流星のメモリアル   作:スーサン

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痴漢電車にご用心

「ふぅ~~……」

 仕事帰りの電車の中でミソラは思わず深いため息を吐いてしまった。

「疲れた……」

 ポツリと出た言葉に口を押さえた。

「はぁ~~……」

 夏も近く、ミソラの仕事は気温と比例するように上がっていた。

 水着の写真撮影にバラエティーの出演、ドラマのオファー。最近は海外ロケということでハワイにもいった。

 まさに絵に描いたような多忙な毎日にミソラは疲れきっていた。

 人気アイドルだから仕方ないし、アイドルの仕事は別段、嫌ではなかった。

 歌は歌えるし、レッスンも厳しいが充実している。

 けど、一つだけ不満があった。

「一週間もスバル君に会ってない……」

 ポッと頬が赤くなった。

 ここ数日、仕事のせいでスバルと会っていない。

 電話はする。

 でも、電話ではキスは出来ないし、抱きつくことも出来ない。

 ましてやイチャイチャするなんて、夢のまた夢……

 完璧にスバル分が足りなくなっているのだ。

「スバル君……」

「スバルって……だれ」

「え」

 ピトッと触られたお尻に背筋を凍った。

「ちょっ……!?」

 顔を真っ赤にし、振り返ろうとするも無遠慮に腰を掴まれ、ふっと耳に息を吹きかけられた。

「~~~~~~ッ!?」

 身体に不快な快感が襲い、固まってしまった。

「言っておくが大声を出さないほうがいいぞ。人気アイドルの名前に傷がつくぞ」

「え……」

 真っ赤な顔でムリヤリ振り向かされると絶句した。

「あ……ああ」

 気づいたら、たくさんの男が自分に向けて、デジカメやビデオカメラを構え、撮っていた。

「あ……あぁ」

 明らかに普通じゃない、この状況に恐怖を覚えるミソラに男はささやくようにいった。

「聞いたことない……夜の痴漢電車って」

「ち、ちかんでんしゃ……」

 聞いたことがある。

 目をつけた女の子を二十四時間張り込み、隙を見て、自分たちの占領する電車の中へ連れ込み、いかがわしい行為を行う犯罪集団。

 酷い話になると痴漢した内容を脅しに大金をせしめる話も聞いたことがある。

 まさか、自分が目をつけられていたとは夢にも思わなかった。

「ほら、動かない……!」

「ヒィ……」

 背中から手を回され、パーカーのファスナーを外された。

 パラッとパーカーを脱がされた。

「ッッッッ!?」

 身体にピッタリなカラーシャツが露出し、ミソラは恥ずかしそうに真っ赤になった。

「や、やめて……」

 怯えるミソラに男たちはニヤニヤ笑い、手に入れたパーカーを嬉しそうに涎をたらし、鼻に近づけた。

「うぅ~~ん……人気アイドルの匂い。花のようないい匂いだね」

「い、言わないで……」

 真っ青になるミソラに男はさらに調子に乗って、彼女のズボンに手をかけようとした。

「ダ、ダメ!?」

 ズボンの中に手を入れられかけ、ミソラは慌てて止めようとした。

「今の声、貰い……」

 ハッと男の一人に今の声をビデオを撮られたと知り、ドキッとした。

「ほら、こっちも忘れない」

「キャッ!?」

 今の隙をつき、ズボンの中に手を入れられてしまった。

「や、やぁ……手を出して……」

 パンティーを穿いたお尻をサワサワといやらしく触られ、ミソラはついに耐え切れず泣き出してしまった。

 助けて、スバル君……お願い助けて。

「ふぅっ……このパンティーのスベスベ感がたまらないな」

「いゃ~~……いわないで」

 涙声で必死に許しを請うミソラに男はペロリと舌なめずりした。

「これで終わるほど、俺たちは甘くないよ」

 数人のカメラを持った男たちが立ち上がり、ズボンを脱ごうとした。

「イ、イヤァァァァァァッ!?」

 犯される恐怖に悲鳴をあげ、ミソラは逃げ出そうとした。

「逃がすかよ!?」

 ムリヤリ身体を押さえられ、ミソラは目を瞑った。

 殴られる!?

