「はぁ~~……」
「うん」
スタジオに入るなり、スバルは大きなため息をついた。
「どうしたの、スバル君。仕事前に大きなため息をついて」
「吐きたくもなるよ。さっき知ったけど、DASH3の発売が中止になったんだ……」
「なぬッ……!?」
衝撃を受けた顔をした。
だが、すぐに我を取り戻し、笑顔を取り繕うとした。
「仕方ないよ。CAPCOMだって、ゲーム売って、ご飯を食べてるんだ。売れないと思ったんだね、きっと」
「散々、ファンにキャラデザ募集や、体験版配信なんてやりながら、引っ掻き回しておきながら、急に発売を中止って、バカにしてる気がする」
「まぁ、いきなり、手のひら返されて開発中止じゃ、納得しないユーザーもいるでしょうね」
クックックッと苦笑し、スタジオにセットされた回転イスに座った。
「まぁ、中止作品に同情する暇があるなら、打ち切り作品の私たちの心配をしようよ」
クルクルとイスを回転させ、ウンッと伸びをした。
「ゲームもそうだけど、アニメも打ち切りの理由が酷かったからね」
「トラなんとかに番組、持ってかれたもんね」
どこか癪に障ったのか、ミソラの額に青筋たがった。
「ニコ動で「ソードマスターヤマト化」って書かれちゃうし」
「十分間で全てのフラグを回収したんだ。ある意味、キャラだけのなんちゃってアニメよりはアニメスタッフとしての責任は果たしたんじゃないかな」
「なら、なぜDVD化しないの!?」
「……」
遠い目をし、コホンッと咳払いした。
「あ~~暗い! こんな暗い空気じゃ、今後のこのサイトの作品に影響が出ちゃう!」
勢い良くイスから立ち上がった。
「ピンチのときだからこそ、私たちは強気にいかなきゃ!? 今回は番外編なんだから、楽しい話をしよう」
「楽しいね……」
真っ白い天井を見上げた。
「なんの話をするの」
「ズバリ、映画化の話!」
「でかく出たね」
「そうでもないよ」
ケロリと表情を変えた。
「ある意味、抱き合わせで映画化は定石だよ。変にテレビ放映して視聴率が取れず、打ち切るよりも、人気映画とセットにして様子を見て、人気が取れそうだったら、アニメ化するのは昔からある手法だしね」
「……世の中、汚い大人で満ちてる」
「まぁまぁ……」
絶望するスバルをなだめ、ミソラはパァッと両腕を広げた。
「それよりも、これを見て」
ピッとスタジオにセットされた巨大スクリーンビデオのスイッチを押した。
「見てのとおり、流星のアニメは2で完結してるよね」
「面白いくらい、ちゃんとフラグを十分間で回収してるあたり、下手なバトルアニメよりも力があるね」
感心するスバルにミソラの人差し指がビシッと鼻を押した。
「なら、映画化は決まってるよね!?」
「3のキング財団との映画」
「不正解」
ぶぶ~~っと腕をバツの字にクロスさせ、スクリーンに映った映像を変えた。
「2には流星史上最高のIFストーリーがあるでしょう」
「IFストーリーって、もしかして……」
気付いた顔でミソラを見た。
「そう!」
パチンッと指を鳴らした。
その瞬間、世界が色を無くしたように白と黒になり。
真っ白いだけのスタジオも景観を変え、住み慣れたコダマタウンの公園へと変わった。
二人の姿も電波変換したロックマンとハープ・ノートの姿へと変わった。
ハープ・ノートに変わったミソラは白と黒だけの南国という男が経営するカードショップの壁を埃を取るようになぞり、微笑んだ。
「2では「滅びの前兆」という「キズナ値がなくなった時、世界は滅びる」という話があったよね」
「まぁね」
「本編ではロックマンは「滅びの前兆」を回避し、世界を救うけど、もう一つの話では世界は「滅びの前兆」を回避できず、世界が滅んだ世界があるよね」
「うん。あれは悲しい世界だった」
かつて戦った世界を思い出し、スバルは胸が締め付けられる思いを味わった。
