実は秘密フォルダーを作っておいたんだ……消されてもいいように」
ピッピッピッと秘密フォルダーを開くと……
『なにか用事?』
「え……」
フォルダーを開いた瞬間、繋がったミソラのハンターVGにスバルは顔を真っ青になった。
『秘密フォルダーなんってバレバレだよ……』
口の端がひくひく揺れた。
『夜、そっちへ向かうから、覚悟しててね?』
「あ……うん……逃げたら承知しないよね」
『スバル君のバァ~~~カ!』
ぷつんっと電源が切れ、スバルは涙声で叫んだ。
「僕がなにをした~~~~~~~!?」