 絶望に目の前が真っ黒になった。

 ゴメン……スバル君、私、汚れちゃった……

 ぶるぶる震えが男の一撃は飛んでこなかった。

「……え」

 静かになった車内で目を開けるとミソラは仰天した。

「これって!?」

 目を向いて倒れる男たちにミソラはなにが起きたかわからず目をしかめた。

「間に合ってよかった……!?」

 振り向くとミソラの目からさっきとは違う大粒の涙が溢れた。

「スバル君!」

「……」

 電波変換を解き、ミソラの身体を受け止めた。

「ゴメンね……全部の車両を探してるうちに時間がかかっちゃって」

「うぅん……大丈夫……本当に……こわかった」

 子供のように(子供だけど)泣きはらすミソラにスバルは彼女を落ち着かそうと身体を強く抱きしめた。

「あのままだったら私、スバル君と会うことが出来なかった……汚れた身体じゃ、スバル君にふさわしくないもん」

「……そんな事ないよ」

 痴漢と強姦のショックで泣き続けるミソラにスバルは何度も彼女の背中をさすってあげた。

「スバル君……もういや……スバル君と離れたくない……もう仕事したくない……どこもいきたくない」

「……」

 今までのストレスが爆発したのか、小声で小さなワガママを言うミソラにスバルは少し考えるように顔を上げた。

「ひゃん!?」

 いきなり、お尻を触られ可愛い声を出すミソラにスバルはマジメな顔をしていった。

「アイツらと僕……どっちに触られのがいや」

「……もう!」

 泣くのをやめ、急に嬉しそうに頬を膨らませた。

「スバル君に触られて嫌なわけないじゃん!」

 スバルの手を掴み、ムリヤリ自分の胸に押しつけると真っ赤になって唸った。

「スバル君の手って、大きくって暖かいね」

「へ、変なこといわないでよ……僕が痴漢になっちゃうよ」

 膨らみかけている胸の感触に動揺したのかドキドキするスバルにミソラは今度は耳たぶを触ってみてとお願いした。

「え……えっと、こう」

「キャン♪ スバル君、うますぎ♪」

「ミ、ミソラちゃん……誰かに見られるよ」

「今だけ……お願い」

 そっと首に腕を回し、密着度を上げると、キスをした。

「うっ……」

「ぷはぁ……」

 糸を引き、唇を離すとポォ~~とした顔で微笑んだ。

「今度はスバル君の触りたい場所を触っていいよ」

「え、えっと……じゃ、じゃあ、こ、ここかな」

 ゴクリと喉を鳴らし、彼女のズボンの下に手をいれた。

「あ……」

 ミソラもそこは予想外だったのか嬉しそうにスバルを見た。

「スバル君って案外、スケベだよね」

「ミ、ミソラちゃんに言われたくないよ」

 ズボンの中に手をいれ、パンティーを触るとスバルは固唾を呑んだ。

 嬉しがるミソラにスバルは我慢しきれず、パンティーの中に手を入れた。

「あぁん♪」

 また嬉しそうになくミソラにスバルは爆発してしまいそうになった。

「私のお尻、気持ちいい」

「う、うん……パンティーよりも遥かにスベスベしてる」

「嬉しい……」

 キスをすると二人はトリップしたように床に倒れこんだ。

「ぷはぁ……」

 唇を話すとスバルはスッカリ火のついた顔でミソラの耳を甘噛みした。

「う……スバル君、耳……気持ち……よすぎる……」

 耳を愛撫されミソラも出来上がったのか荒い息遣いでスバルに抱きついた。

 パンティーの中に入れていた手を離し、彼女の胸を触った。

「あ……」

 耳と胸を同時に責められ嬉しそうになくミソラにスバルはようやく身体を離し、荒い息遣いで立ち上がった。

「はぁはぁ……」

「ふぅふぅ……」

 体力を使い切ったのか立つのもしんどそうに列車の壁に背をつけるとスバルはヨロりと立ち上がった。

「さて……最後の仕事。こういう奴らは一度、同じ目にあわないと罪の意識に目覚めないからね」

 クスッと笑い、ハンターVGから、荒縄を取り出した。

 

 

 次の日、スバルの家に泊まったミソラはアカネから借りた朝刊を読み真っ赤になった。

『痴漢グループに天罰。全裸の男たちが荒縄で逆さづり?』

 新聞には痴漢グループが裸にひん剥かれ荒縄で恥部をさらした記事が載っており、その凄惨さが文書にとって読めた。

 さらに追記して、その光景はカメラに収められており、ネットにもいくつか流出しているとも書かれていた。

「……」

 ココアを飲みながら、スバルの顔を見た。

「これは、これはやりすぎじゃ……」

「殺されなかっただけ、感謝してほしいな」

 満面の笑みを浮かべるスバルにミソラもクスッと笑った。

「……ねぇ、スバル君」

 そっと、スバルの横に座り、肩をくっつけた。

「今度、イメクラで痴漢プレイしない」

「い・や・だ!」

 パコンッと丸めた雑誌で殴られ、えへへと笑った。

「ところでなんで、スバル君、電車を見回ってたの」

「うん」

 食べていた朝食のパンを置き、ゴクリと喉を鳴らした。

「実はNAXAの依頼で電波監視をしてたんだよ。あの痴漢グループは酷すぎるから、その討伐も兼ねてね」

 付け加えるように赤くなった。

「それと偶然、ミソラちゃんが張られていることに気づいてね。見張ってたんだよ」

「そっか……見守ってくれてたんだ」

 えへへと笑い、スバルの顔に自分の顔を近づけると目を瞑った。

 スバルも優しく微笑み、ミソラの唇に目を瞑った。

「あの~~……そういうのは部屋でやってね」

「ッ!?」

 アカネの言葉に二人は真っ赤な顔をさらに真っ赤にし、バッと離れた。

 誤魔化すように朝食を胃に流し込む二人にアカネはウットリした顔をした。

「若いっていいわね」

 夫との若い頃を思い出し、アカネは嬉しそうな顔をした。

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