「IFストーリーでは今まで登場したボスキャラやゲストキャラがIFとして登場して戦うことになるけど、映画では直接、アポロン・フレイムと戦ってもいいかな。元々、スバル君を騙して、「滅んだ世界」と「滅んでない世界」をくっつけて、こっちの世界を手に入れようとしたんだし」
「本当に恐ろしい敵だったよ……」
IFたちの強さを思い出し、背筋が凍った。
「『滅んだもう一つの未来』、『蘇る強力な敵』、『今まで見たこともない壮大なラスト』、映画化が決まれば、これは間違いなくヒットするよ! そもそも、流星はスケールだけなら、ロックマンシリーズ最高なんだから」
「それがロックマンっぽくないといわれてるけどね」
ハハと乾いた笑いを浮かべた。
「そもそも、エグゼ派は流星をやりもせず、評価を下してるところがあるからいけないよ」
憤慨したように鼻を鳴らした。
「エグゼが面白いのは皆が認める事実! 実際、管理人も大好きだし! でも、それで流星を軽く見ていい理由はならないよ! 正直、やらず嫌いで流星を批判するロックマンファンはロックマンをやってほしくない!」
「また、そんなファンを敵に回すことをいう。もっと、オブラートに包んだ言い方、出来ないの」
「だったら、エグゼ派で流星未プレイの人は今すぐ、流星をプレイすること! いかに自分の世界が狭かったかわかるから! 流星はエグゼの特徴を引き継ぎ、さらにエグゼをリスペクトしたすばらしいゲームだよ」
「だんだんと言ってることが支離滅裂となってきてるよ」
呆れたようにため息を吐いた。
「もう、今回の番外編はこれでおしまい! 続きはまた、十話後の番外編で」
「ちょ、スバル君、なにするの!?」
「はいはい、帰りまちょーね……」
「くぅ~~~!? こうなったら、裏サイトに行くよ!? 裏サイトで鬱憤を晴らしてやる!?」
「はいはい、ちゃんと裏も書くから、今回はおとなしく引き下がろうね」
ビュインッと二人の姿が光となって天空へと消えた。
静寂だけが残る世界に不気味な声が聞こえた。
「まだ、滅んでない世界があるようだな」
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字数が足りないため、次の話も載せます。
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タイトル「君の中の永遠」
「う……ん」
目を覚ますとカーテンの奥はまだ暗かった。
起きるにはまだ早いと思ったが、せっかく目が覚めたので、腰を上げた。
ウンと伸びをし、あくびをかみ殺した。
綺麗に装飾された女の子の部屋が目の前に広がり、思わず真っ赤になった。
「……」
そっと、音を立てず、立ち上がった。
首を左右に振り、ベッドを見つけると、足音を立てず近づいた。
「穏やかな寝顔だな」
ベッドで幸せいっぱいに眠っているミソラを見て、スバルはクスッと笑った。
ベッドの上で頬杖をつき、目を細めた。
「どんな夢見てるんだろう」
そっと肩に手を触れ、目を瞑ってみた。
こうしてるとなんだか、一緒の夢を見てる気がした。
「僕と一緒の夢かな」
頬杖を解き、立ち上がると眠っているミソラの唇にキスをした。
「……」
唇を離すとスバルはカーテンをバッと開けた。
「朝だ……」
「いい朝だね」
「え……」
振り返るとミソラが自分の下唇をそっと撫でていた。
スバルもテレたように笑った。
「起きてたんだ」
「キスされてビックリしちゃった♪ スバル君のエッチ……」
「男の子はたいていエッチだよ」
今度はお互い確認するように唇を近づけ、キスをした。
「……ミソラちゃん」
窓から見える昇りかけの太陽を見た。
「君と一緒に迎える朝が一番幸せだよ」
「うん……私も」
少しずつ昇っていく太陽に飽きることなく二人は肩を寄せ合い眺めた。
今日は日曜、休日。
二人は今日をなにをして過ごすか考え、期待に胸を膨らませた。